運転資金や設備資金など、事業資金を工面する目的として資金調達方法を探している人の中には、リースバックという言葉を聞いたことがある人もいますよね。その際、リースバックという言葉の意味が分からず、リースバックとは何かを知りたい人もいるでしょう。
当記事では、リースバックとは何かを解説します。リースバックの概要に加え、リースバックのメリットとデメリットも解説するため、リースバックという言葉の意味が分からず、リースバックとは何かを知りたい人は参考にしてみてください。
リースバックとは資産売却による資金調達方法のこと
リースバックとは、資産売却による資金調達方法のことです。リースバックは資産売却により資金調達するとともに、売却した資産を借りて使い続けられる仕組みとなるため、リースバックに関する情報が知りたい人はリースバックの概要を確認してみましょう。
リースバックは「セール・アンド・リースバック」を略した名称です。リースバックを利用する場合は資産の売却代金を受け取った後、その資産のリース契約を締結することになるため、資金調達後は定期的にリース料を支払いつつ、資産の使用を続けることができます。
また、リースバックは不動産以外の資産も対象となる場合があります。「設備」や「事業用車両」など、売却できる資産はリースバックの専門業者による判断次第となるため、リースバックを利用したいときは売却したい資産に応じて専門業者を選択することになります。
なお、リースバックを利用する場合、売却した資産を買い戻せる可能性があります。リースバックの専門業者次第ですが、売却した資産を買い戻せる契約を選択できる場合があるため、リースバックに関する情報が知りたい人はその前提を踏まえておきましょう。
不動産担保ローンとは仕組みが異なる
リースバックと不動産担保ローンは仕組みが異なります。いずれも資産を活用した資金調達方法ですが、不動産担保ローンとは仕組みが異なるため、リースバックに関する情報が知りたい人は不動産担保ローンとの違いを確認してみましょう。
【リースバックと不動産担保ローンの違い】
項目 | リースバック | 不動産担保ローン |
---|---|---|
資産の所有権 | 業者に移る | 利用者のまま |
資産の使用 | 使用可能 | 使用可能 |
資金調達の性質 | 売却 | 借入 |
返済義務の有無 | なし | あり |
コストの具体例 | リース料 | 利息 |
不動産担保ローンは所有している不動産を担保として提供することにより、金融機関から資金を借り入れる資金調達方法です。借入となるため、不動産の所有権を利用者が保持できますが、資金調達後は返済義務や利息負担を負うことになります。
一方、リースバックは所有している資産を売却することにより、リースバックの専門業者から売却代金の支払いを受ける資金調達方法です。資産売却となるため、返済義務や利息負担は発生しませんが、資金調達後は資産の所有権を失うことになります。
なお、リースバックと比較される仕組みには、「リバースモーゲージ」があります。リバースモーゲージは自宅を担保として借入した後、利用者の死亡時に一括返済する個人向けのローンとなるため、リースバックが気になる人は予備知識として覚えておきましょう。
リースバックのメリットとデメリットを確認する
リースバックを利用する場合、それ相応のメリットとデメリットがあります。リースバックを利用するかどうかの判断材料となる可能性があるため、リースバックに関する情報が知りたい人はメリットとデメリットを確認してみましょう。
【リースバックのメリットとデメリット】
項目 | 具体例 |
---|---|
メリット | ・数週間での資金調達が期待できる点 ・維持管理の負担が軽減される点 ・資金使途が限定されない点 |
デメリット | ・継続的にリース料を支払う必要がある点 ・自由に修繕や改修ができないおそれがある点 ・売却価格が市場価格よりも安いおそれがある点 |
リースバックのメリットとデメリットを確認することにより、リースバックを利用するかどうかの判断材料となる可能性があります。リースバックには、それ相応のメリットとデメリットがあるため、リースバックが気になる人は各項目を確認してみましょう。
リースバックのメリット
リースバックを利用する場合、いくつかのメリットがあります。メリットを確認することにより、リースバックを利用するかどうかの判断材料となる可能性があるため、リースバックに関する情報が知りたい人はリースバックのメリットを確認してみましょう。
【リースバックのメリット】
- 数週間での資金調達が期待できる点
- 維持管理の負担が軽減される点
- 資金使途が限定されない点
リースバックのメリットとして挙げられるのは「数週間での資金調達が期待できる点」です。「資産の査定」や「信用力の審査」など、手続きに必要となる期間は1週間~1か月が目安となるため、利用者は申込手続きから数週間以内に資金調達できる可能性があります。
また、リースバックのメリットとして挙げられるのは「維持管理の負担が軽減される点」です。「固定資産税の支払い」や「設備の点検」など、資産の維持管理は原則としてリースバックの専門業者が行うため、利用者は維持管理の負担を軽減できる可能性があります。
なお、リースバックは事業実績が乏しい場合でも利用できる可能性があります。資産価値や支払能力をもとに利用の可否が判断される傾向がある関係上、事業実績が乏しい事業者でも資金調達できる可能性があるため、リースバックが気になる人は覚えておきましょう。
リースバックのデメリット
リースバックを利用する場合、いくつかのデメリットがあります。デメリットを確認することにより、リースバックを利用するかどうかの判断材料となる可能性があるため、リースバックに関する情報が知りたい人はリースバックのデメリットを確認してみましょう。
【リースバックのデメリット】
- 継続的にリース料を支払う必要がある点
- 自由に修繕や改修ができないおそれがある点
- 売却価格が市場価格よりも安いおそれがある点
リースバックのデメリットとして挙げられるのは「継続的にリース料を支払う必要がある点」です。売却した資産の使用を続ける限り、継続的にリース料を支払う必要があるため、リース料の支払いが資金繰りを圧迫するおそれがあります。
また、リースバックのデメリットとして挙げられるのは「売却価格が市場価格よりも安いおそれがある点」です。買い手が運用リスクを負う関係上、売却価格の目安は市場価格の70%~90%とされているため、資産の売却価格が市場価格よりも安いおそれがあります。
なお、リースバックの専門業者を選定する場合は条件面に注意が必要です。「リース料の更新」や「修繕費の負担」など、利用者が不利となる条件を提示する専門業者が存在するおそれがあるため、リースバックが気になる人は相見積もりを取ることを検討してみましょう。
資産の状況によってはリースバックを利用できない
資産の状況次第では、リースバックを利用できないおそれがあります。計画通りにリースバックを利用できないときは事業に影響が及ぶことも考えられるため、リースバックに関する情報が知りたい人はリースバックを利用できない場合の具体例を確認してみましょう。
【リースバックを利用できない場合の具体例】
項目 | 概要 |
---|---|
オーバーローンの場合 | オーバーローンは売却価格よりもローン残高のほうが多い状況を意味する。ローンを完済できず、抵当権の抹消ができない場合は物件の売却が難しいため、原則としてリースバックを利用できない。 |
物件に瑕疵がある場合 | 瑕疵は傷や欠陥を意味する。「物理的な欠陥がある物件」や「建築基準法に適合していない物件」など、物件に瑕疵がある場合は資産価値の評価が難しいため、原則としてリースバックを利用できない。 |
名義人の同意がない場合 | 共有名義の資産は名義人全員の同意が必要となる。「親族」や「役員」など、一部の名義人の同意が得られない場合は資産の売却が難しいため、原則としてリースバックを利用できない。 |
たとえば、オーバーローンの場合はリースバックを利用できないおそれがあります。リースバックを利用するときは物件の抵当権を抹消する必要がありますが、オーバーローンの場合は売却代金によるローン完済ができず、抵当権を抹消できないことが考えられます。
また、物件に瑕疵がある場合はリースバックを利用できないおそれがあります。リースバックを利用するときは資産価値の評価が必要となりますが、物理的な欠陥や法令への不適合など、物件に瑕疵がある場合は資産価値が認められないことが考えられます。
なお、リースバックを利用する場合、所定の審査を通過する必要があります。「資産の流動性」「物件の立地」「利用者の支払能力」など、さまざまな観点から審査が行われることになるため、リースバックを利用したい人はその前提を踏まえておきましょう。
まとめ
リースバックとは、資産売却による資金調達方法のことです。リースバックは資産売却により資金調達するとともに、売却した資産を借りて使い続けられる仕組みとなるため、リースバックに関する情報が知りたい人はリースバックの概要を確認してみましょう。
また、リースバックを利用する場合、それ相応のメリットとデメリットがあります。リースバックを利用するかどうかの判断材料となる可能性があるため、リースバックに関する情報が知りたい人はメリットとデメリットを確認してみましょう。
なお、資産の状況次第では、リースバックを利用できないおそれがあります。計画通りにリースバックを利用できないときは事業に影響が及ぶことも考えられるため、リースバックに関する情報が知りたい人はリースバックを利用できない場合の具体例を確認してみましょう。