今回の記事では、ゲーム制作会社を立ち上げ、事業を開始していたOさんが、大型案件を受注するための運転資金として日本政策金融公庫から300万円の融資を受けた事例を紹介します。
借入に申し込んだ際のOさんの状況
Oさんはゲーム制作会社を経営しており、2期目の終了まであと2か月、という状況でした。
1期目は販売実績が2件で赤字でしたが、前職で販売総指揮官として日本1位の成績を残した経験を活かし、今回大型案件を受注しました。
受注した大型案件を逃さないためにも、制作のための費用を確保しようと、Oさんは今回借入申し込みを決意し、認定支援機関の当社に相談いただいたのです。Oさんが融資を受けられた要因を紐解いていきましょう。
融資審査通過の要因1:赤字でも融資を受けやすいタイミングでの申し込み
Oさんは事業を開始して1期目が終了していましたが、業績はあまり思わしくない状況で、赤字となっていました。
しかし、赤字にも関わらず融資を受けられた要因として、融資申込みのタイミングが良かったことが考えられます。
融資を利用しやすいタイミングは、大きく次の3回に分けられます。
創業前
創業前はもっとも融資を受けやすいタイミングと言えます。
きちんとした事業計画を作成し、開業のための準備をし、融資を申し込むことで、開業後の業績推移をこれまでの実数でなく予想を含めて作成することができます。
現実的な数字を利用した事業計画や業績推移を作成することで、融資の担当者からの印象が良くなるでしょう。
創業直後
事業を開始してすぐも融資を受けやすいタイミングです。
創業前と同様、融資を受けた後の業績推移を、予想を含めて作成しやすいためです。
確定申告・決算後
事業を開始して確定申告や決算が終了した後も融資を受けやすいタイミングと言えるでしょう。
前期の業績がどのようなものであったかを実際の数字で融資担当者に伝えることができます。
もちろん、業績が良い場合に限りますが、きちんと売上がある事業を実施している場合は確定申告や決算が終了した後に融資を申込むのも選択肢の一つです。
融資審査通過の要因2:大型の案件の受注が決まっていた
これまで、Oさんの会社の業績が下がってしまった理由として、利用できる広告宣伝費が無く、受注数を確保することができなかった点が挙げられます。
しかし今回契約が内々定している案件の内容は「大手企業であるA社と業務提携し、広告宣伝をA社が実施する」というものでした。
A社が実際に広告宣伝をしているゲームの販売数は、Oさんがこれまでご自身で広告宣伝をしていた作品の売上と比較すると1桁も違うものであったため、今回A社と業務提携することで業績が上がるということを、数値を出して融資担当者にアピールすることができました。
今回、契約の内々定があったことが融資審査に良い影響を与えていたと考えられますが、実際の契約書などを準備することが難しい状況でした。
融資を申し込む際に取引先との契約などが決まっている場合、書面で契約書や請求書を準備して融資審査の際に提出することでさらに信ぴょう性を高めることができるので、できるだけ準備しておいた方が効果的と言えます。
融資審査通過の要因3:親族からの協力
Oさんは融資を受けるために自己資金を準備していましたが、自己資金とは別にご両親からの資金面での協力があり、余剰資金として融資の際に提出することができました。
融資を受ける際には、返済能力があるかどうかが融資の可否に影響します。
自己資金が十分にあることで返済能力があると判断されますが、ご両親の協力を受けた余剰資金はあったことがプラスに働いたと考えられます。
まとめ
たとえ業績が赤字でも、融資を受けた後に売上が向上する見込みがある場合や、自己資金や余剰資金が十分にあり返済能力があると認められる場合には融資を受けて事業資金を調達できる場合もあります。
ご自身で融資を申し込む際に不安がある場合は、融資の専門家であるお近くの認定支援機関に一度ご相談してみてはいかがでしょうか?
認定支援機関に相談することで、融資などの資金調達や事業のアドバイス、融資資料作成のサポートを受けられます。