創業融資を受けるためには、審査担当者との面談が行われます。審査担当者との面談を通し、経営者の人柄や事業計画の内容を確認されるため、面談におけるポイントを押さえておくことにより、自身の創業計画を担当者に理解してもらえる可能性があります。
当記事では、創業融資の面談におけるポイントを解説します。面談までに準備しておくことや当日の質問内容が気になる人は参考にしてみてください。
面談におけるポイントは事前準備すること
創業融資の面談におけるポイントは事前準備することです。原則として創業融資の面談は1度だけ行われるため、創業融資の審査担当者に事業計画をアピールできる機会と捉え、事前準備をしておくことが重要になります。
【事前準備しておくこと】
- 書類
- 想定問答
- 身だしなみ
事前準備しておくこととして「書類」「想定問答」「身だしなみ」が挙げられます。事前準備しておくことにより、自信をもって面談に臨める可能性があるため、それぞれの準備内容を確認してみましょう。
書類
創業融資の面談のために事前準備しておくことのひとつは「書類」です。創業融資の申込時に書類は提出しますが、創業融資の面談時にも持参する書類があるため、創業融資の面談前に準備しておきましょう。
【面談時に持参する書類の例】
項目 | 具体例 |
---|---|
本人確認書類 | ・運転免許証 ・パスポート |
自己資金を確認できるもの | ・預金通帳 ・生命保険の保険証券 |
勤務時の収入を証明できるもの | ・源泉徴収票 ・確定申告書 |
借入金の返済予定が分かるもの | ・返済予定表 ・残高証明書 |
支払い振りが分かるもの | ・クレジットカードの明細 ・公共料金の領収書 |
納税が確認できるもの | ・都道府県民税の領収書 ・納税証明書 |
面談時に持参する書類のひとつは「借入金の返済予定が分かるもの」です。「返済予定表」「残高証明書」など、借入金の返済予定が分かるものを依頼されたものの、自宅に保管がなければ事前に金融機関から取り寄せすることになります。
面談時に持参する書類のひとつは「支払い振りが分かるもの」です。「クレジットカードの明細」「公共料金の領収書」など、支払振りが分かるものを依頼された場合は、紙媒体で提出できるよう事前に印刷やコピーをしておくことになります。
なお、依頼された書類が提出できない場合は担当者へ事前連絡しておきましょう。「紛失してしまった」「該当する書類がない」などの理由から依頼された書類が提出できない場合は、審査担当者へ事前にその旨を共有しておくようにしましょう。
追加書類を持参したい場合は事前確認しておく
面談時に依頼されていない書類を持参したい場合は、担当者に事前確認しておきましょう。面談時に依頼されていなくとも、自身にとってプラス材料になる資料があれば、担当者の了解を得て持参することも検討してみてください。
【追加書類の例】
項目 | 具体例 |
---|---|
商品の情報が分かる書類 | ・試作品 ・メニュー表 |
今後の見通しに関する書類 | ・資金繰り表 ・損益計算書 |
市場分析に関する書類 | ・業界レポート ・アンケート調査結果表 |
追加書類の例として「商品の情報が分かる書類」が挙げられます。「試作品」「メニュー表」など、実際のサービス内容が想像できる書類を持参することにより、審査担当者から実現可能性を評価される可能性があります。
追加書類の例として「今後の見通しに関する書類」が挙げられます。「資金繰り表」「損益計算書」など、事業計画書の内容に加え、詳細な数字面での書類を持参することにより、審査担当者から計画性を評価される可能性があります。
なお、担当者によっては追加書類の持参を受け付けていない可能性があります。「審査の公平性」「金融機関の規定」などの理由から追加書類の持参を断られる可能性があるため、追加書類を持参したい場合は事前に確認をとるようにしましょう。
想定問答
創業融資の面談のために事前準備しておくことのひとつは「想定問答」です。創業融資の審査担当者は30分から60分程度の会話を通し、事業内容や経営者の人柄などを確認するため、面談前に質問に対する回答を準備しておくことを検討してみましょう。
【創業融資の面談においてよくある質問の例】
項目 | 具体例 |
---|---|
経営者に関する質問 | ・創業の動機は? ・これまでの経歴は? ・家族構成は? |
事業の内容に関する質問 | ・集客方法は? ・セールスポイントは? ・仕入先や外注先との関係性は? |
経営者の支払振りに関する質問 | ・他に借入金はあるか? ・支払遅延の履歴はあるか? ・税金の滞納はないか? |
資金調達に関する質問 | ・創業に必要な資金はいくらか? ・借入できない場合はどうするか? ・自己資金はどのように用意したか? |
今後の見通しに関する質問 | ・売上見通しの根拠は? ・計画値を下回った場合の補てん方法は? ・人材の確保はどのように進めていくか? |
想定問答を準備するときのポイントのひとつは「事業計画書の内容と整合性のある回答をすること」です。事業計画書の内容と整合性のとれない回答をした場合、事業計画書の信ぴょう性を疑われるおそれがあります。
想定問答を準備するときのポイントのひとつは「否定的な質問を想定しておくこと」です。「計画通りにいかない場合」「見通しが甘かった場合」など、否定的な質問をされたときに返答ができない場合、事業計画の実現可能性を疑われるおそれがあります。
面談における正解の回答はありません。自身の状況や担当者の考え方によって適切な回答は異なるため、想定問答を準備するときは自身においての回答をまとめておくようにしましょう。
面談は原則として経営者一人で対応する
創業融資の面談は、原則として経営者自身のみで対応するようにしましょう。経理担当者や税理士など、経営者以外の第三者が面談に同行することを、審査担当者が断る可能性があるため、創業融資の面談は原則として経営者一人で臨むことを検討しましょう。
担当者が経営者一人と面談する理由のひとつは「プライバシーに関わる質問をする可能性があるから」です。「現在の収入額」「現在の借入有無」など、経営者へ個人的な質問をする可能性があるため、審査担当者は第三者が面談に同行することを断る場合があります。
担当者が経営者一人と面談する理由のひとつは「経営者自身から事業の話を聞きたいから」です。「事業内容の話」「収益計画の話」など、事業計画書の内容を経営者が理解しているかどうかを知りたいため、審査担当者は第三者が面談に同行することを断る場合があります。
なお、審査担当者によっては第三者が同行することを認めている場合もあります。第三者と経営者との関係性や金融機関の方針によって同席可否の判断は異なるため、第三者を同行させたい場合は面談前に確認しておくようにしましょう。
身だしなみ
創業融資の面談のために事前準備しておくことのひとつは「身だしなみ」です。創業融資は審査担当者と対面での面談となる傾向にあるため、ビジネスマナーや見た目などの身だしなみに関わる事項を確認しておきましょう。
【身だしなみの確認項目の例】
項目 | 具体例 |
---|---|
ビジネスマナー | ・名刺交換の作法を確認する ・敬語や言葉遣いを確認する ・携帯をマナーモードにする |
見た目 | ・シワのない清潔な洋服を着用する ・清潔感のある髪型に整える ・匂いの強い香水はつけない |
ビジネスマナーの確認項目ひとつとして「名刺交換の作法を確認すること」が挙げられます。名刺がない場合は用意する必要はありませんが、審査担当者から名刺を受け取ったときの所作を確認しておくことにより、面談当日に落ち着いて対応できる可能性があります。
見た目の確認項目のひとつとして「シワのない清潔な洋服を着用すること」が挙げられます。必ずしもスーツを着用せずとも問題はありませんが、清潔な洋服を着用することにより、自己管理ができていると審査担当者に印象付けられる可能性があります。
なお、面談の日時や場所をあらためて確認しておきましょう。「支店までの道のり」「家を出る時間」など、面談時間に遅れないために日時や場所を確認しておくことも検討してみてください。
面談までの流れは借入の申込先によって異なる
面談までの流れは借入の申込先によって異なります。借入の申込先によって面談までのフローは異なるため、創業融資の面談を控えている人はその前提を留意しておきましょう。
たとえば、日本政策金融公庫に申し込んだ場合は、申込後に審査担当者から面談日に関する連絡がきます。審査担当者から指定された日時に日本政策金融公庫の支店へ行き、面談を実施する流れとなります。
また、民間の金融機関に申し込んだ場合は、信用保証協会付き融資を提案される傾向があります。信用保証協会付き融資を提案された場合、民間の金融機関の面談に加え、信用保証協会との面談を実施する流れとなります。
面談までの日数も借入の申込先によって異なります。申込後の翌日~1週間程度で面談が実施される傾向がありますが、金融機関の混雑状況や審査担当者の都合により変動があるため、創業融資の面談を控えている人は留意しておきましょう。
営業場所での面談が実施される場合もある
創業融資の面談は、営業場所で実施される場合もあります。とくに、創業後に創業融資を申し込んだ場合、営業の実態を確認する意味を込めて営業場所での面談が実施される可能性があります。
営業がすでに開始している場合は、営業場所での面談が実施される可能性があります。
「店舗」「事務所」など、実際の営業場所で面談することにより、営業の実態や稼働状況を金融機関が確認する可能性があります。
また、担当者の都合により営業場所での面談が実施される可能性もあります。「近くに立ち寄ったため」「支店に戻る時間がないため」など、審査担当者の希望により、営業場所での面談となる可能性があります。
なお、営業場所がまだ準備できていない場合はその旨を審査担当者に伝えましょう。「物件の契約前」「物件が工事中」などの理由から営業場所が用意できていない場合は、審査担当者に伝えた上で、営業場所の資料や写真などを添付することを検討してみましょう。
まとめ
創業融資の面談におけるポイントは事前準備することです。原則として創業融資の面談は1度だけ行われるため、創業融資の審査担当者に事業計画をアピールできる機会と捉え、事前準備をしておくことが重要になります。
事前準備しておくこととして「書類」「想定問答」「身だしなみ」が挙げられます。事前準備しておくことにより、自信をもって面談に臨める可能性があるため、それぞれの準備内容を確認してみましょう。
なお、面談までの流れは借入の申込先によって異なります。借入の申込先によって面談までのフローは異なるため、創業融資の面談を控えている人はその前提を留意しておきましょう。