土地や建物を元に資金調達できる「不動産担保ローン」は、どのように審査されるかご存知でしょうか。
今回は、不動産担保ローンの基礎知識をおさえつつ、不動産担保ローンの審査ポイントと審査落ちしたときの対策についてわかりやすく解説します。
株式会社SoLaboは日本政策金融公庫の融資サポートを得意とする認定支援機関です。
相談は無料ですので、不動産担保ローンをはじめとした資金調達に関してご不明な点や疑問点がありましたら、お気軽にご相談ください。
目次
不動産担保ローンの基礎知識をわかりやすく解説
不動産担保ローンとは
不動産担保ローンとは、銀行などの金融機関から、土地や建物を元にお金を借りること、あるいはそのサービスの名前で、不動産担保融資とも呼ばれます。
銀行などの金融機関にローンが返済できなければ、担保として差し出した土地や建物などの不動産の売却をもって返済義務を果たします。
所有する土地や建物などを失うかもしれないリスクと引き換えに、比較的よい条件でお金を借りることができます。
メリット・デメリットや担保にできる不動産など、不動産担保ローンについてもっと知りたい方は次の記事をあわせてご覧ください。
不動産の評価はどう行う?
土地・建物の不動産の評価は、不動産の収益性を見る「収益評価」と、不動産の資産価値を見る「積算評価」の2つに分かれます。
収益評価では、賃貸物件などの家賃収入などから様々な支出を差し引いて、ローン返済ができるかを見ます。
積算評価では、不動産の資産がどれくらいの価値があるかを算出し、その売却益でローン返済ができるかを見ます。
積算評価で不動産の資産価値を見る指標には、4つの種類があります。
- 固定資産税や相続税、贈与税などの計算に使う、国税庁がとりまとめる「路線価」
- 統計分析や学術研究で使う、国土交通省がとりまとめる「公示地価」
- 統計分析や学術研究で使う、都道府県がとりまとめる「基準地価」
- 不動産を売買や取引で使う「市場価格」(実勢価格)
不動産担保ローンでの不動産の評価は、不動産取引の一種なので「市場価格」で行われます。
しかし、市場価格を知るには、近隣の不動産の成約事例などを調べたり、不動産事業者に査定依頼したりする必要があり、時間がかかります。
市場価格は、公示地価や基準地価を見ればおおよその評価がわかるので、今すぐ不動産のおよその評価を知りたいなら、公示地価・基準地価を調べるのをおすすめします。
近くにある同じ土地の属性(地目)のもの、例えば宅地なら宅地の公示地価・基準地価を調べましょう。「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」または「全国地価マップ」で確認するのがおすすめです。
不動産担保ローンの申込から着金までの流れ
不動産担保ローンの申込からお金を手にする着金までの流れは、次の通りです。
申込者の動き | 金融機関の動き |
1.仮審査(事前審査)に申し込む | |
2.仮審査(事前審査)をする | |
3.仮審査(事前審査)の結果を連絡する | |
4.本審査に申し込む | |
5.本審査をする | |
6.本審査の結果を連絡する | |
7.不動産担保ローンの契約を結ぶ | |
9.資金を手に入れる(着金) | 8.融資実行して入金する |
不動産担保ローンの審査は2つある
不動産担保ローンの審査には「仮審査」と「本審査」で2つあります。
仮審査(事前審査)は書類チェックを兼ねた事前相談のような位置付けです。本審査では審査担当が不動産を査定しに足を運ぶため、立ち会いも求められるのが一般的です。
仮審査を経て、本審査に申し込むときには、不動産に関連する公的書類(登記時事項証明書や土地・建物の図面、固定資産税の納付証明書・評価証明書など)の提出が求められます。
不動産担保ローンの審査ポイント
不動産担保ローンの審査基準
不動産担保ローンの審査基準は、他の融資と同様、次の基準が満たされることが重要です。
- 提出書類に不備がなく、取引上の懸念がないこと
- 申込者の健康や信用情報などに問題がなく、信用できること
- 申込者の収入に問題がなく、返済能力があること
不動産担保ローンの仮審査(事前審査)のポイント
不動産担保ローンの仮審査は、事前チェックです。
仮審査の段階では不動産に関連する公的書類なども提出しないため、申し込み書類に不備がなく、申込者が申告した信用情報や収入などの申し込み書類に不備がないこと、不動産に担保としての価値(担保余力)があること認められれば、審査に通るでしょう。
逆を言えば、書類の書き方が間違っていたり申告した収入や信用情報に懸念があったり担保余力に問題があったりすれば、審査落ちします。
審査落ちした場合、理由は教えてもらえませんので対策は難しいですが、この時点で審査落ちした場合、何らかの基準を満たさないために取引できない可能性が高いです。仮審査落ちしてもなお、不動産担保ローンにこだわるなら、申し込む金融機関を銀行からノンバンクに変えるなどの思い切った決断が必要でしょう。
なお、信用情報に問題がある(ブラック)とはどういうことか知りたい方、別の資金調達方法を模索したい方は次もあわせてご覧ください。
不動産担保ローンの本審査のポイント
不動産担保ローンの本審査が、融資審査の本番です。
一般的には、金融機関と信用保証会社によって審査されます(*)。信用保証会社は、申し込む金融機関によってもさまざま設定されますが、不動産担保ローンの申込者にとっての保証人のような位置付けであることは変わりません。契約し、保証料を支払っていれば、もしローン返済できなくなったとき、代わりに信用保証会社が返済を肩代わりしてくれます。
(*ノンバンクは保証会社がないのが一般的です)
本審査落ちする要因は様々ですが、審査落ちの理由について問い合わせても回答されません。よくあるケースをおさえておきましょう。
- 必須書類が提出されず、申込者を信用できないと判断
- 提出書類の内容が最新ではなく、申込者を信用できないと判断
- 仮審査の申込書類と、本審査の提出書類に差異があり、申込者を信用できないと判断
- 別の融資で返済中などの申告漏れがあり、申込者を信用できないと判断
- 申告した返済中の融資が高額で、不動産担保ローン返済ができないと判断
- 融資希望額よりも不動産の評価が下回っており、取引できない(または金額を減額)と判断
不動産担保ローンの審査は甘い?
不動産担保ローンの審査は甘いと言われる理由は、担保があるからです。不動産という価格変動の少ない担保を元にした取引で、まず金融機関側が損することがないため、他の無担保での融資と比べれば審査の難易度は低いです。
あるいは、無担保での融資審査に通らなかった方が、不動産担保ローンの審査に申し込むケースも多いため、審査を無事に通過したことで「審査が甘い」と評価する可能性もあります。
なお、今まで融資を受けたことがない申込者や、融資を受けていても返済の遅延がない申込者は審査に通りやすい傾向にありますが、それは不動産担保ローンに限らず、他の融資でも変わらない傾向です。
不動産担保ローンの審査落ちした時の対策
不動産担保ローンの審査落ちした時の対策を見ていきましょう。
対策1:申し込むときの条件を変える
申し込みの条件を見直せば、融資審査に通る可能性はあります。信用情報や返済能力などを示す書類を含めて見直しましょう。
ただし、不動産の評価に見あわない融資希望額を出すなど「金額のみ」が問題のケースでは、審査落ちになるよりは減額で対応することが多いため、不動産担保ローンの申し込み条件で「金額のみ」を変えて、審査に通ることは少ないでしょう。
対策2:申し込み先の金融機関を変える
信用情報も返済能力も少し自信がない方は、申し込み先の金融機関を変えましょう。審査落ちしてしまった金融機関の基準を満たさなくとも、別の金融機関であれば審査に通るというケースはよくあります。
不動産担保ローンの審査の厳しさは、金融機関の種類や規模に比例します。都市銀行(メガバンク)が一番厳しく、次が信託銀行、ネット銀行、地方銀行の順で、ノンバンクが一番優しい傾向があります。
対策3:担保にする不動産を変える
担保にする不動産を変えることも検討しましょう。
道路に接していない土地や、崖地や海岸などの災害リスクが高い土地、自治体の許可なしに取引できない不動産などは「担保とする価値なし」と判断され、仮審査の時点で審査落ちするでしょう。
不動産担保ローンが不動産を元にした融資である以上、不動産に価値がなければ話は進みません。
なお、担保の許可を得られれば、法人や自分自身だけでなく、共同経営者または親族が所有する不動産でも、不動産担保ローンを申し込める金融機関もあります。
対策4:申し込む人を変える
申込者に問題がある場合、申し込む「人」を変えることで解決するケースもあります。ただし、審査落ちの原因が申込者でない場合、原因を解消しない限りは審査には通らないため、申込者の変更はおすすめできる対策ではありません。
また、返済するのが家計を同じにする人なら、返済できなくなって不動産を差し押さえられる可能性は変わらないので、注意です。
対策5:別の資金調達手段を検討する
不動産担保ローンにこだわらず、別の資金調達手段を検討することも考えましょう。
あくまで不動産で資金調達するなら、不動産を売却し、まとまったお金を手にすることもできます。ただし、一度手放した不動産を買い戻すのは難しいので、よく考えて実行に移しましょう。
まとめ
不動産担保ローンの審査ポイントと審査落ちしたときの対策について解説しました。
銀行などの金融機関から、土地や建物などを元にお金を借りる「不動産担保ローン」は、所有する土地や建物などを失うかもしれないリスクと引き換えに、比較的よい条件でお金を借りられます。
審査には、「仮審査」と「本審査」の2つがあり、書類の書き方が間違っていたり申告した収入や信用情報に懸念があったり担保余力に問題があったりすれば、仮審査であっても審査落ちします。
審査落ちした場合、理由は教えてもらえません。理由がわからない中での対策は難しいですが、心当たりがある要因ごとに申し込み条件を変えてみるのがおすすめです。
また、不動産担保ローンにこだわらず、別の資金調達手段を検討する視点も大切です。資金調達でお悩みなら、国が認めた経営問題に関する相談・支援をする認定支援機関として株式会社SoLaboにぜひご相談ください。相談無料、完全成功報酬制です。融資(ローン)に必要な書類の作成、審査の進行管理や面談対策などの事業者向けの融資サポートを行っております。
不動産担保ローンは、所有する不動産があれば、まとまったお金をつくるのに向いている資金調達方法です。解説した審査ポイントを確認し、よりよい事業経営につなげましょう!