融資は、事前の準備によって、借りられる可能性が変わります。開業前までにどんな知識を身につけておけばよいでしょうか?
今回の記事では、靴の修理屋の開業を例に、融資を受けるための準備や、出店までに必要な準備を解説します。
融資を受けるための準備
自己資金を貯める
まず融資を受けるための準備として、自己資金を貯めることが一番重要になってきます。 自己資金を貯める目安としては、開業するまでにかかる投資額の1/3を貯めることです。 例えば、出店するまでに900万円必要なのであれば、 900×1/3=300万円 を貯めることが重要になります。 もちろん1/3が目標額となるだけで、100万円から200万円程度の自己資金でも借りられる可能性はありますが、1円でも自己資金は多いほうが借りられる可能性が高まりますので、開業するために少しでも多くの自己資金を貯めましょう。
自己資金を貯める際の注意点
日本政策金融公庫では、融資面談をする際に、通帳の原本を持参しなければなりません。
自己資金は、通帳に少しずつ貯めていくことが必要になります。いきなり通帳残金が増えても見せ金では?と疑われてしまいますので、通帳残金に少しずつ貯めておく必要があります。
少しずつ貯めたお金でなければ、自己資金として認められないことがありますので、ご注意ください。
自己資金が少ない場合はどうする?
総投資額の1/3を貯めているのが理想的なのですが、そこまで貯められていない場合にも、追加で有利な情報を出すことで融資を受けられるケースがあります。
有利な情報一覧
- 配偶者の源泉徴収票
- 保険の解約返戻金
- 配偶者の通帳
- 保有の不動産情報
- ご家族が保有している預金や不動産情報
- 退職金がわかる資料
など、万が一何かがあったときに返済余力になりそうなものを提出すると融資を受けられる可能性が高くなります。
出店するまでにいくら必要になるのかを計算する
出店する場所の家賃によって、いくらの金額が必要になるのか異なると思いますが、少し高めに見積もって見ましょう。
《必要になる資金の具体例》
店舗開業時に必要と考えられる資金の具体例は以下の通りです。不要なものもありますが、最初に何が必要で、いくらかかるのかを考えておきましょう。
【店舗取得費】
敷金/礼金/保証金/仲介手数料
※場所にもよりますが、安いところで、家賃の4ヶ月分、高ければ20ヶ月分必要になることもあるでしょう。出店場所が良ければ、最低でも家賃の6~8ヶ月分を払う想定をしておきましょう。
【設備】
内装工事費/外装工事費/修理機材
※靴の修理店の場合、修理するための機材への投資額が大きくなります。 300万円程度はかかるものと考えておきましょう。
【その他の出費】
食器/HP/印刷代/DM印刷費/メニュー・ユニフォームデザイン費/人材採用費/開業前人件費/保健所に支払うお金等
利益のどの程度か仮説を立てる
営業した場合の月間利益の仮説の立て方は、次に解説する項目の「 ①-②-③=利益」で算出します。 利益から、借入金の返済も考えていかなければなりません。 借入金の返済が毎月10万円必要になるのであれば、最低でも利益が10万円以上必要だと考えておくべきでしょう。
①売上の仮説の立て方
単価 × 1日の来店人数 × 営業日数 =月売上 上記の算式を元にして、売上の仮説を立てましょう。
例えば、 単価1,500円 1日の平均来店数35人 営業日360日 単価は大きく変動することはないと思いますが、来店数は変動するでしょう。 この来店数を見込むためには、出店予定の場所にいき、通行料を調査しておくべきでしょう。 通行料調査は、営業時間が8時から21時であれば、その間のすべてで通行料を集計することが最も理想的でしょう。
②売上原価
修理に必要な材料は、売上の5%から20%程度でしょう。
③その他の経費
ロイヤリティ(フランチャイズの場合) 人件費 賃料 水光熱費費 通信費(電話、インターネット) ホームページ維持費、 販売促進費 火災保険 旅費交通費 求人広告費 税理士報酬 その他
(4)出店場所を探す
融資を受ける前提であれば、出店場所は、仮押さえした状態でなければ、申し込みができません。 5坪~10坪程度の小さな店舗を構えることが多いです。
(5)サービス内容の検討
融資を受けるにあたって、どんなサービス内容があるのかを聞かれますので、箇条書きでもよいので、メニュー表を考えておくとよいでしょう。最近では、靴修理屋で下記のサービスも行っているところがあります。
- バッグなど革製品の修理
- 靴下取り
- バッグ下取り
- 靴クリーニング
- バッグクリーニング
- 合鍵作成
- 名刺作成
- 印鑑作成
(5)出店形態の検討
フランチャイズを利用するか、利用せず自分だけの店舗にするかを検討する必要があるでしょう。
FC加盟型の場合
開業準備は比較的容易でしょう。どのFCを選ぶのかが大切になりますので、いくつかのFC企業の説明会に参加し、比較することをオススメします。
独立型の場合
独立型の場合には、靴専門店での修行や、靴の専門学校で勉強する必要があるでしょう。こちらを選択した場合には、仕入れ先の選定や、広告宣伝をどう行っていくのか、立地選定、修理機材の購入場所を検討する必要が出てきます。 開業までに必要なことのチェックリストがありますので、ご参照ください。
まとめ
靴修理屋を始めるにあたっての知識と、融資を受けるために必要なことがわかったでしょうか?可能であれば、開業する1年前から準備を進めていくとよいでしょう。