【建設業版】融資を受けるときのポイントを解説

電気工事業や土木工事業など、建設業として独立開業する予定の人の中には、金融機関から融資を受けることを検討している人もいますよね。その際、融資を受けられるかどうかが不安なことにより、融資を受けるときのポイントを知りたい人もいるでしょう。

当記事では、建設業における融資を受けるときのポイントを解説します。融資の申し込みに向けて、事業計画を策定するときの項目も解説するため、建設業の創業を目指している人は参考にしてみてください。

ポイントは工事代金の回収時期を見据えた資金繰り計画を立てること

建設業を創業する場合、融資を受けるときのポイントは工事代金の回収時期を見据えた資金繰り計画を立てることです。建設業特有の入金サイクルに対応する必要があるため、建設業を創業予定の人は融資を受けるときのポイントとして押さえておきましょう。

【資金繰り計画を立てるときの項目】

  • 工事の受注見込みを明確にする
  • 工事の原価管理を徹底する

資金繰り計画を立てるときの項目として挙げられるのは「工事の受注見込みの明確化」と「工事の原価管理の徹底」です。建設業特有の入金サイクルに対応する必要があるため、建設業を創業予定の人はそれぞれの項目を確認してみましょう。

工事の受注見込みを明確にする

資金繰り計画を立てるときの項目として挙げられるのは、工事の受注見込みを明確にすることです。工事の受注見込みを明確にすることにより、資金繰り計画に反映できる可能性があるため、建設業を創業予定の人は工事の受注見込みを整理しておきましょう。

【受注見込みを明確にするときの具体例】

案件 受注確率 工事代金 工事完了 回収時期
焼肉店内装工事 100% 550万円 2月 4月
住宅内装工事 100% 450万円 4月 6月
美容室改装工事 50% 300万円 10月 12月

受注見込みを明確にしたい場合、受注確率を想定する方法があります。「契約済みの場合は100%」や「見積書を提示済みの場合は50%」など、各案件の状況に応じて受注確率を想定することにより、実現性のある売上高を把握できる可能性があります。

また、受注見込みを明確にしたい場合、回収時期を想定する方法があります。「工事完了の翌月末」や「工事完了の2か月後」など、取引先ごとに回収時期が異なるため、各案件の回収時期を想定することにより、実現性のある売上高を把握できる可能性があります。

なお、受注見込みを想定する場合、回収時期に注意が必要です。建設業は工事の開始から工事代金の回収までに時間がかかる関係上、資金ショートのおそれがあるため、建設業を創業予定の人は回収時期までの間に必要となる運転資金を試算しておきましょう。

工事の原価管理を徹底する

資金繰り計画を立てるときの項目として挙げられるのは、工事の原価管理を徹底することです。工事の原価管理を徹底することにより、資金繰り計画に反映できる可能性があるため、建設業を創業予定の人は工事の原価管理の概要を確認してみましょう。

【工事の原価に含まれる費用の具体例】

費用 概要
材料費 鉄筋や木材など、工事に使用する建築資材を購入する費用。仕入価格や数量を明確にすることにより、余剰在庫や資材ロスを減らす必要がある。
労務費 給与、日当など、自社の作業員や職人にかかる費用。作業時間や人員配置を記録することにより、適切な支出額を確認することになる。
外注費 下請会社や一人親方など、外部に工事を依頼したときにかかる費用。外注範囲と金額を明確にすることにより、追加費用を防げる可能性がある。
経費 材料費、労務費、外注費以外の経費や管理費。交通費、消耗品費、現場管理費など、費用を工事ごとに分けて管理することになる。

たとえば、工事の原価に含まれる費用のひとつは「材料費」です。「鉄筋」「木材」「コンクリート」など、工事に使用する建築資材の購入にかかる費用となるため、仕入価格や数量を明確にすることにより、実現性のある支出額を把握できる可能性があります。

また、工事の原価に含まれる費用のひとつは「外注費」です。「下請会社」や「一人親方」など、外部に工事を依頼したときにかかる費用となるため、外注範囲や金額を明確にすることにより、実現性のある支出額を把握できる可能性があります。

なお、原価を算出する場合、支払時期に注意が必要です。工事代金の回収時期よりも先に次の工事に関する支払いが発生する可能性がある関係上、支払時期を踏まえて資金繰り計画を立てる必要があるため、建設業を創業予定の人は留意しておきましょう。

資金繰り計画を立てた後は事業計画を策定する

資金繰り計画を立てた後は建設業を創業するための事業計画を策定することになります。融資を申し込む場合、審査における必要書類のひとつとして、金融機関から事業計画書の提出を求められるため、資金繰り計画を立てた人は事業計画を策定してみましょう。

【事業計画における項目の具体例】

項目 概要
事業経験 創業者の職務経歴や実績を示す項目。創業する事業に関する経験を整理する。
経営方針 創業後の事業内容や経営方針を示す項目。施工内容や集客戦略を整理する。
収支計画 創業後の売上や利益の見込みを示す項目。数値の根拠を明確にする。

事業計画の項目として挙げられるのは「事業経験」「経営方針」「収支計画」です。融資を申し込む場合、審査における必要書類のひとつとして、金融機関から事業計画書の提出を求められるため、資金繰り計画を立てた人はそれぞれの項目を確認してみましょう。

事業経験

事業計画の項目として挙げられるのは「事業経験」です。事業経験は創業者の職務経歴や実績を示す項目となる関係上、建設業を創業する場合は建設業に関連する知識や技術を示すことになるため、事業計画を策定する人は事業経験を整理してみましょう。

【建設業における事業経験の具体例】

年月 具体例
平成22年3月 〇〇高校卒業
平成22年4月 〇〇工務店に入社
建具取付や床材施工など、現場での施工を担当。
平成27年4月 ハウスメーカー〇〇に入社
施工と営業を兼務。新規開拓の営業を担当し、〇〇地区における契約件数を前年度比20%増加させた。
建築施工管理技士2級を取得。
令和2年10月 〇〇建設に入社
営業課長として、人材育成や収支管理を担当。2年後にエリアマネージャーに昇進。
建築施工管理技士1級を取得。
令和8年10月 退職予定

事業経験を整理するときのポイントは「時系列に沿うこと」です。「高校の卒業」「建設会社への就職」「建築関連の資格取得」など、時系列に沿って整理することにより、建設業に関する経歴の抜け漏れを防げる可能性があります。

事業経験を整理するときのポイントは「具体的な実績を示すこと」です。「建具取付の技術取得」「営業課長を担当」「契約件数を20%増加」など、具体的な実績を示すことにより、創業後の経営に活かせる能力を伝えられる可能性があります。

なお、一定規模の工事を施工する場合、国土交通大臣または都道府県知事の建設業許可が必要です。「経営体制」「実務経験」「金銭的信用」など、複数の要件を満たす必要があるため、建設業を創業予定の人は建設業許可の要否を確認することを検討してみましょう。

経営方針

事業計画の項目として挙げられるのは「経営方針」です。経営方針は創業後の事業内容や経営方針を示す項目となる関係上、建設業を創業する場合は対応できる施工内容や顧客獲得の戦略を示すことになるため、事業計画を策定する人は経営方針を検討してみましょう。

【建設業における経営方針の具体例】

項目 具体例
施工内容 ①店舗の内装工事(1件あたり200万円~)
②住宅の内装工事(1件あたり300万円~)
③住宅のリフォーム工事(1か所あたり5万円~)
単価 30万円/坪
営業日数 25日/月
営業時間 7:00~17:00
特長 16年間にわたって培った内装工事の技術がセールスポイント。現地調査から施工管理まで一貫して対応できるため、短納期かつ高品質での施工が可能となる。個人事業主として創業するため、小規模工事やアフターフォローにも柔軟に対応できる。
集客方法 〇〇地区での営業経験を活かし、既存取引先による紹介案件が10件ほど見込める。新規顧客の獲得に向けて、不動産会社や設計事務所との提携を進める。また、「Instagram」や「YouTube」など、SNSにリフォームの施工事例を発信することにより、個人での顧客獲得も目指す。
市場分析 〇〇地区は駅周辺の開発により、飲食店や小売店の出店数が増加しているため、小規模店舗の内装工事の需要が継続して見込まれる。隣接する△△地区は高齢化が進んでいることにより、住宅のリフォーム工事に対応できる内装業者の需要が高いため、受注を確保できる見込み。

経営方針を検討するときのポイントは「強みを明確にすること」です。「16年間に培った内装工事の技術」「施工管理までの一貫対応」「短納期かつ高品質」など、その業者ならではの強みを明確にすることにより、競合業者と差別化できる可能性があります。

また、経営方針を検討するときのポイントは「具体的な戦略を示すこと」です。「既存取引先からの紹介」「不動産会社との提携」「施工事例の発信」など、経営における具体的な戦略を示すことにより、売上獲得の実現性を伝えられる可能性があります。

なお、経営方針に盛り込む項目は他にも考えられます。「建築資材の仕入先」「安全管理の体制」「外注の有無」など、事業内容に応じた項目を盛り込むことにより、経営方針の具体性が高まる可能性があるため、経営方針を検討する人は覚えておきましょう。

収支計画

事業計画の項目として挙げられるのは「収支計画」です。収支計画は創業後の売上や利益の見込みを示す項目となる関係上、それぞれの数値の根拠を明確にする必要があるため、事業計画を策定する人は収支計画を作成してみましょう。

【建設業における収支計画の具体例】

項目 創業時 軌道に乗った後 根拠
①売上高 400万円 600万円 <創業時>
①売上高:400万円/1件
②原価率:80%(材料費と外注費。勤務時の経験を参考)
③人件費:時給2,000円×7時間×20日=28万円
支払利息:600万円×年2.0%÷12=1万円
その他:水道光熱費、広告費、通信費など
<軌道に乗った後>
①売上高:創業当初の1.5倍
②原価率:創業当初の原価率を採用
③人件費:アルバイト従業員を1人増員
28万円×2人=56万円
その他:広告費と通信費が計2万円増加
②売上原価 320万円 480万円
経費 人件費 28万円 56万円
家賃 0万円 0万円
支払利息 1万円 1万円
その他 21万円 23万円
③合計 50万円 80万円
利益①-②-③ 30万円 40万円

収支計画を作成するときのポイントは「計算式を示すこと」です。「人件費=時給×1日の勤務時間×1か月の勤務日数」や「支払利息=借入金×年利÷12か月」など、計算式を示すことにより、各数値の説得力を高められる可能性があります。

また、収支計画を作成するときのポイントは「内訳を明確にすること」です。「材料費」「外注費」「人件費」「水道光熱費」など、売上原価や経費の内訳を明確にすることにより、支出額の説得力を高められる可能性があります。

なお、収支計画を作成する場合、複数のパターンを作成する余地があります。「受注数が想定を下回った場合」や「資材が高騰した場合」など、複数のパターンを作成することにより、リスクに備えられる可能性があるため、収支計画を作成する人は覚えておきましょう。

事業計画を策定した人は全業種に共通するポイントも押さえておく

融資を受けたい場合、全業種に共通するポイントがあります。創業予定の業種にかかわらず、融資の審査時に金融機関から確認される可能性がある要素となるため、事業計画を策定した人は全業種に共通するポイントを確認してみましょう。

【全業種に共通するポイント】

ポイント 概要
自己資金 事業に使用する予定の資金。自己資金として認められる資金と認められない資金に留意が必要となる。
信用情報 信用取引における利用情報。ローンの利用履歴やクレジットカードの利用履歴など、創業者の信用情報が確認される。

全業種に共通するポイントとして挙げられるのは「自己資金」と「信用情報」です。融資の審査時に金融機関から確認される可能性がある要素となるため、事業計画を策定した人は全業種に共通するポイントを確認してみましょう。

自己資金

全業種に共通するポイントのひとつは「自己資金」です。自己資金は事業に使用する予定の資金となる関係上、審査時に金融機関から確認される可能性があるため、建設業を創業予定の人は自己資金の概要を確認してみましょう。

【自己資金の概要】

項目 概要
自己資金として認められる傾向がある資金 ・預貯金
・退職金
・みなし自己資金
・資産の売却代金
自己資金として認められない傾向がある資金 ・タンス預金
・返済義務のあるお金

自己資金として認められる傾向がある資金として挙げられるのは「預貯金」です。「工務店勤務時の給与」や「副業の収入」など、創業者の口座にコツコツと貯めた資金は金融機関から自己資金として認められる傾向があります。

一方、自己資金として認められない傾向がある資金として挙げられるのは「タンス預金」です。「自宅に保管していたお金」や「入出金履歴を確認できない資金」など、資金の出所が不明瞭な資金は金融機関から自己資金として認められない傾向があります。

なお、融資を申し込む場合、創業者の通帳コピーを提出することになります。金融機関に通帳コピーを提出することにより、その記帳内容から自己資金の額が確認されることになるため、建設業を創業予定の人は覚えておきましょう。

信用情報

全業種に共通するポイントのひとつは「信用情報」です。信用情報は信用取引における利用情報となる関係上、審査時に金融機関から確認される可能性があるため、建設業を創業予定の人は信用情報の概要を確認してみましょう。

【信用情報の概要】

項目 概要
信用情報として登録される情報 ・本人情報
・住宅ローンの利用状況
・カードローンの利用状況
・クレジットカードの利用状況など
信用情報として登録されない情報 ・納税の状況
・保有する資産
・預貯金の残高など

信用情報として登録される情報のひとつは「クレジットカードの利用状況」です。「利用額」「支払日」「支払遅延」など、クレジットカードの利用状況は信用情報として登録されるため、金融機関から確認される可能性があります。

また、信用情報として登録される情報のひとつは「住宅ローンの利用状況」です。「契約日」「借入残高」「返済遅延」など、住宅ローンの利用状況は信用情報として登録されるため、金融機関から確認される可能性があります。

なお、信用情報に異動情報が登録されている場合、審査を通過できないおそれがあります。「長期延滞」や「債務整理」など、異動情報が登録されている場合は審査を通過できず、融資を受けられないおそれがあるため、心当たりがある人は念頭に置いておきましょう。

ポイントを押さえた人は建設業に利用できる融資制度を確認する

建設業を創業する場合、創業者向けの融資制度を検討する余地があります。創業者向けの融資制度は複数の選択肢がある関係上、希望条件に合った融資制度を選択することになるため、ポイントを押さえた人は建設業の創業に利用できる融資制度を確認してみましょう。

【建設業の創業に利用できる融資制度の具体例】

融資制度 概要
日本政策金融公庫
「新規開業・スタートアップ支援資金」
<対象者>
・新たに事業を始める人
・事業開始後おおむね7年以内の人
<返済期間>
設備資金:20年以内(うち据置期間5年以内)
運転資金:10年以内(うち据置期間5年以内)
<融資限度額>
7,200万円
東京都中小企業制度融資
「創業」
<対象者>
・1か月以内に東京都内で創業しようとする個人
・創業した日から通算5年未満の個人など
<返済期間>
設備資金:10年以内(うち据置期間1年以内)
運転資金:7年以内(うち据置期間1年以内)
<融資限度額>
3,500万円
大阪府制度融資
「開業・スタートアップ応援資金」
<対象者>
・開業前の人
・開業後5年未満の人など
※ 事業開始前または事業開始後2か月未満の場合は創業資金総額の1/10以上の自己資金が必要
<返済期間>
10年以内
<融資限度額>
3,500万円

建設業の創業に利用できる融資制度として挙げられるのは日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。「新たに事業を始める人」や「事業開始後おおむね7年以内の人」が対象となるため、建設業を創業する人は利用できる可能性があります。

また、建設業の創業に利用できる融資制度として挙げられるのは大阪府の制度融資「開業・スタートアップ応援資金」です。「開業前の人」や「開業後5年未満の人」が対象となるため、大阪府内において建設業を創業する人は利用できる可能性があります。

なお、民間金融機関の中にも創業融資制度を取り扱っている機関があります。「信用金庫」や「地方銀行」など、地域の事業者支援を実施している民間金融機関は創業融資制度を取り扱っている可能性があるため、気になる人は創業融資制度の有無を確認してみましょう。

創業後は建設業を対象とした融資制度を利用できる可能性がある

建設業を創業した場合、建設業を対象とした融資制度を利用できる可能性があります。建設業界の金融円滑化を目的とした「地域建設業経営強化融資制度」を利用できる可能性があるため、建設業を創業予定の人は融資制度の概要を確認してみましょう。

【建設業を対象とした融資制度の概要】

融資制度 概要
地域建設業経営強化融資制度 <対象者>
中小建設企業または中堅建設企業
<仕組み>
公共工事や公共性のある民間工事などの工事の請負代金債権を担保として、元請建設業者が工事の出来高に応じて融資を受けられる

※国土交通省の公式サイトにある「地域建設業経営強化融資制度の概要」をもとに株式会社Solabo作成

地域建設業経営強化融資制度の対象者は中小建設企業または中堅建設企業です。「資本の額または出資の総額が20億円以下」または「常時使用する従業員の数が1500人以下」など、条件を満たしている元請建設企業が対象となります。

また、地域建設業経営強化融資制度は工事の出来高に応じて融資を受けられる仕組みです。「公共工事」や「公共性のある民間工事」など、条件を満たしている工事の請負代金債権を担保として、その工事における出来高の範囲内の融資を受けることができます。

なお、地域建設業経営強化融資制度を利用する場合、債権を譲渡することになります。発注者の承諾を得た後、事業協同組合や一定の民間事業者に対して債権を譲渡することにより、融資を受ける仕組みとなるため、気になる人は予備知識として覚えておきましょう。

まとめ

建設業を創業する場合、融資を受けるときのポイントは工事代金の回収時期を見据えた資金繰り計画を立てることです。建設業特有の入金サイクルに対応する必要があるため、建設業を創業予定の人は融資を受けるときのポイントとして押さえておきましょう。

資金繰り計画を立てた後は建設業を創業するための事業計画を策定することになります。融資を申し込む場合、審査における必要書類のひとつとして、金融機関から事業計画書の提出を求められるため、資金繰り計画を立てた人は事業計画を策定してみてください。

建設業を創業する場合、創業者向けの融資制度を検討する余地があります。創業者向けの融資制度は複数の選択肢がある関係上、希望条件に合った融資制度を選択することになるため、ポイントを押さえた人は建設業の創業に利用できる融資制度を確認してみましょう。

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