法人成りするときは創業融資を受けられるのか?

株式会社や合同会社など、法人成りを予定している人の中には、金融機関から融資を受けることを検討している人もいますよね。その際、創業融資が気になっていることにより、法人成りするときは創業融資の対象となるのかどうかを知りたい人もいるでしょう。

当記事では、法人成りするときは創業融資を受けられるのかどうかを解説します。いくつかの創業融資制度を具体例として解説するため、法人成りするときは創業融資を受けられるのかどうかを知りたい人は参考にしてみてください。

法人成りするときは創業融資を受けられない可能性がある

個人事業主から法人成りする場合、創業融資を受けられない可能性があります。創業融資は開業年数の条件が設けられている関係上、法人成りするときは創業融資を受けられない可能性があるため、法人成りする予定の人はその前提を踏まえておきましょう。

金融機関から創業融資を受ける場合、対象者の条件を確認することになります。創業融資は創業予定の人や創業直後の人を対象とした制度となる関係上、開業年数の条件が定められているため、創業融資を受けたい人は開業年数の条件を満たしている必要があります。

また、法人成りの場合、個人事業主としての開業年数を通算することになります。開業年数が条件となる年数を超えている人は創業融資の条件を満たせないため、個人事業主から法人成りするときは創業融資を受けられない可能性があります。

なお、創業融資の対象に含まれるかどうかは創業融資制度の条件次第です。法人成りの場合は個人事業主として開業後の年数を通算する関係上、創業融資制度の条件によっては対象外になる可能性があるため、法人成り後に創業融資を受けたい人は留意しておきましょう。

開業年数の条件は創業融資制度ごとに異なる

開業年数の条件は創業融資制度ごとに異なります。開業年数の条件を確認することにより、利用できる創業融資制度が見つかる可能性があるため、法人成り後に創業融資を受けたい人は創業融資制度ごとの開業年数の条件を確認してみましょう。

【創業融資制度ごとの開業年数の条件】

創業融資制度 開業年数の条件
日本政策金融公庫
「新規開業・スタートアップ支援資金」
事業開始後おおむね7年以内
東京都
中小企業制度融資「創業」
個人で創業した日から通算5年未満

たとえば、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」の場合、開業年数の条件は「事業開始後おおむね7年以内」です。個人事業主としての事業開始からおおむね7年以内ならば条件を満たせるため、法人成りの場合でも対象となる可能性があります。

また、東京都中小企業制度融資「創業」の場合、開業年数の条件は「個人で創業した日から通算5年未満」です。個人事業主としての事業開始から5年未満ならば条件を満たせるため、法人成りの場合でも対象となる可能性があります。

なお、創業融資制度を利用したい場合、開業年数以外の条件も確認する必要があります。「対象地域」や「対象業種」など、条件が設けられている創業融資制度もあるため、法人成り後に創業融資を受けたい人は留意しておきましょう。

創業融資の対象になる場合は法人成りにおける審査のポイントを押さえる

創業融資の対象になる場合でも、審査を通過しなければ創業融資を受けることができません。審査のポイントを押さえることにより、審査に向けた準備を進められる可能性があるため、創業融資の対象になる人は審査のポイントを確認してみましょう。

【法人成りにおける審査のポイント】

  • 個人事業主としての実績
  • 法人成り後の事業計画
  • 法人代表者の信用情報

法人成りにおける審査のポイントとして挙げられるのは「個人事業主としての実績」「法人成り後の事業計画」「法人代表者の信用情報」です。審査に向けた準備を進められる可能性があるため、創業融資の対象になる人はそれぞれの項目を確認してみましょう。

個人事業主としての実績

法人成りにおける審査のポイントとして挙げられるのは「個人事業主としての実績」です。創業融資の可否を決める判断材料として金融機関から確認される可能性があるため、法人成り後に創業融資を受けたい人は個人事業主としての実績を確認しておきましょう。

【個人事業主としての実績における項目】

項目 概要
売上実績 ・売上高の推移は?
・売上高の安定性は?
・売上高の成長性は?
利益実績 ・利益額の状況は?
・利益率の推移は?
・経費率の推移は?
取引実績 ・受注件数の推移は?
・継続的な取引先数は?
・取引先の分散状況は?
納税実績 ・税金滞納の有無は?
・所得税の納付状況は?
・消費税の納付状況は?

たとえば、個人事業主の実績における項目のひとつは「利益実績」です。「利益額の状況」「利益率の推移」「経費率の推移」など、利益に関する事業実績を具体的に示すことにより、金融機関の担当者に事業の収益性を伝えられる可能性があります。

また、個人事業主の実績における項目のひとつは「取引実績」です。「受注件数の推移」「継続的な取引先数」「取引先の分散状況」など、取引に関する事業実績を具体的に示すことにより、金融機関の担当者に顧客基盤の強さを伝えられる可能性があります。

なお、創業融資を申し込む場合、実績の根拠を示す書類を提出することになります。「確定申告書」「預金通帳」「契約書」「ポートフォリオ」など、実績の根拠を示す書類を用意する必要があるため、法人成り後に創業融資を受けたい人は覚えておきましょう。

法人成り後の事業計画

法人成りにおける審査のポイントとして挙げられるのは「法人成り後の事業計画」です。創業融資の可否を決める判断材料として金融機関から確認される可能性があるため、法人成り後に創業融資を受けたい人は法人成り後の事業計画を策定しておきましょう。

【法人成り後の事業計画における項目】

項目 具体例
事業内容 ・法人化の理由は?
・法人化後の体制は?
・継続する事業内容は?
着手状況 ・設備発注の有無は?
・頭金支払いの有無は?
・許認可取得の有無は?
運転資金 ・仕入費の内訳は?
・人件費の内訳は?
・運転資金の合計額は?
設備資金 ・物件取得の有無は?
・機械導入の有無は?
・設備資金の合計額は?
資金調達 ・借入金の有無は?
・自己資金の額は?
・自己資金の預け先は?
収支計画 ・売上高の見込みは?
・経費率の見込みは?
・利益額の見込みは?
取引先 ・継続可能な販売先は?
・継続可能な仕入先は?
・継続可能な外注先は?

たとえば、法人成り後の事業計画の項目のひとつは「事業内容」です。「法人化の理由」「法人化後の体制」「継続する事業内容」など、法人成りの理由や法人成り後の方針を落とし込むことにより、金融機関の担当者に法人化の妥当性を伝えられる可能性があります。

また、法人成り後の事業計画の項目のひとつは「収支計画」です。「売上高の見込み」「経費率の見込み」「利益額の見込み」など、売上高や利益額の見込みを落とし込むことにより、金融機関の担当者に事業の成長性を伝えられる可能性があります。

なお、事業計画を策定するときは個人事業主としての実績との一貫性が求められます。将来の事業計画と過去の実績に乖離がある場合、金融機関の担当者から事業計画の妥当性を疑問視されるおそれがあるため、事業計画を策定するときは留意しましょう。

法人代表者の信用情報

法人成りにおける審査のポイントとして挙げられるのは「法人代表者の信用情報」です。創業融資の可否を決める判断材料として金融機関から確認される可能性があるため、法人成り後に創業融資を受けたい人は自身の信用情報を把握しておきましょう。

【信用情報の概要】

項目 概要
記録される情報 ・住宅ローン
・カードローン
・ビジネスローン
・クレジットカード
・スマホ本体の分割払いなど
記録される事故情報 ・長期延滞
・強制解約
・債務整理
・民事再生
・代位弁済など

記録される情報として挙げられるのは「ビジネスローン」です。「当初貸出額」「担保有無」「残債額」など、個人事業主としてビジネスローンを利用した場合は信用情報に記録されるため、金融機関の担当者から利用状況を確認される可能性があります。

また、記録される事故情報として挙げられるのは「長期延滞」です。「住宅ローンの返済」や「スマホ本体の分割払い」など、支払いが61日以上または3か月以上遅れた場合は事故情報として記録されるため、金融機関から事故情報を懸念されるおそれがあります。

なお、個人事業主としての借入金が残っている場合、債務への対応が必要です。「免責的債務引受」や「併存的債務引受」など、債務への対応はいくつか考えられるため、法人設立前に事業資金を借入していた人は借入先に相談することを検討してみましょう。

創業融資の対象外になる場合は別の融資制度を検討する

創業融資の対象外になる場合でも、融資を申し込めないわけではありません。金融機関は事業者の状況に応じた融資制度を展開しているため、創業融資の対象外になる人は創業融資以外の融資制度を検討してみましょう。

【創業融資以外の融資制度の具体例】

融資制度 概要
日本政策金融公庫
「一般貸付」
<対象者>
ほとんどの業種の中小企業
<融資限度額>
4,800万円(特定設備資金の場合は7,200万円)
<返済期間>
設備資金:10年以内(うち据置期間2年以内)
運転資金:5年以内(うち据置期間1年以内)
東京都
中小企業制度融資「事業一般」
<対象者>
中小企業者または組合
<融資限度額>
2億8,000万円
<返済期間>
設備資金:10年以内(うち据置期間6か月以内)
運転資金:7年以内(うち据置期間6か月以内)

創業融資の対象外になる場合、選択肢のひとつは日本政策金融公庫の「一般貸付」です。開業年数の条件が定められていない関係上、創業融資の対象外になる法人も利用できる可能性があるため、日本政策金融公庫が気になる人は一般貸付を検討する余地があります。

また、創業融資の対象外になる場合、選択肢のひとつは東京都中小企業制度融資の「事業一般」です。開業年数の条件が定められていない関係上、創業融資の対象外になる法人も利用できる可能性があるため、東京都内の法人は事業一般を検討する余地があります。

なお、創業融資の対象外になる場合、地域密着型の民間金融機関も検討する余地があります。「地方銀行」や「信用金庫」など、地域密着型の民間金融機関は地域の事業者を重点的に支援している可能性があるため、気になる人は民間金融機関も検討してみましょう。

まとめ

個人事業主から法人成りする場合、創業融資を受けられない可能性があります。創業融資は開業年数の条件が設けられている関係上、法人成りするときは創業融資を受けられない可能性があるため、法人成りする予定の人はその前提を踏まえておきましょう。

創業融資の対象になる場合でも、審査を通過しなければ創業融資を受けることができません。審査のポイントを押さえることにより、審査に向けた準備を進められる可能性があるため、創業融資の対象になる人は審査のポイントを確認してみましょう。

なお、創業融資の対象外になる場合でも、融資を申し込めないわけではありません。金融機関は事業者の状況に応じた融資制度を展開しているため、創業融資の対象外になる人は創業融資以外の融資制度を検討してみましょう。

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