自己破産した人は日本政策金融公庫から創業融資を受けられるのか?

飲食業や建設業など、開業を考えている人の中には、借入先として日本政策金融公庫を検討中の人もいますよね。その際、自己破産した人は日本政策金融公庫から創業融資を受けられるのかどうかを知りたい人もいるでしょう。

当記事では、自己破産した人は日本政策金融公庫から創業融資を受けられるのかを解説していきます。自己破産後に創業融資を受けられた人の特徴も解説しているため、日本政策金融公庫の審査における自己破産の影響が知りたい人は参考にしてみてください。

自己破産した人は創業融資を受けられない可能性がある

自己破産した人は日本政策金融公庫から創業融資を受けられない可能性があります。とくに、自己破産直後の人は創業融資を受けられない可能性があるため、借入先として日本政策金融公庫を検討中の人は注意が必要です。

日本政策金融公庫の担当者は融資の可否を決める判断材料として申込者の信用情報を確認しています。信用情報はクレジットカードやローンなどの信用取引における利用情報のことですが、破産申立や債権譲渡といった取引事実に関する情報も登録されています。

また、日本政策金融公庫の公式サイトにある「プライバシーポリシー」の資料には、「信用情報を返済能力の調査や与信取引上の判断に利用する」という旨が記載されているため、自己破産の事実は日本政策金融公庫の審査に影響すると考えられます。

ただし、日本政策金融公庫の担当者に「自己破産した経験がある人は創業融資を受けられますか?」と質問したところ、「融資を受けられるかどうかは審査次第ですが、自己破産した経験がある人も申し込むことは可能です」との回答でした。

日本政策金融公庫の場合、自己破産した経験がある人も申し込むことは可能です。申込者の状況や担当者の判断によっては、自己破産した経験がある人も創業融資を受けられる可能性があるため、まずは日本政策金融公庫の担当者に相談することを検討してみましょう。

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日本政策金融公庫から融資は受けられる?
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再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)による創業融資も受けられるとは限らない

自己破産したことにより再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)の融資制度を検討中の人もいますが、再挑戦支援資金に申し込みしたとしても創業融資を受けられるとは限りません。利用条件を満たしている前提に加え、創業融資を受けられるかどうかは審査次第となるからです。

再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)とは、廃業歴のある人を対象にした融資制度のことです。創業に再挑戦したい人に関しては、再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)を日本政策金融公庫の担当者から提案される傾向があります。

また、再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)の対象者はあくまでも廃業歴のある人です。自己破産の経験がある人を対象にしておらず、廃業歴のある人を対象にした融資制度となるため、再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)による創業融資を受けられるかどうかは審査次第となります。

再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)の対象になるのは利用条件を満たしている人のみです。利用条件を満たしていない人は再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)の対象外となるため、まずは日本政策金融公庫の担当者に相談することを検討してみましょう。

なお、再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)の概要が知りたい人は「日本政策金融公庫の再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)を解説」を参考にしてみてください。

自己破産後に創業融資を受けられた人の特徴

自己破産した人は創業融資を受けられない可能性がありますが、自己破産した人が日本政策金融公庫から創業融資を受けられた事例もあります。自己破産後に創業融資を受けられた人には、いくつかの特徴があるため、それぞれの項目を確認してみましょう。

【自己破産後に創業融資を受けられた人の特徴】

  • 事業に充てる自己資金を貯めていた
  • 信用情報から履歴が抹消されていた

自己破産した人が創業融資を受けられるかどうかは、あくまでも審査次第です。申込者の条件や担当者の判断にもよるため、具体例としてそれぞれの項目を参考にしてみてください。

事業に充てる自己資金を貯めていた

自己破産後に創業融資を受けられた人には、自己資金を貯めていた傾向があります。自己資金は融資の可否を決める判断材料のひとつとなるため、自己資金を貯めていたことにより、自己破産の経験がある人も日本政策金融公庫から創業融資を受けられた可能性があります。

自己資金とは、事業に使用する予定の資金のことです。自己資金は融資の可否を決める判断材料のひとつとなるため、自己資金が多ければ多いほど、審査の際はその点を考慮してもらえる可能性があります。

また、日本政策金融公庫から創業融資を受ける場合、「創業計画書」を提出することになります。創業計画書の中には、自己資金を記入する欄があるため、日本政策金融公庫の担当者は融資の可否を決める判断材料のひとつとして自己資金の有無を確認している傾向があります。

融資の可否は申込者の情報から総合的に判断されますが、自己資金を貯めていることにより創業融資を受けられる可能性はあるため、自己破産した経験のある人は予備知識として覚えておきましょう。

なお、自己資金に関する内容が知りたい人は「自己資金なしでも日本政策金融公庫から創業融資を受けられるのか?」も参考にしてみてください。

信用情報から履歴が抹消されていた

自己破産後に創業融資を受けられた人には、信用情報から履歴が抹消されていた傾向があります。信用情報は融資の可否を決める判断材料のひとつとなるため、信用情報から履歴が抹消されていたことにより、自己破産の経験がある人も日本政策金融公庫から創業融資を受けられた可能性があります。

【個人信用情報機関の自己破産に関する情報の保有期間】
個人信用情報機関 自己破産に関する情報の保有期間
株式会社シー・アイ・シー(CIC) 契約期間中および契約終了後5年以内
株式会社日本信用情報機構(JICC) 契約期間中および契約終了後5年以内
全国銀行個人信用情報センター(全銀協) 破産手続開始決定を受けた日から7年を超えない期間(※)

※免責許可の決定日ではなく破産手続開始決定を受けた日が起算日となります

CICとJICCは「契約期間中および契約終了後5年以内」ですが、全銀協は「破産手続開始決定を受けた日から7年を超えない期間」です。それにより、個人信用情報機関が自己破産に関する情報を保有するのは最長7年です。

7年以上前の情報は保有されておらず、日本政策金融公庫の担当者が申込者の信用情報を確認してもその履歴は抹消されているため、破産手続開始決定を受けた日から7年以上経過している場合には、日本政策金融公庫の審査に影響しない可能性があります。

融資の可否は申込者の情報から総合的に判断されますが、信用情報から履歴が抹消されていることにより創業融資を受けられる可能性はあるため、自己破産した経験のある人は予備知識として覚えておきましょう。

なお、信用情報に関する内容が知りたい人は「日本政策金融公庫の審査における信用情報を解説」を参考にしてみてください。

自己破産を検討中の人は専門家に相談してみる

新規開業資金や教育ローンなどの融資制度にかかわらず、日本政策金融公庫からの借入金を自己破産したい人は、まずは専門家に相談することを検討してみてください。専門家に相談することにより、自己破産に関するアドバイスを受けられるからです。

【無料相談できるところの具体例】

  • 市役所や区役所の法律相談窓口
  • 日本司法支援センター(法テラス)

たとえば、市役所や区役所は、定期的に法律相談を開催しています。時間制限や回数制限に加え、予約制となる場合もありますが、自己破産に関する内容を弁護士などの専門家に相談できる可能性があります。

また、自己破産に関する相談は、日本司法支援センター(通称:法テラス)でも可能です。法テラスが定める収入基準と資産基準を満たしている場合には、弁護士や司法書士に無料相談できる可能性があります。

あくまでも一例ですが、自己破産を検討中の人は、まずは弁護士などの専門家に相談することを検討してみてください。そして、弁護士などの専門家に相談する際には、解決策のひとつとして任意整理や個人再生など、その他の債務整理についても聞いてみましょう。

なお、債務整理に関する情報が知りたい人は「債務整理した人は日本政策金融公庫から創業融資を受けられるのか?」も参考にしてみてください。

まとめ

自己破産した人は創業融資を受けられない可能性がありますが、自己破産後に創業融資を受けられた事例もあります。とくに、自己破産後に創業融資を受けられた人には、自己資金を貯めている点に加え、破産手続開始決定を受けた日から7年以上経過しているなどの特徴があります。

ただし、日本政策金融公庫から創業融資を受けるならば、それ以上にしっかりとした事業計画を立てることが必要です。その旨は日本政策金融公庫の公式サイトにも記載されているため、借入先として日本政策金融公庫を検討中の人は覚えておきましょう。

また、コロナの影響により返済不能に陥る人が増加傾向にあるため、自己破産の経験がある人は、日本政策金融公庫に申し込む前にその点も留意しておきましょう。

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