創業融資における事業計画書の書き方のポイントを解説

飲食店や美容室など、独立開業を予定している人の中には、創業融資を受けることを検討中の人もいますよね。その際、創業融資の申込時に事業計画書が必要となることにより、創業融資における事業計画書の書き方を知りたい人もいるでしょう。

当記事では、創業融資における事業計画書の書き方のポイントを解説します。書き方のポイントに加え、事業計画書の項目ごとの記入例も紹介するため、創業融資における事業計画書の書き方を知りたい人は参考にしてみてください。

ポイントは事業計画書から事業の実現性を伝えること

創業融資における事業計画書を作成したい場合、ポイントは事業計画書から事業の実現性を伝えることです。創業期は事業実績が乏しい関係上、事業計画書から事業の実現性を伝える必要があるため、事業計画書の書き方を知りたい人はその前提を踏まえておきましょう。

事業計画書とは、第三者に事業の見通しを伝える書類のことです。創業融資の場合は「創業計画書」とも呼ばれ、事業の方針や収支の見込みといった事業の見通しを金融機関に伝える書類となるため、事業計画書は創業融資の可否における判断材料のひとつとなります。

【創業融資における事業計画書の書き方のポイント】

  • 数値の根拠を明確にする
  • 分かりやすい表現を意識する

事業計画書の書き方のポイントとして挙げられるのは「数値の根拠を明確にすること」と「分かりやすい表現を意識すること」です。事業計画書から事業の実現性を伝える必要があるため、事業計画書の書き方を知りたい人はそれぞれの項目を確認してみましょう。

数値の根拠を明確にする

事業計画書の書き方のポイントのひとつは「数値の根拠を明確にすること」です。事業の実現性を伝えるには、数値の根拠を明確にすることがポイントとなるため、創業融資における事業計画書の書き方を知りたい人は覚えておきましょう。

たとえば、月々の売上高を200万円と予測した場合、その根拠を明確にする必要があります。「顧客1人の単価」「1日の顧客数」「1か月の営業日数」など、200万円の売上高を裏付ける根拠を明確にすることにより、事業計画の妥当性を伝えられる可能性があります。

また、月々の経費を50万円と予測した場合、その根拠を明確にする必要があります。「仕入費の見積書」「1か月の光熱費」「従業員1人当たりの人件費」など、50万円の経費を裏付ける根拠を明確にすることにより、事業計画の妥当性を伝えられる可能性があります。

事業計画書を作成する場合、具体的な数値を示す必要があります。具体的な数値を示せなければ、金融機関から事業の計画性が甘いと判断されるおそれがあるため、創業融資における事業計画書の書き方を知りたい人は留意しておきましょう。

分かりやすい表現を意識する

事業計画書の書き方のポイントのひとつは「分かりやすい表現を意識すること」です。事業の実現性を伝えるには、分かりやすい表現を意識することがポイントとなるため、創業融資における事業計画書の書き方を知りたい人は覚えておきましょう。

分かりやすい表現にしたい場合、専門用語を多用しないことが方法のひとつです。金融機関の担当者が業界特有の知識を有しているとは限らないため、専門用語を多用せず、平易な言葉に言い換えることにより、創業者の意図を正確に伝えられる可能性があります。

また、分かりやすい表現にしたい場合、一文を短くすることが方法のひとつです。長い文章は構成が複雑になる関係上、内容が伝わりにくくなるおそれがあるため、一文を短くすることにより、創業者の意図を正確に伝えられる可能性があります。

なお、事業計画書を作成する場合、全体の整合性に留意する必要があります。全体の整合性がとれなければ、事業計画の説得力が損なわれるおそれがあるため、創業融資における事業計画書の書き方を知りたい人は念頭に置いておきましょう。

事業計画書を作成予定の人は項目ごとの記入例を把握する

事業計画書に記入する内容はいくつかの項目に分類できます。項目ごとの記入例を把握することにより、事業計画書の全体像を理解できる可能性があるため、事業計画書を作成予定の人は項目ごとの記入例を把握しておきましょう。

【事業計画書の項目の具体例】

項目 概要
事業内容 商品やサービスの概要を記入する
創業動機 創業する理由や目的を記入する
事業経験 創業者の職務経歴や実績を記入する
投資計画 必要資金や資金調達額を記入する
損益計画 売上高や利益の見込みを記入する

事業計画書の項目は多岐にわたります。「事業内容」「創業動機」「投資計画」など、各項目の記入例を把握することにより、事業計画書の全体像を理解できる可能性があるため、事業計画書を作成予定の人はそれぞれの項目を確認してみましょう。

事業内容

創業融資における事業計画書の項目として挙げられるのは「事業内容」です。事業内容は提供予定の商品やサービスの概要を記入する項目となるため、事業の強みや事業の戦略を落とし込むことにより、事業の実現性を伝えることになります。

【飲食業における事業内容の記入例】

項目 記入例
商品やサービス 〇〇駅周辺の会社員をターゲットとして、本格的なイタリア料理とイタリア産ワインを提供します。個室を多く設けることにより、取引先との会食にも利用しやすい空間を作ります。ランチタイムは会社員向けの手ごろなランチメニューを提供します。
セールスポイント トマトやチーズなど、イタリアから直輸入した食材を使用することにより、本格的なイタリア料理を提供します。薪窯を使って焼き上げるピザが自慢のメニューです。料理の高い品質を保ちつつ、日常的に利用しやすい価格設定を目指します。
競合の状況 〇〇駅周辺は居酒屋やチェーン系レストランが多数ありますが、にぎやかな雰囲気の飲食店が多いと分析しています。接待や会食向けの店舗が少ない状況です。複数の個室を備えることにより差別化を図り、会社員や法人の需要を取り込めると考えています。

事業内容に盛り込む要素として挙げられるのは「セールスポイント」です。「イタリアから直輸入した食材を使用」「薪窯を使ったピザ」「日常的に利用しやすい価格設定」など、具体的なセールスポイントを記入することにより、事業の強みを落とし込むことになります。

また、事業内容に盛り込む要素として挙げられるのは「競合の状況」です。「周辺の飲食店の分析」や「周辺の飲食店との違い」など、競合する業者と差別化する方法を記入することにより、事業の戦略を落とし込むことになります。

なお、事業内容を整理するときはポジショニングマップを作成する方法があります。ポジショニングマップは切り口が異なる縦軸と横軸を設け、競合する業者と自身のポジションを検討する方法となるため、事業内容を整理するときは予備知識として覚えておきましょう。

創業動機

創業融資における事業計画書の項目として挙げられるのは「創業動機」です。創業動機は創業する理由や目的を記入する項目となるため、創業前の準備内容や創業後の事業方針を落とし込むことにより、事業の実現性を伝えることになります。

【運送業における創業動機の記入例】

大学卒業後は運送会社に15年間勤務し、配送業務や配車管理業務に従事してきました。地域の中小企業から小口配送や緊急配送に関する相談を受ける機会が多かったため、柔軟な対応ができる運送サービスへの需要を感じるようになりました。そして、地域の中小企業の物流を支援する運送業の創業を目指し、毎月の貯蓄を続けてきました。工面できた自己資金は200万円を超えています。現在は創業後の契約を予定している取引先が10社あるため、安定した受注が見込める状況です。事業として成り立つと判断したため、このタイミングでの創業を決意しました。

創業動機に盛り込む要素として挙げられるのは「創業に向けた行動」です。「自己資金の工面」「取引先との関係性構築」「受注見込みの確保」など、創業に向けた行動を具体的に記入することにより、創業前の準備内容を落とし込むことになります。

創業動機に盛り込む要素として挙げられるのは「事業のビジョン」です。「解決したい課題」「地域への貢献」「取引先への価値提供」など、事業のビジョンを具体的に記入することにより、創業後の事業方針を落とし込むことになります。

なお、創業動機は創業者の熱意をアピールできる項目でもあります。思い付きの動機ではなく、創業に向けた計画性を示すことにより、金融機関の担当者に熱意を伝えられる可能性があるため、創業動機を記入するときは念頭に置いておきましょう。

事業経験

創業融資における事業計画書の項目として挙げられるのは「事業経験」です。事業経験は創業者の職務経歴や実績を記入する項目となるため、事業内容との一貫性や創業後に活かせる能力を落とし込むことにより、事業の実現性を伝えることになります。

【IT業における事業経験の記入例】

項目 記入例
職務経歴 平成20年4月:〇〇株式会社に入社。保守運用を担当。
平成23年8月:プロジェクトリーダーに昇進。システム開発や進行管理を担当。
平成26年4月:株式会社〇〇に入社。課長職として、予算管理や人材育成を担当。
令和4年4月:部長職に昇進。事業戦略の立案やマネジメントを担当。
取得資格 平成21年:基本情報技術者試験に合格
平成29年:応用情報技術者試験に合格
令和3年:高度情報処理技術者試験(プロジェクトマネージャ試験)に合格

事業経験に盛り込む要素として挙げられるのは「職務経歴」です。「入社した会社名」「就任した役職名」「担当した業務内容」など、具体的な職務経歴を記入することにより、事業経験と事業内容との一貫性を落とし込むことになります。

また、事業経験に盛り込む要素として挙げられるのは「取得資格」です。「取得した資格名」「取得した時期」「資格の概要」など、取得した資格を記入することにより、創業後に活かせる能力を落とし込むことになります。

なお、事業経験が乏しい場合、異業種の経験を記入することも方法のひとつです。「営業」や「経理」など、異業種の経験でも経営に活かせる可能性があるため、事業経験が乏しいときは異業種の経験と経営の関連性を意識しつつ、記入することを検討してみましょう。

投資計画

創業融資における事業計画書の項目として挙げられるのは「投資計画」です。投資計画は創業時の必要資金や資金調達額を記入する項目となるため、それぞれの内訳や合計額を落とし込むことにより、事業の実現性を伝えることになります。

【建築業における投資計画の記入例】

投資計画 金額 調達方法 金額
設備資金 事業用不動産取得など 自己資金 預金
・物件取得費
・保証金
100万円
20万円
普通預金 300万円
改装費 預金以外
・内装工事費 80万円 なし 0
機械器具など 借入金 本件借入金
・車両費
・設備費
100万円
100万円
〇〇信用金庫 500万円
設備資金の合計 400万円 その他の借入金
運転資金 仕入資金 親族 70万円
・材料費
・燃料費
180万円
100万円
その他 その他の資金
人件費 なし 0
・人件費
・社会保険料
100万円
20万円
その他
・広告費
・光熱費
10万円
60万円
運転資金の合計 470万円
合計 870万円 合計 870万円

※東京信用保証協会の公式サイトにある「中小企業向け書式ダウンロード」を参考に株式会社Solabo作成

投資計画に盛り込む要素として挙げられるのは「設備資金の内訳」です。「物件取得費」「内装工事費」「車両費」「設備費」など、設備資金の内訳を記入することにより、必要資金の合計額を落とし込むことになります。

また、投資計画に盛り込む要素として挙げられるのは「資金調達額の内訳」です。「預金による自己資金」「金融機関からの借入金」「親族からの借入金」など、資金調達額の内訳を記入することにより、資金調達の合計額を落とし込むことになります。

なお、設備資金を借り入れたい場合、見積書の提出を求められる場合があります。事業計画書に記入する設備資金の額と見積書の額を一致させる必要があるため、設備資金を記入するときは見積書を入手することを覚えておきましょう。

損益計画

創業融資における事業計画書の項目として挙げられるのは「損益計画」です。損益計画は創業後の売上高や利益の見込みを記入する項目となるため、それぞれの金額や根拠を落とし込むことにより、事業の実現性を伝えることになります。

【美容業における損益計画の記入例】

項目 1期目(月額) 計算根拠
①売上高 120万円 平均単価6,000円×2台×4回転×25日=120万円
②売上原価 18万円 原価率15%(勤務先の実績から算出)
③売上総利益(①-②) 102万円 120万円-18万円=102万円
④人件費 21万円 パート1人:時給1,500円×7時間×20日=21万円
⑤地代家賃 10万円 家賃:10万円
⑥光熱費 4万円 水道代:1.3万円
ガス代:0.7万円
電気代:2万円
⑦減価償却費 2万円 シャンプー台×2台分:2万円
⑧支払利息 1.5万円 〇〇信用金庫:1.5万円
⑨その他経費 3.5万円 広告宣伝費:3.5万円
⑩販売管理費の合計(④~⑨) 42万円 21万円+10万円+4万円+2万円+1.5万円+3.5万円=42万円
⑪営業利益(③-⑩) 60万円 102万円-42万円=60万円

※東京信用保証協会の公式サイトにある「中小企業向け書式ダウンロード」を参考に株式会社Solabo作成

損益計画に盛り込む要素として挙げられるのは「収支の内訳」です。「売上高」「販売管理費」「営業利益」など、収支の内訳ごとの金額を記入することにより、創業後の1期目における損益の見込み額を落とし込むことになります。

また、損益計画に盛り込む要素として挙げられるのは「根拠となる計算式」です。「平均単価×シャンプー台の数×1日の回転数×営業日数」や「時給×1日の勤務時間×日数」など、根拠となる計算式を記入することにより、算出の根拠を落とし込むことになります。

なお、損益計画を記入する場合、資金繰り表を作成する方法があります。資金繰り表は現金の流れを予測する書類となる関係上、損益計画の参考になる可能性があるため、損益計画を記入するときは資金繰り表を作成することも検討してみましょう。

検討中の申込先がある人はフォーマットの有無を確認する

創業融資の場合、申込先が事業計画書のフォーマットを用意している場合があります。記入を求められる項目は申込先ごとに異なる可能性があるため、検討中の申込先がある人は事業計画書のフォーマットの有無を確認してみましょう。

【フォーマットを公開している申込先の具体例】

申込先 フォーマット
日本政策金融公庫 各種書式ダウンロード
東京信用保証協会 中小企業向け書式ダウンロード

フォーマットの有無を確認したい場合、申込先の公式サイトを検索することが方法のひとつです。「事業計画書の書式ダウンロード」や「創業計画書のテンプレート」など、公式サイトの創業融資に関するページからフォーマットの有無を確認できる可能性があります。

また、フォーマットの有無を確認したい場合、申込先の窓口に問い合わせることが方法のひとつです。「最寄りの支店」や「相談ダイヤル」など、創業者向けの窓口に問い合わせることにより、フォーマットの有無を確認できる可能性があります。

なお、指定のフォーマットがない場合、自身で事業計画書を作成することを検討する余地があります。「Excel」や「PowerPoint」など、ツールを活用することにより、事業計画書を作成できるため、事業計画書を作成予定の人は覚えておきましょう。

まとめ

創業融資における事業計画書を作成したい場合、ポイントは事業計画書から事業の実現性を伝えることです。創業期は事業実績が乏しい関係上、事業計画書から事業の実現性を伝える必要があるため、事業計画書の書き方を知りたい人はその前提を踏まえておきましょう。

事業計画書に記入する内容はいくつかの項目に分類できます。項目ごとの記入例を把握することにより、事業計画書の全体像を理解できる可能性があるため、事業計画書を作成予定の人は項目ごとの記入例を把握しておきましょう。

創業融資の場合、申込先が事業計画書のフォーマットを用意している場合があります。記入を求められる項目は申込先ごとに異なる可能性があるため、検討中の申込先がある人は事業計画書のフォーマットの有無を確認してみましょう。

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