ソフトウェア開発業で融資を受けるための創業計画書の書き方

ソフトウェア開発業で融資を受けるための創業計画書の書き方
株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
融資支援業務に力を注ぎ、現在では400件以上の融資支援を行っている。

令和の時代に入り、IT分野の成長は著しく、インターネットはもはや私たちの生活に欠かせないインフラになりました。

2017年の総務省の調査によると、情報通信産業の国内生産額は97.5兆円と全産業の9.7%を占めるまでに大きな市場規模に成長しています。

そのため、IT系の事業についても日本政策金融公庫は徐々に知識をつけており、新規事業でも「新規性」「技術力」「経験値」「収益化」をアピールできれば、融資は通りやすくなると言われています。

本記事では、ソフトウェア開発業において日本政策金融公庫の創業融資を受けるために必要な事業計画書の書き方を解説します。

1.IT業界の中でもソフトウェア開発業は融資が通りやすい

①個人向け事業より法人向け事業のほうが融資は通りやすい

IT業界と一言で言っても、その範囲は非常に幅広いものです。企業のインフラを開発するSIer(システムインテグレーター)やITコンサルのように法人向け(BtoB)の事業もあれば、ECサイト運営(お店寄り)やゲーム開発のように個人向け(BtoC)の事業もあります。

ソフトウェア開発業で融資を受けるための創業計画書の書き方

どの業界でも、法人向け事業の方が個人向け事業よりも融資は通りやすいです。融資担当者は法人向け事業のほうが収益を上げやすく、返済能力も高いと判断するためです。

個人向けの事業の場合は、どれほどユーザーがいるのか、収益はどのぐらい上がりそうかを根拠立てて説明した書類という証拠書類を融資担当者に提示できれば融資を受けられる可能性は上がります。

②副業の融資は通りづらい

ソフトウェア開発業で融資を受けるための創業計画書の書き方

WEBサービスやECサイトの事業でも副業を印象づける事業、特にアフェリエイトやFXやネット競馬などの事業の場合は融資に通る可能性はほぼありません。本業の片手間で取り組んでいるレベルでは事業とは言えないからです。

今は副業だとしても、「将来的に副業を本業にする」という覚悟を持って準備を進めているということが副業の融資のポイントです。

なお、FXのような投資のための資金調達は公庫では融資の対象にはなりません。

また、ネット通販でせどり(安く買って高く売る)を始める方が多いですが、誰でもできて、過去実績が少ないまま副業的にスタートする方が多いため、日本政策金融公庫ではネット通販に関する融資の審査が厳しくなっています。

事業として成立し、借入金を返済できるだけの売上見込みが立つのか、今後従業員を雇う予定はあるのか、自己資金を準備しているか、といった部分を満たすかどうかが融資の審査のポイントとなります。

すでにWebデザイナーやエンジニアとしてフリーランスの形態で事業を行っている場合は、これまでの受注履歴や取引先リストなどをまとめた書類を出すことで、より事業として認められやすくなり融資審査に通りやすくなります。

なお、副業での融資については当サイトの以下既存記事も是非あわせてご参照ください。

副業でも融資を受けられるのか?

2.ソフトウェア開発業における創業計画書の書き方

IT業界の中でも法人向け事業は日本政策金融公庫の創業融資を受けやすいといわれていますが、法人向け事業であれば無条件で融資を受けられるわけではなく、融資審査に落ちる可能性もあります。

しかし次の3点を融資担当者に訴求することができれば、融資審査が通る可能性は高くなります。なぜなら、融資担当者に創業者の返済能力を伝えることができるためです。

実際の創業融資を受けることができた創業計画書の記入例をもとに、創業計画書でアピールすべきポイント3点の内容を見ていきましょう。

ソフトウェア開発業で融資を受けるための創業計画書の書き方

①受注が確定した案件を持っている

これから新しく事業をはじめる場合、まだ実績が無い状態ですから、売上見込みが立つかどうかも未知数です。
公庫としては、「貸したお金を返済できるかどうか」を見極めていますので、今後売上が立つという根拠として、既に受注が確定した案件を持っていることを提示できることは、審査への加点要素になります。

その場合、取引先・提携先との契約書や請求書といった<契約があることを証明できる書類>を準備しておくことが望ましいです。口約束ではなく、確実に受注していることを証明できるからです。

創業準備の一環として、ぜひ書面の準備を検討してください。

②事業がスモールスタートである

「スモールスタート」とは、日本語に直訳すれば「小さく始める」を意味します。新しい事業を立ち上げるとき、はじめは機能・サービスを最小限に展開するところから始めて、需要が増えるにつれて事業の規模を拡大させていくことを指す言葉です。

これから始める事業がスモールスタートであることを伝えるのはなぜ重要なのでしょうか?

それは、公庫としては最小限のビジネスからスタートし、ビジネスの成長とともに、融資する金額も増やしていきたいという考え方が根底にあるからです。

また、実績がない経営者が大きなお金を手にし、感覚を狂わせてしまうよりも、まずは小さなところからスモールスタートしてもらい着実に成長していってほしいという意図もあります。

創業融資の場合、経営者としてはいわば”1年生”で創業当初は実績もありません。
そのような経営者がいきなり大きな資金を手にしてビジネスをスタートしても、何に投資すれば成果がでるかの判断もまだまだ未熟です。

最小限からスタートすれば、仮に多少失敗してしまっても、軌道修正がしやすいというメリットがあるので、設備資金を最小限に押さえられるソフトウェア開発業は、スモールスタートであることを担当者に伝えることが重要になるのです。

③勤務時代に知名度の高い案件に携わっていた

エンジニアとしてソフトウェア開発の仕事に取り組むなかで、過去に知名度の高い案件に携わっていたのであれば、公庫からは評価の加点要素になります。
たとえば、その開発がニュースリリース等で発表され、インターネット上で話題を集めたという証拠があればよりベターです。

また、ある程度有名な開発に携わったことをアピールできる傾向にあるので、事業規模の大きい会社に勤務していた場合も有利になります。
もちろん、会社自体は知名度が低く規模が小さくても、案件そのものがインターネット上で話題になるということもありますので、必ずしも勤務先の規模感が問われるわけではありません

参考.認定支援機関を経由して中小企業経営力強化資金で申請する場合の事業計画書の書き方

先に創業計画書の書き方を解説してきましたが、すでに事業を始めている方が認定支援機関を経由して「中小企業経営力強化資金」に申し込むためには、創業計画書に追加で事業計画書の作成が必要になります。

事業計画書を作成する上で、融資審査に通過する確率を上げるために融資担当者に訴求すべき3つのポイントを解説していきます。

ソフトウェア開発業で融資を受けるための創業計画書の書き方

①他社事例や過去と比較した具体的な数字

事業計画書では、「他社とこのように差別化を図ります」「お客様から〇〇と言われたので〇〇を工夫します」というような比較や根拠を明確にすると、より融資に通りやすい事業計画書に仕上がります。

これはどの業種でも共通ですので、IT系の事業計画書でも同様です。

比較の部分では、他社のシステムやアプリなどと比較したダウンロード数や受注数という具体的な数字を入れて説得力をつけましょう。「〇年間この業界で経験がある」という勤続年数も具体性を持たせるには有効です。

【IT系】事業計画書のサンプル&例文①~アプリ開発事業の場合

≪現況、新商品の開発または新役務の内容、課題・重点取組項目、具体策≫

大学在学中からアプリ開発に目覚め、卒業後、自己資金300万円という少額でアプリ開発事業をスタートしました。現代の共働き・子育て問題を打破すべく「家族のためのカレンダーアプリ」を〇〇年にリリースし、子育て雑誌やテレビなどつのメディアで紹介されました。カレンダーアプリは他社も多数参入していますが、当社では業界初の〇〇という技術があり業界トップの認知度を誇ります。現在の収益は主にアプリへの広告掲載手数料ですが、事業と継続するにはより強固な営業力が必要です。具体的な策として、①有料会員へのシフト計画と②法人営業の設置をしていきます。

②希望する融資額に対する明確な根拠

ソフトウェア開発業で融資を受けるための創業計画書の書き方

IT事業で融資を受けようとする場合、新規性のある事業と新規性のない事業では、融資通過の可能性は大きく異なります。既に他社が行っている事業で融資を受けたい場合、既に融資の事例があるため日本政策金融公庫は融資審査をしやすくなります。

一方、他社がまだ行っていない新規性のある事業の場合、公庫にも融資事例がないため高額な融資はなかなか通りません。

しかし、それでもあなた自身に事業が成功する絶対の自信がある、業界初だという新規性があるのであれば、過去の事例がないと思われる事業であってもその新規性を存分にアピールして融資にトライすべきです。

但し、新規性があるということはどの程度成功するかも未知数です。したがって、その際に希望する融資額は2,000万円などの高額では公庫の融資審査に通りません。

新規事業で1回目の融資の場合は、過去の事例などを研究して希望融資額をミニマムにすること、そしてなぜその金額を必要としているかの根拠を明確にすることが重要です。

【IT系】事業計画書のサンプル&例文②~パッケージソフト開発事業の場合

≪現況、新商品の開発または新役務の内容、課題・重点取組項目、具体策≫

東京渋谷区でパッケージソフト開発事業を〇年営んでおります。主にアパレル店向けの販管費に特化したソフトですが、アパレル向けの販管費計算ソフトの中でも〇〇機能については当社のみとなっており業界内で〇%のシェアを誇っています。これまでの実績は、友人の紹介などが続き創業後右肩上がりです。先日、既存のソフトウェアをあるスポーツクラブ向けにアレンジしてほしいという依頼をいただきました。この開発費は〇円の予定ですが〇万円不足しています。会社のサイトも更新したいと思い、今回〇万円の資金調達を希望します。

(ソフトウェア開発業未経験の場合)弱みを補填する別の経験値

日本政策金融公庫での「経験」の基準は正社員として6年以上が目安ですが、必ずその経験がないと融資に申し込みができないわけではありません。

これから創業しようとしているソフトウェア開発業で経験が無い場合でも、融資を受けられる可能性があります。

たとえば、既に他の事業の経験があり、その事業が黒字でキャッシュフローが回っている場合。業界の経験はありませんが、経営者としてのどのように事業を運用していくべきかという経験値は公庫からの評価において加点要素になります。

このように、ソフトウェア開発業が未経験であるという弱みを、他の事業経験で補填できれば融資審査に通過する可能性も少なくありません。

それを裏付ける事例として、当サイトの以下既存記事もございます。是非あわせてご参照ください。

日本政策金融公庫から500万円の資金調達!未経験でアプリ開発事業を開始した事例

また、経験が不足している場合でも自己資金が高いと融資の審査での評価は高くなる傾向もあります。

まとめ

IT関連の創業計画書作成では、創業後に事業がうまく回るというイメージを公庫担当者が持てるように、①受注が確定した案件があること、②事業がスモールスタートであること、③勤務時代の経験値をアピールしましょう。

そのなかで、具体的な数字を盛り込み、他社との差別化・比較をした上で「なぜこの資金が必要なのか」を明確にする文章にまとめていきます。

ソフトウエア開発業で自社のシステムやアプリを開発する場合、そのアプリがヒットするかどうかの判断が難しい上、いくら融資すれば儲かるかの判断も難しいため、高額の融資は受けにくいケースが多いです。

但し、弊社で融資サポートしたお客様の中には、多数の実績を積み自己資金も潤沢だったことから1000万円の融資を受けた方もいらっしゃいます。

自社事業ではなく、受託開発するというビジネスモデルの融資額は、受託を受けて開発するだけで資金の使い道があまりないため、300~500万円程度が一般的です。

当サイトを運営している株式会社SoLaboでは、創業計画書の作成代行など日本政策金融公庫の融資申込みをサポートしています。支援実績は2,400件以上と、ノウハウも豊富に蓄積していますので、資料作成や面談で不安や疑問点がありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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