シニアの起業が、注目されています。日本人の高齢化が進む中、平均寿命が延びているのが背景の一つです。
日本人の平均寿命は男女平均で84歳です。定年退職したあとに「まだ何かできるかも」と考え、起業に踏み出す人もいるでしょう。
しかし、起業は気軽にすべきことではありません。きちんとした計画と準備が大切です。今回は、シニアで起業したい人が1~2%台の金利で融資を受けられるシニア起業家支援資金についてご紹介致します。
1.「シニア起業家支援資金」という名の融資はない
ネット検索すると出てくるこの「シニア起業家支援資金」という言葉は、細かいことを言うと「女性、若者/シニア起業家支援資金」という日本政策金融公庫の融資制度の略称です。その名の通り、女性・若者、そしてシニアの方で事業を営む方が使える事業用の融資です。
日本政策金融公庫の女性、若者/シニア起業家支援資金
※上記URLをクリックすると、シニア起業家支援資金の概要を見られる外部サイトへリンクします
シニアの定義は55歳以上となっています。こちらの資金については、当サイトの以下既存記事でも詳しくご紹介しています。是非あわせてご覧ください。
2.女性、若者/シニア起業支援資金はどんな内容?
シニア起業支援資金の利用条件は以下の通りです。(女性、若者の部分は省略しています)
ご利用いただける方 | 55歳以上の方で新たに事業を始める方 または
事業開始後おおむね7年以内の方 |
資金の使い道 | 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする資金 |
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
利率(年)
※H31・1・17現在 |
|
ご返済期間 |
|
担保・保証人 | お客様のご希望を伺いながらご相談させていただきます |
なお、融資申込み時点の年齢により、返済期間は短くなります。75歳で申し込みをすれば、返済期間20年よりもっと短くなる、または指定した後継者が残金を払うという契約が必要になるかもしれません。
きちんとした計画と準備とは?
そもそも日本政策金融公庫は政府出資100%の機関です。国としては経験やノウハウの豊富なシニアに活躍してもらい、日本経済の活性化につなげたいという思いがもちろんあると推察されます。
しかし、大前提として、しっかりとした計画や準備をしてきた人にしかお金を貸せません。
シニア起業に向けたきちんとした計画と準備のポイント
【お金のこと】
- 自己資金は、計画的に貯めましょう。
- 家族の同意を得ましょう。家族の預貯金も自己資金として申告ができる場合があります。
- 持ち家の場合は、担保にできるかローン内容を見直しましょう。
【信用情報のこと】
- クレジットカードの未払いや、支払の遅れなど、異動情報があるか把握しましょう。
- 税金や携帯代を含む水道光熱費の滞納していないか、確認しましょう。
【事業のこと】
- これから始める事業の経験がつめているか確認しましょう。1つの目安は6年以上の経験年数です。
- これから始める事業で物件が必要な場合、既に押さえられているのか確認しましょう。※仮押さえでも可
- 仕入れ先や従業員が確保できているか確認しましょう。
日本政策金融公庫の融資を受けるには、上記の点が審査でも見られます。
3.融資以外の資金調達方法
融資は返済が必要な資金調達方法です。一方で、助成金や補助金などは返済の必要のない資金調達方法です。
どのようなものがあるか見ていきましょう。
自治体のシニア起業家支援事業も注目しよう
もう一つシニア向けの起業で使える資金(融資や助成・補助金)は、各自治体独自のシニア起業家支援事業があります。
こちらは実施している地域とそうでない地域があります。例えば兵庫県では公益財団法人産業活性化センターが最大200万円の助成金を支給しています。
起業に関する資金ではないですが、埼玉県東松山市では過去にシニア向け起業合同就職説明会を実施しました。
起業で使える資金をお探しの方は、自治体のホームページなども是非チェックしてみましょう。
(次の情報は2019年2月6日時点の情報です)
厚生労働省の生涯現役起業支援助成金もある
起業時に40歳~59歳、または60歳以上の場合で以下の条件を満たせば、最大200万円の助成金を受け取れます。
ご利用いただける方 | 以下の条件すべてに当てはまる方
|
資金の使い道 | 従業員の募集・採用や教育訓練の実施 |
支給額と助成率 |
|
助成金は返済なしで給付されるお金です。一方で、上記のようにハードルが非常に高いです。こちらの助成金では特に、④番目にある他の金融機関から融資を受けていること、という部分がポイントです。
他にも、ネット検索するとシニア向けのいろいろな資金は表示されます。よく見るとそれはシニア限定ではなく万人向けのもの(創業補助金)であったり、起業したい方向けのものではなくシニア世代を雇用する事業主がもらえる助成金だったりと検討違いのものもあるので要注意です。
まとめ
経験やノウハウを豊富に持つ、シニアには行政も注目しています。しかし、年齢だけで審査が甘くなることもありません。
この記事で紹介したポイントを意識しながら、きちんと計画・準備をすることが大切です。
具体的な創業計画書の作成・アドバイスなどのお手伝いは、当サイトの運営会社へご相談ください。