起業資金はいくら必要?平均値から目安となる金額を解説

「個人事業主として独立したい」「会社設立を考えている」など、独立や開業を検討中の人の中には、起業資金はいくら必要なのかを知りたい人もいますよね。その際、起業資金の最低金額が知りたい人もいるでしょう。

当記事では、平均値から起業資金の目安となる金額を解説していきます。起業資金における最低金額の算出方法も紹介しているため、起業するには資金がいくら必要なのかを知りたい人は参考にしてみてください。

起業資金の目安は1,000万円がひとつの区切りになる

日本政策金融公庫総合研究所の新規開業実態調査では、2019年~2021年における開業費用の平均値は1,000万円前後でした。あくまでも同調査における平均値ですが、起業資金の目安は1,000万円がひとつの区切りになる可能性があります。

【年代別に見る開業費用の平均値】

項目 開業費用の平均値 参考資料
2019年 1,055万円 2019年度新規開業実態調査
2020年 989万円 2020年度新規開業実態調査
2021年 941万円 2021年度新規開業実態調査

※日本政策金融公庫の資料を参考に株式会社ソラボ作成

日本政策金融公庫総合研究所では、新規開業実態調査の一環として開業費用のアンケートを実施しています。開業費用のアンケートは毎年実施され、その調査結果として2019年~2021年における開業費用の平均値は1,000万円前後を推移していました。

同調査における開業費用は自己資金に加え、金融機関からの借入金も含まれていますが、個人企業と法人企業を対象にした調査結果となるため、開業費用が1,000万円前後というのは起業家全体の平均値とも言えます。

ただし、同調査における開業費用の平均値は、一部の起業家が引き上げていることも考えられます。起業資金の目安は事業内容によっても異なるため、1,000万円という金額はひとつの区切りとして留意しておきましょう。

開業費用の割合としてもっとも多いのは500万円未満

日本政策金融公庫総合研究所の新規開業実態調査では、開業費用の割合としてもっとも多いのは500万円未満でした。同調査における開業費用の平均値は1,000万円前後でしたが、その理由は一部の起業家が開業費用の平均値を引き上げているからだと推測できます。

【年代別に見る開業費用の割合】

項目 500万円未満 500万円~1,000万円未満 1,000万円~2,000万円未満 2,000万円以上 参考資料
2019年 40.1% 27.8% 20.6% 11.5% 2019年度新規開業実態調査
2020年 43.7% 27.3% 18.2% 10.8% 2020年度新規開業実態調査
2021年 42.1% 30.2% 17.8% 9.9% 2021年度新規開業実態調査

※日本政策金融公庫の資料を参考に株式会社ソラボ作成

日本政策金融公庫総合研究所の新規開業実態調査では、開業費用の調査結果として「500万円未満」と回答した起業家は全体の40%程度でした。その内訳は「500万円未満」と回答した起業家がもっとも多く、その次は「500万円~1,000万円未満」が続いていました。

また、各年代の「1,000万円~2,000万円未満」の割合は18%程度でした。「2,000万円以上」と回答した起業家を含めれば、その割合は30%程度となるため、これらの起業家が開業費用の平均値を引き上げている可能性があります。

同調査における開業費用の平均値は1,000万円前後でしたが、その理由は一部の起業家が開業費用の平均値を引き上げているからだと推測できます。起業資金が500万円未満でも開業や独立できる可能性はあるため、起業資金を貯めている人は参考にしてみましょう。

起業資金の平均値は事業内容によっても異なる

起業資金の平均値は事業内容によっても異なります。開業費用の平均値は1,000万円前後ですが、実際のところは事業内容によっても異なるため、起業資金の目安が知りたい人はその点も留意しておきましょう。

【業種別に見る開業費用の目安】

項目 開業費用の合計金額 参考資料
飲食業 952万円 創業の手引+(飲食版)
美容業 940万円 創業の手引+(美容版)

※日本政策金融公庫の資料を参考に株式会社ソラボ作成

開業費用の平均値は1,000万円前後ですが、実際のところは事業内容によっても異なります。起業資金の目安が知りたい人は1,000万円をひとつの区切りにしつつ、実際は事業内容によっても異なる点を留意しておきましょう。

なお、起業資金が足りない場合、銀行や信用金庫などの金融機関から資金調達する方法もあります。当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)では、6,000件以上支援してきた実績から無料診断を行っているため、気になる人は試してみてください。

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開業費用の平均値は年々減少傾向にある

開業費用の平均値は年々減少傾向にあります。インターネットの普及や新型コロナウイルスのまん延など、開業費用の平均値が年々減少している理由はいろいろ考えられますが、その事実は起業資金を貯める際の参考になります。

日本政策金融公庫総合研究所の「2021年度新規開業実態調査」では、開業費用の平均値は941万円でした。同資料にある平均値と中央値の推移を見る限り、1991年から2021年に至るまで、開業費用の平均値は年々減少傾向にあることがわかります。

また、日本政策金融公庫総合研究所の「2021年度起業と起業意識に関する調査」では、起業費用のアンケート結果として「50万円未満」と回答している起業家が最多でした。「費用はかからなかった」と回答した起業家を含めれば、全体の47.4%を占める計算です。

つまり、2021年度の開業費用の平均値は941万円ですが、起業費用は50万円未満の起業家がもっとも多く、一部の起業家が開業費用の平均値を引き上げていることがわかります。また、開業費用の平均値は年々減少傾向にあるため、今後はさらに下がる可能性もあります。

業種別や事業別の場合は調査結果が異なることも考えられますが、今後も開業費用の平均値は下がる可能性があるため、起業資金を貯めている人は参考にしてみましょう。

起業資金の最低金額が知りたい人は資金計画を立ててみる

起業資金の最低金額が知りたい人は資金計画を立てることを検討してみてください。起業資金の最低金額は事業内容によっても異なりますが、資金計画を立てることにより最低金額を算出できる可能性があるからです。

事業における資金計画とは、必要となる資金をどこから調達し、どのように運用していくのかを計画したものです。資金計画の作り方はいろいろありますが、起業前の場合は設備資金と運転資金に分けて考える傾向があります。

【飲食業を想定した資金計画の一例】

必要となる資金 金額 調達方法 金額
設備資金 <内訳>
・店舗保証金
・内装工事
・厨房工事
<内訳>
100万円
450万円
50万円
自己資金 400万円
借入 200万円
運転資金 <内訳>
・材料費
・人件費
・宣伝費
<内訳>
150万円
100万円
50万円
自己資金 200万円
借入 100万円

資金計画を立てる際、まずは設備資金と運転資金の内訳を出します。内訳を出した結果、その合計金額が起業における最低金額の目安になりますが、収益と費用の兼ね合いから事業が軌道に乗るまでのことも考慮する必要があります。

また、設備資金と運転資金の内訳を出した結果、起業資金が足りない場合には、資金調達の方法を考えることになります。資金調達の方法はいろいろありますが、起業前の場合は自己資金と借入に分けて考える傾向があります。

あくまでも一例ですが、起業資金の最低金額を知るには、資金計画を立てるところから始める必要があります。そして、資金計画は創業計画の一部となるため、資金計画を立てる場合は創業計画を立てることも検討してみましょう。

なお、創業計画書を作成する際には「日本政策金融公庫の融資に必要な創業計画書の書き方まとめ」のページを参考にしてみてください。

起業資金がない人も起業できる可能性はある

事業内容次第ですが、起業資金がない人も起業できる可能性はあります。資金計画を立てた結果、設備資金と運転資金が必要なかった場合には、起業資金がゼロでも起業できる可能性があるからです。

実際、日本政策金融公庫総合研究所の「2021年度起業と起業意識に関する調査」では、起業費用のアンケート結果として「費用はかからなかった」と回答した起業家が全体の20.6%いました。それにより、起業資金が0円だった起業家も一定数いることがわかります。

また、事業に充てる時間が1週間あたり35時間未満のパートタイム起業家の場合、同様の回答をした人は全体の45.6%いました。パートタイム起業家の約半数は費用をかけておらず、起業資金がゼロでも起業できた可能性があります。

ただし、起業資金がゼロでも起業できるかどうかは事業内容次第です。まずは資金計画を立てるところから始まりますが、収益と費用の兼ね合いから事業が軌道に乗るまでのことも考慮する必要があるため、起業資金がない人は自己資金を貯めることも検討しましょう。

なお、起業資金がない人は「開業資金ゼロでも起業できるのか?」も参考にしてみてください。

起業資金の集め方は融資以外にもある

起業資金がない人は金融機関から融資を受ける傾向がありますが、起業資金の集め方は融資以外にもあります。今回は融資を受ける方法と比較しながらその他の方法を紹介していくため、起業資金の調達方法が知りたい人は参考にしてみてください。

【起業資金の集め方の一例】

項目 メリットとデメリット
融資を受ける <一例>
・銀行から融資を受ける
・信用金庫から融資を受ける
・消費者金融から融資を受ける
<メリット>
・利用中の金融機関に相談できる
・入金までの期間が短めの傾向がある
・金融機関の数だけ借入先の候補がある
<デメリット>
・返済義務が生じる
・審査を受ける必要がある
・原則として金利による利息が発生する
支援を受ける <一例>
・補助金による支援を受ける
・助成金による支援を受ける
・給付金による支援を受ける
<メリット>
・金利による利息が発生しない
・原則として返済義務は生じない
・経営上のアドバイスをもらえる可能性がある
<デメリット>
・審査を受ける必要がある
・書類作成に時間がかかる傾向がある
・入金までの期間が長めの傾向がある
出資を受ける <一例>
・個人投資家による出資を受ける
・ベンチャーキャピタルによる出資を受ける
・クラウドファンディングによる出資を受ける
<メリット>
・原則として返済義務が生じない
・原則として資金用途の制限がない
・出資元の協力を得られる可能性がある
<デメリット>
・出資先を探す必要がある
・株主が経営に関与することになる
・配当金として利益の還元が求められる

たとえば、起業資金の集め方には、補助金や助成金などの支援制度を利用する方法があります。金融機関から融資を受けた場合は原則として金利による利息が発生しますが、補助金や助成金による支援制度の場合は金利による利息が発生しない傾向があります。

また、起業資金の集め方には、個人投資家やベンチャーキャピタルから出資を受ける方法もあります。金融機関から融資を受けた場合は原則として資金用途の制限がありますが、個人投資家やベンチャーキャピタルによる出資の場合は資金用途の制限がない傾向があります。

ただし、今回紹介した起業資金の集め方には、それぞれメリットとデメリットがあります。どれも一長一短の側面がある点に加え、利用規約や契約内容によるところもあるため、あくまでも傾向や可能性としてそれぞれの資金調達方法を参考にしてみてください。

銀行から起業資金を借りる予定の人は政府関係金融機関も検討してみる

起業資金の集め方は融資以外にもありますが、銀行から起業資金を借りる予定の人は政府関係金融機関も検討してみてください。政府関係金融機関は創業者向けの融資制度を展開しているため、借入先の候補になるからです。

政府関係金融機関とは、政府が出資している金融機関の総称です。政府関係金融機関は政府系金融機関や政策金融機関とも呼ばれ、銀行や信用金庫などの民間金融機関の取り組みを補完し、事業に取り組む方々を支援しています。

【日本にある政府関係金融機関】

  • 日本政策金融公庫
  • 国際協力銀行
  • 沖縄振興開発金融公庫
  • 日本政策投資銀行
  • 商工組合中央金庫

たとえば、日本政策金融公庫には、創業者向けの融資制度として「新規開業資金」があります。申込者の条件や担当者の判断にもよりますが、日本政策金融公庫の融資制度のひとつとなる「新規開業資金」ならば、担保や保証人を立てずとも融資を受けられる可能性があります。

また、日本政策金融公庫は民間金融機関と連携している関係上、民間金融機関との協調融資に対応しています。協調融資は複数の金機関が連携して行う融資を指しますが、民間金融機関と連携することにより、日本政策金融公庫は資金調達の多様化を推し進めています。

なお、借入先の候補として日本政策金融公庫を検討してみたい人は当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)に相談することも考えてみてください。6,000件以上の融資サポートの実績を踏まえ、日本政策金融公庫から融資を受けられるかどうかを診断します。

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まとめ

日本政策金融公庫総合研究所の新規開業実態調査では、2019年~2021年における開業費用の平均値は1,000万円前後でした。あくまでも同調査における平均値ですが、起業資金は1,000万円がひとつの目安になる可能性があります。

ただし、起業資金の平均値は事業内容によっても異なります。資金計画を立てることにより、起業資金の目安と最低金額が見えてくる可能性があるため、起業資金を貯めている人は創業計画の一部として資金計画を立てることも検討してみてください。

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