信用保証料とは?計算方法をわかりやすく解説

信用保証協会の利用を検討している人は、信用保証料がいくらになるか事前に知っておきたいでしょう。信用保証料は一律で定められているわけではないので、いくらになるかの目安を知るためには、計算式から算出する必要があります。

当記事では、信用保証料の計算方法をわかりやすく解説します。これから信用保証を受ける予定の人や、既に信用保証付き融資を受けた人は参考にしてみてください。

信用保証料とは信用保証を受ける対価として支払う費用のこと

信用保証料とは、信用保証協会の保証を利用する対価として、中小企業者が信用保証協会に支払う費用のことです。中小企業者が信用保証付きの融資を受ける際、信用保証協会に保証人になってもらうために、信用保証料を支払う必要があります。

信用保証料は事業状況や融資条件によっても異なりますが、具体的には、借入金額、信用保証料率、保証期間、返済方法から決定します。

【信用保証料の決定要因となる項目の例】
信用保証料の決定要因となる項目 説明
借入金額 金融機関から融資を受けて借り入れる金額のこと
信用保証料率 借入金額に対して何割の信用保証料を支払うか決定するための割合のこと。パーセンテージで表される
保証期間 信用保証協会から保証を受ける期間のこと
返済方法 金融機関から借り入れた資金を返済する方法のことで、満期一括返済、均等分割返済、不均等分割返済がある

なお、中小企業者が支払った信用保証料は、信用保証協会が次のような用途に利用しています。

  • 信用保証協会が中小企業信用保険への再保険のために支払う信用保険料
  • 代位弁済で発生する損失の補てん
  • 信用保証協会が信用保証制度を運営する上で必要な諸費用

万が一、事業者が借入金を返済できなくなった場合、信用保証協会が代位弁済することになります。その際に発生する信用保証協会の損失は、信用保証料から補てんされます。

ただし、信用保証は保険制度ではないので、信用保証協会が代位弁済しても、借入金自体がなくなるわけではありません。信用保証協会が弁済した分は返済する必要がある点に注意しましょう。

信用保証料の算出に利用する信用保証料率は変動する

信用保証料を算出する際に利用する信用保証料率には、中小企業者の経営状況から分類した9段階の料率体系があります。経営状況に合わせて中小企業者の負担を軽減するためです。

たとえば、保証区分「一般保証」かつ無担保で、1,000万円超の融資を受ける場合は次のような9段階の料率区分が設定されています。

【責任共有保証料率表(一般保証、無担保、1,000万円超の融資の場合)】(年率,単位:%)
1 2 3 4 5 6 7 8 9
1.90 1.75 1.55 1.35 1.15 1.00 0.80 0.60 0.45

参照:責任共有保証料率表|東京信用保証協会

9段階の信用保証料率のどこに当てはまるかは、CRD協会が保有する「中小企業信用リスク情報データベース(略称:CRD)」に基づき、決算内容を評価することで決定します。

CRDに基づく評価の仕組みは非公開のため、保証審査に通過しなければ、最終的にどの信用保証料率に該当するかは分かりません。

また、信用保証料率は保証の区分や担保の有無によっても変動します。実際に、東京都の制度融資を受けるために信用保証協会を利用する場合、信用保証料率は一般保証の料率よりも引き下げられます。信用保証料率の目安を知りたい人は、信用保証協会に問い合わせましょう。

信用保証料率の意味を詳しく知りたい人は「信用保証協会における信用保証料率の意味を解説」も参考にしてみてください。

信用保証料の計算方法は返済方法によって異なる

信用保証料の計算方法は借入金の返済方法によって異なります。借入金の返済方法は2通りあるので、まずはそれぞれの返済方法を確認してみましょう。

【信用保証料の計算方法】
返済方法 計算方法
満期一括返済 満期一括返済の場合は信用保証料率と保証期間で計算する
均等分割返済 均等分割返済の場合は分割係数を加味して計算する

借入金の返済方法には、満期一括返済と均等分割返済の2通りあります。満期一括返済の場合は信用保証料率と保証期間で計算しますが、均等分割返済の場合は分割係数を加味して計算することになります。

なお、今回試算する信用保証料はあくまで目安の金額です。確定した信用保証料率を知りたい人は、保証審査に通過した後に郵送で到着する「信用保証決定のお知らせ」の紙面で確認するようにしましょう。

満期一括返済は信用保証料率と保証期間で計算する

満期一括返済の場合は貸付金額、信用保証料率、保証期間(月数)から計算します。

【満期一括返済の場合の信用保証料の計算式】

貸付金額 × 信用保証料率(年率) × 保証期間(月数)/ 12
※円未満は切捨て

たとえば、貸付金額1,000万円、保証期間12か月、信用保証料率1.35%の条件で満期一括返済の場合、次のような計算式になり、信用保証料は135,000円です。

【実際の計算式】

10,000,000 × 0.0135 × 12 / 12 = 135,000

なお、計算式のなかで保証期間を12で割るのは、信用保証料率が「年率」で設定されているのに対し、保証期間は「月数」で指定されており、保証期間の単位を「年」に合わせる必要があるためです。計算する際は、12で割ることを忘れないように注意しましょう。

均等分割返済は分割係数を加味して計算する

均等分割返済の場合は、貸付金額、信用保証料率、保証期間(月数)のほか「分割係数(分割返済回数別係数)」を加味して計算します。分割係数とは、返済を進めるにつれて借入残高が減少する分、保証料を割り引くための数字です。

【均等分割返済の場合の信用保証料の計算式】

貸付金額 × 信用保証料率(年率)× 保証期間(月数)/ 12 × 分割係数
※円未満は切捨て

たとえば、貸付金額1,000万円、保証期間60か月、信用保証料率1.35%の条件で均等分割返済する場合、分割係数は0.55が適用になります。計算式は次のような内容になるので、信用保証料は371,250円です。

【実際の計算式】

10,000,000 × 0.0135× 60 / 12 × 0.55 = 371,250

分割係数は返済回数に応じて次のように設定されています。均等分割返済で保証期間60か月の場合、返済回数は「25回以上」に該当するので、分割係数は「0.55」です。

【分割係数の確認表(均等分割返済の場合)】
分割返済回数 分割係数
※均等分割返済の場合
2回以上6回以下 0.70
7回以上12回以下 0.65
13回以上24回以下 0.60
25回以上 0.55

参照:信用保証料の計算例|東京信用保証協会

なお、返済月や返済金額が異なる「不均等分割返済」の場合は、均等分割返済の場合と分割係数が異なります。不均等分割返済にする予定の人は、利用する信用保証協会へ分割係数がいくつになるのか問い合わせてみるのがよいでしょう

据置期間がある場合は据置期間分と分割返済分を合計する

均等分割返済では、元金の返済を先延ばしにするための据置期間を設けている場合もあります。この場合、据置期間分と分割返済分のそれぞれを計算し、合計した金額が信用保証料になります。

【据置期間がある場合の信用保証料の計算式】
■据置期間分の計算式①
貸付金額 × 信用保証料率(年率)× 据置期間(月数)/ 12 …①
※円未満は切捨て

■分割返済分の計算式②
貸付金額 × 信用保証料率(年率)× 分割返済期間(月数)/ 12 × 分割係数 …②
※円未満は切捨て

■信用保証料の計算式
① + ② = 信用保証料

たとえば、貸付金額1,000万円、保証期間60か月(うち据置期間12か月)、信用保証料率1.35%の条件だった場合は次のような計算式になります。計算すると、信用保証料は432,000円です。

【実際の計算式】
■据置期間分の計算式①
10,000,000 × 0.0135× 12 / 12 = 135,000円 …①

■分割返済分の計算式②
10,000,000 × 0.0135× 48 / 12 × 0.55 = 297,000円 …②

■信用保証料の計算式
① + ②
= 135,000 + 297,000
= 432,000

返済期間に据置期間が含まれる場合は、合計3回計算する必要がある点に注意が必要です。据置期間が何か月になるか分からない人は、利用する予定の信用保証協会に問い合わせてみましょう。

繰上完済した場合は返金される可能性がある

当初の予定よりも早く繰り上げて借入金を完済した場合、融資実行時に支払った信用保証料が一部返金される可能性があります。繰り上げて完済したということは、保証期間が短くなった分、信用保証料も軽減されることになるからです。

たとえば、東京信用保証協会の試算によると、貸付金額1,200万円、保証期間24ヵ月、信用保証料率1.35%で期限一括返済の場合、当初支払う信用保証料は324,000円です。

この条件下で、返済期限(約定期限)の令和4年の4月15日を1年半繰り上げた令和2年10月15日に完済した場合、返戻保証料として234,777円が返金されます。

【信用保証料の返金金額(返戻保証料)の計算式】

(イ)当初保証料324,000円 ×(未経過期間548日 / 保証期間731日)= 242,889円
(ロ)当初保証料324,000円 ×(年区分未経過期間365日 / 保証期間731日) =161,778円 …①
((イ)-(ロ))×90%=72,999円 …②
→①+②=234,777円

※参考:東京信用保証協会の試算

ただし、返戻保証料の計算結果が1,000円以下の場合は、返金の対象外になる点に注意が必要です。

なお、完済の報告が著しく遅延した場合は返金されない可能性があります。借入金を予定から繰り上げて完済した際は、信用保証協会に完済した旨を報告する必要があると覚えておきましょう。

まとめ

信用保証料がいくらになるかは事業状況や融資条件によっても異なりますが、目安を知るために、当記事で解説した計算方法を参考にして事前に試算してみましょう。

信用保証料は、各信用保証協会の公式サイトからシミュレーションできる場合もあります。ただし、結果はあくまで目安である点に留意が必要です。また、シミュレーションでは据置期間がある場合の試算はできない傾向があります。

確定した信用保証料は、保証審査に通過した後に送られてくる「信用保証決定のお知らせ」の紙面で確認できるので、保証審査に通過した人は、紙面の到着を待ちましょう。

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