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据置期間とは?設定するメリットとデメリットを創業融資の観点から解説

創業融資を申し込むときに、据置期間の設定有無を問われる場合があります。据置期間を設定することにより、返済スケジュールが変わってくるため、創業融資を申し込む場合は据置期間の設定有無を慎重に検討する必要があります。

当記事では、据置期間を設定するメリットとデメリットを創業融資の観点から解説します。創業融資を検討している人や据置期間に関する情報を知りたい人は参考にしてみてください。

据置期間とは元金の返済が猶予される期間のこと

据置期間とは、元金の返済が猶予される期間のことです。融資を受けたあとは原則として翌月から元金と利息の返済が開始されますが、据置期間を設けることにより、元金の返済を一定期間遅らせることができます。

据置期間を設ける目的は、元金の返済を遅らせることにより、融資直後の返済負担を減らすことです。「売上が安定するまでの期間」「設備が導入されるまでの期間」などの一定期間、返済負担を減らすことにより資金繰りが楽になる効果があります。

なお、据置期間中であっても利息の支払いは発生します。据置期間中は元金の返済は開始しませんが、元金の残高に応じて利息の支払いが発生するため、据置期間の設定を検討している人は留意しておきましょう。

なお、当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)では、事業資金に関する融資サポートを実施しています。8,000件以上の融資サポートの実績から回答するため、据置期間に関して気になる点や知りたい点がある人は株式会社SoLabo(ソラボ)に相談することも検討してみてください。

据置期間の上限は創業融資の制度によって異なる

据置期間の上限は創業融資の制度によって異なります。定められた範囲内で据置期間を設定することになるため、据置期間の設定を検討している人は、創業融資の制度における据置期間の上限を確認しておきましょう。

【創業融資における据置期間の例】

制度名 返済期間と据置期間
日本政策金融公庫
「新規開業・スタートアップ支援資金」
≪設備資金≫
返済期間20年以内(うち据置期間5年以内)
≪運転資金≫
返済期間10年以内(うち据置期間5年以内)
神奈川県信用保証協会
「創業支援融資(県制度)」
保証期間1年超10年以内(据置期間1年以内を含む)

たとえば、日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」の据置期間は「5年以内」です。設備資金か運転資金かにかかわらず、据置期間を設定したい場合はどちらも5年を上限として設定するように定められています。

また、神奈川県信用保証協会「創業支援融資(県制度)」の据置期間は「1年以内」です。保証期間1年超10年以内のうち、据置期間を設定したい場合は1年までを上限として設定するように定められています。

なお、据置期間の希望が通るかどうかは金融機関が判断します。据置期間の上限はあくまでも制度上のものであるため、希望する据置期間が設定できるかどうかは、金融機関の担当者による総合的な審査判断により決定する点を留意しておきましょう。

メリットは開業初期の返済負担が減ること

創業融資における据置期間を設定するメリットは、「開業初期の返済負担が減ること」です。開業初期は資金繰りが安定しない傾向にあるため、返済負担を減らすことにより、事業を軌道にのせることに集中できる可能性があります。

今回は「融資額500万円」「固定金利2.1%」「返済期間10年間」の条件から返済額を計算しました。あくまでもシミュレーションとなるため、実際の返済額とは異なりますが、据置期間のメリットが知りたい人は参考にしてみましょう。

【1年間ごとの返済額イメージ】

年数 据置期間なし 据置期間12か月
1年目 600,187円 105,000円
2年目 589,687円 655,210円
3年目 579,187円 643,546円
4年目 568,687円 631,873円
5年目 558,187円 620,206円
6年目 547,688円 608,542円
7年目 537,188円 596,878円
8年目 526,688円 585,211円
9年目 516,188円 573,538円
10年目 505,688円 561,870円

※日本政策金融公庫の公式サイトにある「事業資金用 返済シミュレーション」をもとに株式会社SoLabo(ソラボ)作成

上記の表では、「据置期間を設定していない場合」と「据置期間を12か月設定している場合」を比較しています。据置期間を12か月設定している場合は、返済開始1年目は元金の返済はなく利息のみの支払いとなるため、据置期間を設定していない場合と比較すると返済負担が大きく抑えられています。

日本政策金融公庫「2024年度新規開業実態調査」によると、開業時に苦労したこととして「資金繰り・資金調達」と回答する割合が最も多いです。据置期間を設定することにより、開業初期の返済負担を抑えられるため、資金繰りを安定させられる可能性があります。

なお、据置期間は返済期間の中に含まれます。返済期間が10年のうち、据置期間を1年設定した場合は、残りの9年で元金を返済していくことになるため、据置期間を設定する場合は据置期間後の返済負担を含めて検討してみてください。

デメリットは据置期間終了後の返済負担が増えること

創業融資における据置期間を設定するデメリットは「据置期間終了後の返済負担が増えること」です。据置期間が終了した後は月々の返済額が増えるため、据置期間中に事業が軌道に乗らなかった場合、資金繰りの負担に圧迫される可能性があります。

今回は「融資額500万円」「固定金利2.1%」「返済期間10年間」の条件から返済額を計算しました。あくまでもシミュレーションとなるため、実際の返済額とは異なりますが、据置期間のデメリットが知りたい人は参考にしてみましょう。

【1年間ごとの月々の返済額イメージ】

年数 据置期間なし 据置期間12か月
1年目 年間600,187円÷12か月=月々50,015円 年間105,000円÷12か月=月々8,750円
2年目 年間589,687円÷12か月=月々49,140円 年間655,210円÷12か月=月々54,600円
3年目 年間579,187円÷12か月=月々48,265円 年間643,546円÷12か月=月々53,628円
4年目 年間568,687円÷12か月=月々47,390円 年間631,873円÷12か月=月々52,656円
5年目 年間558,187円÷12か月=月々46,515円 年間620,206円÷12か月=月々51,683円
6年目 年間547,688円÷12か月=月々45,640円 年間608,542円÷12か月=月々50,711円
7年目 年間537,188円÷12か月=月々44,765円 年間596,878円÷12か月=月々49,739円
8年目 年間526,688円÷12か月=月々43,890円 年間585,211円÷12か月=月々48,767円
9年目 年間516,188円÷12か月=月々43,015円 年間573,538円÷12か月=月々47,794円
10年目 年間505,688円÷12か月=月々42,140円 年間561,870円÷12か月=月々46,822円
返済総額 5,529,375円 5,581,874円

※日本政策金融公庫の公式サイトにある「事業資金用 返済シミュレーション」をもとに株式会社SoLabo(ソラボ)が月々の返済額を計算し作成

据置期間を設定していない場合は、1年目の返済負担が最も重く、2年目以降は元金の残高が減るにつれて返済負担も減っていきます。一方、据置期間を1年間に設定している場合は、据置期間中の返済負担が最も軽く、2年目の返済負担が最も重くなっています。

据置期間中に事業を軌道に乗せられなかった場合、据置期間後の返済負担に圧迫される可能性があります。据置期間後に備えて収益が確保できなかった場合は、資金不足に陥って返済を延滞してしまうおそれもあります。

なお、据置期間を設定すると返済総額も増えます。据置期間中は元金の残高が減少しないことから、据置期間を設定しない場合と比較すると利息が増えるため、創業融資の据置期間を設定したい人は返済総額も含めて検討してみてください。

元金据置を希望する場合は期間の根拠を説明する

元金据置を希望する場合は、設定したい据置期間の根拠を説明します。「なぜ据置が必要なのか」「どれくらいの期間が必要なのか」など、根拠のある説明を金融機関から求められるため、据置期間を設定したい場合は準備しておきましょう。

【据置期間を設定する場合の考え方の例】

  • 売上が安定するまでの期間から設定する
  • 売上が入金されるまでの期間から設定する

据置期間を設定する場合は「売上が安定するまでの期間」「売上が入金されるまでの期間」の観点から考える方法があります。これらの観点から考えることにより、据置期間が必要な根拠を示せる可能性があるため、それぞれの考え方を確認してみましょう。

なお、創業融資における据置期間の目安は6ヶ月~1年間です。据置期間が必要な根拠を示した上で、金融機関が据置の妥当性を判断することになりますが、6ヶ月~1年間が目安となる点を留意しておきましょう。

売上が安定するまでの期間から設定する

元金据置を希望する場合は、売上が安定するまでの期間から設定する考え方があります。開業する業種によって売上が安定するまでの期間は異なるため、自身の業種に合った売上予測を立ててみましょう。

たとえば、飲食店の場合は売上が安定するまで相応の時間がかかる可能性があります。「店舗が認知されるまでの期間」「リピーターを獲得する期間」など、来客数の変動による売上が不安定な期間を予測し、その期間は元金据置を希望することを検討する余地があります。

一方、不動産賃貸業の場合は売上が安定するまでの期間が短い可能性があります。「すでに入居者がいる」「借主が法人」など、決まった売上が安定的に入金される場合は、据置期間を設定しないことも検討する余地があります。

なお、数年単位で売上が安定しない事業の場合は、長期の据置期間を設定することも検討してみましょう。とくにスタートアップ事業は開発や研究に時間がかかる関係上、創業当初の数年間は売上がないことも予測されるため、1年以上の据置期間を設定することも検討してみてください。

売上が入金されるまでの期間から設定する

元金据置を希望する場合は、売上が入金されるまでの期間から設定する考え方があります。取引条件や取引内容は開業する業種によって異なるため、自身の業種における売上の入金時期を把握するようにしましょう。

たとえば、インターネットでの小売業の場合、決済システムの関係により売上の入金は1ヶ月~2ヶ月後になる傾向があります。仕入れや広告宣伝費などの支出が先行する場合は一時的に資金繰りが悪化するため、入金までの期間は元金据置を希望することを検討する余地があります。

また、建設業の場合、取引先との契約内容により入金サイクルが大きく異なります。取引規模や取引内容によっては入金時期が数か月単位で変動するため、外注先や仕入先への支払いが滞らないように入金までの期間は元金据置を希望することを検討する余地があります。

売上が入金されるまでの期間が長い業種の場合は、資金繰り表を作成することも検討しましょう。資金繰り表を作成することにより、入金と支出のスケジュールが可視化されるため、経営管理の観点からも作成することを検討してみてください。

まとめ

据置期間とは、元金の返済が猶予される期間のことです。融資を受けたあとは原則として翌月から元金と利息の返済が開始されますが、据置期間を設けることにより、元金の返済を一定期間遅らせることができます。

 据置期間の上限は創業融資の制度によって異なります。定められた範囲内で据置期間を設定することになるため、据置期間の設定を検討している人は、創業融資の制度における据置期間の上限を確認しておきましょう。

 元金据置を希望する場合は、設定したい据置期間の根拠を説明します。「なぜ据置が必要なのか」「どれくらいの期間が必要なのか」など、根拠のある説明が金融機関に求められるため、据置期間を設定したい場合は準備しておきましょう。

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