【アパレルショップ版】融資を受けるときのポイントを解説

セレクトショップや古着屋など、アパレルショップの開業を目指している人の中には、金融機関から融資を受けることを検討している人もいますよね。その際、融資を受けられるかどうかが不安なことにより、融資を受けるときのポイントを知りたい人もいるでしょう。

当記事では、アパレルショップとして融資を受けるときのポイントを解説します。アパレルショップの創業時に融資を受けるときのポイントに加え、全業種に共通するポイントも解説するため、アパレルショップの創業時に融資を受けたい人は参考にしてみてください。

融資を受けるときのポイントは根拠のある販売計画を立てること

アパレルショップの創業時に融資を受ける場合、ポイントは根拠のある販売計画を立てることです。融資を受けるときは金融機関による審査を通過する必要があるため、アパレルショップの創業時に融資を受けたい人はポイントとして押さえておきましょう。

【根拠のある販売計画を立てる方法の具体例】

  • 販売数は販売形態から想定する
  • 仕入数は余剰在庫を考慮する

根拠のある販売計画を立てるときは「販売数」と「仕入数」を想定することになります。根拠のある販売計画を提示することにより、金融機関に事業の実現性を伝えられる可能性があるため、アパレルショップの創業時に融資を受けたい人は各項目を確認してみましょう。

販売数は販売形態から想定する

アパレルショップの販売計画を立てる場合、販売形態から販売数を想定する方法があります。現実的な販売数を把握できる可能性があるため、アパレルショップの創業時に融資を受けたい人は販売形態をもとに販売数を想定してみましょう。

【販売数を想定するときのイメージ】

販売形態 来店客数またはアクセス数 購買率 平均購入点数 販売数
実店舗の場合 300人/月 30% 1.5点 135点/月
ネットショップの場合 2000件/月 2% 1.5点 60点/月

アパレルショップの販売形態として挙げられるのは「実店舗」と「ネットショップ」です。実店舗の場合は「来店客数×購買率×平均購入点数」の計算式により、販売数を試算できるため、店舗の立地や周辺の競合状況をもとに各数値を設定することになります。

また、ネットショップの場合は「アクセス数×購買率×平均購入点数」の計算式により、販売数を試算することができます。気軽にアクセスできる半面、購入に至るとは限らないため、購買率を慎重に設定することにより、現実的な販売数を想定できる可能性があります。

なお、販売数を想定するときは仕入数との整合性を確認する必要があります。販売数の想定が仕入数を上回る場合、必要となる商品数を用意できないため、販売数を想定するときは販売形態から試算した販売数と仕入数を照らし合わせておきましょう。

仕入数は余剰在庫を考慮する

アパレルショップの販売計画を立てる場合、余剰在庫を考慮して仕入数を検討する方法があります。余剰在庫は資金繰り悪化のリスクとなるおそれがあるため、アパレルショップの創業時に融資を受けたい人は余剰在庫を考慮しつつ、仕入数を検討してみましょう。

【仕入数を検討するときのイメージ】

項目 仕入数を抑えた場 仕入数を増やした場合
アイテム 冬物の上着 冬物の上着
販売期間 12月~翌年2月 12月~翌年2月
仕入数 15点 30点
販売数 13点 13点
余剰在庫 15点―13点=2点 30点―13点=17点
1点あたりの仕入価格 4,000円 4,000円
余剰在庫額 4,000円×2点=8,000円 4,000円×17点=68,000円

たとえば、仕入数を抑えた場合、余剰在庫数を抑えられる可能性があります。衣料品は季節やトレンドの影響を受ける関係上、商品によっては販売期間が限られるため、販売数の見込みを踏まえて仕入数を検討することになります。

また、余剰在庫が発生した場合、仕入にかかった費用の回収に時間がかかり、キャッシュフローを圧迫するおそれがあります。余剰在庫の保管場所も必要となるため、「セール」や「福袋」など、売れ残ったアイテムへの対応を検討しておくことが必要です。

なお、創業当初は仕入数を抑えることも方法のひとつです。仕入数を抑える場合は販売機会の損失を招くことも考えられますが、仕入数を抑えることにより、仕入にかかる費用を抑えられる可能性があるため、資金繰りが不安な人は方法のひとつとして覚えておきましょう。

販売計画を立てた後は事業計画書に落とし込む

アパレルショップの販売計画を立てた後は事業計画書に落とし込むことになります。融資を申し込む場合、審査の必要書類として、金融機関から事業計画書の提出を求められることがあるため、アパレルショップで融資を受けたい人は事業計画書を作成してみましょう。

【事業計画書における項目の具体例】

項目 概要
事業経験 創業者の職務経歴や実績を示す項目。創業する事業に関する経験を整理する。
経営方針 創業後の方向性を示す項目。取扱商品や集客方法を整理する。
収支計画 創業後の売上や利益の見込みを示す項目。数値の根拠を明確にする。

事業計画書の項目として挙げられるのは「事業経験」「経営方針」「収支計画」です。事業計画書の項目を確認することにより、段階的に事業計画書を作成できるため、アパレルショップの創業時に融資を受けたい人はそれぞれの項目の概要を確認してみましょう。

事業経験

事業計画書の項目として挙げられるのは「事業経験」です。事業経験は創業者の職務経歴や実績を伝える項目となる関係上、アパレルショップを創業する人はアパレルに関する経験を伝える必要があるため、まずは事業経験を記入してみましょう。

【アパレルショップにおける事業経験の具体例】

年月 具体例
平成23年3月 〇〇大学卒業
平成23年4月 株式会社〇〇(アパレルブランド)入社
レディース衣料品の製造から販売まで行うアパレルブランド。〇〇店の販売員として、接客、コーディネート提案、在庫管理を担当した。入社4年目には年間の個人売上600万円を達成し、社長賞を受賞。入社10年目に本社の企画部に異動。マーチャンダイザー(MD)として商品開発や販売戦略立案を担当した。
令和3年4月 株式会社〇〇(セレクトショップ経営)入社
バイヤーとして、レディースファッションの買い付けや在庫管理を担当。ファッションショーやブランドの展示会への参加、SNSの確認など、トレンド調査に注力した。担当したアイテムの売上は前年比30%増加した。令和6年5月にグループリーダーに昇進し、スタッフ10人の指導や管理も行っている。
令和8年11月 退職後、アパレルショップを創業予定

事業経験を記入するときのポイントは、時系列に沿って整理することです。「アパレルブランドに入社」や「MDとして商品開発を担当」など、時系列に沿って整理することにより、アパレルショップに関する経歴の抜け漏れを防げる可能性があります。

また、事業経験を記入するときは、具体的な実績を盛り込むこともポイントです。「年間の個人売上600万円を達成」や「売上が前年比30%増加」など、具体的な実績を盛り込むことにより、アパレルショップに関する経験や能力を金融機関に伝えやすくなります。

なお、アパレルショップに関する経験が浅い場合、経験不足を補う必要があります。「ECサイトの運営」や「SNSの活用」など、事業に関する経験を積むことにより、創業後の経営に活かせる可能性があるため、該当する人は留意しておきましょう。

経営方針

事業計画書の項目として挙げられるのは「経営方針」です。経営方針は創業後の事業内容や経営の方向性を示す項目となる関係上、アパレルショップを創業する場合は取扱商品や集客方法を示すことになるため、事業経験を記入した後は経営方針を記入してみましょう。

【アパレルショップにおける経営方針の具体例】

項目 具体例
事業内容 セレクトショップの経営
取扱商品 ①レディース衣料品

(カットソー、スウェット、ワイドパンツなどカジュアル系統)

②メンズ衣料品

(Tシャツ、パーカー、デニムなどカジュアル系統)

③キッズ衣料品

(80cm~120cmの未就学児向け)

営業日数 20日(定休日:月火)
営業時間 11:00~20:00
特長 未就学児の子供がいるファミリーをターゲット層とした、実店舗型のセレクトショップ。親子のリンクコーディネートや兄弟のお揃いコーディネートなど、家族でファッションを楽しむ体験を提供する。また、ひとつの店舗で家族全員の洋服を購入できるため、買い物にかける時間を短縮できる。レディース衣料品の仕入経験や販売経験を活かし、顧客ニーズに沿ったコーディネートを提案する。
市場分析 創業予定地は駅から徒歩10分ほどの商店街にある路面店。ファミリー向けのマンションが多い地域で、今後も2棟の建設が予定されているため、家族連れによる需要が見込まれる。駅周辺には大手のファストファッション店があるが、家族をターゲットとしたセレクトショップは少ない。デザイン性の高いアイテムを取り扱うことにより、ファストファッション店と差別化を目指す。
集客方法 創業前から「Instagram」や「YouTube」など、SNSを活用することにより、20代~30代の女性向けにアイテムを紹介する動画を発信する。徐々に男性向けや子供向けの動画の発信も増やし、認知度を上げる。創業時は近隣の飲食店や雑貨店でショップカードを配布してもらう。購入者には、2か月程度の利用期間を設けたクーポンを配布し、定期的なリピーター獲得を図る。

経営方針を記入するときのポイントは強みを明確にすることです。「仕入経験や販売経験を活かしたコーディネートの提案」や「デザイン性の高いアイテム」など、強みを明確にすることにより、競合するアパレルショップと差別化できる可能性があります。

また、強みを明確にすることに加え、具体的な戦略を示すこともポイントです。「SNSでのアイテム紹介」や「利用期間を設けたクーポンの配布」など、経営における具体的な戦略を盛り込むことにより、売上の実現性を伝えることができます。

なお、仕入先が確定している場合、仕入先の情報も記入してみてください。アパレルショップの場合は仕入先によって品質や仕入費が異なる関係上、仕入条件を整理することにより、経営方針を伝えやすくなる可能性があるため、該当する人は記入しておきましょう。

収支計画

事業計画書の項目として挙げられるのは「収支計画」です。収支計画は創業後の売上や利益の見込みを示す項目となる関係上、それぞれの数値の根拠を明確にする必要があるため、経営方針を記入した人は収支計画を記入してみましょう。

【アパレルショップにおける収支計画の具体例】

項目 創業時 軌道に乗った後 根拠
①売上高 68万円 79万円 <創業時>(万円単位で四捨五入)
①売上高:来店客数300人×購買率30%×平均購入点数1.5点×平均販売単価5,000円=68万円
②売上原価:68万円×30%=20万円
原価率:勤務していたセレクトショップの原価率を採用したため、30%に設定
③支払利息:借入額600万円×年4.0%÷12=2万円
その他:広告宣伝費、水道光熱費など、計10万円
<軌道に乗った後>
①売上高:来店客数350人×購買率30%×平均購入点数1.5点×平均販売単価5,000円=79万円
②売上原価:79万円×30%=24万円
③その他:水道光熱費が1万円増加し、計11万円
②売上原価 20万円 24万円
③経費 人件費 0万円 0万円
家賃 18万円 18万円
支払利息 2万円 2万円
その他 10万円 11万円
合計 30万円 31万円
利益 ①―②―③ 18万円 24万円

収支計画を記入するときのポイントは計算式を示すことです。「売上高=来店客数×購買率×平均購入点数×平均販売単価」や「売上原価=売上高×原価率」など、計算式を示すことにより、各数値の説得力を高められる可能性があります。

また、計算式を示すことに加え、内訳を明確にすることもポイントです。「家賃」「支払利息」「広告宣伝費」「水道光熱費」など、経費の内訳をひとつひとつ明確に示すことにより、各経費の根拠を伝えることができます。

なお、アパレルショップの場合、開業資金は実店舗の有無に左右される傾向があります。「物件取得費」や「内装工事費」など、実店舗の場合は初期費用が必要となるため、実店舗での経営を予定している人はその前提を踏まえつつ、借入額を検討してみましょう。

事業計画書を作成した人は全業種に共通するポイントも押さえておく

創業時に融資を受ける場合、全業種に共通するポイントがあります。創業予定の業種にかかわらず、融資の審査時に金融機関から確認される項目となるため、事業計画書を作成した人は全業種に共通するポイントを確認してみましょう。

【全業種に共通するポイント】

ポイント 概要
自己資金 事業に使用する予定の資金。創業者名義の口座における預貯金や勤務先における退職金など、創業者の自己資金が確認される。
信用情報 信用取引における利用情報。ローンの利用履歴やクレジットカードの利用履歴など、創業者の信用情報が確認される。

全業種に共通するポイントとして挙げられるのは「自己資金」と「信用情報」です。創業者の自己資金や信用情報に懸念がある場合、審査結果に影響を及ぼすおそれがあるため、事業計画を策定した人は全業種に共通するポイントとして各項目を確認してみましょう。

自己資金

全業種に共通するポイントのひとつは「自己資金」です。自己資金は事業に使用する予定の資金となる関係上、審査時に金融機関から確認される可能性があるため、アパレルショップの創業時に融資を受けたい人は自己資金の概要を確認してみましょう。

【自己資金の概要】

項目 概要
自己資金として認められる傾向がある資金
  • 預貯金
  • 退職金
  • みなし自己資金
  • 資産の売却代金
自己資金として認められない傾向がある資金
  • タンス預金
  • 返済義務のあるお金

自己資金として認められる傾向がある資金として挙げられるのは、預貯金です。「アパレルブランド勤務時の給与」や「副業による収入」など、創業者名義の口座にコツコツと貯めた資金は金融機関から自己資金として認められる傾向があります。

一方、自己資金として認められない傾向がある資金には、注意が必要です。「自宅に保管していたお金」や「入出金履歴を確認できない資金」など、出所が不明瞭な資金は金融機関から自己資金として認められないおそれがあります。

なお、自己資金を工面する場合、開業資金総額の2割から3割を目安とする考え方があります。日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」では、資金調達額に占める自己資金の割合が22.9%だったため、自己資金を準備するときは参考にしてみましょう。

信用情報

全業種に共通するポイントのひとつは「信用情報」です。信用情報は信用取引における利用情報となる関係上、審査時に金融機関から確認される可能性があるため、アパレルショップの創業時に融資を受けたい人は信用情報の概要を確認してみましょう。

【信用情報の概要】

項目 概要
信用情報として登録される情報
  • 本人情報
  • 住宅ローンの利用状況
  • カードローンの利用状況
  • クレジットカードの利用状況など
信用情報として登録されない情報
  • 納税の状況
  • 保有する資産
  • 預貯金の残高など

信用情報として登録される情報として挙げられるのは、クレジットカードの利用状況です。「利用額」「支払日」「支払遅延」など、クレジットカードの利用状況は信用情報として登録されるため、融資の審査において金融機関から確認される可能性があります。

また、住宅ローンを利用している場合、住宅ローンの返済状況も信用情報に記録されます。「契約日」「借入残高」「返済遅延」など、返済状況を金融機関から確認されることになるため、融資を受けたい人は返済状況に問題がないかどうかを確認してみてください。

信用情報は創業者の返済能力や信用力を判断する材料のひとつと考えられます。「長期延滞」や「代位弁済」など、信用情報に異動情報が登録されている場合は審査結果に影響を及ぼすおそれがあるため、信用情報に不安がある人は留意しておきましょう。

ポイントを押さえた人はアパレルショップに利用できる融資制度を確認する

アパレルショップの創業時に融資を受ける場合、創業者向けの融資制度を検討する余地があります。さまざまな機関が創業者向けの融資制度を用意しているため、ポイントを押さえた人はアパレルショップの創業に利用できる融資制度を確認してみましょう。

【アパレルショップの創業に利用できる融資制度の具体例】

融資制度 概要
日本政策金融公庫
「新規開業・スタートアップ支援資金」
<対象者>

・新たに事業を始める人

・事業開始後おおむね7年以内の人

<返済期間>

設備資金:20年以内(うち据置期間5年以内)

運転資金:10年以内(うち据置期間5年以内)

<融資限度額>

7,200万円

東京都中小企業制度融資
「創業」
<対象者>
・東京都内で創業しようとする具体的計画を有する個人
・創業した日から通算5年未満の個人など
<返済期間>
設備資金:10年以内(うち据置期間1年以内)
運転資金:7年以内(うち据置期間1年以内)
<融資限度額>
3,500万円
大阪府制度融資
「開業・スタートアップ応援資金」
<対象者>
・開業前の人
・開業後5年未満の人など
※事業開始前または事業開始後2か月未満の場合は創業資金総額の1/10以上の自己資金が必要
<返済期間>
10年以内
<融資限度額>
3,500万円

アパレルショップの創業に利用できる融資制度のひとつは日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。「新たに事業を始める人」や「事業開始後おおむね7年以内の人」が対象となるため、アパレルショップの創業者は検討する余地があります。

また、地方自治体の制度融資もアパレルショップの創業に利用することができます。東京都の「創業」や大阪府の「開業・スタートアップ応援資金」など、制度融資はその地域の創業者が対象となるため、融資を受けたい人は各地域の情報を確認してみてください。

なお、日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」では、創業時の金融機関等からの借入額の平均は827万円でした。アパレルショップに限った調査ではありませんが、融資制度を選択するときの参考になる可能性があるため、覚えておきましょう。

まとめ

アパレルショップの創業時に融資を受ける場合、ポイントは根拠のある販売計画を立てることです。融資を受けるときは金融機関による審査を通過する必要があるため、アパレルショップの創業時に融資を受けたい人はポイントとして押さえておきましょう。

アパレルショップの販売計画を立てた後は事業計画書に落とし込むことになります。融資を申し込む場合、審査の必要書類として、金融機関から事業計画書の提出を求められることがあるため、アパレルショップで融資を受けたい人は事業計画書を作成してみてください。

創業時に融資を受ける場合、全業種に共通するポイントがあります。創業予定の業種にかかわらず、融資の審査時に金融機関から確認される項目となるため、事業計画書を作成した人は全業種に共通するポイントを確認してみましょう。

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