信用金庫から融資を受けるためには、審査に通る必要があります。審査では信用情報などの事業者に向けた審査と、事業計画など事業内容の二点が見られ、返済能力が無いと判断されてしまえば審査落ちになってしまいます。
当記事では信用金庫に返済能力があると示すために、審査に向けてどのような対策を行っていくべきかを解説します。信用金庫の融資に申し込む予定の人は参考にしてみてください。
事業者に向けた審査項目で行うべき対策
信用金庫が事業者において審査している項目で対策しておくべき点は以下の通りです。
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信用金庫はどのように自己資金を貯めたか、これまでの支払いは問題ないかを、過去の通帳や信用情報から審査します。場合によっては数か月から数年かかることもあるので、前もって計画的に準備していきましょう。
信用情報に問題がない状態にする
信用情報に異動情報が残っている可能性がある人は、信用情報に問題がない状態にしてから申込みをしましょう。信用金庫は返済能力の判断材料として信用情報を確認するため、信用情報に異動情報がある場合、審査に通らない可能性があるためです。
異動情報とは延滞や債務整理などの事故があった際に、信用情報機関に登録される事故情報のことを指します。過去に3ヵ月以上の支払いの延滞、自己破産、個人再生や債務整理を行うと信用情報機関に異動情報が登録されます。
異動情報は一定期間を経て解消されます。登録される情報や異動情報が解消される期間は管理している信用情報機関によって異なるため、下記の表を参考にしてみてください。
信用情報機関名 | 分類 | 遅延 | 任意整理 | 自己破産 | 強制解約 |
株式会社CIC (CIC) |
主にクレジットカード会社関連の信用情報 | 5年 | 5年 | 7年 | |
日本信用情報機構 (JICC) |
主に消費者金融関連の信用情報 | 1年 | 5年 | 5年 | 5年 |
全国銀行個人信用情報センター(KSC) | 主に銀行に関連する信用情報 | 5年 | 5年 | 10年 | 5年 |
遅延であれば1年、自己破産は最長で10年間異動情報が登録されており、異動情報が残っている期間は融資審査に通らない可能性があるので、情報が抹消されてから申込みを行いましょう。
カードローンやキャッシングを完済する
カードローンやキャッシングなどの無担保の借り入れがある場合は、できるだけ完済してから申込みましょう。カードローンやキャッシングローンの借り入れは審査にマイナスな印象を与え、残高があると融資に通らない可能性があるためです。
カードローンやキャッシングを利用している場合、既存の借入に加えて新たに借りた融資の返済もできるのか、その返済ができるほどの事業実績が見込めるかという部分が審査されます。
カードローンやキャッシングに加えて月々の融資の返済が見込めないと判断された場合は審査に通らないため、カードローンやキャッシングは完済してから申込みするのが望ましいです。
ただし、現在利用しているカードローンやキャッシングを問題なく返済できており、かつ新たに借りる融資の月々の返済が見込める場合や、発注書などで具体的な売上見込みを示せる場合などはカードローンやキャッシングがあっても融資に通る可能性があります。
カードローンやキャッシングの金額や事業の見込みから信用金庫の融資審査に通るか知りたい人は無料診断してみてください。
自己資金を貯める
自己資金はできるだけ貯めてから申し込みをしましょう。創業時の融資審査では、自己資金と借り入れの希望額の割合が確認され、自己資金の割合が多いほど審査が有利になるためです。
自己資金とは企業や個人事業主が事業のために準備したお金のことで、貯金や親族からの援助などのお金が自己資金としてみなされます。一方、銀行に預けていなかったタンス預金やカードローンやキャッシングで借りたお金は自己資金としてみなされないので注意しましょう。
事業に必要な資金に対する自己資金の割合が多いほど、申込者に対する信用度が高まり審査で有利になります。一般的に開業資金に対してどのくらいの自己資金を貯めておけば良いという基準は公表されていませんが、開業資金の3割程度自己資金があると良いでしょう。
事業内容に向けた審査項目で行うべき対策
信用金庫が事業内容で審査している項目に向けて対策すべき点は以下の通りです。
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融資の審査において信用金庫に「返済が見込める」と判断してもらうため、融資の申込み時は提出する内容の根拠や具体性を示せるように準備していきましょう。
資金の使い道と金額を明確にする
資金の使い道と金額を明確にしてから申し込みましょう。融資で借りた資金の使い道や金額が不明確だと計画性がないと判断され審査に通らない可能性があるためです。
信用金庫の融資は事業に必要な分の資金しか借り入れることができません。そのため融資を申し込む際に、設備資金や運転資金にかかる費用を明確にし、申し込んだ金額が事業に必要であることを示さなければいけません。
たとえば、物件取得費や内装工事費といった設備資金は事前に見積書など金額がわかる書類を準備し、どのくらいの金額が必要かを見立てておきましょう。
また、人件費や水道光熱費といった運転資金は業種によって異なりますが、一般的に3ヵ月程度の計上が妥当です。どのくらいの費用がかかりそうかを事前に計算し、事業計画書に盛り込みましょう。
見積書や事業計画書などを準備することでその資金が必要である根拠ができます。審査において計画性があるという評価にもつながるので、資金の使い道や金額は明確にしてから申込みを行いましょう。
妥当性のある事業計画書を準備する
融資を申し込む際に提出する事業計画書は、実現が可能だと思われるような経験やデータに基づいた妥当性のある事業計画書を作成しましょう。事業計画書に妥当性がないと、事業に対して将来性がないと思われ、審査に通らない可能性があるためです。
事業計画書の内容に妥当性があると示すため、顧客数や単価などの数値には根拠のある内容を記載しましょう。たとえば顧客数であれば、前職で獲得したお客様で独立後に利用していただける人が何人いるか、発注見込みのある取引先が何件あるか、など融資を受けた後にどれくらいの売上が見込めるかを示せると良いでしょう。
事業計画書に記載した数値などの根拠をしっかりと説明できるようにすることで、審査の際に事業計画書に妥当性があると示すことができます。
はじめての融資取引は信用保証協会の保証を利用する
創業期やはじめて信用金庫から融資を借りる際は、信用保証協会の保証付き融資を利用しましょう。信用保証協会から保証してもらうことで、信用金庫から直接融資を受けるよりも審査に通りやすい傾向があるためです。
信用保証協会の保証を付けると、事業者が融資の返済をできなくなった時に、事業者の代わりに信用保証協会が代位弁済を行います。信用金庫にとっては融資を回収できないリスクが軽減されるため、事業者に融資をしやすくなります。
ただし代位弁済となった場合、事業者は信用金庫ではなく信用保証協会へ融資を返済する必要があります。融資の返済が無くなるわけではないので、留意しておきましょう。
信用保証協会の保証付き融資を利用する場合、信用金庫の審査に加えて信用保証協会でも審査が行われます。融資を利用するためには、双方の審査に通る必要があるため、信用保証協会の審査基準も確認しておきましょう。
信用金庫の審査基準について知りたい人は「信用保証協会の審査は厳しい?審査基準と審査難易度を解説」の記事を参考にしてください。
まとめ
信用金庫の審査では事業者に向けた審査項目と事業内容に向けた審査項目の双方から審査が行われます。対策をしっかりと行うことで、返済能力や計画性があると判断される可能性が高くなります。
事業者に向けた審査項目は融資に向けて時間をかけて行う準備です。3割を目安に自己資金を貯める、信用情報の問題をなくすといったことは、一定の時間がかかるのであらかじめ準備しておきましょう。
事業内容に向けた審査項目では信用金庫に提出する書類などをより具体化していく必要があります。仕事の経験などから、提出する書類や金額などの内容を具体化できるようにしておきましょう。
また創業時やはじめての信用金庫の融資は信用保証協会の信用保証付き融資を利用することで審査に通りやすくなる可能性があるので、このような制度を活用してみましょう。