ベンチャーキャピタルから資金調達するには?流れやメリットデメリットについても解説

ベンチャーキャピタル(VC)はスタートアップやベンチャー企業にとって有効な資金調達先として知られています。しかし、利用するには敷居が高く、実態はよく知らないという人も多いのではないでしょうか。

今回はベンチャーキャピタルから資金調達する方法やメリットやデメリットについて解説していきます。

ベンチャーキャピタルとはハイリスク・ハイリターンを狙う投資会社

ベンチャーキャピタルとはハイリスク・ハイリターンを狙う投資会社または投資ファンドです。未上場の企業に投資し、将来企業が上場などを果たした際の大きな値上がり益を収益としているからです。

ベンチャーキャピタルは今後急成長し上場を目指す企業に出資し、株を保有します。そして、ベンチャーキャピタル自身がもつ経営ノウハウや独自の業界ネットワークを使い、企業の経営支援を行って企業価値を高めていきます。

ベンチャーキャピタルは10年を目安に投資先のEXITを目指す

ベンチャーキャピタルは10年を目安に投資先から利益を回収できるように動きます。ベンチャーキャピタルの資金源はLPと呼ばれる投資事業有限責任組合からの出資によるものであり、LPと10年間の運用契約を結ぶのが一般的だからです。

LPの多くは大手企業や機関投資家、政府系投資機関や大学系投資機関などであり、ベンチャーキャピタルはLPから資金を集め、それを元手に企業へ投資します。

ベンチャーキャピタルはLPに10年後に資金を返す約束をしているため、その間に投資先の企業を選択し、企業が利益をだせるよう支援します。

ベンチャーキャピタルは利益構造上、10年間という短期間で成果をだすことを企業に求めます。ベンチャーキャピタルから資金調達する場合は、10年間の出資を前提に事業計画を作成し成長戦略を練りましょう。

ベンチャーキャピタルは成長市場へ投資する傾向がある

ベンチャーキャピタルは成長市場へ投資する傾向があります。短期間で利益を最大化するためには、成長市場にいる企業に投資するのが効果的だからです。

日本ベンチャーキャピタル協会の調査によると、投資分野ではIT関連、投資ステージはアーリー期が主要ターゲットになっています。

ベンチャーキャピタル最新動向レポート(2021年度)の調査によると、投資分野はIT関連が51.1%、次いでバイオ・医療・ヘルスケア関連が17.2%でした。投資ステージはアーリー期が48.5%、次いでエクスパンション期(アーリー期の一段階上)が20.9%となっています。

アーリー期やエクスパンション期は共に事業が成熟する前の段階を指します。ベンチャーキャピタルは成長中の事業に早めの投資をすることで、株価の上昇を狙っているのです。

IT関連もバイオ・医療・ヘルスケア関連も、開発に時間と資金が必要ですが市場のニーズも高く、成長が見込める分野といえます。ベンチャーキャピタルはこうした分野を中心に、まだ事業拡大前の企業を見つけて投資する傾向にあります。

もちろん、IT関連やバイオ・医療・ヘルスケア関連以外にも投資する可能性はあります。ベンチャーキャピタルによって得意な事業領域もさまざまです。シード期から投資することで、アーリー期よりもハイリスク・ハイリターンを狙うベンチャーキャピタルもあるでしょう。ただ、ベンチャーキャピタルの利益構造上、短期間での急成長が見込める事業であることが条件となるでしょう。

ベンチャーキャピタルから出資を受けるメリットは返済不要な資本が増えること

ベンチャーキャピタルから出資を受けるメリットは、金融機関からの借入と比較して、返済不要な資本が増えることです。出資の場合は、自社の株式を発行して資金を調達するため、返済の義務がありません。

多くのスタートアップやベンチャー企業の場合、創業時は売上が立たず資金繰りが厳しい時期が続きます。 出資であれば返済不要でまとまったお金が手に入るため、ベンチャーキャピタルからの出資は有効な調達方法といえます。

また、借入の場合は決算書上で負債とみなされるのに対し、出資の場合は決算書上で資本とみなされます。ベンチャーキャピタルで出資をうけると、資本が増えることで金融機関からの評価もあがり、融資を受けやすくなるメリットがあります。

ベンチャーキャピタルから出資を受けるデメリットは経営の自由度が下がること

ベンチャーキャピタルから出資を受けるデメリットは、金融機関からの借入と比較して、経営の自由度が下がることです。ベンチャーキャピタルは企業の株主となることで、経営判断等の発言権を得る からです。

通常一回の資金調達で 、企業はベンチャーキャピタルに対し数%から20%程度株を放出します。企業は上場までに資金調達を複数回行うのが一般的ですが、あまりに株式を発行しすぎてしまうと 経営者の発言権が弱まってしまいます。

経営に深く関与する点はデメリットでもありますが、ベンチャーキャピタルもリスクを取っている分真剣に経営に向き合ってくれます。企業にとって信頼できる長期的なパートナーを探すため、ベンチャーキャピタルは慎重に選ぶことが大切であるとともに、資金調達の際株式をどの程度放出するかについても計画を練る必要があります。

ベンチャーキャピタルから資金調達する際の基本的な流れ

ベンチャーキャピタルから資金調達する際には、基本的には以下の流れで手続きを進めます。

  1. ベンチャーキャピタルとコンタクトを取る
  2. 事業計画を作成し、ベンチャーキャピタルの審査(デューデリジェンス)を受ける
  3. ベンチャーキャピタルと投資額や株式発行額の交渉をする
  4. ベンチャーキャピタルと投資契約を結ぶ

まずベンチャーキャピタルと接触し、事業計画を持参して自社のプレゼンを行います。そこで投資をしたいと思ってもらえたら、ベンチャーキャピタルと秘密保持契約を結んだのち審査を行います。審査期間は4週間から6週間であり、申込者と事業に関する緻密な調査が行われます。

審査 に通ると、企業のバリュエーション(評価額)に基づいて投資額や株式をどれくらい発行するかについて交渉を行います。交渉が成立したら最後に投資契約を締結し、資金調達を実行します。

ベンチャーキャピタルは紹介経由でコンタクトを取ると会える確率が上がる

ベンチャーキャピタルと接触するには、同じくベンチャーキャピタルから出資をうけている経営者などから紹介してもらうと、会える確率が高まります。 すでに取引のある顧客からの紹介ならば、担当者も見込みのある企業だと意欲的になってくれる 可能性があるからです。

ベンチャーキャピタルは日々さまざまな企業から資金調達の相談を受けており、アポイントメントを取ることは難しいです。しかし、将来性の期待できる企業にはぜひ会いたいと思ってもいるため、良好な関係を築いている投資先の紹介とあれば、時間を割いてくれる可能性はあります。実際どのようにベンチャーキャピタルと接触したかと聞くと、知り合いのツテと答える経営者は多いです。

身近にベンチャーキャピタルの利用者がいない場合は、直接SNSでメッセージを送る、ビジネスコンテストなどのイベントで出会うなどの方法が考えられます。

ベンチャーキャピタルに話を聞いてもらうことは最初のハードルです。 紹介がない場合は断られることも多いかもしれません。何社も回る覚悟で、ベンチャーキャピタルとコンタクトを取る機会を逃さないようにしましょう。

事業計画書はベンチャーキャピタルにとって魅力的なものを作成する

事業計画書をつくる際は、ベンチャーキャピタルにとって魅力的なものを作成します。短いプレゼンテーション時間の中で自社の事業が魅力的であることを端的に伝えるには、分かりやすい事業計画書の作成が必要になるためです。 

ベンチャーキャピタルは短期間で急成長し売却益の大きい企業に投資したいため、企業は自社の事業がどれだけの市場規模を狙えるのか、上場を何年以内に行うのか、そのときの企業価値はどれくらいで、ベンチャーキャピタルにどれほどのリターンがあるのかなどを説明します。

成長フェーズにもよりますが、できるだけ客観的な数値を用いて、希望的観測を排除する必要があります。まだ売上実績がない場合は、売上を3パターン予測したものをつくるなどしてもよいでしょう。

また、経営者の経歴も記載するのが一般的です。実績がないなかで数値予測をたてても、正確性に欠けるところがあります。そのため、 経営者自身の実績や人柄、熱意や理念を記載することで、計画した事業をやりきれるのかをベンチャーキャピタルは見ていると言われています。

事業計画書の作成はさまざまな予測をたて数値を緻密に組む必要があり、時間がかかります。行き詰まったときは外部の専門家へアドバイスを求めるのもいいでしょう。

投資額の交渉や投資契約の締結は慎重に行う

ベンチャーキャピタルの審査が通り、金額の交渉や契約締結の段階に入ったら 慎重に話を進める必要があります。内容次第では、ベンチャーキャピタルにかなり有利な条件を提示される場合もあるからです。

審査によって、企業の評価額をベンチャーキャピタルが決定します。それに基づいて株式の発行数と発行額が決まるため、企業が想定していた株の発行数では希望の調達額に満たないなどのギャップが生まれるケースもあります。

このときに資金が必要だからと株を発行しすぎてしまうと、次回以降の資金調達時に経営陣の株主比率が少なすぎるなどの影響がでてきてしまうため、 慎重に判断する必要があります。投資契約についても、ベンチャーキャピタルが用意した契約書を使用するケースが多いため、契約内容については企業側でも専門家に相談しながら条件を確認していきます。

一度発行した株を取り戻すことは困難です。資金調達のたびに経営陣の持ち株比率は下がっていきます。条件面での交渉は慎重に行い、今後のことも考えて納得したうえで出資を受けるようにしましょう。

まとめ

ベンチャーキャピタルからの調達は資金調達額も大きく、経営ノウハウを活かした助言などもメリットとして大きいです。ただし、自社の株主になってもらうため、長期的に信頼できるパートナーを選ぶ意識をもつべきです。

ベンチャーキャピタル自体の利益構造を知り、出資を受ける際の懸念点も十分に考慮したうえで、ベンチャーキャピタルを活用しましょう。

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