赤字決算の場合は資金調達できるのか?

運転資金や設備資金など、事業資金を工面したい人の中には、赤字決算の状況にある人もいますよね。その際、赤字決算の状況から資金調達に踏み切れず、赤字決算の場合は資金調達できるのかどうかを知りたい人もいるでしょう。

当記事では、赤字決算の場合は資金調達できるのかどうかを解説します。黒字化に向けた取り組みや候補となる資金調達方法も解説するため、赤字決算の場合は資金調達できるのかどうかを知りたい人は参考にしてみてください。

赤字決算の場合は資金調達できない可能性がある

その時の状況次第ですが、赤字決算の場合は資金調達できない可能性があります。事業の将来性を不安視されてしまえば、資金調達できないことも考えられるため、赤字決算の状況にある人はその前提を踏まえておきましょう。

赤字決算とは、損失が利益を上回る状況のことです。法人の場合は一会計期間(事業年度)における最終的な利益がマイナスとなる状況を指しますが、個人事業主の場合は1月1日から12月31日の一年間における最終的な利益がマイナスとなる状況を指します。

そして、最終的な利益がマイナスの場合、事業の将来性を不安視されてしまうおそれがあります。「貸し倒れのリスク」や「流動性のリスク」など、それ相応のリスクが伴うため、事業の将来性を不安視されてしまえば、資金調達できないことも考えられます。

なお、赤字の期間が長ければ長いほど、資金調達が難しくなる傾向があります。「2期連続の赤字」や「3期連続の赤字」など、赤字の期間が長ければ長いほど、資金調達が難しくなる傾向があるため、赤字決算の状況にある人は留意しておきましょう。

決算書の提出を求められる場合がある

資金調達するときは決算書の提出を求められる場合があります。決算書を提出することにより、赤字決算の事実を開示することになるため、赤字決算の状況にある人はその前提を踏まえつつ、まずは提出を求められる可能性がある決算書を確認してみましょう。

【決算書の概要】

項目 具体例
法人の場合 ・貸借対照表
・損益計算書
・キャッシュフロー計算書
・株主資本等変動計算書
・個別注記表
個人事業主の場合 ・所得税青色申告決算書
・収支内訳書

法人の場合、財務三表の提出が必要となる可能性があります。財務三表は「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」の総称となるため、直近2年~3年分の財務三表を提出することにより、資金調達先に赤字決算の事実を開示することになります。

個人事業主の場合、確定申告書一式の提出が必要となる可能性があります。「青色申告決算書」や「収支内訳書」など、直近2年~3年分の確定申告書一式を提出することにより、資金調達先に赤字決算の事実を開示することになります。

なお、多くの場合は決算書の提出を求められることになります。決算書の提出を求められない資金調達方法もありますが、多くの資金調達方法は決算書の提出を求められることになるため、資金調達するときは決算書の提出を求められるものとして留意しておきましょう。

赤字決算の場合は黒字化に向けた取り組みがポイントになる

赤字決算の場合、黒字化に向けた取り組みがポイントになります。黒字化に向けた取り組みを進めることにより、資金調達先から評価される可能性があるため、赤字決算の場合は黒字化に向けた取り組みを進めることを検討してみましょう。

【黒字化に向けた取り組みの具体例】

  • 赤字化の原因を分析する
  • 黒字化の計画を推進する

黒字化に向けた取り組みとして挙げられるのは「赤字化の原因を分析すること」と「黒字化の計画を推進すること」です。資金調達先から評価される可能性があるため、赤字決算の場合は黒字化に向けた取り組みの具体例を確認してみましょう。

赤字化の原因を分析する

黒字化に向けた取り組みとして挙げられるのは「赤字化の原因を分析すること」です。赤字化の原因を分析することにより、資金調達先に現状の経営課題を伝えられる可能性があるため、赤字決算の状況にある人は赤字化の原因を分析してみましょう。

【赤字化における原因の具体例】

項目 具体例
売上の減少 ・競合業者の増加により販売数が減少した
・販売額の値下げにより客単価が減少した
原価の増加 ・資材の高騰により材料費が増加した
・残業の発生により労務費が増加した
経費の増加 ・新規事業により宣伝広告費が増加した
・離職率の上昇により人件費が増加した

赤字化の原因を分析するときの項目として挙げられるのは「売上の減少」です。「競合業者の増加」「販売額の値下げ」「市場の縮小」など、売上が減少している原因を把握することにより、赤字化の原因を分析できる可能性があります。

また、赤字化の原因を分析するときの項目として挙げられるのは「原価の増加」です。「資材の高騰」「残業の発生」「物流費の上昇」など、原価が増加している原因を把握することにより、赤字化の原因を分析できる可能性があります。

なお、赤字化の原因を分析する場合、損益分岐点分析(CVP分析)を活用する方法があります。「固定費」と「変動費」をもとにした算出方法となるため、赤字化の原因を分析するときは損益分岐点分析(CVP分析)を活用してみましょう。

黒字化の計画を推進する

黒字化に向けた取り組みとして挙げられるのは「黒字化の計画を推進すること」です。黒字化の計画を推進することにより、資金調達先に事業の将来性を伝えられる可能性があるため、赤字決算の状況にある人は黒字化の計画を推進しましょう。

【黒字化における計画の具体例】

項目 具体例
売上の向上 ・サービスの改善により客単価を増加させる
・ニーズの分析により購買頻度を増加させる
・市場の拡大により新規顧客数を増加させる
支出の削減 ・業務の効率化により人件費を減少させる
・仕入先の見直しにより材料費を減少させる
・テレワークの実施により賃料を減少させる

黒字化の計画を推進するときの項目として挙げられるのは「売上の向上」です。「サービスの改善」「市場ニーズの分析」「市場の拡大」など、売上を向上させる方法を検討することにより、黒字化の計画を推進できる可能性があります。

また、黒字化の計画を推進するときの項目として挙げられるのは「支出の削減」です。「業務の効率化」「仕入先の見直し」「テレワークの実施」など、支出を削減する方法を検討することにより、黒字化の計画を推進できる可能性があります。

なお、黒字化の計画を推進する場合、短期目標を設定する方法があります。「四半期決算」や「中間決算」など、短期目標を設定することにより、計画の進捗状況を把握することができるため、黒字化の計画を推進したい人は長期目標に加え、短期目標を立てることを検討してみましょう。

ポイントを押さえた人は資金調達方法を確認する

赤字決算の場合は黒字決算の場合よりも資金調達が難しい傾向があります。赤字決算の状況にある場合はその前提を踏まえつつ、資金調達方法を選択することになるため、ポイントを押さえた人は資金調達方法を確認してみましょう。

【資金調達方法の具体例】

資金調達方法 概要
銀行融資 銀行から融資を受ける方法。赤字決算の場合は所定の審査に通りにくい傾向がある半面、事業計画の内容や担保の提供により、融資を受けられる可能性がある。
株式発行 株式発行により、投資家から出資を受ける方法。赤字決算の場合は投資判断に影響を及ぼすおそれがある半面、将来性や成長性をもとに出資を受けられる可能性がある。
クラウドファンディング プラットフォーム上にプロジェクトを公開することにより、不特定多数の人から支援金を集める方法。プロジェクトの賛同を得られた場合は資金を集められる可能性がある。
リースバック 資産売却後にリースすることにより、売却資金を得る方法。赤字決算の場合は審査に影響を及ぼすおそれがある半面、資産価値があれば、売却資金を得られる可能性がある。
ファクタリング 売掛債権を売却することにより、早期に現金化する方法。赤字決算の場合は審査に影響を及ぼす可能性がある半面、売掛先の信用力が評価されれば、現金化できる可能性がある。

資金調達方法として挙げられるのは「銀行融資」です。銀行融資は返済能力や信用力が求められるため、赤字決算の場合は所定の審査に通りにくい傾向がありますが、事業計画の内容や担保の提供により、融資を受けられる可能性があります。

また、資金調達方法として挙げられるのは「クラウドファンディング」です。クラウドファンディングは不特定多数の支援者から支援金を集めることになるため、プロジェクトの賛同を得られた場合は不特定多数の支援者から資金を集められる可能性があります。

ただし、いずれの資金調達方法もメリットとデメリットがあります。赤字決算が資金調達の可否に影響を及ぼすことも考えられるため、赤字決算の状況にある人はそれぞれのメリットとデメリットを比較しつつ、資金調達方法を検討してみましょう。

経営支援を目的とした公的制度も選択肢となる

赤字決算の事業者が資金調達したい場合、経営支援を目的とした公的制度も選択肢となります。業績が悪化している事業者を対象とする公的制度があるため、赤字決算の状況にある人は経営支援を目的とした公的制度の概要を確認してみましょう。

【経営支援を目的とした公的制度の具体例】

公的機関 具体例
日本政策金融公庫 ・経営環境変化対応資金
・挑戦支援資本強化特別貸付
地方自治体 ・経営あんしん資金(埼玉県)
・経営安定資金(秋田県)

選択肢として挙げられるのは日本政策金融公庫の「経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)」です。「赤字幅」や「回復見込み」など、所定の要件を満たす必要がありますが、経営環境変化対応資金ならば、赤字決算の状況にある人も利用できる可能性があります。

また、選択肢として挙げられるのは埼玉県の「経営あんしん資金」です。「埼玉県内の事業者」や「売上の減少」など、所定の要件を満たす必要がありますが、経営あんしん資金ならば、赤字決算の状況にある人も利用できる可能性があります。

なお、公的制度の中には、補助金や助成金などの選択肢もあります。赤字決算が採択に影響するかどうかは各制度の規定次第となるため、補助金や助成金などの公的制度を考えてみたい人は実施機関の公式サイトを確認することを検討してみましょう。

黒字化したい場合は資金調達以外の改善策を検討する余地がある

黒字化したい場合は資金調達以外の改善策を検討する余地があります。資金調達以外の改善策を検討することにより、根本的な経営改善につながる可能性があるため、黒字化したい人は資金調達以外の改善策を考えることも検討してみましょう。

たとえば、不採算事業があるならば、不採算事業から撤退することも方法のひとつです。赤字回避の可能性がある点に加え、人材や資金などの経営資源を採算性の高い事業に集中できるため、不採算事業がある場合は不採算事業から撤退することを検討する余地があります。

また、コスト高の状況にあるならば、外部委託することも方法のひとつです。採用費や人材育成費などの経費を削減できる点に加え、専門知識を有する外部業者に業務委託できる可能性があるため、コスト高の状況にある場合は外部委託することを検討する余地があります。

なお、黒字化計画の立案に不安がある場合、経営の専門家に相談する方法もあります。「中小企業診断士」や「税理士」など、経営の専門家から助言を受けられる可能性があるため、黒字化計画の立案に不安がある人は経営の専門家に相談することを検討してみましょう。

まとめ

その時の状況次第ですが、赤字決算の場合は資金調達できない可能性があります。事業の将来性を不安視されてしまえば、資金調達できないことも考えられるため、赤字決算の状況にある人はその前提を踏まえておきましょう。

また、赤字決算の場合、黒字化に向けた取り組みがポイントになります。黒字化に向けた取り組みを進めることにより、資金調達先から評価される可能性があるため、赤字決算の場合は黒字化に向けた取り組みを進めることを検討してみましょう。

なお、赤字決算の事業者が資金調達したい場合、経営支援を目的とした公的制度も選択肢となります。業績が悪化している事業者を対象とする公的制度があるため、赤字決算の状況にある人は経営支援を目的とした公的制度の概要を確認してみましょう。

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