飲食業に従事されている方のなかには、将来バー(bar)の経営を志している方も多いのではないでしょうか。
今回は、東京都多摩市でバー(bar)を開業するために、日本政策金融公庫から開業資金として900万円を調達したNさんの事例をご紹介します。
飲食店開業に向けて融資を受けるためにおさえておくべき3つのポイントを詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
Nさんの状況
Nさんはこれまで約10年間、バーなどの飲食店で勤務してきました。
融資を申し込む際の自己資金は200万円ほど準備していましたが、開業のために見つけた物件がスケルトンであったため、
当初想定していたよりも開業資金が必要になってしまい、今回日本政策金融公庫で900万円の融資を申し込むことにしました。
飲食店開業のための融資であれば、これまでの経験と自己資金が準備できている場合、比較的融資が受けやすい傾向です。
初回の融資で900万円の融資を成功させるためには、事業計画の内容や自己資金の用意など、前もって準備を進めていくことが重要です。
Nさんはご自身で申込をする際に、融資希望額を全額調達できるか不安であったことから、融資支援専門の認定支援機関である当社への相談を決意しました。
Nさんが開業資金の融資審査に通過するためにやったこと
以下では、今回の事例のNさんが、融資審査に通過するためにやったことをご紹介します。
経験があることの提示と自己資金を用意した
Nさんは飲食店での経験が10年ほどあったので、経験としては問題ありませんでした。
飲食店はもちろん、どの業界で融資を受ける場合であっても、業界の経験が長ければ長いほど融資審査の評価が高くなる傾向があります。
Nさんの場合、融資審査の面談で、以前勤務していたお店のWebサイトを見せて、どのような業務を担当していたかを説明しました。
また、Nさんはバーテンダーとしての資格を所有していたため、資格を提示して能力をアピールしました。
その他にも、飲食店での経験をアピールする場合、
- 店長経験があり、仕入やスタッフの管理などの店舗経営の知識がある
- メディアなどでよく見かける有名店で勤務していたことがある
- 以前勤務していた店舗で原価率を〇%下げることができ、経営改善に貢献したことがある
などの例があげられます。
これまでの経験で、身に着けてきたスキルや上げてきた成果の内容など、積極的にアピールしていきましょう。
また、Nさんは900万円の融資をご希望でしたので、十分な自己資金を準備しておく必要がありました。
Nさんの場合、奥様が融資に積極的であったため、奥様の源泉徴収票や通帳も自己資金として提出することができました。
ご自身で貯めた自己資金に加え、配偶者に協力してもらうことで、手元に保有している資金が豊富であることをアピールでき、融資の担当者からの評価が高くなる傾向があります。
お店のコンセプトを明確化し、資金用途の根拠を明示した
飲食店開業時は、次のような費用がかかります。
- 物件取得費
- 内装工事費
- 厨房機器等の購入費などの設備資金
- 広告宣伝費
- 食材の仕入れ費用
- 光熱費などの運転資金
開業当初は、売上が立つまでの3か月~半年分程度の運転資金は準備しておくようにしましょう。
日本政策金融公庫から融資を受ける際、資金使途として設備資金および運転資金が当てはまりますが、公庫側が開業のための費用として妥当である、と判断できる根拠もあわせて提示する必要があります。
今回Nさんは、10坪の店舗内装工事に対して500万円超の見積書を提出しました。
一般的には、飲食店を開業するための内装工事費用として、日本政策金融公庫の融資審査基準では、坪単価30万円が平均的であると言われています。
Nさんが提出した見積書はその平均価格からすると高額だったため、融資面談の際に指摘を受けました。
しかしNさんは、開業したい飲食店のコンセプトと、それを実現するために必要な費用の内訳を明確に説明した上、これまでの経験から成功する可能性が高いコンセプトであると担当者に理解してもらう事ができ、結果として900万円の融資を受けることが決まりました。
その他にも、原価率など融資審査の基準があるので、基準以上の資金調達を希望する場合は、担当者が納得する根拠を提示するように準備しておくようにしましょう。
出店場所の立地条件をアピールした
飲食店が成功するかどうかの要素のひとつに「立地条件」があります。
日本政策金融公庫の融資の面談では、なぜその土地を開業する場所として選んだのかをよく質問されます。
Nさんが開業場所として選択した土地は、駅前で人通りが多い上、近くには同業であるバーが2店舗しかないことや、Nさんが開業したいコンセプトに似たお店がないことなどをアピールしました。
その他にも飲食店を開業する場合に、なぜその場所を選択したかの理由として、「開業する土地に馴染みの顧客が多い」など売上に直結する理由を挙げることができると良いでしょう。
もし駅から遠い場合や、競合が多い場所などでの出店を計画している場合、なぜその場所を選んだのか、立地条件が悪い状況でどのようにして集客するのかを説明できるようにしておくことが大切です。
まとめ
日本政策金融公庫から融資を受ける場合、ご自身で資料作成や面談の準備をすることも可能ですが、融資の専門家である認定支援機関に相談するのも選択肢のひとつです。融資審査へのアドバイスや資料作成などのサポートを受け、融資審査に向けた準備をすることができます。
これから資金調達をしたいとお考えの方は、一度お近くの認定支援機関にご相談ください。