日本政策金融公庫の創業融資における特別利率を解説

日本政策金融公庫の創業融資を検討している人の中には、金利による利息負担が気になる人もいますよね。日本政策金融公庫の場合は基準利率に加え、特別利率が用意されているため、特別利率の適用条件が知りたい人もいるのではないでしょうか。

当記事では、日本政策金融公庫の創業融資における特別利率を解説します。今回は特別利率の設定範囲や特別利率の適用条件も紹介するため、日本政策金融公庫の特別利率に関する情報が知りたい人は参考にしてみてください。

特別利率は金利に関する条件が優遇された利率のこと

日本政策金融公庫の特別利率とは、金利に関する条件が優遇された利率のことです。特別利率は特利とも呼ばれ、基準利率よりも特別利率のほうが低めに設定されているため、金利による利息負担を抑えたい人は特別利率の概要を確認してみましょう。

【無担保の場合における特別利率(2024年10月時点)】

項目 基準利率 特別利率A 特別利率B 特別利率C 特別利率E 特別利率J 特別利率N 特別利率P 特別利率Q 特別利率R 特別利率U
税務申告を2期終えている人 2.20%~3.40% 1.80%~3.00% 1.55%~2.75% 1.30%~2.50% 0.80%~2.00% 1.15%~2.35% 1.90%~2.40% 2.00%~2.80% 1.80%~2.30% 2.00%~2.50% 1.70%~2.20%
税務申告を2期終えていない人 2.30%~3.50% 1.90%~3.10% 1.65%~2.85% 1.40%~2.60% 0.90%~2.10% 1.25%~2.45% 2.10%~2.90% 1.90%~2.40%

※日本政策金融公庫の公式サイトにある「国民生活事業(主要利率一覧表)」をもとに株式会社SoLabo(ソラボ)作成

特別利率の種類はいろいろあります。「特別利率A」「特別利率B」「特別利率C」など、それぞれの種類ごとに設定範囲が異なる点に加え、特別利率の設定範囲は「税務申告を2期終えている人」や「税務申告を2期終えていない人」によっても異なります。

また、特別利率の適用条件は申込者の条件によっても異なります。「性別」「年齢」「廃業歴の有無」など、特別利率の適用条件は申込者の条件によっても異なるため、特別利率が適用されるかどうかは日本政策金融公庫の担当者の判断次第です。

なお、金利の設定範囲は毎月見直されています。社会情勢や景気動向などの観点から金利の設定範囲は毎月見直され、特別利率の設定範囲が変更される可能性もあるため、日本政策金融公庫の特別利率が気になる人はその点を留意しておきましょう。

日本政策金融公庫の金利に関する情報が知りたい人は「日本政策金融公庫の創業融資における金利と利息を解説」を参考にしてみてください。

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有担保の場合はより低くなる傾向がある

特別利率の設定範囲は担保の有無によっても異なります。特別利率に限らず、金利は無担保の人よりも有担保の人のほうが低くなる傾向があるため、日本政策金融公庫の特別利率が気になる人は有担保の場合における特別利率の設定範囲を確認してみましょう。

【有担保の場合における特別利率(2024年10月時点)】

基準利率 特別利率A 特別利率B 特別利率C 特別利率E 特別利率J 特別利率N 特別利率P 特別利率Q 特別利率R 特別利率U
1.20%~3.00% 0.80%~2.60% 0.65%~2.35% 0.60%~2.10% 0.60%~1.60% 0.45%~1.95% 0.90%~2.00% 1.00%~2.40% 0.80%~1.90% 1.00%~2.10% 0.70%~1.80%

※日本政策金融公庫の公式サイトにある「国民生活事業(主要利率一覧表)」をもとに株式会社SoLabo(ソラボ)作成

たとえば、特別利率Aの場合、「無担保かつ税務申告を2期終えていない人は2.20%~3.30%」ですが、「有担保かつ税務申告を2期終えていない人は0.95%~2.65%」の設定範囲となるため、有担保の人は無担保の人よりも低金利となる可能性があります。

また、特別利率Bの場合、「無担保かつ税務申告を2期終えていない人は1.95%~3.05%」ですが、「有担保かつ税務申告を2期終えていない人は0.70%~2.40%」の設定範囲となるため、有担保の人は無担保の人よりも低金利となる可能性があります。

担保がある場合は債務の弁済を保証できる関係上、担保がない場合よりも低金利となる傾向があります。担保として認められる資産は日本政策金融公庫の担当者の判断次第ですが、金利による利息負担を押さえたい人は担保の提供も選択肢として検討してみましょう。

なお、日本政策金融公庫の担保に関する情報が知りたい人は「日本政策金融公庫の創業融資における担保を解説」を参考にしてみてください。

特別利率は条件を満たした場合に適用される

日本政策金融公庫の特別利率は申込者が条件を満たしている場合に適用されます。特別利率の種類ごとに所定の条件が定められているため、日本政策金融公庫の特別利率が気になる人は種類ごとの条件を押さえておきましょう。

【新規開業資金における特別利率の種類】

  • 特別利率Aの条件
  • 特別利率Bの条件
  • 特別利率Cの条件

日本政策金融公庫の創業融資を前提とする場合、まずは新規開業資金を検討することになります。新規開業資金は原則として基準利率ですが、「特別利率A」「特別利率B」「特別利率C」が適用される可能性があるため、まずはそれぞれの項目を確認してみましょう。

特別利率Aの条件

日本政策金融公庫の新規開業資金の場合、特別利率Aの条件が設定されています。申込者が条件を満たしている場合は特別利率Aが適用される可能性があるため、特別利率が気になる人は新規開業資金における特別利率Aの条件を確認してみましょう。

【特別利率Aにおける条件の例】

項目 条件の例
特別利率A 1.女性と35歳未満または55歳以上の人
2.外国人起業活動促進事業における特定外国人起業家で、新たに事業を始める人
3.創業塾、創業セミナーなど(産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援等事業)を受けて新たに事業を始める人
4.「中小企業の会計に関する基本要領」や「中小企業の会計に関する指針」を適用中または適用予定で、自ら事業計画書の策定を行い、認定支援機関による指導や助言を受けている人
5.地域おこし協力隊の任期を終了した人で、地域おこし協力隊として活動した地域で新たに事業を始める人
6.Uターン等により地方で新たに事業を始める人

新規開業資金における特別利率Aの条件として挙げられるのは「女性と35歳未満55歳以上の人」です。「女性」「若者」「シニア」の経営支援を推進している関係上、女性や35歳未満または55歳以上の新規事業者ならば、特別利率Aが適用される可能性があります。

また、新規開業資金における特別利率Aの条件として挙げられるのは「中小企業の会計ルールを適用している人」です。「中小企業」の経営支援を推進している関係上、中小企業の会計ルールを適用している新規事業者ならば、特別利率Aが適用される可能性があります。

なお、特別利率Aの条件の中には、特別利率Bの条件と重複している項目があります。技術やノウハウに新規性がみられる人は特別利率A・B・Cのいずれかに該当する可能性もあるため、気になる人は日本政策金融公庫の担当者に確認することも検討してみましょう。

特別利率Bの条件

日本政策金融公庫の新規開業資金の場合、特別利率Bの条件が設定されています。申込者が条件を満たしている場合は特別利率Bが適用される可能性があるため、特別利率が気になる人は新規開業資金における特別利率Bの条件を確認してみましょう。

【特別利率Bにおける条件の例】

項目 条件の例
特別利率B 1.創業塾や創業セミナーなど(産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援等事業)を受けて新たに事業を始める人のうち、女性または35歳未満の人
2.Uターン等により地方で新たに事業を始める人のうち、過疎地域で新たに事業を始める人
3.デジタル田園都市国家構想交付金(地方創生推進交付金を含む)を活用した起業支援金の交付決定を受けて新たに事業を始める人
4.日本ベンチャーキャピタル協会の会員(賛助会員を除く)等または中小企業基盤整備機構や産業革新投資機構が出資する投資事業有限責任組合等から出資を受けている人(見込まれる人を含む)

新規開業資金における特別利率Bの条件として挙げられるのは「創業塾や創業セミナーを受講した人」です。創業塾や創業セミナーを受講した女性や35歳未満の新規事業者ならば、特別利率Bが適用される可能性があります。

また、新規開業資金における特別利率Bの条件として挙げられるのは「事業を始める地域が過疎地域となる人」です。Uターンなどの事情により事業を始める地域が過疎地域となる新規事業者ならば、特別利率Bが適用される可能性があります。

なお、特別利率Bの条件の中には、特別利率A・Cの条件と重複している項目があります。技術やノウハウに新規性がみられる人は特別利率A・B・Cのいずれかに該当する可能性もあるため、気になる人は日本政策金融公庫の担当者に確認することも検討してみましょう。

特別利率Cの条件

日本政策金融公庫の新規開業資金の場合、特別利率Cの条件が設定されています。申込者が条件を満たしている場合は特別利率Cが適用される可能性があるため、特別利率が気になる人は新規開業資金における特別利率Cの条件を確認してみましょう。

【特別利率Cにおける条件の例】

項目 条件の例
特別利率C デジタル田園都市国家構想交付金(地方創生推進交付金を含む)を活用した「起業支援金」「移住支援金」の両方の交付決定を受けて新たに事業を始める人

新規開業資金における特別利率Cの条件として挙げられるのは「デジタル田園都市国家構想交付金を活用した起業支援金と移住支援金の交付決定を受けている人」です。両方の交付決定を受けている新規事業者ならば、特別利率Cが適用される可能性があります。

また、「地方創生推進交付金を活用した起業支援金と移住支援金の交付決定を受けている人」も対象です。2022年度に交付金制度が統合された関係上、地方創生推進交付金も特別利率Cの条件に含まれるため、該当する場合は特別利率Cが適用される可能性があります。

なお、特別利率Cの条件の中には、特別利率Bの条件と重複している項目があります。技術やノウハウに新規性がみられる人は特別利率A・B・Cのいずれかに該当する可能性もあるため、気になる人は日本政策金融公庫の担当者に確認することも検討してみましょう。

特定の制度を活用することにより金利が引き下げられる

日本政策金融公庫の場合、特定の制度を活用することにより金利が引き下げられます。特別利率の適用に関わらず、金利を引き下げられる可能性があるため、特別利率を押さえた人は金利の引き下げに関する制度を確認してみましょう。

【金利の引き下げに関する制度の例】

項目 対象者 概要
創業後目標達成型金利 「新たに事業を始める人または税務申告を2期終えていない人」かつ「要件を満たす事業計画を策定した人」 税務申告を2期終えた時点において条件を満たした場合は融資から3年経過後の利率を0.2%引き下げる。
創業支援貸付利率特例制度 「新たに事業を始める人」または「税務申告を2期終えていない人」 各融資制度の利率を一律0.65%(雇用拡大を図る場合は0.9%)引き下げる。

金利の引き下げに関する制度として挙げられるのは「創業後目標達成型金利」です。新規事業を始める人または事業開始後の税務申告を2期終えていない人が一定の要件を満たす事業計画を策定した場合、融資から3年経過後の利率が0.2%引き下げられます。

また、金利の引き下げに関する制度として挙げられるのは「創業支援貸付利率特例制度」です。新規事業を始める人または事業開始後の税務申告を2期終えていない人の場合、各融資制度の利率から0.65%(雇用拡大を図る場合は0.9%)引き下げられます。

なお、日本政策金融公庫の各制度の規程は変更される可能性があります。対象者の条件や利率の割合が変更されることも考えられるため、金利の引き下げに関する制度を検討したい人は日本政策金融公庫の担当者に確認することを検討してみましょう。

日本政策金融公庫から融資は受けられる?
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まとめ

日本政策金融公庫の特別利率とは、金利に関する条件が優遇された利率のことです。特別利率は特利とも呼ばれ、基準利率よりも特別利率のほうが低めに設定されているため、金利による利息負担を抑えたい人は特別利率の概要を確認してみましょう。

また、日本政策金融公庫の特別利率は申込者が条件を満たしている場合に適用されます。特別利率の種類ごとに所定の条件が定められているため、日本政策金融公庫の特別利率が気になる人は種類ごとの条件を押さえておきましょう。

なお、日本政策金融公庫の場合、特定の制度を活用することにより金利が引き下げられます。特別利率の適用に関わらず、金利を引き下げられる可能性があるため、特別利率を押さえた人は金利の引き下げに関する制度を確認してみましょう。

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