信用保証協会から信用保証を受けることを検討中の人のなかには、信用保証料がいくらになるか試算したい人もいますよね。その際、自分がどの信用保証料率に該当するか分からないという人もいるでしょう。
当記事では、信用保証料率の意味を解説します。信用保証料率がどのように決まるのかも解説しているので、これから信用保証料を試算する予定の人は参考にしてみてください。
信用保証料率は保証を受ける対価を計算するための指標のこと
信用保証料率とは、信用保証協会から保証を受ける際に、対価として支払う信用保証料を計算するための指標(パーセンテージ)のことです。信用保証料率は、利用する保証が責任共有制度の対象かどうかでも異なります。
たとえば、責任共有制度の対象になっている保証を利用する場合、「責任共有保証料率」が適用になります。責任共有保証料率は、中小企業者の経営状況から分類した次のような9段階の料率区分に分かれています。
【責任共有保証料率表(一般保証の場合※)】(年率,単位:%)
料率区分 | |||||||||
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保証付融資合計額 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
500万円以下 | 1.27 | 1.16 | 1.03 | 0.90 | 0.77 | 0.66 | 0.53 | 0.40 | 0.30 |
500万円超1,000万円以下 | 1.55 | 1.43 | 1.27 | 1.10 | 0.94 | 0.82 | 0.65 | 0.49 | 0.35 |
1,000万円超(有担保) | 1.80 | 1.65 | 1.45 | 1.25 | 1.05 | 0.90 | 0.70 | 0.50 | 0.35 |
1,000万円超(無担保) | 1.90 | 1.75 | 1.55 | 1.35 | 1.15 | 1.00 | 0.80 | 0.60 | 0.45 |
※特定信用状関連保証、短期資金特別保証、経営承継関連保証、予約保証、経営力強化保証、特定経営承継関連保証、事業承継サポート保証、自主廃業支援保証、財務要件型無保証人保証、経営承継準備関連保証、特定経営承継準備関連保証、事業承継特別保証及び経営承継借換関連保証を含む。
9段階の料率区分は、一般社団法人CRD協会の「リスク評価モデル」に判定される区分です。判定時は、保証申込日の直前の決算時に作成した貸借対照表と損益計算書に基づいた評価が行われます。経営状況が良好であるほど、保証料率は低く設定される傾向があります。
一方、責任共有制度の対象外保証を受ける場合、「責任共有外保証料率」が適用になります。「責任共有外保証料率」も、次のような9段階の料率区分に分かれています。
【責任共有外保証料率表(一般保証の場合)】(年率,単位:%)
料率区分 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
保証付融資合計額 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
500万円以下 | 1.47 | 1.33 | 1.20 | 1.07 | 0.90 | 0.73 | 0.60 | 0.47 | 0.33 |
500万円超1,000万円以下 | 1.79 | 1.63 | 1.47 | 1.30 | 1.10 | 0.90 | 0.73 | 0.57 | 0.40 |
1,000万円超(有担保) | 2.10 | 1.90 | 1.70 | 1.50 | 1.25 | 1.00 | 0.80 | 0.60 | 0.40 |
1,000万円超(無担保) | 2.20 | 2.00 | 1.80 | 1.60 | 1.35 | 1.10 | 0.90 | 0.70 | 0.50 |
責任共有制度の対象外になっている保証制度は「災害関係保証」「危機関連保証」「東日本大震災復興緊急保証」などが該当します。責任共有制度の対象かどうかは、利用予定の保証制度を受け付けている信用保証協会に問い合わせる必要があります。
なお、一般保証のほかにも、制度融資や中小企業特定社債保証(私募債)、事業承継特別保証、流動資産担保融資保証(ABL)などの保証があります。それぞれ設定されている料率区分が異なるので、保証料率を知りたい人は、該当する保証料率区分を確認しましょう。
「リスク評価モデル」は CRD協会のデータベースを基にしている
保証料率を決定している「リスク評価モデル」はCRD協会が保有する「中小企業信用リスク情報データベース(Credit Risk Database)」を基にしています。
このデータベースにはCRD協会の会員である信用保証協会や政府系または民間の金融機関から提供を受けた中小企業データが提供されています。その数は法人と個人事業主であわせて約300万件です。
中小企業データは、財務データや非財務データおよび属性情報データ、破綻や代位弁済などのデフォルト情報という内容で構成されています。
なお、CRDでは企業名がすべて暗号化されているため、個別の企業名は特定できない仕組みになっています。予備知識として覚えておきましょう。
確定した信用保証料率は保証決定時の通知でわかる
信用保証を受ける前に信用保証料率を知りたい人は、信用保証協会に問い合わせて確認できます。その際は、利用予定の信用保証協会の本店か支店の保証課に問い合わせてみるのがよいでしょう。
ただし、あくまで目安の料率である点に注意が必要です。確定した信用保証料率は、保証決定時に郵送で届く「信用保証決定のお知らせ」の紙面で確認しましょう。
なお、信用保証料率を知った後に信用保証料がいくらになるかを計算したい人は、「信用保証料とは?計算方法をわかりやすく解説」を参考にしてみてください。
まとめ
信用保証料率は、信用保証協会から保証を受ける際に対価として支払う信用保証料を計算するための指標のひとつです。9段階の料率区分に分かれており、どの料率が適用になるかは経営状況によっても異なります。
目安の信用保証料率を知りたい人は、利用する予定の信用保証協会に問い合わせてみるのがよいでしょう。
ただし、確定した信用保証料率は、保証審査に通過した後に郵送で届く「信用保証決定のお知らせ」で確認するほかありません。保証審査に通過する前に確認した信用保証料率はあくまで目安であると覚えておきましょう。