業務委託契約書を作ろう!業務委託契約書の正しい書き方

業務委託契約には主に「委任」と「請負」の2つがあります。委任は弁護士や司法書士などに法律行為に関する業務を依頼する場合に結ぶ契約を言います。

一方の「請負」はアウトソーシングが外注などを利用して自社の業務を外部に依頼する際に結ぶ契約です。近年では、自社の業務を外部にお願いするというケースも珍しくありません。

そこで、今回の記事ではこの「請負」に関する業務委託契約書の書き方のポイントをご説明します。業務委託契約書の書き方のポイントを理解して正しい契約書を作成しましょう。

業務委託契約書の作成手順

契約書作成手順
業務委託契約書を作成する前に、まず、当事者間で契約内容についての話合いを行います。話合いにより決めておくべき事項は以下の通りです。

協議内容の例

契約書を作成する

話合いによって取り決めた内容を業務委託契約書に盛り込みます。業務委託契約書は受託者、委託者のどちらが作成しても問題ありませんが、業務を委託する委託者が作成した方が良いでしょう。

作成にあたってのポイントは後ほど詳しくご説明します。

相手方の確認を得る

作成した契約書の内容を相手方に確認してもらいます。修正があれば再度、修正箇所についての話合いを設けます。

製本・印紙・署名捺印

完成した契約書を製本して、収入印紙を貼り付けます。最後に双方で署名捺印をして契約書の完成です。

収入印紙の金額は2号文書か7号文書で異なる

業務委託契約書に貼り付ける収入印紙はその契約が2号文書か7号文書かによって金額が異なります。2号文書と7号文書の違いを確認しておきましょう。

2号分書=請負契約

2号文書とは請負契約の契約書を言います。工事請負契約書や広告契約書、請負金額変更契約書などが該当します。

2号文書となる主な特徴は以下の通りです。

2号文書の主な特徴

【2号文書の収入印紙】

2号文書に必要な収入印紙は契約金額によって異なります。

2号文書の収入印紙の金額

7号文書=継続的取引契約

7号文書は取引が継続的に行われる場合の基本契約書です。当事者間で同じ取引を繰り返し行う場合に、取引に関する条件をあらかじめ定めておきます。

売買取引基本契約書や代理店契約書、銀行取引約定書などが該当します。業務委託契約書も7号文書に該当することが多いです。

7号文書となる主な特徴と収入印紙は以下の通りです。

7号文書の主な特徴と収入印紙の金額

業務委託契約書作成のポイント

業務委託契約書を作成する際のポイントを記載例と一緒に確認していきましょう。

業務委託契約書の最大のポイントは、後々トラブルにならないように細かなところまでしっかりと記載することです。

業務内容

業務内容の記載例

業務内容に関しては具体的な内容を記載するようにしましょう。業務の範囲などについても細かく記載しておくことでトラブルを防ぐことが出来ます。

甲と乙の違いについて

契約期間

契約の開始日と契約の終了日を記載します。ここでは契約の更新に関しても記載しておくようにしましょう。

契約期間の記載例

金銭に関する内容

報酬の支払いや経費の負担などについて記載しておきます。報酬に関しては、着手金の有無や支払いの方法(分割・一括)などを事前にしっかりと

決めておくようにしましょう。また、報酬を振り込む際の振込手数料についてもどちらが負担するかを取り決めておき、契約書に記載しておくようにしましょう。

報酬や諸経費の記載例

成果物の納期などに関する内容

成果物の納期や、納品後の確認に関する取り決めを記載しておきます。

納期に関する「納入」、成果物をチェックする「検収」、成果物の引渡しが完了したことについての「引渡」のそれぞれについてしっかりと記載しておくようにしましょう。

納入・検収・引渡の記載例

特に検収期間についてはしっかりと定めておいたほうが良いです。ちょっと悪質なケースでは、「確認していなから報酬は支払えない」などというトラブルも考えられます。

瑕疵担保期間(かしたんぽきかん)も設定しておこう

瑕疵(かし)とは、成果物の欠陥等を言います。検収の段階で問題が発見された場合については検収の項目に記載していますが、検収後が終了してから瑕疵が見つかった場合の対応について記載します。

瑕疵担保の記載例

(5)権利の所在について

知的財産権を有する業務など成果物の権利について、委託者と受託者のどちらが所有するかに関して記載を行います。

知的財産権の記載例1

通常は委託者に権利を譲渡することが前提となる契約となるため上記のような書き方を行いますが、受託者がどうしても譲渡したくない権利等がある場合には、一定の範囲内で保留にするという内容の契約を結ぶ場合もあります。

知的財産権の記載例2

再委託について

再委託は受託者がさらに別の業者に業務を委託することを言います。システム開発や建設などではよく行われる方法です。

請負契約の場合には、セキュリティなどに対して不安があり再委託を禁止する場合にはその旨を記載しておくようにしましょう。委任契約の場合には原則として再委託は不可となります。

再委託の禁止の記載例

契約の解除について

契約に違反した場合など双方での信頼関係が壊れるような事態が起こった場合に、契約を途中で解除することができるという内容を記載しておきます。

契約の解除の記載例

契約解除の有効期間や契約終了後の処理についてなども合わせて記載しておくようにしましょう。

その他、業務委託契約書に記載しておいた方が良いこと

その他に契約書に記載しておいたほうが良い内容をまとめてご紹介します。

報告・通知義務について

受託者から委託者へ業務の進捗をについて報告義務や受託者で振込口座の変更などが起こった場合の通知義務について記載します。

秘密保持について

委託者や受託者が業務を行う上で得た情報に関して外部へ流出しないように定めておきます。

秘密保持は別途で秘密保持契約を締結するというケースもあります。別途で契約を締結する場合には業務委託契約書に記載しておかなくても問題ありません。

反社会的勢力について

反社会的勢力との取引の排除については、各自治体で定められた条例の内容などを記載しておくようにしましょう。

裁判管轄

裁判に発展するような問題が生じた場合に、どこの裁判所で裁判を行うかについてを記載します。これは、裁判になった場合に裁判所が遠いと時間も費用もかかるため負担を考えて自社の近くの裁判所を設定しておく方が良いでしょう。

協議について

契約書に記載した内容以外の問題が発生した場合にはその都度協議を行うことを記載しておきましょう。

契約書が完成したら署名・捺印

署名捺印は契約書の最終段階です。署名捺印を行うことで契約が成立します。署名捺印のタイミングは、双方で契約書を確認し、内容に合意をしたら行います。

この際に使用する印鑑は、印鑑登録されているものを使用するようにしましょう。ビジネスの場合には、会社名と代表者名を記入し、会社の印鑑を捺印します。

契印と押印の違いとポイント

まとめ

業務委託契約書の作成方法のポイントはご理解いただけましたか?

契約書はしっかりとした内容を記載しておくことで、後々トラブルになることを防ぐことが出来ます。弁護士などの専門家にリーガルチェックをお願いするなど、正しい内容で契約を行うようにしましょう。

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