即日で資金調達する方法と必要書類について解説

経営者にとって資金調達は重要な課題です。計画的に資金を準備したいと思っていても、取引先の急な倒産や突然の仕入れ発生など、急な資金調達が必要になることもあるでしょう。

即日で事業資金を調達する方法はいくつかあります。申込時間や提出書類が揃わないなどの理由で入金が遅れるケースもあるので、調達を急ぐ場合は事前に準備をしておくのが望ましいです。

当記事では、急に資金繰りが困難になった場合に備えて、即日で事業資金を調達する方法と申請先別の必要書類について解説します。

事業資金を最短即日で資金調達できる方法

事業資金を最短即日で資金調達できる方法は以下の3つです。

資金調達方法 概要
ノンバンクのビジネスローン 銀行以外の金融機関が提供する事業者向けのローン。

自社のみで審査を行っているため銀行融資と比べて審査スピードが早い。大手のノンバンクでは審査システムも構築されており、最短即日でも借入が可能なケースもあり。

ファクタリング 企業の売掛債権を買い取ってくれるサービス。

売掛金の支払日より先に現金化できるが、ファクタリング業者に買取手数料を引かれる。ファクタリングは融資ではないため、信用調査も融資の審査ほど厳しくない傾向がある点と、融資と違って返済の必要がない点が特徴。

手形割引 約束手形を銀行または割引業者に持っていくと、手形の支払期日より先に現金化できるサービス。

ファクタリングと似たサービスで、手形割引では割引料という手数料を業者に引かれる。銀行では手続きに時間がかかるが、業者だと最短即日で現金化が可能なケースもあり。

ノンバンクのビジネスローン、ファクタリング、手形割引それぞれの業者のサイトを見ると「最短即日」と書かれていることも多いですが、「最短即日で審査結果が分かる」など、申し込みから着金まで即日で対応できない業者もあります。

資金を急ぐ場合は、申し込み時に最短即日で着金まで可能かどうかサイトを確認するとともに、営業日の午前中に申し込むなど、なるべく早く手続きを開始するようにしましょう。

ノンバンクのローンにはビジネスローンとカードローンの2種類がある

ノンバンクの事業ローン商品にはビジネスローンとカードローンの2種類があります。

本来はビジネスローンという分類のなかにカードローン商品がありますが、証書型の貸付をビジネスローン、極度額型の貸付をカードローンと区別して呼ばれることが多いです。

証書型の貸付とは、借入のたびに申し込みし審査を受け、借用証書にサインする必要があります。極度額型の貸付とは、最初の申込時に借入の上限額を設定し、上限額内であれば再審査不要で繰り返し借入ができる商品です。

ビジネスローン 金利 調達期間
 AGビジネスサポート 3.1~18% 最短即日可能
 オリコ 6~15% 2週間~3週間
 キャレント(法人のみ) 7.8~18% 最短即日可能

 

カードローン 金利 調達期間
AGビジネスサポート 5~18% 最短即日可能
アコム(個人事業主のみ) 12~18% 最短即日可能
プロミス(個人事業主のみ) 6.3~17.8% 最短即日可能

証書型のビジネスローンを提供しているノンバンクは多くないため、ビジネスローンと記載していても実際はカードローンしか取り扱いがない業者もあります。ノンバンクでの資金調達を検討する際は、証書型と極度額型どちらを取り扱っているのかノンバンクの公式サイト等で確認しましょう。

ノンバンクのローンに申し込むときは必要書類を事前に準備しておく

【ノンバンクのローンを利用する時に必要な書類】

  • 本人確認書類
  • 決算書もしくは確定申告書
  • 事業実態を確認できる書類

事業実態を確認する書類については、業者によっては独自フォーマットの事業計画書や資金繰り表、法人の登記簿謄本や営業許可証、法人名義の請求書などあるため、事前に借入したい業者の公式サイトを確認しておきましょう。

ノンバンクで借入する際は短期間での繰り上げ返済を心がける

ノンバンクのローンを利用する際は短期間での繰り上げ返済を心がけましょう。ノンバンクのローンは銀行融資と比較すると金利が高く、特にカードローンの場合はリボ払いが設定されていて月々の返済負担が少ない代わりに、返済が長期化し利息が膨らんでしまいがちだからです。

AGビジネスサポートの公式サイトにある返済シミュレーションを利用して、100万円を金利15%で借入した場合の利息総額は次のようになります。

借入額 返済回数 毎月の返済額 利息総額
100万円 50回払い 元金2万円+利息 30万9,675円

 もしこの借入を売上が入金された2、3か月後に繰り上げ返済した場合、大きく利息負担を減らすことができます。

 ノンバンクのビジネスローンのなかでもカードローンは特に返済計算が複雑です。知らないうちに借入が膨らんでしまう可能性もあるため、短期間での利用にとどめ、返済を管理しやすい状態にしておきましょう。業者によっては繰り上げ返済するときに手数料をとるところもあるため、借入前に返済条件について確認するようにしましょう。

銀行で取り扱っているカードローンは事業資金不可が多い

銀行でもカードローン商品を取り扱っていますが、事業資金として使うことを認めていないところが多いです。銀行のカードローンは、毎月一定の収入がある勤務者が生活費として使うことを想定した商品だからです。

銀行は事業者に対しては事業融資を行っており、カードローンは毎月一定の収入があり返済力も比較的安定している勤務者に対しての商品です。そのため、事業主が生活費のために銀行のカードローンを契約したいと申し込んでも、事業主と分かると審査が通らない可能性があります。

仮に審査が通ったとしても、借入したお金を事業資金として使ったことが銀行に見つかってしまうと最悪の場合は一括返済を要求されるおそれがあります。

もし事業用の資金を銀行カードローンで申し込みたいときは、事業用の使い道がOKな銀行かどうかをよく確認してから申し込みましょう。

ファクタリングでの資金調達は2者間ファクタリング方式の方が入金が早い

ファクタリングでの資金調達には、2者間ファクタリングと3者間ファクタリングの2種類があり、2者間ファクタリングの方が入金スピードは早いです。2者間ファクタリングだと、利用者とファクタリング業者の間だけで手続きが終わるからです。

2者間ファクタリングでは、売掛債権をもっている利用者と、債権を買い取るファクタリング業者の間だけで債権譲渡契約を結びます。調達期間は即日から1週間前後です。

3者間ファクタリングでは、利用者とファクタリング業者のほかに、売掛先の企業も加わり手続きを進めます。ファクタリングをすることを売掛先に通知し承認してもらう必要があるため、調達期間が10日から2週間前後と時間がかかります。

2者間ファクタリング 3者間ファクタリング
調達期間 即日~1週間 10日~2週間
手数料 10~20% 1~10%
売掛先への通知 通知なし 通知あり

3者間ファクタリングは2者間ファクタリングと比べて調達に時間がかかりますが、売掛先の承認をもらえるため、ファクタリング業者にとっては売掛債権を回収できないリスクが下がります。そのため手数料も低い傾向があります。

即日対応と謳っているファクタリング業者はほぼ間違いなく2者間ファクタリングを行っています。資金を急ぐ場合は入金スピードが早い2者間ファクタリングの利用を検討するのが良いでしょう。

ファクタリングを利用する際は事前に必要書類を準備しておく

ファクタリングを利用する際には、以下のような書類の提出が必要になります。

【ファクタリングを利用する時に必要な書類】

書類名 提出タイミング
 本人確認書類  申込時
 通帳のコピー、入出金明細  申込時
 請求書など売掛債権が分かるもの  申込時
 決算書または確定申告書  申込時
 印鑑証明書  契約時
 登記簿謄本(法人のみ)  契約時

ファクタリング業者によっては上記の書類に追加して依頼されたり、上記の書類より少ない書類だけで契約できたりする場合もあります。印鑑証明書や登記簿謄本は取得に時間がかかることもあるため、ファクタリング業者へ申込時に、提出が必要かどうか確認しておきましょう。

2者間ファクタリング利用時には債権譲渡登記が必要かどうかを確認する

2者間ファクタリングを利用するときは、債権譲渡の登記を行う必要があるかどうかを事前に確認しましょう。登記を行うと、売掛先にファクタリングを利用していることが分かってしまう可能性があるからです。

ファクタリング利用時の債権譲渡登記とは、自社がファクタリング業者に売掛債権を譲渡したことを法人の登記事項証明書に記載することです。登記することで、ファクタリング業者は公的に売掛債権を譲ってもらったことを証明できるため、もし利用者が複数のファクタリング業者に一つの売掛債権を譲っていたとしても、登記している業者が権利を主張できます。

登記内容は申請すれば誰でも閲覧できるため、2者間ファクタリングで売掛先にファクタリングの通知がいかないとしても、売掛先にファクタリングをした事実が分かってしまう可能性はあります。

わざわざ法務局へ申請し、取引先の登記事項証明書を閲覧される機会は想定しづらいですが、2者間ファクタリングであっても絶対に売掛先へファクタリングした情報が漏れないわけではないということに注意し、事前にファクタリング業者へ債権譲渡登記の有無を確認しておきましょう。

なお、債権譲渡登記は法人のみ行える手続きのため、個人事業主は債権譲渡登記をすることはありません。

ファクタリングの債権譲渡契約をする前には償還請求権の有無を確認する

ファクタリングを利用する前は契約内容をよく確認しましょう。確認しておかないと、高額な手数料を請求されるなど詐欺まがいのトラブルに巻き込まれるおそれがあるからです。

償還請求権とは、売掛先の倒産などによりファクタリング業者が債権を回収できない場合に、ファクタリング利用者へ債権分のお金を請求する権利です。

償還請求権を要求できるのは銀行か貸金業者のみです。それ以外のファクタリング業者が契約時に償還請求権ありとしているときは、違法業者の可能性があるため貸金業者登録をしているかどうかを必ず確認しましょう。

ファクタリングは借入ではないため、必ずしも貸金業者の登録は要りません。そのため、悪質な業者も存在すると経済産業省から注意喚起されています。

ファクタリングでの資金調達を検討するときは、何社か見積りを比較したり、貸金業登録をしているなど、透明性の高い業者を選ぶようにしたりしましょう。

手形割引業者を利用すると割引率は高いが入金は早い

手形割引は銀行と手形割引業者どちらかで行えますが、手形割引業者のほうが入金は早いです。銀行は手形割引を融資と同じように考えるため、手形割引の利用者と手形振出人の審査を行い時間がかかるからです。

割引料(手数料) 調達期間
銀行 1~5% 1週間~10日程度
手形割引業者 5~20% 即日~1週間程度

手形割引業者は、手形を発行した企業のみ信用審査して手形割引を行うところが多く、現金化が早い傾向にあります。銀行と比べて審査項目が少なく回収リスクがあがるため、手形割引業者の割引料は高く設定されています。

また、割引料を決める要素として手形の残日数と手形を発行した企業の信用力があります。元々の手形の支払日からどれくらい前倒して現金化するか、手形を発行した企業にどれだけの支払い能力があるのかによっても割引料は変化します。

手形の現金化を急ぐときには、手形割引業者を利用したほうが早く入金されるでしょう。複数の手形を持っているときは、手形の残日数が少ないものを割引したほうが、割引料が低くなる可能性があるため確認してみましょう。

手形割引業者を利用する際は事前に必要書類を準備しておく

【手形割引業者を利用する時に必要な書類】

  • 手形の原本
  • 登記簿謄本(法人のみ)
  • 本人確認書類
  • 実印

手形の写真データがあれば審査はできる業者が多いですが、契約時に手形の原本提出が必須になるため、資金を急ぐ場合は郵送よりも直接業者へ訪問し契約を行ったほうが入金が早いでしょう。

資金調達が間に合わない場合は未入金の回収と支払いを遅らせる交渉をする

どうしても資金調達が間に合わない場合は、未入金の回収と支払いを遅らせる交渉をする方法もあります。

たとえば、売掛金の入金日を早めてもらえないか、税金や社会保険料などの公的な支払いの延長手続きをとれないか、仕入先への支払いを数日待ってもらえないかなどの交渉です。取引先への交渉は信用問題に関わるため、最悪の場合は取引先を失う可能性もあります。日頃の信頼関係を考慮し、慎重に交渉しましょう。

まとめ

即日で資金調達できる方法は、銀行融資と比較して手数料や金利が高いです。いざというときに便利な方法ですが、利用しすぎると余計に資金繰りを悪化させる要因となりえます。

利用が常態化している場合は、根本の経営問題を改善させる必要があるため、顧問税理士への相談や経済産業省が提供しているミラサポPlusから経営相談を受けられる先を探してみるのもいいでしょう。

ソラボでも資金調達支援を中心に経営サポートを行っているので、資金繰りでお困りの際はお気軽にご相談ください。

 

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