創業融資とはビジネスを始めるにあたり資金調達として金融機関などからお金を借りることです。金融機関からお金を借りるには、損益計算書や資金繰り表などの会計書類を添付する必要があります。
これらの書類作成やアドバイスの専門家が税理士という存在です。
今回の記事では創業融資の税理士の成功報酬とは何か、いくらが相場か、など気になる点を掘り下げていきたいと思います。
1.企業のお金のアドバイザー:税理士という存在
税理士は国家資格を持つ企業のお金の専門家です。その働き方は①(弁護士のように)単発で依頼を受けて個別報酬を受け取る②顧問契約を結び毎月または数か月に一度という割合で打ち合わせをする、というものが一般的です。
2.税理士事務所にある2つの料金体系
①成功報酬とは?
創業融資を手伝う税理士事務所について検索していると、その料金形態で「成功報酬」とそうでないものがあります。
成功報酬とは「相談者のあなたが融資に成功したらその報酬を税理士事務所がもらうよ。そうでない場合は1円ももらわないからね」というシステムです。融資を受けられない場合はお金を払わなくていいので、依頼する心理的ハードルは下がります。しかし、成功した場合の報酬が高めの場合もあり、その手数料の「%」には注意が必要です。
これと対照的なのは「着手金あり」の料金体系をとる税理士事務所です。あなたの相談した案件が成功しようがしまいが、とにかくお金を払う必要があります。この料金体系の長所は料金が明確なこと。創業計画書の作成で3万円、損益計算書の作成で5万円、など1つ1つのアクションに対する料金がはっきり決まっているので、資金計画がたてやすいというメリットがあります。
②税務顧問契約「あり」「なし」で創業融資依頼の料金が変わる?
もう一つ気を付けたいのは、成功報酬の中でも顧問契約あり、なしの区分があることです。
税理士事務所としては、1回だけのお付き合いではなくできれば毎月固定給が欲しい訳です。そこで、創業融資のお手伝いをする事業所が税務の顧問契約をしてくれれば割安の成功報酬でOK、顧問契約してくれないなら高めの設定にするよ、というのが顧問契約「あり」「なし」の料金体系です。税理士事務所のサイトによっては、この文言(顧問契約)ではなく「月額顧問料」として記載されている場合もあります。
これは、Amazonでも同じことが言えます。Amazonで食品や日用品を「定期購入する」とクリックすると、1回だけのショッピングの場合よりも数十円~数百円安くしてくれますよね。
③決算報酬とは?
創業融資には直接関係なく、決算期の書類作成を代行することで支払う報酬のことです。相場は年間で15~25万円。安く見せるため、これを月額1万5千円~などで表記するサイトもあります。創業融資の依頼をすると、この「決算申告も一緒にお手伝いしましょうか?」と声をかけられることがあります。
3.最近の創業融資対応の税理士事務所の料金相場の傾向
税理士事務所の料金体系がわかったところで、最近の料金相場をみていきましょう。
①融資調達額の〇%という場合
着手金は業界的に今0円が標準です。そして、成功報酬額は融資調達額の2~4%が相場です。なかには、5%をとる税理士事務所もあります。
【税務顧問契約あり・なしの場合】
着手金 | 0円 |
成功報酬(税務顧問契約なし) | 融資調達額の4% |
成功報酬(税務顧問契約あり) | 融資調達額の2% |
あなたがもし、税理士事務所の支援で1,000万円の創業融資を勝ち取ったとしましょう。2%の成功報酬で契約したなら、その税理士に支払う成功報酬は20万円です。
②創業融資は無料に注意!その場合は顧問契約が必須
創業融資を無料でお手伝いします、という事務所もたくさんあります。但し、その場合は例外なく顧問契約を結ばなくてはいけません。
【(例)顧問契約の月額料の相場】
年間売上 | 月額報酬 |
~1,000万円 | 15,000円 |
~2,000万円~ | 23,000円 |
顧問契約は解約するまでずっと支払わなくてはいけない経費です。一度契約し、解約しづらくなるトラブルも稀にあります。成功報酬と比較しどちらがよいのかは、年間~数年の費用対効果を予測し、よく検討しなくてはいけません。
まとめ
創業融資の際に税理士に書類作成をしたもらう場合は成功報酬かどうか、そして成功報酬の場合はその%と内容をよく確認しましょう。「創業融資0円」と書いている場合は例外なく顧問契約をしなければなりません。