資金調達におけるシードとは?ポイントを交えながら解説

スタートアップ企業やベンチャー企業など、起業後に資金調達を検討している人の中には、シードという言葉を聞いたことがある人もいますよね。その際、シードの言葉の意味を知らず、資金調達におけるシードとは何かを知りたい人もいるでしょう。

当記事では、資金調達におけるシードとは何かを解説します。資金調達におけるシードの概要に加えて、シードにおいて企業が資金調達するときのポイントも解説するため、資金調達におけるシードの情報が知りたい人は参考にしてみてください。

資金調達におけるシードとはアイデアを形にする段階のこと

資金調達におけるシードとは、アイデアを形にする段階のことです。資金調達におけるシードは事業を立ち上げ、想定しているアイデアを形にする重要な段階となるため、資金調達におけるシードの情報が知りたい人はシードの概要を確認してみましょう。

【シードの概要】

項目 概要
経営課題 アイデアを形にすることにより、プロトタイプを開発する。
資金使途 会社設立費、製品開発費などが挙げられる。
資金調達期間 数か月が目安となる。

シードにおける経営課題はアイデアを形にすることにより、プロトタイプ(試作品)を開発することです。想定しているアイデアがビジネスモデルとして確立できるかどうかを検証する時期となるため、シード期の企業は市場検証を繰り返しつつ、プロトタイプの完成を目指すことになります。

シードにおける資金使途は事業を立ち上げるための費用です。「法人登記のための会社設立費」「プロトタイプ制作のための製品開発費」「チーム構築のための人件費」「市場検証のための広告宣伝費」など、事業を立ち上げるための費用として、シード期の企業は各項目に資金を活用することになります。

なお、シードは事業を立ち上げるフェーズとなるため、収益が安定せず、赤字になりやすい傾向があります。「収益」や「自己資金」など、手元資金と必要経費を照らし合わせつつ、資金調達の要否を検討することになるため、シード期の企業は必要経費を確認するところから始めてみましょう。

シードはエンジェルに続く資金調達ラウンド

シードはエンジェルの次に位置する資金調達ラウンドです。シードは企業が成長段階に応じて資金調達を行うフェーズのことを示す「資金調達ラウンド」のひとつとなるため、資金調達におけるシードの情報が知りたい人は資金調達ラウンドの全体像を確認してみましょう。

【資金調達ラウンド】

成長ステージ シード アーリー ミドル レイター
資金調達ラウンド エンジェル
シード
シリーズA
シリーズB
シリーズC以降

資金調達ラウンドは投資家側の視点から「投資ラウンド」とも呼ばれ、企業が成長段階に応じて資金調達を行うフェーズのことです。資金調達ラウンドはアメリカのシリコンバレーが発祥とされ、企業と投資家が成長段階を共有する指標となるため、投資家にとっては資金調達ラウンドが投資を判断するときの目安となります。

シードは資金調達ラウンドにおいてエンジェルとシリーズAの間に位置します。エンジェルとシリーズAの間に位置する関係上、シード期の企業はエンジェル期におけるアイデアをもとにプロトタイプ開発や市場検証を繰り返し、プロダクトを本格的に市場に投入するシリーズAにつなげるフェーズとなります。

なお、資金調達ラウンドに関連する指標として、企業の成長過程を分類する「成長ステージ」があります。「シード」「ミドル」「アーリー」など、いくつかの成長ステージがありますが、資金調達ラウンドのシードは成長ステージにおいてもシードに該当するため、シードの情報が知りたい人は覚えておきましょう。

シードにおける資金調達のポイントは事業の将来性を伝えること

シードにおける資金調達のポイントは事業の将来性を伝えることです。事業を立ち上げるフェーズとなる関係上、事業の将来性から資金提供の可否を判断される傾向があるため、シードにおける資金調達を予定している人は資金調達のポイントを押さえておきましょう。

【事業の将来性を伝えるためのポイント】

  • 事業計画を明示する
  • 市場課題を理解する
  • 必要人材を確保する

事業の将来性を伝えるためのポイントとして挙げられるのは「事業計画を明示すること」「市場課題を理解すること」「必要人材を確保すること」です。ポイントを押さえておくことにより、資金調達に向けた準備を段階的に進められる可能性があるため、シードにおける資金調達を予定している人は各項目を確認してみましょう。

事業計画を明示する

シードにおいて事業の将来性を伝えるためのポイントのひとつは事業計画を明示することです。事業計画を明示することにより、事業内容や成長性を伝えられる可能性があるため、シードにおける資金調達を予定している人は事業計画を作成してみましょう。

【事業計画における項目の具体例】

項目 具体例
職務経歴 ・起業する事業に関する実績は?
・起業する事業に対する準備は?
事業内容 ・提供するプロダクトは?
・ビジネスモデルの課題は?
収支計画 ・売上高の見込み額は?
・必要経費の見込み額は?
資本政策 ・資金調達の方法は?
・資金調達の時期は?

事業計画における項目として挙げられるのは事業内容です。「提供するプロダクト」「販売先となるターゲット層」「ビジネスモデルの課題」「ビジネスモデルの成功例」など、シード以降の内容も含めた具体的な事業内容を整理することにより、シード期の企業は事業計画を明示できる可能性があります。

また、事業計画における項目として挙げられるのは収支計画です。「シードにおける売上高」「シードにおける必要経費」「シリーズAにおける収益率」「月ごとの資金繰り」など、シード以降の計画も含めた具体的な収支計画を立てることにより、シード期の企業は事業計画を明示できる可能性があります。

なお、事業計画は事業計画書に落とし込むことを検討する余地があります。事業計画書は第三者に事業計画を伝える書類となる関係上、資金調達や賃貸契約など、経営に関する手続き時に活用できる可能性があるため、シードにおける資金調達を予定している人は事業計画書を作成することを検討してみましょう。

市場課題を理解する

事業の将来性を伝えるためのポイントのひとつは市場課題を理解することです。市場課題を理解することにより、市場の課題解決策と事業の関連性を伝えられる可能性があるため、シードにおける資金調達を予定している人は市場課題を把握しておきましょう。

【市場課題を理解するときの項目】

項目 具体例
課題の把握 ・顧客の課題は?
・顧客のニーズは?
・活用されている代替手段は?
市場の分析 ・市場の成長性は?
・市場のトレンドは?
・参入障壁の有無は?
競合の調査 ・競合優位性は?
・競合業者の有無は?
・競合業者の弱点は?

市場課題を理解するときの項目として挙げられるのは「課題の把握」です。シードは市場検証を進める時期となるため、「顧客が潜在的に抱えている課題」や「顧客が必要としているサービス」など、顧客の課題を市場検証を通して把握することにより、シード期の企業は市場課題を理解できる可能性があります。

また、市場課題を理解するときの項目として挙げられるのは「市場の分析」です。シードは市場検証を進める時期となるため、「市場の変化におけるトレンド」や「市場の参入障壁」など、想定している市場を市場検証を通して分析することにより、シード期の企業は市場課題を理解できる可能性があります。

なお、事業の将来性を伝えるには、市場課題の解決策と事業の関連性を示す必要があります。市場課題の解決に寄与するビジネスモデルを提示することにより、事業の将来性を伝えられる可能性があるため、シードにおける資金調達を予定している人は市場課題の解決策と事業の関連性を明確にしておきましょう。

必要人材を確保する

事業の将来性を伝えるためのポイントのひとつは必要人材を確保することです。必要人材を確保することにより、事業の実現性を伝えられる可能性があるため、シードにおける資金調達を予定している人は必要となる人材採用の判断基準を整理してみましょう。

【判断基準の具体例】

  • 理念に共感できるかどうか
  • 業界の知識があるかどうか
  • 相応の経験があるかどうか

人材採用の判断基準として挙げられるのは、理念に共感できるかどうかです。シード期は社員数が少ない傾向がある関係上、経営課題の達成に向けて社員同士の連携が重要となるため、創業者や企業の理念に共感できるかどうかを判断基準にすることにより、シード期の企業は必要人材を確保できる可能性があります。

また、人材採用の判断基準として挙げられるのは、相応の経験を持っているかどうかです。シード期は社員数が少ない傾向がある関係上、経営課題の達成に向けて即戦力となる人材が必要となるため、相応の経験を持っているかどうかを判断基準にすることにより、シード期の企業は必要人材を確保できる可能性があります。

なお、資金調達を行う場合、社員のチーム構成が事業の将来性における判断材料のひとつとなる可能性があります。「各自の経歴」や「能力のバランス」など、社員のチーム構成が事業の将来性の判断材料となることが考えられるため、シードにおいて資金調達を予定している人は社員のチーム構成に留意しましょう。

ポイントを押さえた人はシードにおける資金調達方法を確認する

シードにおける資金調達には、いくつかの方法があります。資金調達する場合は企業のフェーズに応じて資金調達方法を選択することになるため、シードにおける資金調達を予定している人はシード期向けの資金調達方法を確認してみましょう。

【シードにおける資金調達方法の具体例】

資金調達方法 資金調達先 概要
出資 エンジェル投資家 起業後間もない企業に出資する個人投資家。株式の売却益や企業の成長支援など、目的はエンジェル投資家次第となる。エンジェル期やシード期の企業を中心に出資する。
VC
(ベンチャーキャピタル)
未上場の企業に出資する投資会社。企業の上場時や成長時に株式の売却益を得ることを目的として、成長段階にある企業に出資する。シード特化型VCもある。
融資 金融機関 具体例として銀行や信用金庫などの民間金融機関や日本政策金融公庫が挙げられる。審査を通過した人は融資を受けられるが、返済や利息の支払いが求められる。
補助金や助成金 公的機関 具体例として国の補助金や自治体の助成金が挙げられる。対象者や対象経費などの要件を満たし、採択された人は受給できる。補助金や助成金は原則として返済義務がない。
クラウドファンディング 不特定多数の個人 インターネット上にプロダクトの情報を公開し、事業計画やリターンに賛同した人から資金を集める仕組み。アプリやサイトから募集でき、顧客ニーズの検証にも活用できる。

シードはアイデアを形にする段階となるため、事業実績が乏しく、資金調達における信用力が低い傾向があります。資金調達方法によっては信用力がなければ資金提供を受けられないため、シードにおける資金調達を予定している人は資金提供における審査内容の観点から資金調達方法を検討する余地があります。

シードは資金調達の初期段階となるため、今後の資金調達ラウンドを視野に入れつつ、株式の希薄化に注意することになります。資金調達方法によっては経営者の株式保有比率が低下するため、シードにおける資金調達を予定している人は資金調達後の株式保有比率の観点から資金調達方法を検討する余地があります。

なお、複数の資金調達方法を組み合わせることも方法のひとつです。資金調達方法はひとつに限定する必要はなく、複数の資金調達方法を組み合わせることにより、資金調達が不可能となるリスクを分散できるため、シードにおける資金調達を予定している人は複数の資金調達方法を組み合わせることを検討してみましょう。

まとめ

シードとは、ビジネスモデルの確立に向けてアイデアを形にする段階のことです。シードはエンジェルに続く資金調達ラウンドとなる関係上、エンジェルにおけるアイデアをもとにプロトタイプを開発する時期となるため、資金調達におけるシードの情報が知りたい人はシードの概要を確認してみましょう。

シードにおける資金調達のポイントは事業の将来性を伝えることです。シードは事業を立ち上げるフェーズとなる関係上、事業実績が乏しく、事業の将来性から資金提供の可否を判断される傾向があるため、シードにおける資金調達を予定している人は資金調達するときのポイントを押さえておきましょう。

なお、シードにおける資金調達には、いくつかの方法があります。「出資」「融資」「補助金」など、いくつかの資金調達方法の中から企業のフェーズに応じて資金調達方法を選択することになるため、シードにおける資金調達を予定している人はシード期向けの資金調達方法を確認しておきましょう。

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