創業や事業拡大にともない、信用金庫から融資を検討している人もいますよね。
信用金庫からいくら融資を借りられるか知りたい人もいると思います。信用金庫から借りられる借入額は事業の内容や審査によって異なるため、どのくらいの金額が適正か確認しておきましょう。
当記事では、信用金庫の融資の上限額や融資で申し込む借入額の計算方法、希望額を借りるための審査にむけた準備を解説します。
信用金庫の融資の限度額は商品によって異なる
信用金庫の融資の上限額は信用金庫が用意している商品によって異なります。信用金庫ごとに金融商品が用意されており、商品ごとに上限額が設定されていることがあるためです。
【金融商品の一例】
融資種類 | 信用金庫 | 上限額 |
パッケージ商品 | 多摩信用金庫 | 創業支援特別融資「ブルーム」:500万円以内 |
東京東信用金庫 | さくせす行進曲:10万円以上5,000万円以内 | |
城南信用金庫 | 城南中小企業会計活用・応援ローン:1億円以内 | |
一般貸付 | 申込者により上限額が異なる |
各信用金庫が設定しているパッケージ商品は上限額が設定されています。どんな場合でも上限額まで借りられるということはなく、実際の融資額は審査の結果で決まります。
一方、一般貸付は事業状況に合わせた金額を都度融資するため、明確な上限は設定されていません。一般貸付も借入できる金額は審査の結果次第になります。
信用金庫が用意している金融商品によって上限額が異なるため、自社が利用できる商品の上限額を知りたい人は、融資を申し込む信用金庫のサイトを確認するか、直接問い合わせて確認しましょう。
いくら借りられるかは事業に必要な金額を計算する
信用金庫からいくらの融資を受けられるかは事業に必要な金額を計算して確認しましょう。信用金庫の融資では、上限額に関わらず事業に必要な金額しか借り入れることができないためです。
事業に必要な資金は、事業に必要な設備のための「設備資金」と事業の運営にかかる「運転資金」に分けられます。事業に必要な金額から申請する金額を計算しましょう。
【設備資金と運転資金の一例】
資金 | 例 |
設備資金 | ・物件取得費(保証金・礼金・仲介手数料・前家賃を含む)
・内装工事費 ・機械購入費 ・Webサイト制作費など |
運転資金 | ・仕入代金
・店舗やオフィスの代金 ・広告宣伝費 ・水道光熱費など |
設備資金と運転資金の違いは、継続的な支払いが必要になるかどうかです。設備資金は一度に大きな支払いが必要になるのに対し、運転資金は継続的に支払いが必要です。
融資を受けられる設備資金と3か月分の運転資金の合算値までです。この合算値の内、自己資金など融資を受ける必要のない金額を引いた値が最大で借入できる金額になります。たとえば、設備資金が300万円、3か月分の運転資金が100万円、自己資金が100万円の場合は必要金額である400万円中の300万円までの融資を受けられます。
なお、設備資金については設備資金は原則として見積書を提出する必要があるため、申請時までに準備しておきましょう。
希望額を借りるための審査の準備をする
融資の希望額を借りるために審査の準備をしましょう。信用金庫の審査の結果によっては希望額を借りられない可能性があるためです。
【信用金庫の融資審査で見られる項目】
・妥当性のある事業計画を立てる
・創業時の借り入れは自己資金を貯めておく |
信用金庫の融資審査では「返済能力があるか」という部分を事業計画や自己資金などから総合的に判断しています。希望額を借りるために事業計画や自己資金の準備を行い、審査に向けた準備をしていきましょう。
信用金庫が審査で確認している項目は「信用金庫から融資を受けるための審査に向けた対策を解説」で詳しく解説しています。
妥当性のある事業計画を立てる
信用金庫から希望額を借りるためには妥当性のある事業計画を立てましょう。過剰な借入額を申請してしまうと事業に対する展望が浅いと判断され、融資額の減額や審査落ちの可能性があるためです。
たとえば、設備資金で内装工事や備品を重視しすぎたり、運転資金を必要以上に申請したりすると事業に見合わないと判断される可能性があります。特に開業時において、凝った内装などは軌道に乗ってからでもできるため、最初は必要最低限に抑えても良いのではないかと指摘される可能性もあります。
また、事業計画の利益が月々の返済額に対して低すぎる場合も、返済能力が低いのではないかと判断される可能性があります。
妥当性のある事業計画書を提出するには、なぜこれだけの設備投資や運転資金が必要なのかを説明できるように準備し、信用金庫が返済が見込めると判断できるような書類を作成しましょう。
創業時の借り入れは自己資金を貯めておく
創業時に信用金庫から希望額を借りるためには自己資金を貯めておきましょう。融資希望額に対し自己資金の割合が高いほど希望額を借りられる可能性が高まるためです。
創業時は事業の実績がないため、信用金庫は「返済能力があるか」という部分を自己資金などから審査しています。自己資金が多いほど計画的で信頼できる事業者であると判断され、希望額を借りられる可能性が高まります。
創業時の借り入れでは、希望額と自己資金を合わせた事業資金の3割程度の自己資金を貯めておくと良いでしょう。
まとめ
信用金庫の融資の上限額は商品によって異なります。自社が融資を申し込む信用金庫のサイトなどから上限額を確認しましょう。
実際に借りられる金額は上限額に関わらず事業に必要な金額のみです。そのため設備資金と運転資金から事業に必要となる金額を計算しておきましょう。
また希望額を借りるためには融資の審査で「返済能力があること」を示す必要があります。そのために事業計画をしっかりと立て、自己資金を貯めて、信頼できる事業者であると判断されるように準備していきましょう。