中東情勢の緊迫化に伴い、原油や石油製品の価格高騰が多くの事業者の資金繰りに影響を及ぼしています。とくに直近では、プラスチックなどの基礎原料となるナフサの供給不足や価格高騰が深刻化しており、事業継続に支障をきたすケースも発生しています。
予測困難な外的要因によって業績が悪化した場合、早急な資金手当てが今後の事業展開を左右します。
本記事では、急な資金難に直面した事業者が検討できる融資や資金調達制度について解説します。国や自治体、民間金融機関が提供する支援策から、体質改善に使える補助金までを網羅的にまとめました。自社の状況に合った対応を選択し、資金ショートを防ぐための情報としてご活用ください。
日本政策金融公庫のセーフティネット貸付
日本政策金融公庫の「セーフティネット貸付」は、社会的・経済的環境の変化に起因して、一時的な資金繰りの悪化に直面している事業者を対象とした融資制度です。中東情勢を背景とした原油高や物価高騰の影響を受けている事業者も対象となります。
この制度は、外的要因によって売上や利益が減少している中小企業・小規模事業者の経営基盤を支える目的で設けられています。一定の要件を満たすことで、通常の融資制度よりも柔軟な限度額や金利の枠組みで資金調達の相談が可能です。
【セーフティネット貸付の概要】
| 項目 | 概要 |
| 対象者 | 中東情勢等の影響で一時的に業績が悪化し、中長期的に回復が見込まれる方
(※最近の売上高や利益率が前年比等で減少していること) |
| 資金の使い道 | 経営基盤の強化に必要な設備資金および運転資金 |
| 融資限度額 | 中小企業事業:7億2,000万円
国民生活事業:4,800万円 |
| 利率 | 基準利率(※要件を満たせば特別利率の適用あり) |
たとえば、燃料費の高騰により利益率が低下している運送業や、原材料の仕入れコストが増加している製造業などの資金繰り対策として活用されることが考えられます。申請にあたっては、売上減少を客観的に証明する書類や今後の事業計画の提出が求められます。
公的な融資制度であるため、申し込みから着金までには一定の審査期間を要します。資金状況に懸念が生じた段階で、日本政策金融公庫の各支店や、中小企業庁が設置する特別相談窓口へ相談を進めることが適切な対応です。
なお、当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)では、事業資金の融資サポートを実施しています。元公庫の担当者が在籍しており、10,000件以上の融資サポート実績から現状で融資を利用できるか客観的に判断できます。「自社がセーフティネット貸付の要件に当てはまるか」「日本政策金融公庫の審査に通るか」など気になる方は、まずは無料診断をお試しください。
都道府県の「制度融資」(中東情勢・原油高の特別枠)
各都道府県では、中東情勢の緊迫化や原油高の影響を受ける事業者に対し、独自の制度融資による資金繰り支援を行っています。国の支援策に加えて、地域ごとの実情に応じた特別枠の設置や、融資要件の緩和が順次始まっています。
制度融資は自治体、金融機関、信用保証協会が連携して提供しており、要件を満たすことで金利や保証料の優遇を受けられる点が特徴です。事態の長期化を見据え、現在以下のような自治体で具体的な支援策が公表されています(※情報は随時更新しています)。
【各都道府県で利用できる制度融資】
| 都道府県 | 制度名 | 対象・概要 |
| 埼玉県 | イラン情勢の影響を受ける中小企業向けの資金繰り支援 | 中東情勢の影響等で最近3か月の売上高や利益率が減少している企業が対象。商工会議所等で受付。 |
| 宮城県 | 緊急経済変動対策資金(地域経済対策枠) | 「令和8年3月原油価格上昇等による経済変動」の指定を受け、最近3か月の売上が前年比5%以上減少した企業等が対象。 |
具体的な制度が始まっている地域がある一方で、現段階では資金繰りに関する「特別相談窓口」の設置にとどまる自治体も存在します。中小企業庁の発表に基づき、全国の日本政策金融公庫や商工会議所、よろず支援拠点などに相談窓口が開設され、事業者の実情に応じた対応を行っています。
まずは「〇〇県 制度融資 中東情勢(または原油高)」などで検索し、事業所がある地域の支援状況を確認してください。該当する制度が見当たらない場合は、中小企業庁が公表している特別相談窓口一覧などを参考に最寄りの窓口へ問い合わせ、利用可能な融資制度の案内を受けましょう。
民間金融機関の融資・特別ローン
民間金融機関においても、中東情勢の緊迫化や物価高騰に対応した独自の融資制度の取り扱いが始まっています。公的機関のセーフティネット貸付や自治体の制度融資といった枠組みに加えて、地域金融機関が独自に設ける特別ローンを活用することが可能です。
民間の独自融資は要件が各金融機関で異なりますが、単独での審査となるので制度融資と比較するとスピーディに手続きが進む傾向にあります。事態の急変によって早期の資金手当てが必要な事業者にとって、状況を打開するための有効な選択肢となります。
【民間金融機関の専用ローンの例(西武信用金庫)】
- 制度名:中東情勢等対策サポート資金
- 対象者:中東情勢等の影響により、最近1か月の売上高または利益率が前年同期比等で減少している事業者
- 資金使途:運転資金および設備資金
新たな融資制度を探すにあたっては、ゼロから金融機関を開拓するよりも、まずは日頃から取引のあるメインバンクへ相談することが適切な手順です。自社の事業内容やこれまでの財務状況をすでに把握している金融機関であれば、現状の実情に即した融資の提案をスムーズに受けやすくなります。
補助金・助成金・支援金の現状と対策
中東情勢や原油高を直接の理由とした新たな補助金や助成金は、現時点で国および地方自治体レベルでの具体的な動きは公表されていません。新たな補助金制度は事象が発生してから組成されるまでに一定の時間を要するため、現状は既存の補助金制度を活用した対策が現実的な選択肢となります。
直接的な現金給付がない状況下では、業務効率化や生産性の向上によって、高騰したコストを吸収できる事業体制を構築することが求められます。以下の既存制度は、物価高騰に直面する事業者の体質強化に活用することが可能です。
【既存の補助金】
| 補助金名 | 目的・概要 | 対策への活用例 |
| IT導入補助金 | 業務効率化や売上アップを目的としたITツールの導入費用を支援する制度。 | 受発注システムや在庫管理ソフトを導入し、事務作業にかかるコストを削減する。 |
| 中小企業省力化投資補助金 | IoTやロボットなどの省力化設備の導入費用を支援し、労働力不足の解消を図る制度。 | 自動化機器の導入によって作業工程を効率化し、高騰する原材料費の影響を緩和する。 |
現段階では中東情勢に特化した制度が存在しなくても、事態の長期化に伴って今後新たな支援金や補助金が発表される可能性は十分にあります。国や自治体のホームページなどで最新の情報を定期的に追いながら、まずは自社で申請できる既存の補助金がないか、商工会議所やよろず支援拠点へ相談を進めてください。
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金融機関の融資では、次のような審査基準によって融資の可否が判断されます。
- 開業業種に関する経験
- 融資希望額に対する自己資金
- 返済や支払いに関する信用情報
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まとめ
中東情勢の緊迫化や原油高による急な資金繰りの悪化に対しては、本記事で解説した以下の資金調達方法や支援制度を状況に合わせて検討してください。
- 日本政策金融公庫: 「セーフティネット貸付」による公的な資金支援
- 都道府県の制度融資: 地域ごとの特別枠や融資要件の緩和
- 民間金融機関: メインバンク等が独自に設ける特別ローン
- 補助金・助成金: 既存制度を活用した生産性向上とコスト削減
どの資金調達方法を選択する場合でも、申し込みから審査を経て実際の着金に至るまでには一定の期間を要します。手元の資金が完全に枯渇してからでは、選択できる手段が大きく限られてしまう可能性があります。
資金繰りに少しでも懸念が生じた段階で、日本政策金融公庫やメインバンク、または自治体の特別相談窓口へ相談を進めることが重要です。自社の実情に適した制度を早期に活用し、事業継続に向けた対応を図りましょう。