「個人事業主として独立したい」「会社設立を考えている」など、独立開業を検討している人の中には、起業資金はいくら必要になるのかを知りたい人もいますよね。その際、目安や平均が分からず、起業資金の最低金額が知りたい人もいるでしょう。
当記事では、平均値から起業資金の目安となる金額を解説します。起業資金における最低金額の算出方法も紹介するため、独立開業を検討していることにより、起業資金はいくら必要になるのかを知りたい人は参考にしてみてください。
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起業資金の目安は1,000万円がひとつの区切りになる
日本政策金融公庫総合研究所の新規開業実態調査では、2017年~2024年における開業費用の平均値は1,000万円前後でした。あくまでも同調査における平均値ですが、起業資金の目安は1,000万円がひとつの区切りになる可能性があります。
【年代別に見る開業費用の平均値】
項目 | 開業費用の平均値 | 参考資料 |
---|---|---|
2017年 | 1,143万円 | 「2017年度新規開業実態調査」 |
2018年 | 1,062万円 | 「2018年度新規開業実態調査」 |
2019年 | 1,055万円 | 「2019年度新規開業実態調査」 |
2020年 | 989万円 | 「2020年度新規開業実態調査」 |
2021年 | 941万円 | 「2021年度新規開業実態調査」 |
2022年 | 1,077万円 | 「2022年度新規開業実態調査」 |
2023年 | 1,027万円 | 「2023年度新規開業実態調査」 |
2024年 | 985万円 | 「2024年度新規開業実態調査」 |
※日本政策金融公庫の資料を参考に株式会社ソラボ作成
日本政策金融公庫総合研究所では、新規開業実態調査の一環として開業費用のアンケートを実施しています。開業費用のアンケートは毎年実施され、その調査結果として2017年~2024年における開業費用の平均値は1,000万円前後を推移していました。
同調査における開業費用は自己資金に加え、銀行や信用金庫などの金融機関からの借入金も含まれていますが、個人企業と法人企業を対象にした調査結果となるため、開業費用の平均値が1,000万円前後というのは起業家全体の平均値に近い水準として考えられます。
ただし、同調査における開業費用の平均値は一部の起業家が引き上げていることも考えられます。起業資金の目安は事業内容によっても異なるため、起業資金の目安が知りたい人はその前提を踏まえつつ、1,000万円という金額は参考程度に留めておきましょう。
開業費用の中央値は580万円前後
日本政策金融公庫総合研究所の新規開業実態調査では、開業費用の中央値は580万円前後でした。同調査における開業費用の平均値は1,000万円前後でしたが、その理由は一部の起業家が開業費用の平均値を引き上げているからだと推測できます。
【年代別に見る開業費用の中央値】
項目 | 開業費用の中央値 | 参考資料 |
---|---|---|
2017年 | 639万円 | 「2017年度新規開業実態調査」 |
2018年 | 600万円 | 「2018年度新規開業実態調査」 |
2019年 | 600万円 | 「2019年度新規開業実態調査」 |
2020年 | 560万円 | 「2020年度新規開業実態調査」 |
2021年 | 580万円 | 「2021年度新規開業実態調査」 |
2022年 | 550万円 | 「2022年度新規開業実態調査」 |
2023年 | 550万円 | 「2023年度新規開業実態調査」 |
2024年 | 580万円 | 「2024年度新規開業実態調査」 |
※日本政策金融公庫の資料を参考に株式会社ソラボ作成
日本政策金融公庫総合研究所では、新規開業実態調査の一環として開業費用のアンケートを実施しています。開業費用のアンケートは毎年実施され、その調査結果として2017年~2024年における開業費用の中央値は580万円前後を推移していました。
同調査における開業費用は自己資金に加え、銀行や信用金庫などの金融機関からの借入金も含まれていますが、個人企業と法人企業を対象にした調査結果となるため、開業費用の中央値が580万円前後というのは起業家全体の中央値に近い水準として考えられます。
なお、同調査における開業費用の中央値は下落傾向にあります。浮き沈みはありますが、開業費用の中央値は少額化の傾向にあるため、起業資金の目安が知りたい人はその前提を踏まえつつ、開業費用の中央値は今後右肩下がりに推移する可能性を考慮しておきましょう。
開業費用の割合としてもっとも多いのは500万円未満
日本政策金融公庫総合研究所の新規開業実態調査では、開業費用の割合としてもっとも多いのは500万円未満でした。同調査における開業費用の平均値は1,000万円前後でしたが、開業費用の割合から見る場合は500万円未満の金額が最多となります。
【年代別に見る開業費用の割合】
項目 | 500万円未満 | 500万円~1,000万円未満 | 1,000万円~2,000万円未満 | 2,000万円以上 | 参考資料 |
---|---|---|---|---|---|
2017年 | 37.4% | 29.3% | 20.8% | 12.6% | 「2017年度新規開業実態調査」 |
2018年 | 37.4% | 31.0% | 19.5% | 12.1% | 「2018年度新規開業実態調査」 |
2019年 | 40.1% | 27.8% | 20.6% | 11.5% | 「2019年度新規開業実態調査」 |
2020年 | 43.7% | 27.3% | 18.2% | 10.8% | 「2020年度新規開業実態調査」 |
2021年 | 42.1% | 30.2% | 17.8% | 9.9% | 「2021年度新規開業実態調査」 |
2022年 | 43.1% | 28.5% | 18.0% | 10.5% | 「2022年度新規開業実態調査」 |
2023年 | 43.8% | 28.4% | 18.8% | 9.0% | 「2023年度新規開業実態調査」 |
2024年 | 41.1% | 30.7% | 18.8% | 9.4% | 「2024年度新規開業実態調査」 |
※日本政策金融公庫の資料を参考に株式会社ソラボ作成
日本政策金融公庫総合研究所の新規開業実態調査では、開業費用の調査結果として「500万円未満」と回答した起業家は全体の40%程度でした。その内訳は「500万円未満」と回答した起業家がもっとも多く、その次は「500万円~1,000万円未満」が続いていました。
また、各年代の「1,000万円~2,000万円未満」の割合は18%程度でした。「2,000万円以上」と回答した起業家を含めれば、その割合は30%前後を推移しているため、これらの起業家が開業費用の平均値を引き上げている可能性があります。
同調査における開業費用の平均値は1,000万円前後でしたが、その理由は一部の起業家が開業費用の平均値を引き上げているからだと推測できます。起業資金が500万円未満でも独立開業できる可能性はあるため、起業資金を貯めている人は参考にしてみましょう。
なお、起業資金が足りない場合、銀行や信用金庫などの金融機関から資金調達する方法もあります。当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)では、8,000件以上の融資サポートの実績から無料診断を実施しているため、資金調達を検討中の人は試してみてください。
起業資金の最低金額が知りたい人は資金計画を立ててみる
起業資金の最低金額は想定している事業内容や事業規模によっても異なります。資金計画を立てることにより、起業資金の最低金額を算出できるため、起業資金の最低金額が知りたい人は想定している事業内容や事業規模から資金計画を立てることを検討してみましょう。
資金計画とは、必要資金の調達方法と運用方法を計画したものです。資金計画を立てることにより、必要資金の調達方法と運用方法を可視化できるため、事業内容や事業規模が決まっているならば、次の工程として資金計画を立てることになります。
【飲食業を想定した資金計画の具体例】
必要となる資金 | 金額 | 調達方法 | 金額 | |
---|---|---|---|---|
設備資金 | <内訳> ・店舗保証金 ・内装工事 ・厨房工事 |
<内訳> 100万円 450万円 50万円 |
自己資金 | 400万円 |
借入 | 200万円 | |||
運転資金 | <内訳> ・材料費 ・人件費 ・宣伝費 |
<内訳> 150万円 100万円 50万円 |
自己資金 | 200万円 |
借入 | 100万円 |
資金計画を立てる場合、設備資金と運転資金の内訳を算出することになります。想定している事業内容や事業規模から設備資金と運転資金の内訳を算出し、設備資金と運転資金の内訳を合計することにより、起業資金における最低金額の目安を算出することができます。
また、起業資金における最低金額の目安を算出した結果、起業資金が足りない場合は資金調達の方法を考えることになります。資金調達の方法はいろいろありますが、資金計画を立てるときは自己資金と借入の両方から資金調達を考える傾向があります。
起業資金の最低金額を知るには、資金計画を立てる必要があります。そして、資金計画は創業計画の一部となるため、起業資金の最低金額が知りたい人はその前提を踏まえつつ、想定している事業内容や事業規模から資金計画を立てることを検討してみましょう。
起業資金がゼロの人も起業できる可能性はある
想定している事業内容や事業規模次第ですが、起業資金がゼロの人も起業できる可能性はあります。設備資金と運転資金が必要なければ、起業資金がゼロでも起業できる可能性があるため、起業資金の最低金額が知りたい人は予備知識として覚えてきましょう。
【「費用はかからなかった」と回答した人の割合】
項目 | 「費用はかからなかった」と回答した人 | 参考資料 |
---|---|---|
2022年 | 起業家 :28.5% パートタイム起業家:46.3% |
「2022年度起業と起業意識に関する調査」 |
2023年 | 起業家 :30.1% パートタイム起業家:52.6% |
「2023年度起業と起業意識に関する調査」 |
2024年 | 起業家 :28.9% パートタイム起業家:51.4% |
「2024年度起業と起業意識に関する調査」 |
※日本政策金融公庫の資料を参考に株式会社ソラボ作成
日本政策金融公庫総合研究所の「起業と起業意識に関する調査」では、起業費用のアンケート結果として「費用はかからなかった」と回答した起業家が全体の30%程度いました。年代ごとに浮き沈みはありますが、起業資金が0円だった起業家は一定数いることが分かります。
また、同調査における起業費用のアンケート結果として「費用はかからなかった」と回答したパートタイム起業家が全体の50%程度いました。年代ごとに浮き沈みはありますが、起業資金が0円だったパートタイム起業家も一定数いることが分かります。
想定している事業内容や事業規模次第ですが、起業資金がゼロでも起業できる可能性はあります。設備資金と運転資金が必要なければ、起業資金がゼロでも起業できる可能性があるため、起業資金の最低金額が知りたい人は予備知識として覚えておきましょう。
起業資金が足りない人は資金調達を検討する
独立開業を検討するならば、まずは起業資金を集めることになります。開業費用が少額化の傾向にあるとはいえ、運転資金や設備資金が足りない場合は資金調達することになるため、起業資金が足りない人は資金調達の方法を押さえておきましょう。
【資金調達の具体例】
項目 | メリットとデメリット |
---|---|
融資を受ける | ≪具体例≫ ・銀行から融資を受ける ・信用金庫から融資を受ける ≪メリット≫ ・金融機関の担当者に相談できる ・入金までの期間が短めの傾向がある ≪デメリット≫ ・返済義務が生じる ・金利による利息が発生する |
支援を受ける | ≪具体例≫ ・クラウドファンディングによる支援を受ける ・インキュベーションプログラムによる支援を受ける ≪メリット≫ ・支援者とのつながりができる ・起業に必要な知識を学習できる ≪デメリット≫ ・支援者が魅力に感じるアイデアが必要になる ・競争が激しくそれ相応の準備と計画が必要になる |
出資を受ける | ≪具体例≫ ・個人投資家による出資を受ける ・ベンチャーキャピタルによる出資を受ける ≪メリット≫ ・出資者とのつながりができる ・起業に必要な知識を学習できる ≪デメリット≫ ・出資者が魅力に感じるアイデアが必要になる ・競争が激しくそれ相応の準備と計画が必要になる |
資金調達の方法として挙げられるのは「支援を受ける方法」です。クラウドファンディングやインキュベーションプログラムなどの支援者から支援を受けることにより、起業資金を工面することができるため、起業資金が足りないときの手段として挙げられます。
また、資金調達の方法として挙げられるのは「出資を受ける方法」です。個人投資家やベンチャーキャピタルなどの出資者から出資を受けることにより、起業資金を工面することができるため、起業資金が足りないときの手段として挙げられます。
ただし、今回紹介した起業資金の集め方には、それぞれメリットとデメリットがあります。一長一短の側面がある点に加え、それ相応の準備と計画が必要になるため、起業資金が足りない人は想定している事業内容や事業規模から資金調達の方法を検討してみましょう。
起業資金として融資を受けたい人は政府関係金融機関を検討してみる
起業資金として融資を受けるならば、政府関係金融機関を検討する余地があります。政府関係金融機関は創業者向けの融資制度を展開しているため、起業資金として融資を受けたい人は政府関係金融機関から融資を受けることを検討してみましょう。
政府関係金融機関とは、政府が出資する金融機関の総称です。政府系金融機関や政策金融機関とも呼ばれ、銀行や信用金庫などの民間金融機関の取り組みを補完し、事業に取り組む方々を支援している関係上、政府関係金融機関は創業者向けの融資制度を展開しています。
【日本にある政府関係金融機関の具体例】
- 日本政策金融公庫(通称:日本公庫)
- 商工組合中央金庫(通称:商工中金)
政府関係金融機関として挙げられるのは「日本政策金融公庫(通称:日本公庫)」です。日本政策金融公庫は創業者向けの融資制度として「新規開業・スタートアップ支援資金」を展開している関係上、担保や保証人を立てずとも融資を受けられる可能性があります。
また、日本政策金融公庫は民間金融機関と連携している関係上、民間金融機関との協調融資に対応しています。協調融資は複数の金機関が連携して行う融資を指しますが、民間金融機関と連携することにより、日本政策金融公庫は資金調達の多様化を推し進めています。
銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受ける方法もありますが、起業資金として融資を受けるならば、政府関係金融機関を検討する余地があります。起業資金として融資を受けたい人は政府関係金融機関から融資を受けることも考えてみましょう。
なお、借入先の候補として日本政策金融公庫を検討したい人は当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)に相談してみてください。8,000件以上の融資サポートの実績を踏まえ、日本政策金融公庫から融資を受けられるかどうかを無料診断します。
まとめ
日本政策金融公庫総合研究所の新規開業実態調査では、2017年~2024年における開業費用の平均値は1,000万円前後でした。あくまでも同調査における平均値ですが、起業資金の目安は1,000万円がひとつの区切りになる可能性があります。
また、起業資金の最低金額は想定している事業内容や事業規模によっても異なります。資金計画を立てることにより、起業資金の最低金額を算出できるため、起業資金の最低金額が知りたい人は想定している事業内容や事業規模から資金計画を立てることを検討してみましょう。
なお、独立開業を検討するならば、まずは起業資金を集めることになります。開業費用が少額化の傾向にあるとはいえ、運転資金や設備資金が足りない場合は資金調達することになるため、起業資金が足りない人は資金調達の方法を押さえておきましょう。