銀行融資における金利と利息を解説

銀行融資を受ける際、なるべく返済負担を抑えたいと考える人も多いのではないでしょうか。返済総額を大きく左右するのが、元金に上乗せして支払う対価の割合である「金利」です。

金利は銀行融資の種類や事業者の状況に基づいて決定されるため、工夫次第で適用金利を下げることも可能です。また、利息の支払い方法の選択によっても、最終的な支払い総額が大幅に変わる可能性があります。

当記事では、銀行から融資を受けるときの金利と利息について解説します。他の金融機関との金利相場の比較や金利が決定する要因についても説明しているので、銀行から事業資金の融資を受けることを検討している人は参考にしてみてください。

銀行融資の金利相場

銀行から事業資金の融資を受けるには、信用保証付き融資、プロパー融資、ビジネスローンの3種類の方法があります。それぞれ金利相場が異なるため、種類別の金利相場を確認してみましょう。

【銀行融資における種類別の金利相場】

銀行融資の種類 金利相場
プロパー融資 1.0%~3.0%ほど
信用保証付き融資 1.0%~3.0%ほど
ビジネスローン 1.5%~14.0%ほど

銀行融資における金利相場は、プロパー融資と信用保証付き融資の場合「1.0%〜3.0%程度」、ビジネスローンの場合「1.5%〜14.0%程度」です。実際に適用される金利は、銀行融資の審査において事業者の状況を踏まえて個別に決定されるため、同じ種類の融資であっても金利相場には幅があります。

また、銀行融資の金利相場における下限金利は、事業状況や担保設定、利用頻度など銀行が定める諸条件に当てはまる一部の優良事業者のみに適用される傾向にあります。多くの場合は上限金利に近い値が適用されるため、金利相場を比較するときは下限金利より上限金利に着目しましょう

なお、金利相場はあくまでも目安です。優良企業の場合は相場よりも低い金利で融資を受けられる可能性がある一方で、融資のリスクが高いと判断された企業の場合は相場よりも高い金利となる可能性もあります。

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プロパー融資の金利相場

プロパー融資は、銀行が企業の信用力や財務状況を直接評価し、担保や保証協会の保証なしに直接融資を行う融資形態です。銀行が提供しているプロパー融資の金利相場は1.0%〜3.0%ほどであり、他の融資方法と比較して低く設定される傾向にあります。

プロパー融資の金利が低い理由として「事業者の信用力に基づく審査が行われること」が挙げられます。銀行は利用者の財務状況や返済可能性を厳しく審査するため、貸し倒れリスクの低い事業者には低金利での貸し付けが行われる一方で、貸し倒れリスクの高い事業者には融資自体が見送られることになります。

また、プロパー融資の金利が低い理由として「担保や保証人を設定できること」が挙げられます。不動産担保や経営者保証などを設定することにより、銀行にとって貸し倒れのリスクが軽減されるため、担保や保証がない場合と比較して低金利での融資を受けられる可能性があります。

プロパー融資は、他の融資形態と比較して低金利でまとまった資金を調達できるため、中長期的な事業資金や設備投資に向いています。銀行との信頼関係を築くことによって将来的に大規模な資金調達にもつながる可能性があり、企業の成長戦略において重要な役割を果たします。

信用保証付き融資の金利相場

信用保証付き融資は、中小企業信用保険法に基づき設立された信用保証協会が融資の公的な保証人となり、事業者の信用力を保証する融資形態です。銀行が提供している信用保証付き融資の金利相場は、1.0%〜3.0%ほどとなる傾向にあります。

信用保証付き融資の金利はプロパー融資と同程度であるものの、返済額は信用保証付き融資の方が高額となる可能性があります。信用保証付き融資を利用する場合には、銀行に対して支払う利息に加えて、信用保証協会に対して支払う保証料が発生するためです。

信用保証料は、事業者の状況や融資額に応じて0.40%〜2.20%程度の割合が適用されます。金利だけを見ればプロパー融資と信用保証付き融資に大きな差はありませんが、利息に保証料が上乗せされることになるため、返済負担はプロパー融資よりも重くなる点に留意する必要があります。

信用保証付き融資は、信用保証料がかかるものの、プロパー融資と同程度の金利で利用できる融資です。プロパー融資の利用が困難な事業者でも、信用保証によって信用力が補完されることにより、金利を抑えて融資を受けられる可能性があります。

なお、信用保証付き融資を利用する場合は、想定する融資額と返済期間における保証料を確認し、それを踏まえた返済計画を立てることが大切です。保証料率は信用保証協会のホームページで公開されているため「お近くの信用保証協会一覧」から事業地域を管轄する信用保証協会のページを確認してみてください。

ビジネスローンの金利相場

ビジネスローンとは、主にノンバンクが保証会社として審査を行っている銀行の事業者向け金融サービスです。銀行が提供しているビジネスローンの金利相場は1.5%から14.0%ほどであり、上限金利は他の融資方法と比較して高めに設定されています。

ビジネスローンの金利が高くなる理由として「無担保無保証人で利用できること」が挙げられます。ビジネスローンは原則として無担保無保証人で利用できることから、銀行にとっては貸し倒れとなるリスクが高くなるため、そのリスクを補うために金利が高く設定される傾向にあります。

また、ビジネスローンの金利が高くなる理由として「審査が簡易であること」が挙げられます。ビジネスローンは資金調達の迅速さが特徴の融資形態であり、他の融資形態と比較して必要書類が少なく審査も簡易的に行われる分、利用者の信用リスクを補うために金利が高く設定される傾向にあります。

ビジネスローンは短期間での資金調達に向いているものの、高金利な融資方法であるため、長期的な事業資金や大規模な投資には不向きです。融資内容によっては金利負担が経営を圧迫するリスクもあるため、利用する際は返済計画を綿密に立て、必要最低限の金額と期間に絞って利用しましょう。

銀行以外の金融機関との金利比較

銀行融資の金利相場を押さえた人は、銀行以外の金融機関における融資の金利相場を確認してみましょう。

【金融機関別の金利相場】

金融機関 金利相場
銀行 1.0%~3.0%ほど
(ビジネスローンは~14%ほど)
日本政策金融公庫 0.8%~4.2% ※
ノンバンク 3.0~18.0%ほど

※ 日本政策金融公庫の金利については令和7年7月1日時点の相場を記載。最新の金利については「日本政策金融公庫の金利が更新されました」のページを参考にしてください。

銀行とノンバンクの金利相場を比較した場合、銀行よりもノンバンクの方が金利相場は高い傾向にあります。ノンバンクの融資は最短即日での利用が可能なことや審査基準が銀行融資よりも緩いことなどから、事業者にとって利用しやすい制度である分、銀行にとってはリスクが高い取引となるため金利は高く設定されます。

銀行と日本政策金融公庫の金利相場を比較した場合、金利の水準は同程度となる傾向にあります。金利相場の上限は日本政策金融公庫の方が高いものの、日本政策金融公庫の融資は「保証料の支払いが不要」「創業時にも利用できる」などのメリットがあるため、どちらの融資が適しているかは事業者の状況によって異なります

融資は銀行以外にもさまざまな金融機関によって提供されていますが、それぞれ金利相場や制度の特徴が異なります。どの金融機関から融資を受けるべきかは申込者の状況によって異なるため、金利だけでなくその他の特徴も考慮した上で総合的に判断しましょう。

金利が決定される要因

銀行から融資を受ける時に適用される金利は、次のような要因によって決定されます。

【金利の決定要因】

分類 要因 詳細
基準金利 プライムレート 金融機関が最も信用力の高い企業に対して融資する際の優遇金利。日本銀行の政策金利や長期国債利回りに応じて変動する
TIBOR
(東京銀行間取引金利)
銀行間における融資に適用される金利。プライムレートよりも低い水準で推移している
スプレッド 事業計画書 事業の財務状況や成長戦略、収益予測などをまとめた資料。事業の健全性や将来性を示すことにより低金利での融資につながる可能性がある
信用情報 過去の借入や支払に関する履歴。過剰な借入や返済遅延の履歴があると信用リスクが高いとみなされ金利が高く設定される可能性がある
担保 債務履行の保証として銀行へ差し出す資産。担保を提供することにより信用力が補完され金利が下がる可能性がある
保証人 債務者の返済が滞った場合に代わりに返済義務を負う人。保証人を立てることにより信用力が補完され金利が下がる可能性がある
返済期間 返済期間の設定により金利が変動する。返済期間が短いほうが銀行にとってのリスクが低いため低金利での融資につながる傾向にある

銀行の事業性融資における適用金利は、「基準金利+スプレッド」によって決定されます。プライムレートまたはTIBORに基づく基準金利に、事業者の信用リスクや銀行の資金調達コストに応じた上乗せ幅としてのスプレッドが加算され、適用金利が決定されます。

たとえば、事業実績が豊富で信用力が高い優良企業は、銀行にとってリスクの低い融資先です。信用力が高いほど上乗せ幅としてのスプレッドが狭くなることから、基準金利に近い金利が適用される可能性があります。

一方、事業実績が少ない企業や担保を設定していない企業は、銀行にとってリスクの高い融資先です。信用力が低いと判断されスプレッドが広くなることから、適用金利も高く設定される可能性があります。

実際に適用される金利は、これらの要因を踏まえた上での総合的な判断によって決定されます。時期的な要因など事業者自身ではコントロールできない要素もあるため、金利の決定要因はあくまでも参考要素として捉え、可能な場合には銀行の担当者に希望を伝えながら手続きを進めてみましょう。

プライムレート

金利が決定される要因のひとつとして「プライムレート」が挙げられます。プライムレートは金融機関が最も信用力の高い企業に対して融資する際の優遇金利のことであり、銀行融資における基準金利として、銀行が貸出金利を決定する際のベースとなります。

基準金利には、金融機関が最も信用力の高い企業に対して融資する際の優遇金利であるプライムレートが採用される傾向にあります。プライムレートには複数の種類があり、融資の期間や銀行の判断によって適用されるプライムレートの種類が異なります。

【プライムレートの種類】

プライムレートの種類 概要
短期プライムレート 1年未満の短期融資に適用される最優遇金利。主に日本銀行の政策金利に連動して変動する
長期プライムレート 1年以上の長期融資に適用される最優遇金利。主に10年国債利回りに連動して変動する
新長期プライムレート 1年以上の長期融資に適用される金利。短期プライムレートに一定の金利を上乗せ設定される

銀行の事業性融資においては、原則として1年未満の短期融資の場合「短期プライムレート」、1年以上の長期融資の場合「長期プライムレート」が適用されます。短期プライムレートは日本銀行の政策金利に連動し、長期プライムレートは長期国債など市場金利に連動するため、短期プライムレートの方が金利の変動が緩やかとなる傾向にあります。

また、近年では長期融資において「新長期プライムレート」が適用される傾向にあります。新長期プライムレートは短期プライムレートを基準としており、原則として3年未満の融資の場合+ 0.3%、3年以上の融資の場合+ 0.5%が上乗せされた金利が適用されます。

なお、日本銀行のホームページでは、プライムレートの推移が公表されています。プライムレートは国内外の経済状況に応じて随時変動しているため、現在のプライムレートがどれくらいかを知りたい人は、日本銀行のホームページ「長・短期プライムレート(主要行)の推移」を確認してみてください。

TIBOR(東京銀行間取引金利)

金利が決定される要因のひとつとして「TIBOR(東京銀行間取引金利)」が挙げられます。TIBORはTokyo Interbank Offered Rateの略で、東京における主要銀行間の取引金利を指します。

TIBORを基準金利とする融資は「スプレッド融資」とも呼ばれます。スプレッド融資においても、基準金利となるTIBORにスプレッドを上乗せした金利が適用される仕組みですが、TIBORはプライムレートよりも低い水準で推移しているため、より低金利での借り入れが可能となります。

TIBORのレートは、中央銀行が一般の銀行に貸し付ける際の金利である「政策金利」に連動します。政策金利は景気が良いときに上がり景気が悪いときに下がるため、それに伴い景気が良いときにはTIBORが高くなり、景気が悪いときにはTIBORが低くなる傾向にあります。

また、TIBORには1週間物、1ヶ月物、3ヶ月物、6ヶ月物、12ヶ月物の5種類があり、設定された機関ごとに金利の見直しが実施されます。期間が長いほど景気変動や業績悪化など、将来の不確実性に対するリスクが高まるため、金利も高く設定される傾向にあります。

なお、TIBORを基準金利とするスプレッド融資は、プライムレートに基づく融資よりもさらに厳しい審査基準が設けられています。スプレッド融資を利用するためには高い信用力が求められるほか、1億円以上の高額な融資に限られるなど、中小企業にとっては利用が困難となる可能性がある点に留意しておきましょう。

事業計画書

金利が決定される要因のひとつとして「事業計画書」が挙げられます。事業計画書は事業の財務状況や成長戦略、収益予測などをまとめた資料であり、銀行融資に申し込む際の必要書類のひとつです。

【事業計画書が適用金利に与える影響】

項目 詳細
財務状況 業績の推移や資産と負債のバランスなどから現在の財務状況を説明する。財務状況が良好であれば、貸し倒れリスクが低いと判断され金利を下げられる可能性がある
成長戦略 事業戦略や収益予測などから将来的な事業の成長性を説明する。革新的な事業を行い収益の増加につながると判断されれば、貸し倒れリスクが低いと判断され金利を下げられる可能性がある

事業計画書においては、主に現在の財務状況と将来の成長戦略から、融資の返済可能性が判断されます。事業計画書によって事業の健全性や将来性を示すことによって、申込者の信用リスクが低いと判断されれば、低金利での融資につながる可能性があります。

事業計画書は、銀行融資における適用金利を左右する重要な書類です。できる限り金利を抑えたいと考えている場合は、必要に応じて専門家のサポートを受けながら、財務状況の健全性と事業の将来性が融資担当者に伝わる事業計画書の作成を心がけてみてください。

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信用情報

金利が決定される要因のひとつとして「信用情報」が挙げられます。信用情報とは、信用情報機関によって収集および管理されている過去の借入や支払に関する履歴のことであり、借り手の返済能力と返済意欲を測る上での重要な指標とされています。

信用情報には、これまでの借入やクレジットカードの支払、債務整理などの履歴が詳細に記されます。銀行融資の審査においては信用情報機関を通じて申込者の信用情報が確認されるため、過去に返済遅延や債務整理の履歴があった場合、信用リスクが高いとみなされ金利が高く設定される可能性があります。

一方で、過去に滞りなく融資を完済した履歴がある場合は、信用情報に対する評価が高くなります。銀行にとっての貸し倒れのリスクが低いと判断され、スプレッドを抑えることが可能になるため、結果としてより低い適用金利で融資を受けることができます。

信用情報は、融資の申込者の返済可能性を判断する際の信憑性の高いデータとして、金利の決定に大きく影響する可能性があります。信用情報を健全に保つために日頃から財務管理を徹底し、万が一支払の遅延がある場合には融資の申し込み前に支払を済ませておきましょう。

担保

金利が決定される要因のひとつとして「担保」が挙げられます。申込者自身が所有する不動産や流動資産を担保として提供することにより、申込者の信用力が補完され、低金利での融資につながる可能性があります。

銀行融資の申し込みの際に担保を設定しておくことにより、万が一債務者が返済不能となった場合に、銀行はその担保を売却して元金を回収することができます。これにより、銀行の貸し倒れリスクが低減されるため、スプレッドを低く設定することが可能になります。

特に、創業間もない法人や銀行との取引実績が少ない個人事業主など、信用力が十分でない状況においては担保の提供によって信用力を補完することが有効です。申込者の信用力の高さは金利に直接影響するため、より低金利で融資を受けたい場合は担保を提供して信用力を補完することを検討しましょう。

なお、銀行融資における担保については「なしでも大丈夫?銀行融資における担保を解説」の記事で詳しく解説しています。担保として設定できる資産の種類や、担保設定のメリットとデメリットなどを紹介しているため、あわせて参考にしてみてください。

保証人

金利が決定される要因のひとつとして「保証人」が挙げられます。債務者の返済が滞った場合に代わりに返済義務を負う保証人を立てることにより、申込者の信用力が補完され、低金利での融資につながる可能性があります。

銀行融資の申し込みの際に保証人を立てておくことにより、万が一債務者が返済不能となった場合に、銀行は保証人へ弁済請求ができます。これにより、銀行は貸し倒れとなるリスクを下げることができるため、スプレッドを低く設定することが可能になります。

特に、創業間もない法人や銀行との取引実績が少ない個人事業主など、信用力が十分でない状況においては保証人によって信用力を補完することが有効です。申込者の信用力の高さは金利に直接影響するため、より低金利で融資を受けたい場合は保証人を立てて信用力を補完することを検討しましょう。

なお、銀行融資における保証人については「なしでも大丈夫?銀行融資における保証人を解説」の記事で詳しく解説しています。保証人の種類や、保証人なしで銀行融資を受ける際のポイントなどを紹介しているため、あわせて参考にしてみてください。

返済期間

金利が決定される要因のひとつとして「返済期間」が挙げられます。原則として、返済期間を短く設定したほうが、適用される金利は低くなる傾向にあります。

返済期間の設定が短いほど金利が低くなる理由は、以下の通りです。

【返済期間が短いほど金利が下がる理由】

理由 詳細
金利変動のリスクが低い 融資期間中の金利変動により銀行の資金調達コストが増加する可能性がある。返済期間が短いほど金利変動の不確実性が低いため、銀行はリスクを少なく見積もり低金利での融資につながる
銀行側が素早く資金を回収できる 融資を早く回収できれば次の顧客への融資や他の投資に資金を回すことができる。銀行にとってより多くの収益機会を生み出すことができるというメリットがあるため、低金利での融資につながる
銀行側の管理コストが下がる 融資期間に発生する事務処理コスト、人件費、システム維持費などの管理コストが削減される。下がった分の管理コストが金利の引き下げとして還元され、低金利での融資につながる可能性がある

返済期間は審査によって決定されるため申込者の希望だけで決めることはできませんが、返済期間の相談は可能です。低金利での融資につなげるために返済期間をできるだけ短期に設定したい場合は、事業の成長見込みを融資担当者と話し合い、希望を伝えてみましょう。

ただし、返済期間を短く設定するほど、月々の返済額は増加します。利息の支払いが事業を圧迫して資金繰りが悪化する可能性もあるため、金利を下げるためだけに無理に返済期間を短く設定しようとせず、財務状況を踏まえた返済計画を立てましょう。

利息の計算方法

銀行融資における金利について押さえたら、金利に基づく利息の計算方法を確認してみましょう。銀行から事業資金の融資を受けたとき、支払い1回あたりの利息の計算方法は次のようになります。

【1回の支払いにかかる利息の計算方法】

元金×金利(年率)/365(※)×借入日数

※うるう年なら366で計算する

融資金額に対して適用される金利は、原則として年率です。年率とは、元金に対して1年間にかかる利息の割合を示したものであり、利息の計算では元金に金利を掛けた数値を1年間の日数で割り、さらに借入日数を掛けて1回あたりの支払利息を計算します。

たとえば、120万円の融資を受けたときに1か月(31日間)にかかる利息は「120万円×3.0%÷365×31=3,057円」です。この金額に元金返済分を加えた金額が、1回の支払いあたりにかかる金額になります。

支払利息は借入期間に比例するため、可能な限り返済期間は短く設定したほうが利息支払いは抑えられます。ただし、返済期間が短くなると1回あたりの返済負担が大きくなるため、適切な返済期間については融資の担当者と相談しながら決めましょう。

利息の支払総額は返済方法によって異なる

利息の支払い総額は、返済方法によって異なります。返済方法には元利均等方式と元金均等方式の2つがあり、それぞれ利息のベースとなる元金の減り方が異なるためです。

たとえば、120万円の融資を1年間で返済しきる場合、元利均等方式と元金均等方式では、月々の支払いと利息の総額には次のような違いが生じます。

【元利均等方式と元金均等方式の支払い比較】

元利均等返済 元金均等返済
支払額 利息 支払額 利息
1か月目 100,000円 3,057円 103,057円 3,057円
2か月目 100,000円 2,538円 102,531円 2,531円
3か月目 100,000円 2,562円 102,547円 2,547円
4か月目 100,000円 2,239円 102,219円 2,219円
5か月目 100,000円 2,064円 101,972円 2,038円
6か月目 100,000円 1,756円 101,783円 1,726円
7か月目 100,000円 1,564円 101,479円 1,528円
8か月目 100,000円 1,314円 101,273円 1,273円
9か月目 100,000円 1,028円 101,019円 986円
10か月目 100,000円 810円 100,739円 764円
11か月目 100,000円 539円 100,509円 493円
12か月目 119,744円 304円 100,254円 254円
合計 1,219,744円 19,775円 1,219,382円 19,416円

元利均等方式とは、元金返済と利息の支払いを一定にする返済方法です。毎月決まった金額を返済するので計画が立てやすく、特に返済開始時の支払い負担が軽いという特徴があります。

一方、元金均等方式とは、毎月一定の元金返済に利息を上乗せする返済方法です。元利均等返済と比較して初期の返済負担が重くなるものの、元金の減りが早いという特徴があります。

同条件での借り入れにおいて、元利均等返済と元金均等返済を比較した場合、元金均等返済の方が総支払額が低くなります。元金均等返済では元利均等返済よりも元金が早く減ることから、その残高に基づいて計算される利息も少なくなるためです。

試算では利息の支払いは数百円程度の違いにとどまりますが、元金の大きさや返済期間の長さによっては、数万円単位の違いが生じることもあります。それぞれの返済方法にメリットとデメリットがあるため、特徴を確認したうえで返済方法を選択しましょう。

利息の支払総額は返済回数によって異なる

利息の支払い総額は、返済回数によって異なります。金利は元金の残高に対して課されるものであり、返済を重ねるごとに金利が適用される元金が変わっていくためです。

具体例として、120万円の融資を元利均等方式によって1年間で返済する場合に、返済回数に応じて利息の総額がどのように変わるかを見ていきましょう。「毎月払い」「年2回払い」「一括払い」のいずれの方法を選択するかによって、支払う利息の総額は以下のように違いが生じます。

【返済回数による利息総額の違い】

返済回数 利息総額
年12回(毎月払い) 19,775円
年2回 27,067円
年1回(一括払い) 36,000円

上記の条件において、利息の総額を最も抑えられるのは「毎月払い」です。返済期間が同じであれば支払い回数が多いほど利息の総額は少なくなるため、早期の段階で資金繰りに余裕ができる見込みがある場合は、支払い回数を増やして早めに元金を完済することで利息の総額を減らすことが可能です。

ただし、事業状況によっては毎月の支払いが厳しい場合あるため、必ずしも毎月払いを選択することが適切であるとは限りません。返済計画については申し込み前に銀行の融資担当者と相談し、事業の成長成長戦略に合わせた支払い回数を設定しましょう。

銀行融資の金利と利息に関するQ&A

銀行融資の金利に関して、これから融資に申し込む人が気になりそうな点をQ&A方式にまとめました。銀行融資の金利相場や利息の計算方法を押さえた人は、あわせて参考にしてみてください。

【銀行融資の金利と利息に関するQ&A】

質問 回答
個人事業主と法人では銀行融資の金利は異なりますか? 原則として、個人事業主と法人で金利が異なることはありません。しかし、事業形態の特性上個人事業主は法人と比較して信用力が評価されにくいため金利が高くなる傾向にあります
固定金利と変動金利はどちらを選ぶと良いですか? 初期の返済負担を抑えたい場合や短期融資の場合は変動金利が向いています。一方、安定した資金計画を立てたい場合や将来の金利上昇リスクを避けたい場合は固定金利が向いています
借入時期によって金利が変わることはありますか? 経済状況や資金需要のバランス、季節性の要因などによって金利は変動します。ただし、金利の変動は不明瞭なため金利の低下を待つことで投資機会を逃さないよう注意しましょう
利息が安い銀行はありますか? 銀行との関係性によっては金利を優遇してもらえる可能性があります。取引実績がない銀行よりも良好な関係を築いている銀行の方が支払利息を安く抑えられる傾向にあります

銀行融資における金利は、融資の利用者にとって今後の返済負担を左右する重要な要素です。複数の銀行と取引がある場合は各銀行から見積もりを取り、提示された金利で無理なく返済できるかどうかをシミュレーションしておきましょう。

まとめ

銀行から事業性資金の融資を受ける際の金利相場は、プロパー融資と信用保証付き融資は1.0%〜3.0%ほど、ビジネスローンは1.5%〜14.0%ほどです。実際に適用される金利は申込者の状況に応じて変動するため、同じ融資の種類であっても金利相場には幅があります。

また、適用金利の決定には、金利のベースとなる「基準金利」と、申込者の信用リスクである「スプレッド」が考慮されます。基準金利であるプライムレートに、申込者の信用リスクであるスプレッドが加算されるため、信用力が高いと評価される優良企業ほど適用金利は低くなる傾向にあります。

最終的な支払いを抑えるためには、低金利で融資を受ける以外にも利息負担を減らす方法を検討することができます。返済方法や支払回数によっても利息の支払い総額が変わってくるため、返済シミュレーションを活用しながら、利息負担を抑えられる返済方法を選択しましょう。

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