これから事業をスタートされる方、すでに事業をされている経営者の方には、それぞれ経営に関する悩みや不安を抱えられている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
とくに、これから事業をスタートする、事業をスタートしたばかり、新しいビジネスを検討しているなど初めての挑戦などの場合には、その不安もより大きなものになると思います。
不安や悩みを解決するための方法のひとつに専門家への相談があります。「認定支援機関」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
認定支援機関は国が認めた経営問題に関する相談・支援をする公的機関です。今回は、認定支援機関とはどのような人達のことで、どんなことをしてくれるのかなど、認定支援機関について詳しく紹介したいと思います。
経営革新等支援機関の新規申請に関する詳細は経済産業省のWebサイト「経営革新等支援機関の新規申請について」をご覧ください。
目次
1.認定支援機関とは
認定支援機関とは正式には「経営革新等支援機関」と言い、経営課題を抱えている中小企業、小規模事業者の相談・支援を行う士業や企業を国が審査し、認定しています。
認定支援機関はどんな人がやっているのか
認定支援機関として認定してもらうためには、専門知識や実務経験などが一定レベル以上であることなどの要件があります。
要件1)税務や金融、企業財務に関する専門知識があること 要件2)中小企業、小規模事業者の支援に関して、法定業務に係る1年以上の実務経験を含む3年以上の実務経験があること |
要件1が専門知識に関するもの、要件2が実務経験に関するものです。
税理士(税理士法人)や弁護士(弁護士法人)、監査法人、公認会計士、中小企業診断士などの士業の場合には、要件1をクリアしているため、実務経験の有無が重要になります。
民間の企業の場合には、要件1として、経営革新計画等の策定や中小機構の指定を受けた研修を受講し、試験合格が必要です。
専門的な知識などが必要となるため、士業や商工会議所、商工会、金融機関や民間のコンサルティング会社などがあり、現在35,537機関(令和2年4月24日現在)が認定支援機関としての認定を受けています。
全国の認定経営革新等支援機関一覧(中小企業庁HP)
※ご事業をされている地域の地域名をクリックするとエクセルの一覧を閲覧することが出来ます。
2.認定支援機関はどんな時に利用するべき?
経営課題の解決のために認定支援機関を利用しましょうと言われても、ピンとこないと思いますので、どのような時に利用したらよいかを簡単にご説明します。
認定支援機関に相談することができる経営課題としては、以下のようなものがあります。
創業支援/事業計画作成支援/事業承継/M&A/人材育成/人事・労務/金融・財務/ 情報化戦略/知財戦略/生産管理・品質管理/販路開拓・マーケティング/海外展開/BCP作成支援/物流戦略など |
例えば、経営状況を調査・分析して経営の見える化を図りたい、資金調達を行うための事業計画書を策定したい、金融機関との関係を構築したい、事業承継やM&Aについて専門家のアドバイスを受けたいなど、専門家のサポートを受けて円滑に進めたいという経営課題がある場合には、認定支援機関に相談することがおすすめです。
また、認定支援機関のサポートを受けることで、利用できる施策などもあるので、利用したい施策がある場合には、認定支援機関に相談してみましょう。
―認定支援機関のサポートで使える施策―
経営改善計画策定支援事業
経営改善計画策定支援事業とは、借入をした資金の返済による負担など財務に関しての経営課題を抱えている中小企業や小規模事業者に対して、経営改善計画を策定するなど状況の改善を図るための支援を行います。
対象となる中小企業、小規模事業者は「金融支援を伴う本格的な経営支援が必要」とされる中小企業、小規模事業者です。
認定支援機関による経営改善計画書策定サポートを受け、その際に認定支援機関に支払った費用の2/3(上限200万円)を経営改善支援センターが支援してくれます。
金融機関からの返済条件の緩和などによって資金繰りを安定させ、経営状況を改善したいとお考えの場合には、認定支援機関に相談してみることがおススメです。
経営改善計画策定のサポートを行ってくれる認定支援機関を探したいという場合には、お付き合いのある税理士や、お取引のある金融機関に相談してみるという方法があります。
また、経営改善支援センターでも経営改善計画書の策定をサポートする認定支援機関を紹介してもらうことができる場合があります。まずは、お近くの経営改善センターに問い合わせて見てください。
各都道府県の経営改善センター窓口一覧(中小機構HP)
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、「ものづくり補助金」とも呼ばれている補助金制度です。
公募制ですが、ここ数年は毎年、公募が実施されており定番化されている補助金の1つと言えます。
このものづくり補助金は、革新的なサービスの開発や試作品開発、生産プロセスの改善などにかかる設備資金の一部を補助してくれるものですが、公募の要件に「認定支援機関の全面バックアップを得た事業を行う中小企業・小規模事業者」とありますので、モノづくり補助金の利用を検討されている場合には、認定支援機関への相談が必要です。
-補足情報-
ものづくり補助金は認定支援機関の支援が必要ですが、令和2年(2020年)の公募は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による特別枠が設けられており、申請手続きの方法が簡素化されています。
それにより、従来は認定支援機関の確認書などの添付が必要でしたが、今回は確認書の添付が不要となりました。特別枠としての扱いとなるため、終息後は従来の方法に戻る可能性もあります。
ものづくり補助金の詳細 ものづくり補助金総合サイト(ものづくり補助事業公式HP) |
事業承継補助金
事業承継補助金は、事業承継に関する費用の一部を補助してもらえる制度です。事業承継補助金にはⅠ型の後継者承継支援型と、Ⅱ型の事業再編・事業統合支援型の2種類がありますが、どちらも策定した事業計画書の実行支援を認定支援機関に確認してもらう必要があります。
事業承継補助金の詳細 事業承継補助金(中小企業庁) |
事業承継税制
事業承継税制とは、先代の経営者から後継者へ非上場株式等を相続や遺贈、贈与などによって引き継いだ際に発生する相続税や贈与税の一部又は全ての納税猶予を得ることができる制度です。
事業承継税制に一般措置と特例措置があり、特例措置の適用を受けるためには、特例承継計画を策定する必要があり、この特例承継計画の策定にあたって、認定支援機関のサポートが必要となります。
【一般措置と特例措置の違い(一部)】
一般措置 | 特例措置 | |
納税猶予対象株式 | 総株式(無議決権株式を除く)の2/3 | 全株式 |
納税猶予対象の後継者数 | 1社につき1名 | 最大3名 |
納税猶予の割合 | 贈与税100%/相続税80% | 贈与税100%/相続税100% |
3.認定支援機関の利用方法と注意点
認定支援機関を利用して、さまざまな経営課題を解決するには、まず、認定支援機関を探す必要があります。認定支援機関を探す際に注意していただきたい点は、認定支援機関には得意分野があるということを理解しておくことです。
最初に説明したように、認定支援機関は専門的な知識をもった専門家となります。
税理士や弁護士、公認会計士、中小企業診断士などの士業や、経営コンサルを行う企業などが認定を受けています。
そのため、専門分野が異なるとサポートできないケースも考えられます。まず、認定支援機関を探す前に、ご自身の経営課題が何かを明確にし、そのためにサポートを依頼する認定支援機関はどこにするかを検討する必要があります。
認定支援機関の探し方
お付き合いのある士業に聞いてみる
認定支援機関を探す方法としては、日頃お付き合いのある士業の方がいらっしゃる場合には、まず、その方に認定支援機関を取得しているかどうかを確認して、経営課題について相談してみましょう。
認定支援機関検索システムを使う
また、中小企業庁のHPでは認定支援機関を検索することができるシステムがあります。ご事業をされている地域の都道府県をクリックすると、キーワードや種別、相談可能内容などを選択できるウィンドウが表示されます。
詳細な検索条件を入れていけば、絞り込んで検索することが出来ます。
よろず支援拠点に相談して紹介してもらう
よろず支援拠点とは、中小企業・小規模事業者の経営に関する相談を受けてくれる、経営の相談所です。47都道府県に設置されています。
よろず支援拠点から認定支援機関を紹介してもらうことも出来ますので、何を誰に相談したらよいかなどを整理するという意味でも一度相談してみると良いかもしれません。
お近くのよろず支援拠点は下記からご確認ください。
よろず支援拠点一覧(よろず支援拠点HP)
4.ご存じ、ソラボも認定支援機関です
創業融資ガイドを運営している、株式会社SoLaboも認定支援機関です。
ソラボは、創業支援をメインとしており、日本政策金融公庫など金融機関からの融資サポートとして、事業計画書など書類作成のサポートなどを行っています。
認定支援機関を経由して融資を行うことのメリット
- 融資に必要な書類の作成をサポートしてもらえる
- 融資審査の進行管理や対応に対する助言を受けられる
- 融資面談の対策や質問に対する回答のレクチャーを受けられる
上記以外にも、利用できる制度が増えることで、金利優遇や融資額を増やすことができる可能性があり、スケジュールの最適化などによって融資実行までの期間を短縮することも出来ます。
ソラボはおかげさまで、3,700件以上のお客様にお選びいただき、たくさんのお客様のサポートをさせていただいています。融資を検討しているという場合には、ぜひ、ソラボにご相談ください。相談無料、完全成功報酬です。
まとめ
今回は、認定支援機関についてご紹介しました。あまり、聞きなれない機関ですが、中小企業・小規模事業をされている経営者の方の経営課題の解決のためのサポートを行う専門家です。認定支援機関を経由することで利用できる制度なども整備されています。
少しでも経営に関する不安や課題を感じている場合には、認定支援機関に相談し、一緒に解決してもらうことも1つの方法です。
まずは、ご自身の経営課題を明確にし、課題にあった認定支援機関を探しましょう。かかりつけの認定支援機関を持つことで、いざという時に頼れる支えを得ることが出来ます。
認定支援機関を決めるときは、ホームページなどを確認して実績や報酬を比較して、信頼できる認定支援機関を見つけてください。