創業融資を受けるために自己資金はいくら必要か?

美容院や飲食店などの開業を考えている人の中には、創業融資を受けるためには自己資金がいくら必要なのか気になる人もいるでしょう。自己資金の不足を不安に思う人もいるかもしれません。

当記事では、創業融資を受けるために必要な自己資金を解説します。自己資金が足りない場合に検討できる方法も紹介しているため、創業融資を受けたい人は参考にしてみてください。

創業融資を受けるために用意する自己資金の目安は2割から3割

創業融資を受けるために用意する自己資金の目安は2割から3割程度です。あくまでも目安のため、2割~3割の自己資金が用意できずとも創業融資を受けられる可能性はありますが、自己資金を貯めている人は2割から3割を目安にしてみてください。

日本政策金融公庫総合研究所の「2023年度新規開業実態調査~アンケート結果の概要~」によると、創業時の自己資金の割合は23.8%でした。創業にかかる費用総額は1,180万円が平均値となり、そのうち自己資金額は280万円が平均値でした。

また、日本政策金融公庫総合研究所の「2023年度新規開業実態調査~アンケート結果の概要~」によると、創業にかかる費用の総額の中央値は550万円でした。仮に550万円で開業する場合は、130万円程度の自己資金を用意することが目安となります。

自己資金は審査の可否を決める要素のひとつとなります。「開業準備の進行状況」「返済能力」などを示す材料のひとつとなるため、創業融資を考えている人は自己資金を2割から3割用意することを検討してみましょう。

自己資金の要件が定められている場合がある

創業融資の申込先によっては、自己資金の要件が定められている場合があります。自己資金の要件がある場合、定められた自己資金の割合を満たさなければ創業融資に申し込めないため、自己資金の要件がある例を確認してみましょう。

【自己資金の要件がある例】

創業融資の申込先  申込条件
大阪府制度融資
「開業・スタートアップ応援資金(地域支援ネットワーク型)」
事業開始に必要な資金の原則 1/10以上の自己資金額を有し、1カ月以内に個人で事業を開始しようとする方など
福岡県の制度融資
「創業支援資金」
創業予定者又は税務申告1期未終了者に限り、創業資金総額の1/10の自己資金を有することなど

大阪府の制度融資に申し込む場合は、自己資金の要件を満たさなければなりません。「自己資金を1/10以上用意している」「1か月以内に開業する」などが申込条件のひとつとなるため、創業にかかる資金の総額から、必要な自己資金額を割り出すことになります。

福岡県の制度融資に申し込む場合も、自己資金の要件を満たさなければなりません。創業資金総額の1/10以上の自己資金を有していることが申込条件のひとつとなるため、創業にかかる資金の総額から、必要な自己資金額を割り出すことになります。

自治体の制度融資を利用する場合は、自己資金の要件が定められている傾向があります。自治体が独自に融資制度を設計している関係上、自治体ごとに申込条件が定められている場合があるため、自治体の制度融資を検討している人は自己資金の要件を確認するようにしましょう。

自己資金が足りない場合はさまざまな方法を検討する

自己資金が足りない場合は、さまざまな方法を検討してみましょう。創業融資を受けるために、自己資金が目安よりも足りないと感じている場合は、自己資金を増やすための方法を検討してみましょう。

 【自己資金が足りない場合に検討できる方法の例】

  • 自己資金として認められるお金を確認する
  • 創業にかかる費用を縮小する

自己資金が足りない場合に検討できる方法として、「自己資金として認められるお金を確認する方法」「創業にかかる費用を縮小する方法」が挙げられます。創業融資を受けるために自己資金を増やしたい人は、それぞれの方法を確認してみましょう。

 自己資金として認められるお金を確認する

自己資金が足りないと感じている人は、自己資金として認められるお金を確認してみましょう。自己資金として認められるお金を押さえておくことにより、自己資金を増やせる可能性があります。

【自己資金として認められるお金の例】

項目  具体例
預金または貯金 ・普通口座にある預金
・積立定期預金
配偶者名義の通帳にある預金 ・配偶者名義の預金
保有資産を換金してできたお金 ・生命保険の解約返戻金
・車両の売却利益
退職金 ・勤め先の退職金
親族から贈与されたお金 ・親から贈与されたお金
・親戚から贈与されたお金

自己資金として認められるお金として「保有資産を換金してできたお金」が挙げられます。「生命保険の解約返戻金」「車両の売却利益」など、保有資産を現金化した場合は、自己資金として認められます。

自己資金として認められるお金として「親族から贈与されたお金」が挙げられます。「親から贈与されたお金」「親戚から贈与されたお金」など、親族から借りたのではなく、贈与されたお金であれば、自己資金として認められる傾向があります。

なお、自己資金として認められるお金の共通項は、出所が確認できるお金であることです。「親族の通帳の原本」「退職金が記載された源泉徴収票」など、自己資金を証明するために資料の提示を求められる場合があることを留意しておきましょう。

自己資金として認められないお金も押さえておく

自己資金として認められないお金は「出所が確認できないお金」です。創業融資を受けるために自己資金を増やしたいと考えている人は、自己資金として認められないお金があることも押さえおきましょう。

【自己資金として認められないお金の例】

項目  具体例
タンス預金 ・自宅で貯めていたお金
・入出金の記録が不明なお金
借りたお金 ・親族から借入したお金
・金融機関から借入したお金

タンス預金は自己資金として認められません。「貯金箱」「自宅の金庫」などのタンス預金は、貯蓄の経過やお金の出所が客観的な資料で確認できないため、自己資金として認められない可能性が高いです。

借りたお金は自己資金として認められません。「親族から借入したお金」「キャッシングしたお金」など、返済義務があるお金は自身が所有しているお金ではないため、自己資金として認められません。

なお、一時的に借入したお金を自己資金と偽って創業融資を受ける行為を見せ金と言います。見せ金は悪質な行為とみなされ、詐欺罪に問われるおそれもあるため、自己資金が足りない場合であっても絶対にしないようにしましょう。

 創業にかかる費用を縮小する

自己資金が足りないと感じている人は、創業にかかる費用を縮小することを検討してみましょう。創業融資を受けるための自己資金の目安は、創業にかかる費用の総額のうち2割~3割となるため、創業にかかる費用を見直すことにより、自己資金の割合を増やせる可能性があります。

 【創業にかかる費用の縮小例】

項目 具体例
設備資金を見直してみる ・中古品の機械設備を検討する
・店舗の立地を変更する
運転資金を見直してみる ・雇用人数を減らす
・広告宣伝費を削減する

創業にかかる費用の縮小例として「設備資金の見直し」が挙げられます。「中古品の購入を検討する」「店舗の立地を変更する」など、設備資金を削減できるかどうか見直すことにより、創業にかかる費用を縮小できる可能性があります。

創業にかかる費用の縮小例として「運転資金の見直し」が挙げられます。「雇用人数を減らす」「広告宣伝費を削減する」など、運転資金を削減できるかどうか見直すことにより、創業にかかる費用を縮小できる可能性があります。

なお、創業時に費用を削減しすぎると、創業後の経営に問題が発生するおそれもあります。「中古品がすぐ壊れてしまった」「人手不足により運営ができない」などの問題が発生する場合もあるため、創業後の経営をイメージしながら費用削減を検討してみましょう。

資金計画を立てるときは、専門家に創業相談にのってもらうこともできます。「商工会議所」「地元の金融機関」などが創業セミナーや創業相談会を実施している場合があるため、資金計画を見直したい人はそれぞれの公式サイトを確認してみてください。

先払いしたお金は自己資金としてみなされる

創業にかかる費用を先に支払った場合は、「みなし自己資金」として認められます。創業にかかる費用の縮小を検討している人は、すでに創業のために支払ったお金があるかどうかも含めて資金計画を見直してみましょう。

たとえば、事務所や店舗を借りるための費用を払っていた場合、支払った分の資金は自己資金としてみなされます。事務所や店舗に設置する設備や備品なども合わせて支払っていた場合も、自己資金としてみなされます。

自己資金として認められるには、「領収書」が必要です。「購入したもの」「支払日」「金額」などの情報が記載された領収書を金融機関に提出することにより、みなし自己資金として認められます。

なお、購入したものは事業計画書に記載しておきましょう。事業計画書に記載しておくことにより、領収書の内容と照らし合わせて申告できるため、すでに創業にかかる費用の一部を支払っている場合は、事業計画書に記載しておきましょう。

まとめ

創業融資を受けるために用意する自己資金の目安は2割から3割程度です。あくまでも目安のため、2割~3割の自己資金が用意できずとも創業融資を受けられる可能性はありますが、自己資金を貯めている人は2割から3割を目安にしてみてください。

自己資金が足りないと感じている人は、自己資金として認められるお金を確認してみましょう。自己資金として認められるお金を押さえておくことにより、自己資金を増やせる可能性があります。

自己資金が足りないと感じている人は、創業にかかる費用を縮小することを検討してみましょう。創業融資を受けるための自己資金の目安は、創業にかかる費用の総額のうち2割~3割となるため、創業にかかる費用を見直すことにより、自己資金の割合を増やせる可能性があります。

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