特定創業支援等事業とは?創業融資の観点から解説

独立開業に向けて準備している人の中には、特定創業支援等事業という言葉を聞いた人もいるかもしれません。創業融資の情報を集めるうちに、特定創業支援等事業の存在を知った人もいるでしょう。

当記事では、特定創業支援等事業を創業融資の観点から解説します。特定創業支援等事業の概要や、創業融資との関わりが知りたい人は参考にしてみてください。

特定創業支援等事業とは創業者の知識習得を目的として地方自治体が実施している支援事業

特定創業支援等事業とは、創業者の知識習得を目的として地方自治体が実施している支援事業です。市区町村ごとに作成し、国から認定を受けた「創業支援等事業計画」の中に、市区町村ごとに実施している特定創業支援等事業の内容が記されています。

【特定創業支援等事業の概要】

項目 内容
主催 市区町村
目的 「経営」「財務」「人材育成」「販路開拓」などの経営知識を習得すること
主な対象者 創業予定の人もしくは創業後5年未満の事業者
連携機関 「商工会議所や商工会」「地域金融機関」「創業支援センター」など

創業者の知識習得とは、「経営」「財務」「人材育成」「販路開拓」などの経営知識を習得することを指します。特定創業支援等事業では、これらの知識習得を目的とし、創業者に対して継続的な支援を実施しています。

特定創業支援等事業は市区町村が主催しています。市区町村が作成した「創業支援等事業計画」にもとづき、「商工会議所や商工会」「地域金融機関」などの機関と連携をとりながら特定創業支援等事業を実施しています。

特定創業支援等事業の主な対象者は「創業予定の人」もしくは「創業後5年未満の事業者」です。対象要件は市区町村によって異なる可能性がありますが、原則として創業前から創業5年未満の人が利用できるため、対象の人は特定創業支援等事業の利用を検討してみましょう。

なお、特定創業支援等事業を実施していない市区町村もあります。国から創業支援等事業計画の認定を受けなければ、特定創業支援等事業を実施できないため、特定創業支援等事業の実施有無を調べたい場合は中小企業庁の公式サイトより、創業支援等事業計画を策定した市区町村リストを確認してみてください。

特定創業支援等事業の詳細は市区町村によって異なる

特定創業支援等事業の詳細は、市区町村によって異なります。市区町村ごとに「創業支援等事業計画」を作成している関係上、特定創業支援等事業の内容も異なるため、利用する場合は開業地域を管轄している市区町村に制度の詳細を確認することになります。

【市区町村ごとに異なる項目の例】

項目 具体例
支援事業の内容 ・創業セミナー
・個別指導
修了後の優遇措置 ・法人設立時の登録免許税の軽減
・補助金や助成金の上限額引き上げ

市区町村ごとに異なる項目のひとつは「支援事業の内容」です。創業者の経営知識の習得を目的として、創業セミナーや個別指導などの継続的に受講が必要な取り組みが実施されていますが、自治体によって連携先や予算が異なる関係上、取り組みの内容は異なります。

市区町村ごとに異なる項目のひとつは「修了後の優遇措置」です。特定創業支援等事業を修了すると、「法人設立時の登録免許税の軽減」「補助金や助成金の上限額引き上げ」などの創業におけるさまざまな優遇措置を受けられる可能性がありますが、自治体によって優遇措置の内容は異なります。

なお、特定創業支援等事業の内容によっては費用がかかる場合があります。民間の事業者に創業スクールやセミナーの開講を依頼している場合があるため、受講料が発生する支援事業もある点を留意しておきましょう。

特定創業支援等事業を利用すると創業融資において優遇措置を受けられる

特定創業支援等事業を利用すると、創業融資において優遇措置を受けられます。特定創業支援等事業に取り組み、修了証明書をもらうことによって創業融資において優遇措置を受けられる可能性があるため、創業融資を検討している人は押さえておきましょう。

【創業融資における優遇措置の例】

  • 創業関連保証の対象要件の緩和
  • 日本政策金融公庫の融資金利の低減

特定創業支援等事業を修了することにより、「創業関連保証の対象要件の緩和」「日本政策金融公庫の融資金利の低減」などの優遇措置が受けられる可能性があります。特定創業支援等事業を利用するメリットともいえるため、創業融資を検討している人は詳細を確認してみましょう。

なお、当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)では、事業資金に関する融資サポートを実施しています。8,000件以上の融資サポートの実績から回答するため、創業融資に関して気になる点や知りたい点がある人は株式会社SoLabo(ソラボ)に相談することも検討してみてください。

創業関連保証の対象要件の緩和

特定創業支援等事業を修了することにより、創業関連保証の対象要件が緩和される可能性があります。創業関連保証とは、信用保証協会の保証制度のひとつであり、保証協会付き融資を受ける場合に利用する保証制度となるため、優遇措置の内容を確認してみましょう。

【創業関連保証の対象要件】

項目 要件
対象 次のいずれかに該当する方
(1)事業を営んでいない個人で、1か月以内(※)に事業を開始する具体的計画がある
(2)事業を営んでいない個人で、2か月以内(※)に法人を設立し、事業を開始する具体的計画がある
(3)分社化により別法人を設立して事業を開始する予定の法人
(4)事業を営んでいない個人が事業を開始してから5年未満である
(5)事業を営んでいない個人が設立した法人で、設立から5年未満である
(6)分社化により別法人として新たに設立された法人で、設立から5年未満である
(7)事業を営んでいない個人が開始した事業を法人化し、個人創業時から5年未満である
※市区町村が実施する認定特定創業支援等事業により支援を受けて創業する方は、6月以内となります。

全国信用保証協会連合会の公式サイトをもとに株式会社SoLabo作成

信用保証協会の創業関連保証制度では、創業前の人に対し事業開始までの期間の要件を設定しています。「個人事業主の場合は1か月以内」「法人の場合は2か月以内」に事業を開始する具体的計画を有していなければ、創業関連保証に申し込めない要件となっています。

しかし、特定創業支援等事業の支援を受けて創業する場合は、6ヶ月以内に事業を開始する具体的計画があれば創業関連保証に申し込めます。事業を開始するまでの期間の要件が緩和されるため、書類の準備や創業計画の作成などに時間を充てることができます。

なお、創業関連保証の対象要件の緩和は、創業前の人に対しての優遇措置となります。創業後の事業者に対して対象要件が緩和される措置ではないため、創業関連保証に申し込む人は留意しておきましょう。

日本政策金融公庫の融資利率の低減

特定創業支援等事業を修了することにより、日本政策金融公庫の融資利率が低減される可能性があります。日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」では、特定創業支援等事業を受けた人に対し特別利率を適用しているため、制度の詳細を確認してみましょう。

【新規開業・スタートアップ支援資金】

特別利率の対象者(抜粋) 特別利率
創業塾や創業セミナーなど(産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援等事業)を受けて新たに事業を始める方 基準利率より0.4%低減された特別利率Aが適用される。
※ただし、「女性」「35歳未満」など、ほかの特例要件にも該当している場合はさらに金利の低減措置がある。

日本政策金融公庫の公式サイトをもとに株式会社SoLaboが作成(2025年4月現在の金利情報)

日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」は、創業前もしくは創業後おおむね7年以内の人が対象となる創業融資制度です。新規開業・スタートアップ支援資金は原則として基準利率が適用されるため、基準金利の場合は1.90%~4.10%の間で金利が設定されることになります。

しかし、特定創業支援等事業を修了している場合、基準金利より0.4%低減された特別金利Aが適用されます。特別金利Aの場合、1.50%~3.70%の間で金利が設定されることになるため、創業融資における金利の支払負担を抑えることができます。

なお、特定創業支援等事業を修了することによって創業融資が確約されたわけではありません。あくまで金利の優遇措置を受けられるのみとなるため、新規開業・スタートアップ支援資金を申し込む場合は日本政策金融公庫の所定の審査を通過しなければならない点を留意しておきましょう。

特定創業支援等事業を利用し融資の優遇措置を受けたい人はスケジュールに留意する

特定創業支援等事業を利用し融資の優遇措置を受けたい人は、スケジュールに留意しましょう。特定創業支援等事業の修了証を取得するまでの期間として最低1か月半はかかる傾向にあるため、創業融資の優遇措置を受けたい人は修了証を取得するまでの流れを確認しておきましょう。

【特定創業支援等事業の流れ】

項目 概要
1. 特定創業支援等事業の受講申請をする 市区町村の窓口もしくは連携機関へ申し込む
2. 特定創業支援等事業を受講する 一定期間内に4回以上の支援を受ける傾向にある
3. 修了証発行の申請をする 市区町村の窓口に申請する。1週間~10日前後で発行される傾向にある。

特定創業支援等事業の修了証が発行されるまでの流れとして、「受講申請」「受講」「修了証の発行申請」の3工程を経ることになります。申請窓口や申請方法は市区町村ごとに異なるため、市区町村の案内に従って手続きを進めることになります。

特定創業支援等事業の受講期間の目安は、最低1か月以上とされています。特定創業支援等事業は継続的な支援を受けることが前提となるため、週に1日の講座を最低4回は受けるカリキュラムに設定されている傾向にあります。

創業融資において特定創業支援等事業による優遇措置を受けたい場合は、計画を立てておきましょう。修了証の発行までには相応の時間がかかるため、創業融資に申し込む時期から逆算して特定創業支援等事業の手続きを進めることも検討してみてください。

まとめ

特定創業支援等事業とは、創業者の知識習得を目的として地方自治体が実施している支援事業です。市区町村ごとに作成し、国から認定を受けた「創業支援等事業計画」の中に、市区町村ごとに実施している特定創業支援等事業の内容が記されています。

特定創業支援等事業を利用すると、創業融資において優遇措置を受けられます。特定創業支援等事業に取り組み、修了証明書をもらうことによって、創業融資において優遇措置を受けられる可能性があるため、創業融資を検討している人は押さえておきましょう。

特定創業支援等事業を利用し融資の優遇措置を受けたい人は、取得期間に留意しましょう。特定創業支援等事業の修了証を取得するまでの期間として最低1か月半はかかる傾向にあるため、創業融資に申し込む時期から逆算して特定創業支援等事業の手続きを進めることも検討してみてください。

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