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NPO法人とは?特徴・種類/メリット・デメリット/設立の流れ

NPO法人とは、ボランティアなどの社会貢献活動の健全な発展を促進し、公共の利益を高めることを目的とした法人形態です。

日本では、阪神淡路大震災の発生からボランティア団体が増え、社会貢献の団体活動がしやすいよう「特定非営利活動促進法(NPO法)」によって法の整備がされました。社会貢献への活動がしやすい法人形態とはどのような形態なのでしょうか。

今回は、NPO法人の特徴・種類、メリット・デメリット、設立の流れについて解説します。

NPO法人とは?

NPO法人とは営利目的ではない法人

NPO法人とは、ボランティアなどの社会貢献活動をより活発にさせ、公共の利益(公益)を高めることを目的とした法人形態で、「特定非営利活動法人」とも呼ばれます。株式会社や合同会社のような営利目的ではない法人です。

NPO(エヌピーオー)は、「Non-Profit Organization」の略で、特定非営利活動のことです。

日本では、阪神淡路大震災の発生を背景に、任意のボランティア団体が増えました。公益を高める団体がより活動しやすいよう、「特定非営利活動促進法(NPO法)」によって、法の整備がされました。

活動のしやすさを高める仕組みの1つが「法人」です。NPO法人は、「法人」であるため、組織として契約ができたり、建物を所有できたりします。「法人」ではない任意のボランティア団体では、法律上、団体としてモノの売り買いもできず、代表者個人が行うことになります。

非営利活動とは

営利組織と非営利組織の利益の用途の違い
画像素材:創業融資ガイド

非営利活動とは、事業を通して利益を出す行動(営利行為)はしますが、利益を非営利の事業に回すことを言います。

つまり、NPO法人の非営利活動と、株式会社などの営利活動では「利益をどのように扱うか」が違うのです。株式会社などの「営利組織」は、より多くの利益を生み出す活動(営利活動)をします。事業を通して生み出した利益を出資者にかえし、出資者はさらにお金を出してくれます。事業で利益を生み出し、社会にお金を循環させるのが営利活動です。

一方で、NPO法人などの「非営利組織」は、公共の利益を高める活動(非営利活動)をします。事業を通して生み出した剰余金(利益)を、必ず事業に使用します。株式会社のように、利益の配当を目的とした出資者から、事業資金を獲得するようなことはできません。公益事業で利益を生み出し、その利益も使って、公益を高めるのが非営利活動です。

NPO法人の特徴

公共の利益を高めることを目的とするNPO法人ならではの特徴を、2つご紹介します。

1つめはビジネスモデル(お金の流れ)の特徴です。

サービスを受ける人が、サービスの代金を支払うことが一般的です。「マッサージを受けたい」「旅行に行きたい」と思ったら、このサービスを受けるために自分でお金を払います。

一方で、NPO法人のビジネスモデルでは、サービスを受ける人以外が代金を支払うことも少なくありません。例えば、あるNPO法人が「捨て犬や迷い犬の保護」を目的とするとき、サービスを受ける対象である「迷い犬」自身は代金を支払えません。そのため、迷い犬を助けたい人が代金を支払います。

2つめの特徴は収入源の種類です。

NPO法人にも、株式会社などの営利組織と同じく、事業収入や会費、補助金・助成金などの収入はあります。

参考:押さえておきたい!NPO法人が貰える助成金!

これに加えて、NPO法人の収入源には、寄付金があります。先程ビジネスモデルで、サービスを受ける対象(迷い犬)を、助けたい人が代金を払うと解説しました。迷い犬を助けるために、NPO法人にお金を支払うことを「寄付」と言います。

NPOの種類

NPO法人の種類
画像素材:創業融資ガイド

次にNPOの種類について解説します。

NPOには、「NPO団体」、「NPO法人(特定非営利活動法人)」、「認定NPO法人(認定特定非営利活動法人)」の3種類があります。NPO団体が「認証」を受けるとNPO団体法人に、NPO団体法人が「認定」を受けると認定NPO法人になります。

NPO団体とは、社会貢献を目的とした団体です。しかし、法人ではない「NPO団体」は、法的には代表者を中心とする「個人の集まり」として見られます。そのため、組織としての契約や建物などの所有はできませんが、申請も必要ありません。

NPO法人とは、公益を目的として、行政に認証された法人です。認証申請に労力はかかりますが、一般的に社会的信頼が高まったり、税優遇を受けられたりします。もちろん「法人」であるため、「組織として」契約などができるようになります。認証の手続きは後の「NPO法人設立までの流れ」でご説明します。

認定NPO法人とは、NPO法人の中でも、より客観的な基準において、高い公益性をもっていることを認定された法人です。例えば、寄附金の金額が3,000円を超える、寄附者の人数が100人以上いる等の基準があります。NPO法人よりもさらに申請要件は難しくなりますが、税制のメリットも大きくなります。認定NPO法人自身のみならず、寄付した個人や法人にも税制のメリットがあるため、より寄付が集まりやすくなるでしょう。

NPO法人にするメリット・デメリット

では、NPO法人にするメリット・デメリットは何か、詳しく解説します。

メリット1 設立費用が優遇される

株式会社などの営利目的の法人では会社設立する際に、最低でも6万の登録免許税がかかります。
しかし、NPO法人では、登録免許税がかかりません
また、その他で法人設立に必要な定款認証手数料5万円や収入印紙税4万円などの費用もかかりません。

このように、NPO法人は、法人設立費用が優遇されているといえるでしょう。

メリット2 税金が優遇される

NPO法人は20ある「特定非営利活動」に関連する事業の所得(利益)に法人税はかかりません

特定非営利活動とは、例えば「保健医療や福祉をよりよくするための活動」や「こどもの健全な育成に関わること」などです。
詳しく知りたいかたはこちらをご覧ください。

内閣府NPOホームページ内閣府NPOホームページ|特定非営利活動(NPO法人)制度の概要

また、特定非営利活動に関連する事業に対しての寄付金にも法人税はかかりません。NPOでは複数事業をしている場合があります。

ここで注意していただきたいのは、複数の事業のうち、特定非営利活動ではない、「収益事業」をしている場合は、その事業に関して法人税がかかるということです。収益事業とは、例えば「物品販売業」や「不動産販売業」などがあります。詳しく知りたいかたはこちらをご覧ください。

法人税法施行令第5条

「特定非営利活動」をしていれば全ての事業に対して法人税がかからないというわけではなく、「収益事業」には他の株式会社と同様に法人税がかかります。(そのうち固定資産の取得に寄付が使用される場合は非課税)そのため、税制で優遇されるためにも、特定非営利活動と収益事業の会計は分ける必要があります。

メリット3 社会的信用につながる

NPO法人を設立するためには、厳しい要件をクリアする必要があります。そのため、株式会社などの他の法人形態よりも社会的信用度が高まるとされています。一般的に社会的信用が高いと寄付が集まりやすいと考えられています。そのため、社会的に信用されていることが収入増加につながります。

デメリット1 設立までに時間がかかる

NPO法人の設立には、申請から登記までで、最低3か月と2週間かかります。他の法人形態と違い、「認証」を受けなければならないため、すぐには法人設立ができません。また、他の法人形態と比較すると認証を受けるために揃える書類も多く、申請手続きも簡単とは言えないでしょう。

デメリット2 事業報告書を作成する義務がある

NPO法人は、毎年事業初めから3か月以内に、前年度の事業報告書等を作成して提出し、いつでも開示できるように備えなければなりません。事業報告書等の中には、前年の事業報告書の他にも、年間の役員名簿や、10名以上の社員の名前、活動予算や財産の目録などが含まれます。労力がかかる作業といえるでしょう。加えて、もし3年以上作成・提出しない場合は認証の取り消しも起こりえます。

デメリット3 設立後も監督される

NPO法人は、事業報告書以外にも、NPO法人で有り続けるために「10人以上の社員がいる」など認証の基準をクリアし続ける必要があります。(認証の基準については次の「NPO法人設立までの流れ」でご説明します。)きちんとクリアできているか監督され、確認ができないと認証の取り消しも起こりえます。このように、NPO法人は、税金面で優遇され、一般的に社会的な信用が高いものの、守るべきルールが厳しい法人形態です。

NPO法人設立までの流れ

NPO法人の認証要件

NPO法人の認証要件は8つあります。

  • 定款の中に、行う特定非営利活動の種類を記載すること
  • 営利を目的としないこと
  • 社員に不当な条件を付けないこと
  • 役員のうち報酬を受ける役員の数が役員総数の1/3以下であること
  • 宗教活動や政治活動を主な目的にしないこと
  • 特定の公職者の支持・反対することを主な目的にしないこと
  • 暴力団又はその構成員等の統制の下にある団体ではないこと
  • 10人以上の社員がいること

申請の流れ

設立までの流れ
画像素材:創業融資ガイド

特定非営利活動法人(NPO法人)を設立するためには、法人設立までは3STEPあります。

STEP1申請

法律に定められた書類を添付した申請書を、所轄庁に提出する必要があります。所轄庁は基本的には都道府県ですが、指定都市の条例で定めるところもあります。

詳しい書類内容はこちらをご覧ください。

内閣府NPOホームページ|認証制度について

申請すると、行政による書類の「審査」と、市民から自由に見てもらう「公告・縦覧」に入ります。市民から見てもらうことで、NPO法人が市民から信頼を得て育てられることを意図しています。審査(約3か月)と公告・縦覧(1か月)は同時並行で行われます。

STEP2認証

認証されると、行政から書類で通知されます。

STEP3登記

申請者が登記(法人設立の手続き)をすることで法人として成立します。認証されてからすばやく登記する必要があります。もし6か月以内に登記しなければ認証が取り消されるため注意しましょう。

令和3年6月9日から改正法施行

ここまで、申請の流れを解説しましたが、NPO法人の設立・運営の手続を、より早く手続きをしやすくすることを目的として、令和3年(2021年)6月9日から改正法が施行されます。

これによって、大きく3点変わります。

  • 設立の前に市民に見てもらう期間が1か月から2週間へ→認証までの期間短縮
  • 個人の住所等の記載を除いて公表・縦覧・閲覧へ→個人情報保護
  • 毎年行う事業報告等の提出書類削減へ→事務負担の軽減

参考:特定非営利活動促進法の一部を改正する法律【概要】

まとめ

NPO法人の特徴・種類、メリット・デメリット、設立の流れについて解説しました。NPO法人は、公共の利益のための組織です。そのため、設立費用が優遇されたり、税制で優遇されたりとメリットもあります。一方で、設立には認証を受けなければならず、設立後も事業報告の義務があります。

NPO法人の特徴を理解し、よりよいビジネス・よりよい社会にしていきましょう。

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