日本政策金融公庫の借入に申込む前に、金利によって返済金額が具体的にどう変わるのかをシミュレーションし確認していきましょう。
日本政策金融公庫の金利計算の仕組み
融資を受けたときに融資金に上乗せして支払う利息、またはその利率のことを「金利」と呼びます。
ここでは紛らわしいので「金利」は利率の意味で説明します。
日本政策金融公庫に限らず、金融機関から融資を受けたときに返済する利息は次の式で計算します。
なお、元金は融資金額のことです。なお、利息は返済金額に含まれます。
返済金額を左右する金利。日本政策金融公庫の金利は、融資制度によって大枠が決まります。
資金の使いみちや利用者の性別・属性などによって利用できる融資制度が決まり、面談や審査を通し、さらに細かい条件を加味して、金利が決まります。
ある融資制度はこの基準利率のみ、と決められています。
一方で、別の融資制度では基準利率の他に、特別な条件による特別利率が複数用意されています。
融資制度が異なっても、共通の条件で同じ特別利率を適用させることもあります。
金利が安くなる特別利率「特利」について詳しく知りたい方は「日本政策金融公庫の融資!金利を下げる3ステップで「特利」適用をめざそう!」をご参照ください。
企業育成貸付の金利計算シミュレーション
上でもご説明した通り、融資制度や条件によって、適用できる金利は変わります。
そこで、条件が変わることで、どれくらい金利が変わるのか、ある人物像の事例を元に3つのケースの金利計算シミュレーションをしてみましょう。
※日本政策金融公庫HPの返済シミュレーションを元にした、2018年9月時点の情報での金利計算シミュレーションです。内容は参考情報としてご覧ください。公開されている金利の範囲は目安であり、実際に適用される金利は融資の審査を受けて決まるため、融資前に精緻に計算することはできません。また、審査時期によっては融資制度内容や利率が見直され、金利が異なってしまうこともあります。
佐藤さんは、勤めていた会社と同じ分野の事業を始めることにしました。
返済に余裕のある事業経営を目指しているため、担保あり・代表者の連帯保証ありでの融資を検討しています。
該当する金利テーブルは次の通りです。
ケース1:基準利率
佐藤さんは、「目的に合った融資制度は、新企業育成貸付「新規開業資金」かな?」と目星をつけました。
どうやら金利が安くなる「特利」の条件は満たせないようだと判断して「基準金利」で、最大の利率だった場合の「2.35%」での金利計算をし、返済計画のシミュレーションを始めました。
「2年で事業を軌道に乗せる計画だけど、基準利率のままでは返済が厳しいな…」と佐藤さんは気づきました。
ケース2:特利A
専門家に「どうにか特利で融資を受けられないか?」とメールで相談してみたところ、「佐藤さんの場合は融資制度を変えて、新企業育成貸付の「女性、若者/シニア起業家支援資金」での融資を考えてもいいかもしれません」と提案を受けました。
その場合、運転資金ということで「特利A」が該当するため、最大の利率だった場合の「1.95%」での金利計算をします。
ケース3:特利B
さらに詳しく事業内容や今後の展望について説明し、相談したところ、専門家から「おそらくノウハウに、日本政策金融公庫が求める新規性が含まれているかと思います」とのアドバイスがありました。
その場合、運転資金ということで「特利B」が該当するため、最大の利率だった場合の「1.70%」での金利計算をします。
まとめ
ここまでの返済シミュレーションをまとめると、次の通りです。
あくまで試算上の条件ではありますが、金利0.1%の差異で4〜6万円の差が出るということになります。
たかが0.1%、されど0.1%…無理のない事業経営を目指して、しっかりとした資金計画を立てましょう。完全に精緻なシミュレーションは難しいですが、事前に計算することで見えてくるものがあるはずです。