【キッチンカー版】融資を受けるときのポイントを解説

お弁当の移動販売やスイーツの移動販売など、キッチンカーを創業予定の人の中には、融資を受けることを検討している人もいますよね。その際、融資を受けられるかどうかが不安なことにより、キッチンカーで融資を受けるときのポイントを知りたい人もいるでしょう。

当記事では、キッチンカーの創業時に融資を受けるときのポイントを解説します。キッチンカーで融資を受けるときのポイントに加え、全業種に共通するポイントも解説するため、キッチンカーの創業時に融資を受けたい人は参考にしてみてください。

ポイントはキッチンカーの特性を踏まえて資金計画を立てること

キッチンカーで融資を受ける場合、ポイントはキッチンカーの特性を踏まえて資金計画を立てることです。資金計画を立てることにより、事業の実現性を伝えられる可能性があるため、キッチンカーで融資を受けたい人はポイントとして押さえておきましょう。

【資金計画を立てるときの工程】

  • 設備資金の根拠を示す
  • 売上の変動を想定する

資金計画を立てるときの工程として挙げられるのは「設備資金の根拠を示すこと」と「売上の変動を想定すること」です。キッチンカーを創業するときの留意点にも重なるため、キッチンカーの創業時に融資を受けたい人は各項目を確認してみましょう。

設備資金の根拠を示す

キッチンカーの資金計画を立てる場合、工程として挙げられるのは「設備資金の根拠を示すこと」です。店舗ではなく、車両が必要となる点がキッチンカーの特性のひとつとなるため、キッチンカーで融資を受けたい人は設備資金の内訳を確認してみましょう。

【キッチンカーにおける設備資金の具体例】

内訳 具体例 金額の目安
車両 トラックタイプ、バンタイプ 150万~500万円程度
車両塗装 塗装、ラッピングなど 10万~100万円程度
厨房設備 コンロ、フライヤーなど 20万~150万円程度
電気設備 発電機、ポータブル電源など 5万~30万円程度
冷蔵設備 冷蔵庫、冷凍庫など 2万~50万円程度
換気設備 有圧換気扇、浅型レンジフードなど 1万~30万円程度
照明設備 シーリングライト、スポットライトなど 1万~20万円程度
手洗い設備 手洗い用シンク、手洗い用水栓など 1万~20万円程度
給排水タンク 40Lタンク、80Lタンクなど 1万~50万円程度

キッチンカーを創業する場合、車両を用意することになります。「新車を購入する方法」「中古車を改造してもらう方法」「中古車をDIYする方法」など、いくつかの方法があるため、事業方針と照らし合わせつつ、必要となる設備資金を試算してみてください。

また、設備資金を想定するときは営業許可の設備基準に注意する必要があります。「換気設備」「手洗い設備」「給排水タンク」など、自治体ごとに営業許可の設備基準が異なるため、基準を満たせる設備導入を前提として、設備資金を見積もることになります。

なお、キッチンカーの設備資金を検討する場合、過剰な設備投資を避けることが方法のひとつです。開業資金の負担を軽減することにより、安定した事業運営につながる可能性があるため、キッチンカーの創業時に融資を受けたい人は念頭に置いておきましょう。

売上の変動を想定する

キッチンカーの資金計画を立てる場合、工程として挙げられるのは「売上の変動を想定すること」です。事業の性質上、売上に変動が想定される点がキッチンカーの特性のひとつとなるため、キッチンカーで融資を受けたい人は売上を想定してみましょう。

【売上を想定するときのイメージ】

出店場所 天候 販売数 単価 1日の売上のイメージ
屋外イベント 好天の場合 100食 800円 100食×800円=8万円
悪天候の場合 30食 800円 30食×800円=2.4万円
オフィス街 好天の場合 70食 800円 70食×800円=5.6万円
悪天候の場合 30食 800円 30食×800円=2.4万円
商業施設前 好天の場合 40食 800円 40食×800円=3.2万円
悪天候の場合 10食 800円 10食×800円=0.8万円

キッチンカーの売上を左右する要素のひとつは出店場所です。「屋外イベント」や「商業施設前」など、キッチンカーの出店場所により、客数や客層が異なるため、提供メニューと出店場所の条件と照らし合わせつつ、キッチンカーの売上を想定することになります。

また、天候によってもキッチンカーの売上が左右されます。好天の場合はそれ相応の来店者数を見込めますが、悪天候の場合は来店者数の減少や出店の中止、出店時間の短縮といった影響が予測されるため、キッチンカーの売上が落ち込むことが考えられます。

キッチンカーの資金計画を立てる場合、売上の変動リスクを踏まえて運転資金を検討することになります。「悪天候の日が多い場合」や「出店場所が見つからない場合」など、売上の変動リスクを考慮しつつ、数か月分の運転資金を工面しておくことを検討してみましょう。

資金計画を立てた後は事業計画書に落とし込む

キッチンカーの資金計画を立てた後は事業計画書に落とし込むことになります。融資を申し込む場合、審査の必要書類として、金融機関から事業計画書の提出を求められることがあるため、キッチンカーで融資を受けたい人は事業計画書を作成してみましょう。

【事業計画書における項目の具体例】

項目 概要
事業経験 創業者の職務経歴や実績を示す項目。創業する事業に関する経験を整理する。
経営方針 創業後の方向性を示す項目。取扱商品や集客方法を整理する。
収支計画 創業後の売上や利益の見込みを示す項目。数値の根拠を明確にする。

事業計画書の項目として挙げられるのは「事業経験」「経営方針」「収支計画」です。事業計画書の項目を確認することにより、段階的に事業計画書を作成できるため、キッチンカーの創業時に融資を受けたい人はそれぞれの項目の概要を確認してみましょう。

【キッチンカーにおける事業経験の具体例】

年月 具体例
平成23年3月 〇〇調理師専門学校卒業
在学中に調理師免許を取得。イタリア料理店で接客のアルバイトに2年間従事した。
平成23年4月 株式会社〇〇(飲食店運営会社)入社
在学中にアルバイトをしていたイタリア料理店の運営会社に入社。イタリア料理店の調理担当として、新商品開発や季節限定メニューの立案、食材の発注など、調理全般の業務に従事した。入社4年目に本社企画部に異動し、新規出店を担当。イタリアンバル2店舗とテイクアウト専門ベーカリー1店舗の新規出店に携わった。
令和3年4月 株式会社△△(飲食店運営会社)入社
キッチンカーやテントなど、移動販売を担当する部署に配属。プロジェクトリーダーとして、出店場所の調整やメニューの開発、売上管理を担当。インバウンド向けの施策を進め、担当店舗の売上高を前年度比35%増加させた。また、社員10人に加え、複数のアルバイトの指導や育成も担当した。
令和8年11月 退職後、キッチンカーを創業予定

事業経験を記入するときのポイントは、時系列に沿って整理することです。「調理師免許を取得」「イタリア料理店の運営会社に入社」「移動販売を担当」など、時系列に沿って整理することにより、キッチンカーに関する経歴の抜け漏れを防げる可能性があります。

また、事業経験を記入するときは、具体的な実績を盛り込むこともポイントです。「3店舗の新規出店に携わった点」「売上高を前年度比35%増加させた点」など、具体的な実績を盛り込むことにより、キッチンカーに関する経験や能力を金融機関に伝えやすくなります。

なお、キッチンカーを創業する場合、営業許可や必要資格の確認が必要です。「営業許可の取得」や「食品衛生責任者の設置」など、対応が必要となるため、キッチンカーの創業時に融資を受けたい人は営業する地域の保健所で手続きを確認しておきましょう。

経営方針

事業計画書の項目として挙げられるのは「経営方針」です。経営方針は創業後の事業内容や経営の方向性を示す項目となる関係上、キッチンカーを創業する場合は提供する商品や集客方法を示すことになるため、事業経験を記入した後は経営方針を記入してみましょう。

【キッチンカーにおける経営方針の具体例】

項目 具体例
事業内容 軽トラックを利用し、サラダボウルとラップサンドの移動販売を行う。
取扱商品 ①サラダボウル(900円~1,200円)
②ラップサンド(750円~1,000円)
③ノンカフェインドリンク(500円~600円)
営業日数 25日
月~木:オフィス街
土日祝:イベント、商業施設など
営業時間 10:00~16:00
(出店場所により異なる)
特長 健康志向が高い人向けに新鮮な野菜をふんだんに使用したサラダボウルとラップサンドを提供する。鶏むね肉やサーモン、雑穀米などの食材をトッピングすることにより、PFCバランスに配慮している点がセールスポイント。トッピングを固定したセットメニューを用意することにより、提供の速さと顧客ニーズを両立する。仕込みはシェアキッチンを利用するため、車両の厨房設備への投資を軽減できる。
市場分析 出店場所によっては、キッチンカーやテイクアウト専門店といった複数の競合業者が存在する。類似したメニューを提供する競合業者との同時出店を避けるため、競合業者の販売商品、価格帯、集客方法を事前に調査することにより、適切な出店場所を選定する。また、ターゲット層を健康や栄養バランスを意識する30代~50代の男女に絞ることにより、競合業者との差別化を目指す。
集客方法 過去の勤務先の紹介により、ランチの時間帯にオフィス街での定期出店が確定している。土日祝は大型イベントを中心に出店予定。出店予定がない時期はキッチンカーとスペースオーナーのマッチングサービスを利用する。また、SNSを通じて出店予定や販売メニューを発信する。メニュー画像、出店場所、営業時間を定期的に発信することに加え、Instagram上でキャンペーンを実施して認知度を上げる。

経営方針を記入するときのポイントは強みを明確にすることです。「PFCバランスに配慮したメニュー」や「提供スピードの速さと顧客ニーズを両立」など、強みを明確にすることにより、競合するキッチンカーと差別化できる可能性があります。

また、強みを明確にすることに加え、具体的な戦略を示すこともポイントです。「勤務先の紹介による出店場所の確保」や「SNSを通じた出店予定の発信」など、経営における具体的な戦略を盛り込むことにより、売上の実現性を伝えることができます。

なお、キッチンカーの出店システムは運営母体により異なります。「出店料の負担」「買取出店の有無」「売上保証の仕組み」など、出店システムは運営母体次第となるため、出店システムを事前調査しつつ、経営方針に反映することも検討してみましょう。

収支計画

事業計画書の項目として挙げられるのは「収支計画」です。収支計画は創業後の売上や利益の見込みを示す項目となる関係上、それぞれの数値の根拠を明確にする必要があるため、経営方針を記入した人は収支計画を記入してみましょう。

【キッチンカーにおける収支計画の具体例】

項目 創業時 軌道に乗った後 根拠
①売上高 56万円 100万円 <創業時>
①売上高:平均販売数25食/日×客単価900円×25日=56万円
②売上原価:56万円×原価率30%=17万円
(飲食店勤務時の原価率を採用)
③人件費:土日のみアルバイトを1人雇用
時給1,300円×5時間×8日=5万円
支払利息:300万円×年4.0%÷12=1万円
その他:出店料、高速代、駐車場代、ガソリン代、保険料、シェアキッチン利用料、水道光熱費など計15万円
<軌道に乗った後>
①売上高:平均販売数40食/日×客単価1,000円×25日=100万円
②売上原価:100万円×原価率30%=30万円
③人件費:アルバイトを1人増員
時給1,300円×5時間×8日×2人=10万円
その他:出店場所の増加により、出店料、ガソリン代、駐車場代など計5万円増加
②売上原価 17万円 30万円
③経費 人件費 5万円 10万円
家賃 0万円 0万円
支払利息 1万円 1万円
その他 15万円 20万円
合計 21万円 31万円
利益 ①―②―③ 18万円 39万円

収支計画を記入するときのポイントは計算式を示すことです。「売上高=1日あたりの平均販売数×客単価×1か月あたりの営業日数」や「売上原価=売上高×原価率」など、計算式を示すことにより、各数値の説得力を高められる可能性があります。

また、計算式を示すことに加え、内訳を明確にすることもポイントです。「出店料」「高速代」「駐車場代」「ガソリン代」「シェアキッチン利用料」「決済手数料」など、経費の内訳をひとつひとつ明確に示すことにより、各経費の根拠を伝えることができます。

なお、キッチンカーの収支計画を記入する場合、売上が想定を下回った場合の利益も想定しておくことになります。売上に応じて、複数の収支計画を立てることにより、資金繰りの見通しを伝えられる可能性があるため、収支計画を立てるときは留意しておきましょう。

事業計画書を作成した人は全業種に共通するポイントも押さえておく

創業時に融資を受ける場合、全業種に共通するポイントがあります。創業予定の業種にかかわらず、融資の審査時に金融機関から確認される項目となるため、事業計画書を作成した人は全業種に共通するポイントを確認してみましょう。

【全業種に共通するポイント】

ポイント 概要
自己資金 事業に使用する予定の資金。創業者名義の口座における預貯金や勤務先における退職金など、創業者の自己資金が確認される。
信用情報 信用取引における利用情報。ローンの利用履歴やクレジットカードの利用履歴など、創業者の信用情報が確認される。

全業種に共通するポイントとして挙げられるのは「自己資金」と「信用情報」です。創業者の自己資金や信用情報に懸念がある場合、審査結果に影響を及ぼすおそれがあるため、事業計画を策定した人は全業種に共通するポイントとして各項目を確認してみましょう。

自己資金

全業種に共通するポイントのひとつは「自己資金」です。自己資金は事業に使用する予定の資金となる関係上、審査時に金融機関から確認される可能性があるため、キッチンカーの創業時に融資を受けたい人は自己資金の概要を確認してみましょう。

【自己資金の概要】

項目 概要
自己資金として認められる傾向がある資金
  • 預貯金
  • 退職金
  • みなし自己資金
  • 資産の売却代金
自己資金として認められない傾向がある資金
  • タンス預金
  • 返済義務のあるお金

自己資金として認められる傾向がある資金として挙げられるのは、預貯金です。「イタリア料理店勤務時の給与」や「副業による収入」など、創業者名義の口座にコツコツと貯めた資金は金融機関から自己資金として認められる傾向があります。

一方、自己資金として認められない傾向がある資金には、注意が必要です。「自宅に保管していたお金」や「入出金履歴を確認できない資金」など、出所が不明瞭な資金は金融機関から自己資金として認められないおそれがあります。

なお、自己資金は開業資金総額の2割から3割を目安とする考え方があります。日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」では、資金調達額に占める自己資金の割合が22.9%だったため、自己資金を準備するときは参考にしてみましょう。

信用情報

全業種に共通するポイントのひとつは「信用情報」です。信用情報は信用取引における利用情報となる関係上、審査時に金融機関から確認される可能性があるため、キッチンカーの創業時に融資を受けたい人は信用情報の概要を確認してみましょう。

【信用情報の概要】

項目 概要
信用情報として登録される情報
  • 本人情報
  • 住宅ローンの利用状況
  • カードローンの利用状況
  • クレジットカードの利用状況など
信用情報として登録されない情報
  • 納税の状況
  • 保有する資産
  • 預貯金の残高など

信用情報として登録される情報として挙げられるのは、クレジットカードの利用状況です。「利用額」「支払日」「支払遅延」など、クレジットカードの利用状況は信用情報として登録されるため、融資の審査において金融機関から確認される可能性があります。

また、住宅ローンを利用している場合、住宅ローンの返済状況も信用情報に記録されます。「契約日」「借入残高」「返済遅延」など、返済状況を金融機関から確認されることになるため、融資を受けたい人は返済状況に問題がないかどうかを確認してみてください。

信用情報は創業者の返済能力や信用力を判断する材料のひとつと考えられます。「長期延滞」や「代位弁済」など、信用情報に異動情報が登録されている場合は審査結果に影響を及ぼすおそれがあるため、信用情報に不安がある人は留意しておきましょう。

ポイントを押さえた人はキッチンカーに利用できる融資制度を確認する

キッチンカーの創業時に融資を受ける場合、創業者向けの融資制度を検討する余地があります。さまざまな機関が創業者向けの融資制度を用意しているため、ポイントを押さえた人はキッチンカーの創業に利用できる融資制度を確認してみましょう。

【キッチンカーの創業に利用できる融資制度の具体例】

融資制度 概要
日本政策金融公庫
「新規開業・スタートアップ支援資金」
<対象者>

・新たに事業を始める人

・事業開始後おおむね7年以内の人

<返済期間>

設備資金:20年以内(うち据置期間5年以内)

運転資金:10年以内(うち据置期間5年以内)

<融資限度額>

7,200万円

東京都中小企業制度融資
「創業」
<対象者>
・東京都内で創業しようとする具体的計画を有する個人
・創業した日から通算5年未満の個人など
<返済期間>
設備資金:10年以内(うち据置期間1年以内)
運転資金:7年以内(うち据置期間1年以内)
<融資限度額>
3,500万円
大阪府制度融資
「開業・スタートアップ応援資金」
<対象者>
・開業前の人
・開業後5年未満の人など
※事業開始前または事業開始後2か月未満の場合は創業資金総額の1/10以上の自己資金が必要
<返済期間>
10年以内
<融資限度額>
3,500万円

キッチンカーの創業に利用できる融資制度のひとつは日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。「新たに事業を始める人」や「事業開始後おおむね7年以内の人」が対象となるため、キッチンカーの創業者は検討する余地があります。

また、地方自治体の制度融資もキッチンカーの創業に利用することができます。東京都の「創業」や大阪府の「開業・スタートアップ応援資金」など、制度融資はその地域の創業者が対象となるため、融資を受けたい人は各地域の情報を確認してみてください。

なお、民間金融機関でも創業融資制度を展開している場合があります。「信用金庫」や「地方銀行」など、地域密着型の民間金融機関は地域の創業者支援に取り組んでいることがあるため、民間金融機関が気になる人は創業融資制度の有無を確認してみましょう。

まとめ

キッチンカーで融資を受ける場合、ポイントはキッチンカーの特性を踏まえて資金計画を立てることです。資金計画を立てることにより、事業の実現性を伝えられる可能性があるため、キッチンカーで融資を受けたい人はポイントとして押さえておきましょう。

また、キッチンカーの資金計画を立てた後は事業計画書に落とし込むことになります。融資を申し込む場合、審査の必要書類として、金融機関から事業計画書の提出を求められることがあるため、キッチンカーで融資を受けたい人は事業計画書を作成してみてください。

創業時に融資を受ける場合、全業種に共通するポイントがあります。創業予定の業種にかかわらず、融資の審査時に金融機関から確認される項目となるため、事業計画書を作成した人は全業種に共通するポイントを確認してみましょう。

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