一般貸付や新規開業資金など、日本政策金融公庫の融資制度を検討している人の中には、据置期間の意味が気になる人もいますよね。また、据置期間を設定するメリットとデメリットが知りたい人もいるのではないでしょうか。
当記事では、日本政策金融公庫の据置期間とは何かを解説します。据置期間を設定するメリットとデメリットも解説するため、日本政策金融公庫の据置期間に関する情報が知りたい人は参考にしてみてください。
据置期間は利息のみを支払う期間のこと
据置期間とは、利息のみを支払う期間のことです。据置期間中は利息のみを支払うことになりますが、設定できる据置期間の上限は融資制度ごとに定められているため、借入先として日本政策金融公庫を検討している人は融資制度ごとの据置期間を確認してみましょう。
【日本政策金融公庫における融資制度ごとの据置期間】
項目 | 据置期間 |
---|---|
一般貸付 | <運転資金> 返済期間5年以内のうち、据置期間は1年以内 <設備資金> 返済期間10年以内のうち、据置期間は2年以内 |
新規開業資金 | <運転資金> 返済期間10年以内のうち、据置期間は5年以内 <設備資金> 返済期間20年以内のうち、据置期間は5年以内 |
経営環境変化対応資金 (セーフティネット資金) |
<運転資金> 返済期間8年以内のうち、据置期間は3年以内 <設備資金> 返済期間15年以内のうち、据置期間は3年以内 |
たとえば、一般貸付の場合、据置期間は1年~2年以内です。一般貸付はほとんどの業種の中小企業を対象にしている関係上、据置期間は新規開業資金よりも短く、運転資金の据置期間は1年以内に設定され、設備資金の据置期間は2年以内に設定されています。
一方、新規開業資金の場合、据置期間は5年以内です。新規開業資金は創業者やスタートアップを対象にしている関係上、据置期間は一般貸付よりも長く、据置期間は運転資金と設備資金のいずれにおいても5年以内に設定されています。
ただし、据置期間の有無は日本政策金融公庫の担当者の判断次第です。申込者の希望通りになるとは限らず、「事業計画」「融資額」「返済期間」などの条件から総合的に判断されることになるため、据置期間の設定を希望している人は留意しておきましょう。
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返済計画をシミュレーションしてみる
据置期間の設定を検討する場合、返済計画をシミュレーションする方法があります。融資額や返済期間を想定しながら返済計画をシミュレーションすることにより、据置期間を設定した場合における返済額の目安が把握できます。
今回は「融資額1,000万円」「固定金利2.0%」「元金均等返済」「返済期間10年のうち2年が据置期間」の条件から返済額を計算しました。あくまでもシミュレーションとなるため、実際の返済額とは異なりますが、据置期間が気になる人は参考にしてみましょう。
【据置期間を2年に設定した場合における返済計画のイメージ】
項目 | 1年間の返済額 | 返済額のうちの元金 | 返済額のうちの利息 |
---|---|---|---|
1年目 | 200,004円 | 0円 | 200,004円 |
2年目 | 200,004円 | 0円 | 200,004円 |
3年目 | 1,438,542円 | 1,250,000円 | 188,542円 |
4年目 | 1,413,542円 | 1,250,000円 | 163,542円 |
5年目 | 1,388,542円 | 1,250,000円 | 138,542円 |
6年目 | 1,363,542円 | 1,250,000円 | 113,542円 |
7年目 | 1,338,541円 | 1,250,000円 | 88,541円 |
8年目 | 1,313,541円 | 1,250,000円 | 63,541円 |
9年目 | 1,288,542円 | 1,250,000円 | 38,542円 |
10年目 | 1,263,541円 | 1,250,000円 | 13,541円 |
※日本政策金融公庫の公式サイトにある「事業資金用 返済シミュレーション」をもとに株式会社SoLabo(ソラボ)作成
シミュレーションの場合、据置期間中は支払額が毎年一定の200,004円です。利息は融資額の残高から算出しますが、据置期間中は元金の返済額が0円となるため、利息に変化はなく、据置期間中は毎年同額の利息のみを支払うことになります。
また、据置期間後は元金の返済が始まります。残りの返済期間において1,000万円の元金を均等に分割することになるため、元金の返済額は毎年一定の1,250,000円となりますが、元金の返済が進むにつれ、利息は年々減少することになります。
なお、日本政策金融公庫は「事業資金用 返済シミュレーション」を用意しています。「据置期間を設定した場合」と「据置期間を設定していない場合」の返済額の目安を比較できるため、据置期間の設定を検討している人は返済シミュレーションを活用してみましょう。
据置期間の設定を検討中の人はメリットとデメリットを押さえる
据置期間を設定する場合、メリットとデメリットがあります。メリットとデメリットを把握することにより、据置期間の設定を検討しやすくなる可能性があるため、日本政策金融公庫の据置期間が気になる人はメリットとデメリットを押さえておきましょう。
【メリットとデメリットの例】
- メリットは据置期間中の支払い負担が軽減できる点
- デメリットは完済時の利息総額が増える点
メリットとデメリットを把握することにより、据置期間の設定を検討しやすくなる可能性があります。据置期間の設定における判断材料のひとつになるため、据置期間の設定を検討している人は据置期間におけるメリットとデメリットを把握しておきましょう。
メリットは据置期間中の支払い負担を軽減できる点
据置期間を設定するメリットは「据置期間中の支払い負担を軽減できる点」です。事業開始直後は売上が安定しない関係上、月々の返済負担が重くなる可能性があるため、据置期間中の支払い負担を軽減できる点は据置期間を設定するメリットとして挙げられます。
今回は「融資額1,000万円」「固定金利2.0%」「返済期間10年間」の条件から返済額を計算しました。あくまでもシミュレーションとなるため、実際の返済額とは異なりますが、据置期間のメリットが知りたい人は参考にしてみましょう。
【1年ごとの返済額のイメージ】
項目 | 据置期間なし | 2年の据置期間 | 5年の据置期間 |
---|---|---|---|
1年目 | 1,190,834円 | 200,004円 | 200,004円 |
2年目 | 1,170,833円 | 200,004円 | 200,004円 |
3年目 | 1,150,833円 | 1,438,542円 | 200,004円 |
4年目 | 1,130,834円 | 1,413,542円 | 200,004円 |
5年目 | 1,110,833円 | 1,388,542円 | 200,004円 |
6年目 | 1,090,833円 | 1,363,542円 | 2,181,667円 |
7年目 | 1,070,834円 | 1,338,541円 | 2,141,667円 |
8年目 | 1,050,833円 | 1,313,541円 | 2,101,666円 |
9年目 | 1,030,833円 | 1,288,542円 | 2,061,667円 |
10年目 | 1,010,834円 | 1,263,541円 | 2,021,667円 |
※日本政策金融公庫の公式サイトにある「事業資金用 返済シミュレーション」をもとに株式会社SoLabo(ソラボ)作成
据置期間を設定していない人の1年目の返済額は1,190,834円ですが、据置期間を設定した人の1年目の返済額は200,004円です。据置期間を設定していない人よりも据置期間を設定した人のほうが1年目の返済額は約99万円少なくなる計算になります。
据置期間を設定した場合は事業開始直後の支払い負担を軽減できます。事業開始直後の支払い負担を軽減することにより、収益の安定化や事業の黒字化を進められる可能性があるため、資金繰りに不安のある人は据置期間の設定を検討する余地があります。
なお、据置期間は返済期間に含まれます。残りの返済期間内に借入残高を完済しなければならない関係上、据置期間後は支払い負担が集中することになるため、据置期間の設定を検討している人はその点を考慮しておきましょう。
デメリットは完済時の利息総額が増える点
据置期間を設定するデメリットは「完済時の利息総額が増える点」です。据置期間中は元金を返済しない関係上、利息の減少が遅くなるため、完済時の利息総額が増える点は据置期間を設定するデメリットとして挙げられます。
今回は「融資額1,000万円」「固定金利2.0%」「返済期間10年間」の条件から利息総額を計算しました。あくまでもシミュレーションとなるため、実際の返済額とは異なりますが、据置期間のデメリットが知りたい人は参考にしてみましょう。
【1,000万円の融資における利息総額のイメージ】
項目 | 完済時の利息総額 |
---|---|
据置期間なし | 1,008,334円 |
1年の据置期間 | 1,108,337円 |
2年の据置期間 | 1,208,341円 |
3年の据置期間 | 1,308,345円 |
4年の据置期間 | 1,408,348円 |
5年の据置期間 | 1,508,354円 |
※日本政策金融公庫の公式サイトにある「事業資金用 返済シミュレーション」をもとに株式会社SoLabo(ソラボ)作成
据置期間を設定していない人の利息総額は1,008,334円ですが、5年の据置期間を設定した人の利息総額は1,508,354円です。据置期間を設定していない人よりも5年の据置期間を設定した人のほうが完済時の利息総額は約50万円増える計算になります。
据置期間を設定した場合は完済時の利息総額が増えることになります。完済時の利息総額が増えることにより、最終的な返済総額も増えることになるため、利息総額を増やしたくない人は据置期間を設定しないことを検討する余地があります。
なお、利息総額の差は融資を受けるときの条件によっても異なります。融資額が多い場合や金利が高い場合は利息総額の差が大きくなる可能性があるため、据置期間の設定を検討している人はその点を考慮しておきましょう。
据置期間の延長が必要となる場合は担当者に相談する
据置期間の延長が必要となる場合は日本政策金融公庫の担当者に相談してみてください。不測の事態により、返済計画の変更が余儀なくされることも考えられるため、据置期間の延長が必要となる場合は日本政策金融公庫の担当者に相談することも方法のひとつです。
返済に関する相談先は融資を担当した支店の窓口です。据置期間を延長できるとは限りませんが、日本政策金融公庫の担当者に相談することにより、返済期限の延長や割賦金の減額などの返済に関する条件を変更できる可能性があります。
なお、やむを得ない事情がある場合はその点を考慮してもらえる可能性があります。政府が金融機関に据置期間の延長を含めた柔軟な対応を求める要請を出した事例もあるため、感染症や災害などのやむを得ない事情がある場合は日本政策金融公庫の担当者に相談することを検討してみましょう。
まとめ
据置期間とは、利息のみを支払う期間のことです。据置期間中は利息のみを支払うことになりますが、設定できる据置期間の上限は融資制度ごとに定められているため、借入先として日本政策金融公庫を検討している人は融資制度ごとの据置期間を確認してみましょう。
また、据置期間には、メリットとデメリットがあります。メリットとデメリットを把握することにより、据置期間の設定を検討しやすくなる可能性があるため、日本政策金融公庫の据置期間が気になる人はメリットとデメリットを押さえておきましょう。
なお、据置期間の延長が必要となる場合は日本政策金融公庫の担当者に相談してみてください。不測の事態により、返済計画の変更が余儀なくされることも考えられるため、据置期間の延長が必要となる場合は日本政策金融公庫の担当者に相談することも検討してみましょう。