創業融資を受ける際に利用できる金融機関の中で、銀行と信用金庫のどちらに申し込むべきか悩まれている人もいるのではないでしょうか。
銀行と信用金庫、どちらに申し込んでも審査基準や融資までの期間は変わりません。そのため、申し込み先は融資条件や開業予定の事業規模で判断しましょう。
当記事では、創業融資における銀行と信用金庫の違いを解説しますので、創業融資を申し込む金融機関を選ぶ参考にしてみてください。
創業融資における銀行と信用金庫の違い
創業融資を受ける際の銀行と信用金庫の違いは主に2つあります。
【銀行と信用金庫の違い】
- 融資条件
- 対象融事業者の規模
創業融資における銀行と信用金庫の違いには、金利や融資額といった融資条件と金融機関が対応する事業者の規模に違いがあります。条件や規模が自社に合うかを確認し、申し込む金融機関を決めましょう。
融資条件
創業融資における銀行と信用金庫の違いの1つは融資条件です。営利目的で運営されている銀行と地域の繁栄を目的に運営されている信用金庫では、主にターゲットとする事業者が異なるため、融資条件もそれぞれの目的にあった内容で決められているためです。
銀行と信用金庫で異なる融資条件には金利と融資額があります。
【銀行と信用金庫の融資条件】
金利 | 平均融資額 | |
銀行 | 短期金利:0.4~0.8%
長期金利:0.8%~1% |
1億80万円 |
信用金庫 | 短期金利:1.6%~1.8%
長期金利:1.3%~1.6% |
4,300万円 |
※金利:貸出約定平均金利をもとに記載
※融資額:日本政策金融公庫「融資の特徴」をもとに記載
金利は信用金庫よりも銀行の方が低い傾向があります。銀行は信用金庫として比較して融資額が大きいものも取り扱うため営業や審査にかかる人件費などを抑えられるためです。
融資限度額は信用金庫よりも銀行の方が高い傾向があります。融資限度額は銀行も信用金庫も公表されていませんが、一般的に信用金庫は銀行よりも預金額が少なく1件あたりの融資額も小さいため、平均融資額は銀行の方が高くなっています。
金利をできるだけ抑えたい人は銀行を、少額の融資の借り入れを検討している人は信用金庫の融資を検討しましょう。
対象事業者の規模
創業融資を受ける際、銀行と信用金庫の違いの1つは対象とする事業者の規模です。銀行には融資できる事業者について規模や地域という制限がないのに対し、信用金庫は信用金庫法により融資の対象に制限があるためです。
信用金庫には以下のような制限があります。
【信用金庫の制限】
- 各信用金庫の営業地域内の事業者であること
- 従業員300人以下、資本金9億円以下であること信用金庫法
※e-GOV「信用金庫法」をもとに記載
信用金庫は地域の発展のために運営しており、営業地域と事業規模が制限され、利用できる事業者が限られているため、少額の融資でも親身に聞いてくれる可能性があります。一方で、銀行は営利を目的としており事業地域や事業規模に制限がないため、1件あたりの融資額が大きい取引の方が積極的です。
初めて融資を受ける人や少額の融資を借り入れたい人は信用金庫を、今後全国展開を考えている場合は多額の融資を受けられる可能性のある銀行を検討しましょう。
審査難易度に違いはない
創業融資を受ける際、銀行と信用金庫の審査難易度に違いはありません。銀行も信用金庫も自己資金や経験、信用情報といった項目から審査しており、事業者が将来返済できないと判断したら融資しないためです。
創業融資では主に以下の情報から審査が行われます。
【創業融資における審査基準】
- 事業計画
- 自己資金
- 経験
- 信用情報
事業計画では資金使途から融資の必要性が審査されます。設備資金や運転資金といった資金使途の内容が明確でないと計画性がないと判断され、融資に通らない可能性があります。設備資金はあらかじめ明細を準備し、運転資金も月々にかかる費用を計算しておきましょう。
自己資金や経験、信用情報においては、融資を返済する能力のある事業者か審査されます。創業融資を申し込む際の自己資金は、計画性を持って資金を貯めてきたと示すために、開業資金全体のうち3割を目指しましょう。また、事業経験は季節性の把握やトラブル対応の実績を示すために、最低でも3年あることが好ましいです。
信用情報は異動情報が残っていると審査に通らない可能性があるため、異動情報がない状態で申し込みましょう。信用情報とはクレジットカードの利用履歴のことで、履歴の中に延滞や債務整理、自己破産といった異動情報が残っていると過去の支払いに問題があったことがわかります。
融資審査は事業者から提出された情報から総合的に判断されます。当サイトを運営する株式会社SoLaboは6,000件の融資の支援実績があり、自己資金や経験、事業内容といったご状況から金融機関で融資に通りそうか診断できますので、興味のある人はお試しください。
信用保証協会の審査も違いはない
銀行や信用金庫から創業融資を受けるときは信用保証付き融資を利用することが一般的です。信用保証付き融資を利用する場合においても、銀行と信用金庫で審査基準に違いはありません。
信用保証付き融資とは信用保証協会が保証を行う融資のことで、融資を受けた事業者が返済できなくなった際に、信用保証協会が立て替えて返済を行う融資制度を指します。信用保証協会が保証をするため、銀行にとってはリスクが軽減され実績のない事業者でも融資を借りやすくなります。
信用保証付き融資は信用保証協会が行うため、銀行、信用金庫どちらで融資を申し込んでも審査の内容は変わりません。審査の基準は変わらないため、信用保証付き融資を検討する場合にも融資条件や想定する事業規模など他の基準で申込先を選択すると良いでしょう。
申込から着金までの時間に違いはない
創業融資を受ける際、銀行と信用金庫の申込から着金までの時間に違いはありません。着金までの時間は、金融機関よりも利用する融資制度の方が影響するためです。
創業時に使える融資制度と申込から着金までの時間の目安は以下の通りです。
申込から着金までの時間 | 例 | |
プロパー融資 | 3週間から1ヶ月半程度 | 千葉銀行:ちばぎん地方創生融資制度
多摩信用金庫:創業支援特別融資「ブルーム」 |
信用保証付き融資 | 2ヶ月から3ヵ月程度 | – |
プロパー融資は申し込んだ金融機関のみで審査が行われるため、着金までの期間が比較的短く3週間から1ヶ月半程度となっています。一方で、信用保証付き融資は金融機関の審査のほかに、信用保証協会でも審査が行われるため2ヶ月から3ヵ月程度と着金まで時間がかかります。
プロパー融資も信用保証付き融資も審査の時間などで一定の期間が必要であるため、開業に余裕をもったスケジュールを組んで申し込みましょう。
まとめ
創業融資を申し込む金融機関は融資条件か事業規模で選びましょう。
銀行は信用金庫よりも金利が安く多額の融資を得意としています。そのため、今後全国展開を考えている場合などは銀行の融資を検討しましょう。
信用金庫は銀行よりも金利が高いですが、少額の融資でも親身となって相談に乗ってくれる可能性があります。そのため、少額の融資を借り入れたい場合は初めての融資の場合は信用金庫の融資を検討しましょう。
審査や融資期間は銀行と信用金庫で内容は変わりません。審査基準と着金までの期間を確認し、事業に合わせて融資を進めていきましょう。