会社の業績をあげていくためには、総資本回転率を高くすることが大切です。
では、資本回転率とはどのような意味なのでしょうか?
詳しく解説していきます。
1.総資本回転率とは
総資本回転率は、よく企業のROA(総資本利益率)を評価する際に併せて分析されます。企業は債権者と株主から得た資金(総資本)を企業の活動に投入します。この総資本に対してどのくらいの利益を上げているかがROAですが、総資本回転率は、総資本により1年間でどのくらい効率よく売上高を計上出来ているかを示します。
総資本回転率は回数で評価されますが、一般的に総資本回転率は高い方が良いとされます。
ただし、業種により回転率の平均値はバラバラであり、国内企業においては、0.8回転~1回転であれば高水準と判断される事が多いです。
なお、計算上では総資本(負債+自己資本)の代わりに、資金の運用形態であるすべての資産(総資産)を用いることもあります。
2.総資本回転率の計算方法
計算に使用する売上高は当期1年間のフロー数値ですので、分母の総資本も1年の平均資本{(期首+期末) ÷2}を使用し、分子のフロー数値と対応させるのが一般的です。
例えば、企業は債権者と株主から得た資金(総資本)を100とします。この総資本を用いて事業を行い100売り上げた場合、総資本はちょうど1回転したことになります。
このように、総資本回転率とは、事業の為に集めた総資本を1と考えたとき、1年間の売上高が総資本の何回転分に相当するのかを表します。
仮に、総資本が100、当期の売上高が80であるとします。
この場合の総資本回転率は0.8回転(=80÷100)であり、総資本に対して、1年間で0.8回分(0.8倍)の売上を計上したという意味になります。前述したように、総資本回転率はその業種によって平均値が様々ですが、総資本回転率を高水準で継続して維持できていれば、会社は債権者や株主から得た資金(総資本)を効率的に売上に繋げていると言えるでしょう。
3.あなたの会社は大丈夫?総資本回転率でメタボチェック
もし資金調達をどんどん行って総資本を増やしているのに、売上げが増加しない、もしくは減少しているとしたらどうでしょうか。人間で例えるならば、栄養を取り続けているのに体は動かさず、ぜい肉がどんどん増えてしまっている状態です。
① ある会社の総資本回転率の参考例
〈×2期〉は負債による資金調達を行い、資本を100も増やして事業を行っているのにも関わらず、それがうまく売上げに繋がっていない事が分かります。
たとえこの状態で売上総利益率が高かったとしても、経営の効率が良いとは言えません。
会社は、資本効率の改善を行い、会社内に遊休資産等の無駄な資産や長期間滞留している不良在庫等が無いかどうか早急に調べる必要があるでしょう。
4.総資本回転率を高くするためには
総資本回転率は「売上高÷総資本」で計算しますので、総資本回転率を高くするためには、分子の売上高を増加させるか、分母の総資本を減少させることになります。
ただし、売上高の増加はすぐに結果が出るものではなく、事業戦略とその成果に大きく左右されます。そのため、総資本回転率を高くするために必要なのは、会社内の資本の無駄を徹底的に洗い出すことであり、どの資本(資産)の回転率が悪いのかを検証することが重要です。
また、経営効率の改善には、総資本回転率だけでなく、株主からの資金調達のみに着目した「純資産回転率」や「棚卸資産回転率」等の詳細な分析を行うことも有効です。これらをうまく活用し、経営サイクルの滞留を起こす原因を突き止めましょう。
5.まとめ
健全な会社を作るには、会社内の無駄なぜい肉(遊休資産、留保利益等)を見直し、会社内の機能をどんどん動かして、燃焼させる必要があります。
〇あなたの会社には眠っている資産は無いですか?
〇留保利益を貯め過ぎでいませんか?
総資本回転率で資本の効率を分析し、健全な会社を作りましょう!