シェアハウスをはじめとする不動産投資や不動産経営では、融資金額が極めて高額になるため、融資を受けるための前提条件があります。この前提条件を満たさないまま、融資の申し込みしてしても、融資審査を通過することは極めて難しいでしょう。
また、事業計画書は金融機関から融資を受けるために作成必須の書類です。事業計画書を通して、事業をどのように進めていくかアピールします。そのため、事業計画書が根拠をもって作成できていなければ、融資を受けることは難しいでしょう。
本記事では、不動産投資未経験でシェアハウス経営を検討している人に向けて、金融機関から融資を受けるための前提条件や事業計画書の作成ポイントを解説します。
1.事業計画書とは
事業計画書とは、簡単に言うとビジネスの設計書です。ビジネスに必要なリソース(ヒト・モノ・カネ)をどのように調達するのか、誰に何を提供するのか、毎月どの程度の利益が出るのか等、ビジネスの全体像を表します。
(1)事業計画書は、金融機関から融資を受けるために必要
融資希望者は融資を受けるために、事業計画書を通じて事業採算性の高さを金融機関に理解してもらう必要があります。融資に対する返済は事業利益からされるものです。金融機関にとって、事業で利益を出せない事業者に融資することは、貸し倒れにつながります。
(2)事業計画書の作成ポイント
事業計画書に、どの金融機関でも利用できる、定型フォーマットはありません※。事業計画書は、融資担当者に自身の事業を理解してもらい、成功のイメージを持ってもらうための書類です。
シェアハウスのような不動産投資や不動産経営において、次の要素は入れとよいでしょう。
・物件概要(どこにどのような物件を購入するのか)
・集客施策(どのように空室を埋めるか)
・家賃設定とその妥当性
・競合対策(どのように周辺物件と差別化するか)
・収支計画(毎月どの程度の収支を見込むか)
※金融機関によっては、所定のフォーマットが用意されていることがあります。融資依頼先の金融機関が決まり次第、書式の有無を確認しましょう。
2.金融機関から融資を受けるための前提条件
融資担当者を納得させるために、説得力のある綿密な事業計画書は必須です。しかし、完成度の高い事業計画書の作成だけで、必ずしも融資成功に繋がるわけではありません。
シェアハウスのような不動産投資や不動産経営においては、下記3点を備えていることが融資を受けるための大前提となります。
どれか1つでも欠けている場合は、不足項目を補ってから融資の申し込みをすることをおすすめします。
(1)潤沢な自己資金
潤沢な自己資金が必要です。融資担当者は、家賃収入が少ない状況においても返済を継続できるだけの自己資金のある事業者にしか融資をしないためです※。
賃貸型の不動産投資において、金融機関への毎月の返済は家賃収入が原資になりますが、部屋の空室状況によっては、家賃収入が返済額に満たないことがあります。
その場合、自己資金がない状況では金融機関への返済が滞ることになりますが、金融機関としてそれは看過できません。
事業者は計画通りの家賃収入が見込めない場合でも、返済能力があることを融資担当者に示す必要があります。
※一般的に、希望融資額に対し3割の自己資金が必要と言われています。
(2)投資物件の担保価値
これから購入するシェアハウスが担保価値を持っている必要があります。
不動産投資の融資を受ける際は、これから購入する不動産を担保にする場合があるためです※。
仮に事業者が返済困難な状況になり、自己資金でも賄えない場合、担保とした不動産が競売に出されその売却額が返済に補填されます。金融機関としては当然物件に高値がつくことを望みます。
この売却額を決めるのが、投資物件の担保価値です。担保価値の評価軸は金融機関によって異なりますが、大きな要素は耐用年数・建築構造(RC造・木造など)・立地です。
たとえば、僻地にある築40年木造物件の担保価値はほぼゼロでしょう。売却しようとしても好ましい金額はつきません。
融資を受けて担保価値の低い物件を購入したい場合は、担保なしでも返済を約束できるような潤沢な自己資金が必要になります。
※購入する不動産の担保は、自身の返済能力を融資担当者に示す要素として必要になります。事業者が返済困難な状況に陥ったとき、自己資金だけでは賄えない可能性が高いためです。仮に事業者が借入上限まで融資を受けた場合、融資額に占める自己資金比率は2~3割になります。これは融資後すぐに事業継続が困難になった場合でも、最大でも3割程度しか返済できないことを意味します。金融機関としては貸し倒れリスクが高くなってしまうため、安心して融資を実行してもらうための担保が必要です。
(3)不動産事業のノウハウ
シェアハウス経営をはじめる事業者は自身が継続して事業利益を出せることを融資担当者に伝えるために、不動産事業のノウハウを持っている必要があります。
融資担当者の一番の関心事は、事業者が毎月利益を上げて毎月予定通りに返済してくれることであり、その事業利益を出すためには不動産の経営力が求められる傾向だからです。
以前は、自己資金・年収・勤務先のような事業者の経済的状況・社会的立場が重点的に評価され、不動産事業ノウハウはあまり評価されていませんでした。
しかし、2018年にシェアハウス事業者“株式会社スマートデイズ”が破綻しスルガ銀行の不正融資が発覚してからは不動産融資審査が厳格化し、事業者の不動産事業ノウハウ(不動産経営力)も重要視されるようになっています。
3.シェアハウス経営において日本政策金融公庫の融資は受けられるか
事業者への融資機関として、民間の金融機関のほかに“日本政策金融公庫”という政府系の金融機関があります。
日本政策金融公庫(略:公庫)は、中小企業および起業者の支援を目的として日本政府によって設立された貸付専門の金融機関で、創業融資の場面で多く利用されています。
結論から言うと、シェアハウス経営という事業運営を目的としているのであれば、融資は受けられる場合があります。
しかし、不動産投資用途の場合、公庫の融資は極めて通りづらい傾向です※。不動産投資への融資は、公庫の理念に則していないためです。公庫は理念のひとつとして、“雇用の促進”を挙げていますが、不動産投資はその理念に適合しません。
※日本政策金融公庫が正式に表明しているわけではなく、あくまで当社SoLabo(ソラボ)の過去4,500件の融資支援実績からの見解となります。
参考.すでに不動産事業をしている人は融資を受けられるか
すでに不動産事業をしている人は、不動産事業のノウハウが評価され、潤沢な自己資金がない場合でも融資を受けられる可能性があります。
既存事業が黒字ということから、融資担当者は事業者には十分な不動産経営力があり、新規投資でも成功する見込みが高いと判断するためです。
これまでの不動産経営経験を活かし、なぜそのシェアハウスを購入するのか・なぜ入居者が見込めるのかを具体的に事業計画書に書けると良いでしょう。
まとめ
シェアハウスで融資を申し込むときは、自己資金・担保・事業ノウハウという3つの条件を満たすことがポイントです。
条件を満たしたあとは、事業計画が重要です。融資担当者を納得させるためにどのような要素を入れるか、どのように訴求するかを考える必要があります。
ただ、事業計画書の作成は初めて融資を受けようとしている人にとっては難しく感じるかもしれません。
事業計画書の作成に少しでも不安を感じる人は、融資サポートの専門家に相談することをおすすめします。
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