創業融資を検討している人の中には、住宅ローンやショッピングローンなど、借金を返済している人もいるかもしれません。すでに借金がある場合、創業融資を受けることができるのか気になる人もいるでしょう。
当記事では、創業融資における他社からの借金がある場合の審査項目を解説していきます。他社からの借金が審査に与える影響を解説しているため、借金がある中での創業融資を検討している人は参考にしてみてください。
創業融資の審査では他社からの借金の有無を確認される
創業融資の審査では、他社からの借金の有無を確認されます。住宅ローンやショッピングローンなど、現状のすべての借金を伝えるよう依頼されるため、創業融資を検討している人はその前提を踏まえつつ、審査時に確認される項目例を押さえておきましょう。
【審査時に確認される借金の項目例】
- 借金の種類
- 借金の返済条件
- 借金の返済状況
審査時に確認される例として、「種類」「返済条件」「返済状況」が挙げられます。審査時に確認した情報は、創業融資の審査の可否を決める判断材料となる可能性があるため、借金がある場合はその前提を踏まえつつ、審査時に確認される項目を押さえてみてください。
借金の種類
創業融資の審査では、「借金の種類」が確認されます。種類によって借金の目的や性質が異なるため、創業融資の審査では、借金の種類を融資可否の判断材料のひとつとする可能性があります。
【借金の種類】
借金の種類 | 性質 | 審査への影響 |
---|---|---|
・住宅ローン ・教育ローン ・車のローンなど |
使い道が限定されている借金 | 影響は少ない傾向 |
・カードローン ・消費者金融のローン ・リボ払いなど |
使い道が限定されていない借金 | 慎重な審査となる傾向 |
使い道が限定されている借金は、審査への影響が少ない傾向があります。「住宅ローン」「教育ローン」などの借入は、資金を浪費するリスクが少なく、計画的な返済を前提とした性質の借金であるため、審査への影響は少ない傾向にあります。
使い道が限定されていない借金は、慎重な審査となる傾向があります。「カードローン」「リボ払い」などの借入がある場合は、生活費の補てんや他の借金の返済に充てられている可能性があり、資金繰りの健全性に懸念があるため、慎重な審査となる傾向にあります。
なお、借金を隠して審査に申し込むことはできません。金融機関は信用情報機関のデータベース上で申込人の借入状況を確認できるため、審査の担当者から借金の有無を尋ねられたときは正直に申告するようにしましょう。
借金の返済条件
創業融資の審査では、「借金の返済条件」が確認されます。金利や返済額などの返済条件によって資金繰りの負担は変わってくるため、創業融資の審査では、借金の返済条件を融資の可否を決める判断材料のひとつとする可能性があります。
【借金の返済条件の例】
- 金利
- 借金の残高
- 毎月の返済額
- 利息の計算方法
たとえば、審査時に確認される返済条件のひとつは「金利」です。ノンバンクや消費者金融などの高金利の借金がある場合、毎月の利息負担が事業の収益を圧迫するため、創業後の資金繰りが困難であると判断される可能性があります。
また、審査時に確認される返済条件のひとつは「借金の残高」です。リボ払いやカードローンなどの残高が把握しづらい借金がある場合、利用限度額の範囲内で借入を繰り返すリスクがあるため、創業後の返済管理が困難であると判断される可能性があります。
なお、金融機関から借金の返済条件が分かる資料を依頼される場合があります。「返済予定表」「取引明細書」など、借金の返済条件が分かるものの提出を依頼される場合があるため、創業融資を検討している人は事前に準備することも検討しておきましょう。
借金の返済状況
創業融資の審査では「借金の返済状況」が確認されます。返済状況は事業を継続する上での資金管理能力を示す指標となるため、創業融資の審査では、借金の返済状況を融資の可否を決める判断材料のひとつとする可能性があります。
たとえば、創業融資の審査では「返済遅延の有無」が確認されます。現在の借金を返済している間、返済期日に遅れたことがある場合、創業融資後の返済の継続性に懸念があると判断される可能性があります。
また、創業融資の審査では「毎月の返済額と収益のバランス」が確認されます。現在の借金の返済額が創業後の収益予測に対し過大な場合は、事業開始後に返済源が確保できないと判断される可能性があります。
なお、過去の借金の返済状況も確認される場合があります。金融機関は信用情報機関のデータベース上で完済した借金の取引状況も確認する傾向があるため、過去の借金での遅延履歴がある人は審査に影響する可能性があることを留意しておきましょう。
借金がある場合は対策をしてから創業融資に申し込む
借金がある場合は、対策をしてから創業融資に申し込むことを検討してみてください。借金がある場合は創業融資の審査に影響する可能性があるため、不安な人はできる限りの対策をした上で審査に臨むことを検討してみましょう。
【対策例】
- 個人信用情報を確認する
- 現状の借金を整理する
- 担保の提供を希望する
創業融資に申し込むときの対策例として「個人信用情報を確認する」「現状の借金を整理する」「担保の提供を希望する」などの方法が挙げられます。対策を講じたら審査に通るとは限りませんが、借金がある場合はそれぞれの対策を講じることを検討してみてください。
個人信用情報を確認する
創業融資に申し込むときの対策として、個人信用情報を確認することを検討してみましょう。個人信用情報に記載されている内容を確認することにより、自身の借入状況を把握できる可能性があります。
個人信用情報とは、信用取引における利用情報のことです。「携帯の分割払い」「クレジットカードの支払い」など、過去数年間にわたる信用取引の履歴が記載されているため、個人信用情報は金融機関が審査のために利用する傾向にあります。
個人信用情報の記載内容のうち、とくに「延滞・遅延」の履歴は注意が必要です。過去に延滞した履歴がある場合、審査に不利な影響を与える可能性があるため、「延滞した理由」「延滞しない対策」などの説明を審査担当者に伝えることを検討する余地があります。
なお、個人信用情報はインターネットや郵送での開示請求ができます。日数がかかる場合があるため、個人信用情報を確認したい人は早めに準備することを検討してみてください。
現状の借金を整理する
創業融資に申し込むときの対策として「現状の借金を整理すること」を検討してみましょう。整理する方法はいくつか挙げられますが、現状の借金を整理することにより、審査担当者への説明や資金計画の見直しに役立てられる可能性があります。
【借金を整理する方法の例】
- 借金をリスト化する
- 借金の借換えをする
- 繰り上げ返済する
現状の借金を整理する方法として、借金をリスト化する方法が挙げられます。「返済残高」「返済額」「金利」などの情報を一覧にすることにより、借金の全体像が把握できるため、返済計画を立てやすくなる可能性があります。
現状の借金を整理する方法として、借金の借換えをする方法が挙げられます。「複数の借入を一本化する」「金利負担の低い借入先に借換えする」などの方法をとることにより、毎月の返済額を減らせる可能性があります。
なお、自己資金に余裕のある場合は繰り上げ返済する方法もあります。とくに高金利の借金を繰り上げ返済することにより、総支払額を減らすことにつながるため、現状の借金を整理したい人は検討してみてください。
担保の提供を希望する
創業融資に申し込むときの対策として「担保の提供を希望すること」を検討してみましょう。自宅や工場などの所有物件を創業融資の担保として提供する場合、金融機関側のリスクが抑えられるため、審査に有利な影響を与える可能性があります。
自宅や工場などの所有物件がある場合、創業融資の担保として提供することができます。担保の価値にもよりますが、金融機関側のリスクを抑えることにつながるため、審査基準が緩和される可能性があります。
ただし、創業融資の返済が不能となった場合、担保提供していた物件を失うおそれがあります。担保として物件を提供していた場合、返済ができなければ物件が差し押さえられ、強制的に競売にかけられるリスクがあります。
なお、担保を提供したら必ず融資が通るとは限りません。「事業計画」「借金の有無」など、総合的な観点から融資の可否が審査されるため、担保を提供したら借金があっても融資を受けられる訳ではないことを留意しておきましょう。
まとめ
創業融資の審査では、他社からの借金の有無を確認されます。住宅ローンやショッピングローンなど、現状のすべての借金を伝えるよう依頼されるため、創業融資を検討している人はその前提を踏まえつつ、審査時に確認される項目例を押さえておきましょう。
審査時に確認される例として、「種類」「返済条件」「返済状況」が挙げられます。審査時に確認した情報は、創業融資の審査の可否を決める判断材料となる可能性があるため、借金がある場合はその前提を踏まえつつ、審査時に確認される項目を押さえてみてください。
借金がある場合は、対策をしてから創業融資に申し込むことを検討してみてください。借金がある場合は創業融資の審査に影響する可能性があるため、不安な人はできる限りの対策をした上で審査に臨むことを検討してみましょう。