ハウスクリーニングやビルメンテナンスなど、清掃業の開業を目指している人の中には、金融機関から融資を受けることを検討している人もいますよね。その際、融資を受けられるかどうかが不安なことにより、融資を受けるときのポイントを知りたい人もいるでしょう。
当記事では、清掃業における融資を受けるときのポイントを解説します。清掃業の創業時におけるポイントに加え、全業種に共通するポイントも解説するため、清掃業を創業予定の人は参考にしてみてください。
目次
ポイントは現実的な清掃件数を予測すること
清掃業を創業する場合、ポイントは現実的な清掃件数を予測することです。現実的な清掃件数を予測することにより、実現可能な売上高を把握できる可能性があるため、清掃業を創業予定の人は融資を受けるときのポイントとして押さえておきましょう。
【現実的な清掃件数を予測する方法の具体例】
- 作業能力から検討する
- 契約形態から検討する
現実的な清掃件数を予測する方法として挙げられるのは「作業能力から検討する方法」と「契約形態から検討する方法」です。実現可能な売上高を試算できる可能性があるため、清掃業を創業予定の人はそれぞれの項目を確認してみましょう。
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作業能力から検討する
現実的な清掃件数を予測したい場合、作業能力から検討する方法があります。作業能力から検討することにより、実現可能な売上高を把握できる可能性があるため、清掃業を創業予定の人は作業能力から清掃件数を予測してみましょう。
【作業能力から検討するときのイメージ】
| 清掃内容 | 所要時間の目安 | 1日あたりの作業能力 |
|---|---|---|
| エアコンクリーニング | 1時間半~2時間 | 3台程度 |
| キッチンクリーニング | 2時間半~3時間 | 2件程度 |
| 浴室クリーニング | 2時間半~3時間 | 2件程度 |
| 空室クリーニング | 半日~数日間 | 物件ごとに異なる |
たとえば、エアコンクリーニングの場合、1台あたりの所要時間の目安は1時間半から2時間です。エアコンの汚れや設置場所に左右されますが、1日の営業時間が8時間と仮定したときは移動時間を含め、1日に3台程度の作業を想定することができます。
また、浴室クリーニングの場合、1件あたりの所要時間の目安は2時間半から3時間です。浴室の汚れや広さに左右されますが、1日の営業時間が8時間と仮定したときは移動時間を含め、1日に2件程度の作業を想定することができます。
なお、対応できる清掃件数は従業員数によっても異なります。従業員を雇う場合、従業員数が増えるほど、対応できる清掃件数も増える可能性があるため、清掃業を創業予定の人は雇用計画と照らし合わせつつ、清掃件数を予測してみましょう。
契約形態から検討する
現実的な清掃件数を予測したい場合、契約形態から検討する方法があります。契約形態から検討することにより、実現可能な売上高を把握できる可能性があるため、清掃業を創業予定の人は契約形態から清掃件数を予測してみましょう。
【契約形態から検討するときのイメージ】
| 契約形態 | 具体例 | 1か月あたりの清掃件数のイメージ |
|---|---|---|
| スポット清掃 | ・エアコンクリーニング ・キッチンクリーニング ・空室クリーニング |
100件(月間問い合わせ件数)×50%(受注率)=50件 |
| 定期清掃 | ・病院クリーニング ・オフィスクリーニング ・マンション共用部クリーニング |
5社(契約見込みの企業)×4件(1社あたりの月間清掃件数)=20件 |
たとえば、スポット清掃の場合、問い合わせ件数と受注率から清掃件数を予測する方法があります。「SNS」や「ポータルサイト」など、複数の媒体を利用することが考えられるため、「月間問い合わせ件数×受注率」の計算式より、清掃件数を予測することになります。
また、定期清掃の場合、契約見込みの企業数から清掃件数を予測する方法があります。「窓清掃」や「床面清掃」など、契約内容に応じて検討することになるため、「契約見込みの企業数×1社あたりの月間清掃件数」の計算式より、清掃件数を予測することになります。
なお、それぞれの数値は根拠を明確にする必要があります。「勤務先における受注実績」や「創業後の契約予定」など、根拠を明確にすることにより、現実的な清掃件数を予測することになるため、清掃業を創業予定の人は留意しておきましょう。
清掃件数を予測した後は事業計画を策定する
清掃件数を予測した後は清掃業を創業するための事業計画を策定することになります。融資を申し込む場合、審査における必要書類のひとつとして、金融機関から事業計画書の提出を求められることがあるため、清掃件数を予測した人は事業計画を策定してみましょう。
【事業計画における項目の具体例】
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 事業経験 | 創業者の職務経歴や実績を示す項目。創業する事業に関する経験を整理する。 |
| 経営方針 | 創業後の事業内容や方向性を示す項目。サービスや集客戦略を整理する。 |
| 収支計画 | 創業後の売上や利益の見込みを示す項目。数値の根拠を明確にする。 |
事業計画の項目として挙げられるのは「事業経験」「経営方針」「収支計画」です。融資を申し込む場合、審査における必要書類のひとつとして、金融機関から事業計画書の提出を求められるため、清掃件数を予測した人はそれぞれの項目を確認してみましょう。
事業経験
事業計画の項目として挙げられるのは「事業経験」です。事業経験は創業者の職務経歴や実績を示す項目となる関係上、清掃業を創業する場合は清掃業に関連する知識や技術を示すことになるため、事業計画を策定する人は事業経験を整理してみましょう。
【清掃業における事業経験の具体例】
| 年月 | 具体例 |
|---|---|
| 平成23年3月 | 〇〇高校卒業 |
| 平成23年4月 | 株式会社〇〇メンテナンス入社 高層ビルの担当として、床洗浄ワックスやトイレ、洗面所の日常清掃に従事。ビルの利用者に配慮しつつ、丁寧な作業を心がけた。入社5年目に現場責任者に昇進した。清掃資材の在庫管理や発注、新入社員への実務指導を担当した。ビルクリーニング技能士2級を取得。 |
| 令和2年4月 | ハウスクリーニング〇〇入社 個人宅や店舗のスポット清掃を担当し、1日に2件~3件を受け持った。窓ガラス、サッシ、換気扇、排水管など、個人宅の清掃技術を習得したことにより、リピーター率を10%から15%に向上させた。ハウスクリーニング技能士を取得。 |
| 令和8年11月 | 退職予定 |
事業経験を整理するときのポイントは「時系列に沿うこと」です。「ビルメンテナンス企業に入社」「日常清掃に従事」「ハウスクリーニング企業に転職」など、時系列に沿って整理することにより、清掃業に関する経歴の抜け漏れを防げる可能性があります。
事業経験を整理するときのポイントは「具体的な実績を示すこと」です。「現場責任者に昇進」「ビルクリーニング技能士2級を取得」「リピーター率を15%向上」など、具体的な実績を示すことにより、創業後の経営に活かせる能力を伝えられる可能性があります。
なお、清掃業の事業経験が浅い場合、副業として清掃業の経験を積むことも方法のひとつです。「個人での受注」や「アルバイトでの従事」など、副業として経験を積むことにより、経験不足の状況を補える可能性があるため、清掃業を創業予定の人は検討してみましょう。
経営方針
事業計画の項目として挙げられるのは「経営方針」です。経営方針は創業後の事業内容や経営の方向性を示す項目となる関係上、清掃業を創業する場合はサービスの概要や集客の戦略を示すことになるため、事業計画を策定する人は経営方針を検討してみましょう。
【清掃業における経営方針の具体例】
| 項目 | 具体例 |
|---|---|
| サービス | ①空室クリーニング(戸建て、マンションの退去時における清掃) ②水回りクリーニング(キッチン、トイレ、浴室の清掃) ③エアコンクリーニング(壁掛けタイプ、天井埋込タイプの清掃) |
| 単価 | ①空室クリーニング:3万円~10万円/件 ②水回りクリーニング:1万円~5万円/件 ③エアコンクリーニング:1万円~2万円/台 |
| 営業日数 | 25日 |
| 営業時間 | 9:00~18:00 |
| 特長 | 約15年にわたって培った清掃技術を活かし、丁寧な清掃サービスを提供する。分かりやすい価格設定と顧客へのヒアリングを徹底することにより、顧客の不安を解消した上でニーズに応じた清掃を行う。清掃の翌日に電話による状況確認を実施し、アフターフォローにも注力する。 |
| 市場分析 | 高齢者世帯や共働き世帯の増加により、家事を外注するニーズが高まっているため、家庭向け清掃サービスは継続的な需要が見込まれる。一方、〇〇地域では、家庭向け清掃を行う競合業者が増加傾向にあるため、清掃の質とアフターフォローの充実により、差別化を図る。 |
| 集客方法 | 現勤務先の取引先となる不動産会社と工務店から空室クリーニングを受注する見込み。また、創業直後はハウスクリーニングのマッチング型ポータルサイトを利用し、認知度向上を目指す。利用期間を限定したリピータークーポンを発行することにより、定期的な受注につなげる。 |
経営方針を検討するときのポイントは「強みを明確にすること」です。「15年にわたって培った清掃技術」や「分かりやすい価格設定」など、その清掃業者ならではの強みを明確にすることにより、競合業者と差別化できる可能性があります。
また、経営方針を検討するときのポイントは「具体的な戦略を示すこと」です。「工務店からの受注見込み」や「マッチング型ポータルサイトの利用」など、経営における具体的な戦略を示すことにより、売上の実現性を伝えられる可能性があります。
なお、清掃業の場合、フランチャイズに加盟することも選択肢のひとつです。加盟料やロイヤリティなどの費用負担が発生する可能性がありますが、フランチャイズ本部からサポートを受けられるため、清掃業を創業予定の人は選択肢のひとつとして覚えておきましょう。
収支計画
事業計画の項目として挙げられるのは「収支計画」です。収支計画は創業後の売上や利益の見込みを示す項目となる関係上、それぞれの数値の根拠を明確にする必要があるため、事業計画を策定する人は収支計画を作成してみましょう。
【清掃業における収支計画の具体例】
| 項目 | 創業時 | 軌道に乗った後 | 根拠 | |
|---|---|---|---|---|
| ①売上高 | 30万円 | 45万円 | <創業時> ①売上高:平均単価3万円×10件=30万円 ②売上原価:原価率10%(勤務時の経験を参考) ③人件費:無し 家賃:無し 支払利息:400万円×年3.0%÷12=1万円 その他:通信費、広告宣伝費、損害賠償保険料など計5万円 <軌道に乗った後> ①売上高:清掃件数が1.5倍に増加 平均単価3万円×15件=45万円 ②売上原価:創業時の原価率を採用 ③その他:清掃件数の増加に伴い、高圧洗浄機の修理費や交通費など、計2万円増加 |
|
| ②売上原価 | 3万円 | 5万円 | ||
| 経費 | 人件費 | 0万円 | 0万円 | |
| 家賃 | 0万円 | 0万円 | ||
| 支払利息 | 1万円 | 1万円 | ||
| その他 | 5万円 | 7万円 | ||
| ③合計 | 6万円 | 8万円 | ||
| 利益 ①-②-③ |
21万円 | 32万円 | ||
収支計画を作成するときのポイントは「計算式を示すこと」です。「売上高=平均単価×1か月の清掃件数」や「支払利息=借入額×年利÷12」など、計算式を示すことにより、各数値の説得力を高められる可能性があります。
また、収支計画を作成するときのポイントは「内訳を明確にすること」です。「支払利息」「通信費」「広告宣伝費」「損害賠償保険料」「修理費」「交通費」など、経費の内訳を明確にすることにより、各経費の説得力を高められる可能性があります。
なお、収支計画を作成する場合、リスクを想定する必要があります。「受注率が予測を下回った場合」や「業務用掃除機が故障した場合」など、リスクを想定することにより、想定外の支出に備えられる可能性があるため、収支計画を作成する時は留意しておきましょう。
事業計画を策定した人は全業種に共通するポイントも押さえておく
創業時に融資を受けたい場合、全業種に共通するポイントがあります。創業予定の業種にかかわらず、融資の審査時に金融機関から確認される可能性があるため、事業計画を策定した人は全業種に共通するポイントを確認してみましょう。
【全業種に共通するポイント】
| ポイント | 概要 |
|---|---|
| 自己資金 | 事業に使用する予定の資金。創業者名義の口座における預貯金や勤務先における退職金など、創業者の自己資金が確認される。 |
| 信用情報 | 信用取引における利用情報。ローンの利用履歴やクレジットカードの利用履歴など、創業者の信用情報が確認される。 |
全業種に共通するポイントとして挙げられるのは「自己資金」と「信用情報」です。融資の審査時に金融機関から確認される可能性があるため、事業計画を策定した人は全業種に共通するポイントを確認してみましょう。
自己資金
全業種に共通するポイントのひとつは「自己資金」です。自己資金は事業に使用する予定の資金となる関係上、審査時に金融機関から確認される可能性があるため、清掃業を創業予定の人は自己資金の概要を確認してみましょう。
【自己資金の概要】
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 自己資金として認められる傾向がある資金 | ・預貯金 ・退職金 ・みなし自己資金 ・資産の売却代金 |
| 自己資金として認められない傾向がある資金 | ・タンス預金 ・返済義務のあるお金 |
自己資金として認められる傾向がある資金として挙げられるのは「預貯金」です。「ビルメンテナンス企業勤務時の給与」や「副業による収入」など、創業者名義の口座にコツコツと貯めた資金は金融機関から自己資金として認められる傾向があります。
一方、自己資金として認められない傾向がある資金として挙げられるのは「タンス預金」です。「自宅に保管していたお金」や「入出金履歴を確認できない資金」など、資金の出所が不明瞭な資金は金融機関から自己資金として認められない傾向があります。
自己資金は清掃業の創業に向けた計画性を示す材料のひとつとなります。清掃業の創業に向けて計画的に自己資金を積み立てている場合、創業に向けた計画性の根拠となる可能性があるため、清掃業を創業予定の人はその前提を踏まえておきましょう。
信用情報
全業種に共通するポイントのひとつは「信用情報」です。信用情報は信用取引における利用情報となる関係上、審査時に金融機関から確認される可能性があるため、清掃業を創業予定の人は信用情報の概要を確認してみましょう。
【信用情報の概要】
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 信用情報として登録される情報 | ・本人情報 ・住宅ローンの利用状況 ・カードローンの利用状況 ・クレジットカードの利用状況など |
| 信用情報として登録されない情報 | ・納税の状況 ・保有する資産 ・預貯金の残高など |
信用情報として登録される情報として挙げられるのは「クレジットカードの利用状況」です。「利用額」「支払日」「支払遅延」など、クレジットカードの利用状況は信用情報として登録されるため、融資の審査において金融機関から確認される可能性があります。
また、信用情報として登録される情報として挙げられるのは「住宅ローンの利用状況」です。「契約日」「借入残高」「返済遅延」など、住宅ローンの利用状況は信用情報として登録されるため、融資の審査において金融機関から確認される可能性があります。
信用情報は創業者の返済能力や信用力を判断される材料のひとつと考えられます。「長期延滞」や「代位弁済」など、信用情報に異動情報が登録されている場合は融資を受けられないおそれがあるため、信用情報に不安がある人は留意しておきましょう。
ポイントを押さえた人は清掃業に利用できる融資制度を確認する
清掃業を創業する場合、創業融資制度を検討する余地があります。さまざまな機関が創業融資制度を用意している関係上、創業者の希望条件に合った融資制度を選択することになるため、ポイントを押さえた人は清掃業の創業に利用できる融資制度を確認してみましょう。
【清掃業の創業に利用できる融資制度の具体例】
| 融資制度 | 概要 |
|---|---|
| 日本政策金融公庫 「新規開業・スタートアップ支援資金」 |
<対象者> ・新たに事業を始める人 ・事業開始後おおむね7年以内の人 <返済期間> 設備資金:20年以内(うち据置期間5年以内) 運転資金:10年以内(うち据置期間5年以内) <融資限度額> 7,200万円 |
| 東京都中小企業制度融資 「創業」 |
<対象者> ・1か月以内に東京都内で創業しようとする個人 ・創業した日から通算5年未満の個人など <返済期間> 設備資金:10年以内(うち据置期間1年以内) 運転資金:7年以内(うち据置期間1年以内) <融資限度額> 3,500万円 |
| 大阪府制度融資 「開業・スタートアップ応援資金」 |
<対象者> ・開業前の人 ・開業後5年未満の人など ※ 事業開始前または事業開始後2か月未満の場合は創業資金総額の1/10以上の自己資金が必要 <返済期間> 10年以内 <融資限度額> 3,500万円 |
清掃業の創業に利用できる融資制度のひとつは日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。「新たに事業を始める人」や「事業開始後おおむね7年以内の人」が対象となるため、清掃業を創業する人は利用できる可能性があります。
また、清掃業の創業に利用できる融資制度のひとつは大阪府の制度融資「開業・スタートアップ応援資金」です。「開業前の人」や「開業後5年未満の人」が対象となるため、大阪府内において清掃業を創業する人は利用できる可能性があります。
なお、民間金融機関の中にも創業融資制度を取り扱っている機関があります。「信用金庫」や「地方銀行」など、地域の事業者向けに創業支援を行っている民間金融機関もあるため、気になる民間金融機関がある人は創業融資制度の有無を確認してみましょう。
まとめ
清掃業を創業する場合、ポイントは現実的な清掃件数を予測することです。現実的な清掃件数を予測することにより、実現可能な売上高を把握できる可能性があるため、清掃業を創業予定の人は融資を受けるときのポイントとして押さえておきましょう。
清掃件数を予測した後は清掃業を創業するための事業計画を策定することになります。融資を申し込む場合、審査における必要書類のひとつとして、金融機関から事業計画書の提出を求められることがあるため、清掃件数を予測した人は事業計画を策定してみてください。
創業時に融資を受けたい場合、全業種に共通するポイントがあります。創業予定の業種にかかわらず、融資の審査時に金融機関から確認される可能性があるため、事業計画を策定した人は全業種に共通するポイントを確認してみましょう。