不動産投資(賃貸業)を始める方必見!日本政策金融公庫から不動産融資を受けるには

不動産業の中でも、不動産仲介業(賃貸仲介や、売買仲介業)は条件に合致していれば、日本政策金融公庫から融資を受けられる可能性のある業種です。一方で不動産投資(賃貸業)は、融資を受けることができるのでしょうか?

不動産投資(賃貸業)を行う人が借入を申し込む際に必要な準備、創業計画書の書き方をご紹介します。

1. 日本政策金融公庫から不動産投資(賃貸業)目的の融資を受けられるのか?

(1)融資を受けられる可能性のある不動産投資(賃貸業)の条件

不動産投資(賃貸業)目的の融資は、審査がとても厳しいです。事業性の融資の場合、基本的には個人の資産形成のための融資は通らないからです。一方で、不動産投資(賃貸業)の中でも融資を受けられたケースもあります。

【融資を受けられたケース】
・すでに賃貸業をしている人が、新たに追加で投資用の不動産(アパートやマンション)を購入するための資金の融資(購入後、不動産を貸すことを想定)
・すでに保有している賃貸マンションやアパートの修繕を実施するための資金の融資
などは、融資の対象になることもあります。

また、日本政策金融公庫で不動産投資(賃貸業)で融資を受ける場合には、以下の条件を複数クリアしていると、融資審査に加点される可能性があります。

  • 担保提供できるものがあるか
  • 返済期間が10年でも収支がプラスになるか
  • 自己資金を潤沢に保有しているか
  • 不動産賃貸物件をすでに保有しているかどうか

以前は、副業で賃貸業をしている場合、購入物件の赤字になったとしても、勤務先の給料で補填できるレベルであれば、日本政策金融公庫で融資を受けられる時代もありました。しかし、年々審査が厳しくなり、現状ではかなり厳しい条件を複数クリアあくまでも事業として成立していないと融資が受けられない傾向になっています。

また、日本政策金融公庫の支店や、担当によって、対応するかどうかも変わってきます。民間の金融機関では「不動産投資(賃貸業)目的の融資を受ける上で、総投資額の20%以上の自己資金を保有していなければ融資しない」という金融機関も出てきています。日本政策金融公庫でも同様に、自己資金の蓄積がなければ、不動産投資(賃貸業)の融資は非常に厳しい傾向です。

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日本政策金融公庫から融資は受けられる?
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※厳しい審査の中でも融資に通る可能性がある事例

事例① すでに保有している賃貸物件の修繕費を借りるケース

・すでに数件の賃貸物件を保有していて、その物件の確定申告書で収支がプラスになっている。この保有している物件を修繕するために1,000万円の融資を希望するケースです。
1,000万円借りたとしても、現在保有している物件を引き続き賃貸に出すことで、利益から返済可能であると判断されると融資に通る場合があります。

事例② 自己資金を準備して、初めての賃貸物件の購入費を借りるケース

賃貸物件を初めて購入するケースでも、自己資金が十分にあり、本業の年収も安定している場合は融資に通る可能性があります。
自己資金やその他の準備状況を鑑みて、事業をするために、入念に準備してきたと判断されることがあるためです。

事例③担保提供が可能なケース

担保があるからといって、必ずしも融資を受けられるわけではありません。しかし、担保提供できる物件を保有していると、融資を受けることができるケースもあります。

(2)不動産投資(賃貸業)への融資限度額と金利、借入期間

2020年7月時点、一般的な不動産投資(賃貸業)での融資を受けた場合、すでに持っている物件で事業をはじめている場合は融資限度額4800万円、金利は2.06〜2.45 %となります。
※担保提供するか、どの制度に当てはまるか等の条件次第で金利差が出てきます。

また、借入期間は、最大で20年以内になる可能性はありますが、当社実績でご説明させて頂くと10年以内で考えた方が無難です。

2. 不動産融資を受けるのに必要なものは?

(1)提出書類を用意しよう

日本政策金融公庫の融資を受けるのに必要な書類は次の通りです。

  1. 借入申込書
  2. 通帳コピー
  3. 創業計画書
  4. 借入金のある場合は、支払明細書(現在の借入残高、月々の支払額がわかるもの)
  5. 不動産の賃貸借契約書(店舗・自宅分)
  6. 営業許可書、資格または免許を証明するもの
  7. 見積書、工事請負契約書(設備投資する方のみ必要)
  8. 運転免許証コピー
  9. 関連企業の確定申告書及び決算書(別で会社を経営されている方のみ必要です)
  10. 印鑑証明書
  11. 代表のご自宅分の水道光熱費の支払い状況がわかる資料
  12. 個人の源泉徴収票又は確定申告書2年分

(2)創業計画を立てよう

近年、不動産投資(賃貸業)で融資を受けたものの返済できなくなったケースの増加しています。この結果、金融機関がダメージを受け、社会問題となっています。

そのため、日本政策金融公庫でも不動産投資(賃貸業)への融資審査が年々厳しくなっています。

審査は厳しくなっているため、計画性があることがより重要視されると推察されます。

事業者として、賃貸業を続け、無事に完済し、最後にその不動産を手放すときまでをしっかりイメージしてみましょう。
「賃貸物件に空室が続いた場合の返済」「物件や入居者にトラブルが起こったときの対応」など具体的に考えます。

不動産投資(賃貸業)は万全のリスク管理をしてこそ安定した利益を生みます。
あらゆる「リスク」を想定した上での返済計画をたて、創業計画につなげることが重要です。

事業の展望を語る「創業計画書」は、日本政策金融公庫の融資を左右する書類です。
不動産投資(賃貸業)というと、住居用の家を貸す大家さん、その管理をする賃貸業者というのが一般的なイメージかもしれません。

一方で近年、複合的な事業展開もされています。

例えば、サービス付き高齢者住宅があります。
介護や生活支援サービスのついた高齢者向けの賃貸です。
高齢社会と呼ばれて久しい日本ですが、通常の賃貸では入居を断られるシニアに対し、グループホームとは異なる選択肢として需要があり、今後も伸びる複合事業だと考えられます。

他にも民泊があります。一般の住宅に宿泊することを指します。
現状の法令や条例では事業化には旅館業の許可が必要で、近隣とのトラブルや不法滞在や犯罪の温床になりかねないことから、現時点ではハイリスクハイリターンな事業と言えるでしょう。

シェアハウスも最近のビジネスモデルと言えるでしょう。シェアハウスは、自室とは別に共同利用できる空間のある、若者や外国人に人気のある賃貸住宅です。
従来の賃貸と違って、キッチン、風呂、トイレを共同にするため、設備コストを下げつつ部屋数を増やすことができます。
また、それに伴い、賃料も安くできます。利回りのよさで、都市部を中心に今後も増えていくと予想されます。

昨今、シェア・レンタルといった「所有しない」ことをよしとする風潮があります。そういう意味で不動産投資の事業展開に対して世間的な追い風があると言ってもいいでしょう。

3. 不動産投資(賃貸業)における創業計画書の書き方

実際に日本政策金融公庫の融資を受けることができた創業計画書をもとに、融資担当者に評価されやすいポイント・創業計画書の書き方をご紹介します。

融資担当者に評価されやすい創業計画書のポイント

創業計画書を作成する上で大切なことは、日本政策金融公庫の融資担当者から評価されやすいポイントを理解し、創業計画書に反映させることです。日本政策金融公庫の融資審査は減点方式ではなく加点方式で行われるためです。

不動産投資(賃貸業)の創業融資を受けたい場合に融資担当者から評価されやすいのは、次の2点です。

①不動産業界での勤続経験

不動産業界での勤続経験は融資担当者から評価されやすいです。業界経験があるから、最適な物件を選ぶことができるというプレゼンができるとよいでしょう。

②利益の根拠を明記する

不動産投資(賃貸業)の場合、物件のスペックや賃料等を記載したレントロールなどの資料があると、具体的にイメージしやすいです。

具体的な計画がなければ、どんなに創業計画書を工夫しても融資の判断は難しいでしょう。

不動産の賃貸をする上で、通常の賃貸と【違うサービス付き高齢者住宅】【シェアオフィス】などの場合には、「なぜそれをあなたが行い利益を生み出すことができるのか?」を明記する必要があります。

まとめ

2018年夏に発覚したスルガ銀行の不正融資問題によって、投資用不動産向けの融資に対する監視が強化されるとの行政方針が発表されました。

以降、日本政策金融公庫の不動産投資(賃貸業)への融資の審査が年々厳しくなっています。

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