目安は何年?創業融資を受けるときの返済期間を解説

創業融資を検討している人の中には、返済期間をどのくらいに設定するのか気になっている人もいますよね。返済期間は審査担当者と相談して決めることになりますが、返済期間の目安を知ることにより、返済計画を立てることにも役立つ可能性があります。

当記事では、創業融資を受けるときの返済期間を解説します。返済期間の目安を知りたい人は参考にしてみてください。

資金の使い道によって返済期間の目安は異なる

創業融資の返済期間の目安は、資金の使い道によって異なります。設備資金か運転資金のどちらかによって最長の返済期間は決められているため、設備資金か運転資金のどちらかによって返済期間の目安も異なります。

【創業融資の返済期間の例】

申込先の例 返済期間
日本政策金融公庫
「新規開業資金」
【設備資金】
20年以内(そのうち据置期間は5年以内)
【運転資金】
10年以内(そのうち据置期間5年以内
信用保証協会:東京都の制度融資
「都創業融資」
【設備資金】
10年以内(そのうち据置期間1年以内)
【運転資金】
7年以内(そのうち据置期間1年以内

設備資金の最長の返済期間は10年から20年以内に設定される傾向があります。設備によっては多額の資金投入が必要になるため、設備資金は運転資金よりも返済期間を長く設定できる傾向にあります。

運転資金の最長の返済期間は7年から10年以内に設定される傾向があります。運転資金は日々の資金繰りに活用する資金のため、事業の売上や収益によって回収することを想定し、設備資金よりも返済期間は短く設定される傾向にあります。

資金の使い道によって最長の返済期間は異なります。設備資金か運転資金かによって返済期間の目安も変わるため、創業融資を検討している人は資金の使い道ごとに返済期間の目安を確認してみましょう。

設備資金の返済期間は設備の耐用年数を目安とする

設備資金の返済期間は、購入する設備の耐用年数を目安とする考え方があります。事業に使用する設備には耐用年数が設定されるため、国税庁による「主な減価償却資産の耐用年数表」を参考に設備ごとの耐用年数を確認してみましょう。

【設備ごとの耐用年数の例】

設備の例 耐用年数
自動車 4年~6年(車両の種類により異なる)
機械装置 3年~12年(機械設備の種類により異なる)
※食料品製造業用設備は10年
事務机、事務イスなど 8年~15年
パソコン 4年~5年

※国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」を参考に株式会社SoLaboが作成

自動車の耐用年数は4年~6年です。車両の種類により異なりますが、4年~6年を目途に修理や買い替えが発生する可能性があるため、創業融資を受けて自動車を購入する場合は、4年~6年の間に返済期間を設定することを検討します。

機械装置の耐用年数は3年~12年です。機械装置の種類により異なりますが、大型の装置の耐用年数は10年程度となる傾向があるため、創業融資を受けて機械装置を購入する場合は、10年程度の返済期間を設定することを検討します。

なお、今回紹介した耐用年数は一例です。設備によって耐用年数は異なるため、設備資金を借入するときは「買い替え時期の目安」「修繕時期の目安」などの情報を参考に、返済期間を設定することを検討してみてください。

運転資金の返済期間は5年から7年以内を目安とする

運転資金の返済期間は5年から7年以内を目安とする考え方があります。事業の収益力や運転資金の借入目的によって返済期間は異なりますが、創業時に借入する運転資金の返済期間は、5年~7年以内に設定される傾向にあります。

創業時は事業の収益力が不確かな状態のため、返済期間を長くする傾向にあります。収益力がある事業者の場合は3年程度の返済期間に設定することもありますが、返済期間を長くすることにより毎月の返済負担を抑えられるため、創業融資の返済期間は5年~7年以内に設定する傾向にあります。

一方、返済期間を長くすると金利の負担が増えます。事業再生を行っている事業者の場合は10年超の返済期間に設定することもありますが、創業時は金利による返済負担を考慮して、創業融資の返済期間を5年~7年以内に設定する傾向にあります。

融資を受けた場合、事業の利益から返済することになります。とくに運転資金を借入した場合は、毎月の収益から返済することを想定するため、5年から7年以内を目安に、負担のない範囲での返済期間を設定することを検討してみてください。

創業融資を受けるときは据置期間を設定することも検討する

創業融資を受けるときは据置期間を設定することも検討しましょう。据置期間を設定することにより、創業直後の返済負担を抑えられるため、創業融資を検討している人は据置期間の有無による返済負担の違いを確認してみましょう。

【据置期間の設定有無による返済負担の違い】

融資条件 返済金額
融資金額:300万円
返済期間:5年間
金利:2.6%
据置期間:12か月
1年目:78,000円
2年目:819,063円
3年目:799,563円
4年目:780,063円
5年目:760,563円
返済総額:3,237,252円
融資金額:300万円
返済期間:5年間
金利:2.6%
据置期間:0か月
1年目:670,850円
2年目:655,250円
3年目:639,650円
4年目:624,050円
5年目:608,450円
返済総額:3,198,250 円

据置期間を設定すると、その期間は利息のみ支払うことになります。据置期間が12か月の場合、最初の1年目は利息のみを支払い、2年目から5年目の期間で元金を返済することになるため、創業直後の返済負担を抑えることができます。

据置期間を設定しない場合、原則として融資を受けた翌月から元金と利息の返済が始まります。創業直後は事業が安定しない傾向にあるため、余裕資金が不足している場合、返済するための資金繰りが難しくなる可能性があります。

ただし、据置期間を設定している方が返済総額は高くなります。据置期間を設定していると元金が減るのが遅れるため、据置期間を設定していない場合と比較すると返済総額が大きくなる点を留意しておきましょう。

なお、返済期間による返済金額を試算したい場合は、「事業資金用 返済シミュレーション」を活用できます。「返済期間」「融資金額」「金利」などの条件を入力することにより返済金額が試算できるため、返済期間を決めるときに役立ててみてください。

まとめ

創業融資の返済期間の目安は、資金の使い道によって異なります。設備資金か運転資金のどちらかによって最長の返済期間は決められているため、設備資金か運転資金のどちらかによって返済期間の目安も異なります。

創業融資を受けるときは据置期間を設定することも検討しましょう。据置期間を設定することにより、創業直後の返済負担を抑えられるため、創業融資を検討している人は据置期間の有無による返済負担の違いを確認してみましょう。

なお、返済期間による返済金額を試算したい場合は、「事業資金用 返済シミュレーション」を活用できます。「返済期間」「融資金額」「金利」などの条件を入力することにより返済金額が試算できるため、返済期間を決めるときに役立ててみてください。

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