【美容業版】融資を受けるときのポイントを解説

美容室やネイルサロンなど、美容業を創業予定の人の中には、金融機関から融資を受けることを検討している人もいますよね。その際、融資を受けられるかどうか不安があることにより、融資を受けるときのポイントを知りたい人もいるでしょう。

当記事では、美容業における融資を受けるときのポイントを解説します。融資の申し込みに向けて、事業計画を策定するときの項目も解説するため、美容業の創業を目指している人は参考にしてみてください。

ポイントは現実的な施術数を想定すること

美容業を創業する場合、融資を受けるときのポイントは現実的な施術数を想定することです。現実的な施術数を想定することにより、実現性のある売上額を算出できる可能性があるため、美容業を創業予定の人は融資を受けるときのポイントとして押さえておきましょう。

【現実的な施術数を想定する方法の具体例】

  • 店舗の規模から検討する
  • 固定客の数から検討する

施術数を想定するときの方法として挙げられるのは「店舗の規模から検討する方法」と「固定客の数から検討する方法」です。実現性のある売上額を算出できる可能性があるため、美容業を創業予定の人は各項目を確認してみましょう。

店舗の規模から検討する

現実的な施術数を想定したい場合、方法のひとつは「店舗の規模から検討する方法」です。店舗の規模から検討することにより、現実的な施術数を試算できる可能性があるため、美容業を創業予定の人は店舗の規模から検討してみましょう。

【店舗の規模から検討する方法の具体例】

セット面の台数 1台あたりの回転数 1日あたりの施術数 1か月あたり(25日営業)の施術数
2台の場合 3回転 6人 150人
5回転 10人 250人
3台の場合 3回転 9人 225人
5回転 15人 375人

1か月あたりの施術数を左右する要素のひとつは「セット面の台数」です。1台あたりの回転数が3回と仮定した場合、セット面が2台の美容室の施術数は150人ですが、セット面が3台の美容室の施術数は225人になるため、施術数はセット面の台数によって異なります。

また、1か月あたりの施術数を左右する要素のひとつは「1台あたりの回転数」です。セット面が3台と仮定した場合、1台あたりの回転数が3回のときは225人ですが、1台あたりの回転数が5回のときは375人になるため、施術数は1日あたりの回転数によって異なります。

なお、店舗の規模を大きくする場合、それ相応の設備資金が必要となります。「セット面」「シャンプー台」「美容機器」など、設備の導入に必要となる資金は店舗の規模によって変わるため、店舗の規模から施術数を想定するときはその前提を踏まえておきましょう。

固定客の数から検討する

現実的な施術数を想定したい場合、方法のひとつは「固定客の数から検討する方法」です。固定客の数から検討することにより、現実的な施術数を試算できる可能性があるため、美容業を創業予定の人は固定客の数から検討してみましょう。

【固定客の数から検討する方法の具体例】

美容師の数 固定客の来店頻度 固定客の数
1人 月に1度 40人
2か月に1度 80人
合計(1か月あたりの施術数) 40人+80人×1/2=80人
2人 月に1度 40人×2人分=80人
2か月に1度 80人×2人分=160人
合計(1か月あたりの施術数) 80人+160人×1/2=160人

たとえば、1か月あたりの施術数を左右する要素のひとつは「美容師の数」です。固定客の数は美容師個人の状況次第ですが、「美容師が1人の美容室」や「美容師が2人の美容室」など、美容師の数が増えるほど、1か月あたりの施術数が増えることが考えられます。

また、1か月あたりの施術数を左右する要素のひとつは「固定客の来店頻度」です。来店頻度は変わる可能性がありますが、「月に1度の固定客」や「2か月に1度の固定客」など、固定客の来店頻度が高いほど、1か月あたりの施術数が増えることが考えられます。

なお、美容師の数を増やす場合、それ相応の人件費が必要となります。美容業は人手によるサービスを提供する業種となる関係上、人件費が経費の多くを占める特性があるため、固定客の数から施術数を検討するときはその前提を踏まえておきましょう。

施術数を想定した後は事業計画を策定する

施術数を想定した後は美容業を創業するための事業計画を策定することになります。融資を申し込む場合、審査における必要書類のひとつとして、金融機関から事業計画書の提出を求められるため、施術数を想定した人は事業計画を策定してみましょう。

【事業計画における項目の具体例】

項目 概要
事業経験 創業者の職務経歴や実績を示す項目。創業する事業に関する経験を整理する。
経営方針 創業後の事業内容や経営方針を示す項目。サービスや集客戦略を整理する。
収支計画 創業後の売上や利益の見込みを示す項目。数値の根拠を明確にする。

事業計画の項目として挙げられるのは「事業経験」「経営方針」「収支計画」です。融資を申し込む場合、審査における必要書類のひとつとして、金融機関から事業計画書の提出を求められるため、施術数を想定した人はそれぞれの項目を確認してみましょう。

事業経験

事業計画の項目として挙げられるのは「事業経験」です。事業経験は創業者の職務経歴や実績を示す項目となる関係上、美容業を創業する場合は美容業に関連する知識や技術を示すことになるため、事業計画を策定する人は事業経験を整理してみましょう。

【美容業における事業経験の具体例】

年月 具体例
平成25年3月 〇〇美容専門学校卒業
平成25年4月 美容室〇〇に入社
アシスタントとして受付やシャンプー、カラーを担当。3年後にスタイリストに昇格。カウンセリングやカットも担当。
カット技術を競う〇〇コンテストにて受賞。
平成30年8月 △△ヘアサロンに入社
トップスタイリストとして、カウンセリングやカットを担当。5年後に店長に昇格。人材育成や顧客管理などの店舗運営を担当。店長就任後2年目に店舗の売上を前年比15%増加させた。
令和8年10月 退職予定

事業経験を整理するときのポイントは「時系列に沿うこと」です。「専門学校の卒業」「美容室への就職」「美容コンテストでの受賞」など、時系列に沿って整理することにより、美容業に関する経歴の抜け漏れを防げる可能性があります。

事業経験を整理するときのポイントは「具体的な実績を示すこと」です。「スタイリストに昇格」「店長として店舗運営」「売上を15%増加」など、具体的な実績を示すことにより、創業後の経営に活かせる能力を伝えられる可能性があります。

なお、美容業の経験が浅い場合、経験を補う計画を示す必要があります。「経験豊富な美容師を採用する計画」や「フランチャイズに加盟する計画」など、経験を補う計画を示す必要があるため、美容業の経験が浅い人は留意しておきましょう。

経営方針

事業計画の項目として挙げられるのは「経営方針」です。経営方針は創業後の事業内容や経営方針を示す項目となる関係上、美容業を創業する場合は提供するサービスや顧客獲得の戦略を示すことになるため、事業計画を策定する人は経営方針を検討してみましょう。

【美容業における経営方針の具体例】

項目 具体例
商品 ①カット(シャンプー、ブロー込み)4,000円
②カラー(シャンプー、ブロー込み)9,000円
③カラー(ブローなし)2,500円
④パーマ(シャンプー、ブロー込み)10,000円
客単価 5,000円
営業日数 25日/月
営業時間 8:30~18:00
特長 40代~60代の女性をターゲット層として、頭皮や髪に優しいヘアケア剤を使用した施術を提供する。頻繁に白髪染めをしたい人を想定し、カラーのみのメニューも設定。多忙な世代に向けて、施術のスピード感とリラックスした雰囲気を両立させる。
集客方法 「Instagram」や「Googleビジネスプロフィール」など、オンラインのツールを活用することにより、施術事例や施術メニューを発信する。創業当初は近隣住宅へのポスティングと駅前でのチラシ配布を実施することにより、新規顧客の認知度向上を図る。
市場分析 創業予定地の周辺はファミリー世帯が多い住宅街。40代~60代の女性の居住も多いため、白髪染めやヘアケアに対する継続的な需要が見込まれる。競合店は若年層や男性向けの美容室が多いため、ターゲット層を分けることにより、競合店と差別化を目指す。

経営方針を検討するときのポイントは「強みを明確にすること」です。「頭皮や髪に優しいヘアケア剤」「施術のスピード感」「ニーズに合わせた施術メニュー」など、その美容室ならではの強みを明確にすることにより、競合店と差別化できる可能性があります。

また、経営方針を検討するときのポイントは「具体的な戦略を示すこと」です。「ターゲット層の明確化」「施術事例の発信」「創業時のポスティング」など、経営における具体的な戦略を示すことにより、売上の実現性を伝えられる可能性があります。

なお、経営方針に盛り込む項目は他にも考えられます。「薬剤の仕入先」「美容師ごとの固定客数」「美容師の採用計画」など、事業内容に応じた項目を盛り込むことにより、経営方針の具体性が高まる可能性があるため、経営方針を検討する人は覚えておきましょう。

収支計画

事業計画の項目として挙げられるのは「収支計画」です。収支計画は創業後の売上や利益の見込みを示す項目となる関係上、それぞれの数値の根拠を明確にする必要があるため、事業計画を策定する人は収支計画を作成してみましょう。

【美容業における収支計画の具体例】

項目 創業時 軌道に乗った後 根拠
①売上高 55万円 80万円 <創業時>
①売上高
客単価5,000円×1日4人×25日=50万円
ヘアケア用品販売:5万円
②原価率10%(勤務時の経験を参考)
③人件費:時給2,000円×5時間×10日=10万円
家賃:8万円
支払利息:300万円×2%÷12=0.5万円
その他:水道光熱費、広告費、通信費など
<軌道に乗った後>
①売上高:1日4人→1日6人
②創業時の原価率を採用
③水道光熱費が1.5万円増加
②売上原価 5.5万円 8万円
経費 人件費 10万円 10万円
家賃 8万円 8万円
支払利息 0.5万円 0.5万円
その他 10万円 11.5万円
③合計 28.5万円 30万円
利益
①-②-③
21万円 42万円

収支計画を作成するときのポイントは「計算式を示すこと」です。「売上高=客単価×1日の客数×1か月の営業日数」や「人件費=時給×1日の勤務時間×1か月の勤務日数」など、計算式を示すことにより、各数値の説得力を高められる可能性があります。

また、収支計画を作成するときのポイントは「内訳を明確にすること」です。「人件費」「家賃」「支払利息」「水道光熱費」など、経費の内訳を明確にすることにより、各経費の説得力を高められる可能性があります。

なお、収支計画を作成する場合、複数のパターンを作成することを検討する余地があります。「客数が想定を下回った場合」や「休業日が増えた場合」など、複数のパターンを作成することにより、リスクに備えられるため、収支計画を作成する人は覚えておきましょう。

事業計画を策定した人は全業種に共通するポイントも押さえておく

融資を受けたい場合、全業種に共通するポイントがあります。創業予定の業種にかかわらず、融資の審査時に金融機関から確認される可能性がある要素となるため、事業計画を策定した人は全業種に共通するポイントを確認してみましょう。

【全業種に共通するポイント】

ポイント 概要
自己資金 事業に使用する予定の資金。自己資金として認められる資金と認められない資金に留意が必要となる。
信用情報 信用取引における利用情報。ローンの利用履歴やクレジットカードの利用履歴など、創業者の信用情報が確認される。

全業種に共通するポイントとして挙げられるのは「自己資金」と「信用情報」です。融資の審査時に金融機関から確認される可能性がある要素となるため、事業計画を策定した人は全業種に共通するポイントを確認してみましょう。

自己資金

全業種に共通するポイントのひとつは「自己資金」です。自己資金は事業に使用する予定の資金となる関係上、審査時に金融機関から確認される可能性があるため、美容業を創業予定の人は自己資金の概要を確認してみましょう。

【自己資金の概要】

項目 概要
自己資金として認められる傾向がある資金 ・預貯金
・退職金
・みなし自己資金
・資産の売却代金
自己資金として認められない傾向がある資金 ・タンス預金
・返済義務のあるお金

自己資金として認められる傾向がある資金として挙げられるのは「預貯金」です。「美容室勤務時の給与」や「副業の収入」など、創業者の口座にコツコツと貯めた資金は金融機関から自己資金として認められる傾向があります。

一方、自己資金として認められない傾向がある資金として挙げられるのは「タンス預金」です。「自宅に保管していたお金」や「入出金履歴を確認できない資金」など、資金の出所が不明瞭な資金は金融機関から自己資金として認められない傾向があります。

なお、融資を申し込む場合、創業者の通帳コピーを提出することになります。金融機関に通帳コピーを提出することにより、その記帳内容から自己資金の額が確認されることになるため、美容業を創業予定の人は覚えておきましょう。

信用情報

全業種に共通するポイントのひとつは「信用情報」です。信用情報は信用取引における利用情報となる関係上、審査時に金融機関から確認される可能性があるため、美容業を創業予定の人は信用情報の概要を確認してみましょう。

【信用情報の概要】

項目 概要
信用情報として登録される情報 ・本人情報
・住宅ローンの利用状況
・カードローンの利用状況
・クレジットカードの利用状況など
信用情報として登録されない情報 ・納税の状況
・保有する資産
・預貯金の残高など

信用情報として登録される情報のひとつは「クレジットカードの利用状況」です。「利用額」「支払日」「支払遅延」など、クレジットカードの利用状況は信用情報として登録されるため、金融機関から確認される可能性があります。

また、信用情報として登録される情報のひとつは「住宅ローンの利用状況」です。「契約日」「借入残高」「返済遅延」など、住宅ローンの利用状況は信用情報として登録されるため、金融機関から確認される可能性があります。

なお、信用情報に異動情報が登録されている場合、審査を通過できないおそれがあります。「長期延滞」や「債務整理」など、異動情報が登録されている場合は審査を通過できず、融資を受けられないおそれがあるため、心当たりがある人は念頭に置いておきましょう。

ポイントを押さえた人は美容業に利用できる融資制度を確認する

美容業を創業する場合、創業者向けの融資制度を検討する余地があります。創業者向けの融資制度は複数の選択肢がある関係上、希望条件に合った融資制度を選択することになるため、ポイントを押さえた人は美容業の創業に利用できる融資制度を確認してみましょう。

【美容業の創業に利用できる融資制度の具体例】

融資制度 概要
日本政策金融公庫
「新規開業・スタートアップ支援資金」
<対象者>
・新たに事業を始める人
・事業開始後おおむね7年以内の人
<返済期間>
設備資金:20年以内(うち据置期間5年以内)
運転資金:10年以内(うち据置期間5年以内)
<融資限度額>
7,200万円
東京都中小企業制度融資
「創業」
<対象者>
・1か月以内に東京都内で創業しようとする個人
・創業した日から通算5年未満の個人など
<返済期間>
設備資金:10年以内(うち据置期間1年以内)
運転資金:7年以内(うち据置期間1年以内)
<融資限度額>
3,500万円
大阪府制度融資
「開業・スタートアップ応援資金」
<対象者>
・開業前の人
・開業後5年未満の人など
※ 事業開始前または事業開始後2か月未満の場合は創業資金総額の1/10以上の自己資金が必要
<返済期間>
10年以内
<融資限度額>
3,500万円

美容業の創業に利用できる融資制度として挙げられるのは日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。「新たに事業を始める人」や「事業開始後おおむね7年以内の人」が対象となるため、美容業を創業する人は利用できる可能性があります。

また、美容業の創業に利用できる融資制度として挙げられるのは大阪府の制度融資「開業・スタートアップ応援資金」です。「開業前の人」や「開業後5年未満の人」が対象となるため、大阪府内において美容業を創業する人は利用できる可能性があります。

なお、美容業は法律が定める生活衛生関係営業に該当します。「美容業」「飲食業」「クリーニング業」など、生活衛生関係営業向けの融資制度も選択肢となるため、美容業の創業に利用できる融資制度を選択するときは予備知識として覚えておきましょう。

まとめ

美容業を創業する場合、融資を受けるときのポイントは現実的な施術数を想定することです。現実的な施術数を想定することにより、実現性のある売上額を算出できる可能性があるため、美容業を創業予定の人は融資を受けるときのポイントとして押さえておきましょう。

施術数を想定した後は美容業を創業するための事業計画を策定することになります。融資を申し込む場合、審査における必要書類のひとつとして、金融機関から事業計画書の提出を求められるため、施術数を想定した人は事業計画を策定してみましょう。

美容業を創業する場合、創業者向けの融資制度を検討する余地があります。創業者向けの融資制度は複数の選択肢がある関係上、希望条件に合った融資制度を選択することになるため、ポイントを押さえた人は美容業の創業に利用できる融資制度を確認してみましょう。

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