これから事業を始められる方が初めて日本政策金融公庫で融資を受ける場合には、必ず「創業計画書」を提出します。
すでに決算を迎えている事業の場合には、決算書等の数字を見ることで、その事業の成績や今後の展望を理解することが出来ます。しかし、まだ始めていない事業の場合、数字による根拠を得ることができません。
そこで、重要となる資料が「創業計画書」です。そして創業計画書の中でも、最も重要と言える「必要な資金と調達方法」です。
ここをしっかりと記載しておくことが融資成功のポイントとなりますので、書き方をしっかりと理解して下さいね。
目次
1.創業計画書とは
創業計画書は主に、これから創業を予定されている方が、日本政策金融公庫で融資を受ける際に提出する書類のひとつです。
以下の融資制度を利用して融資を希望される方の場合には、必ず提出が必要となります。

日本政策金融公庫は、創業者支援を積極的に行っています。そのため、他の金融機関よりも創業時の融資が受けやすい傾向にあります。
既に事業を行っている方の融資であれば、決算書等の数字から事業の見通しを把握し、返済能力があるかどうかの判断を行ないます。しかし、創業時、これから創業するという方の場合、数字から事業の見通しを判断することができません。
そのため、創業計画書の下記項目に記載してもらうことで、事業の見通しや返済能力などの判断基準としています。

そして、この創業計画書の中で特にしっかりと記載する必要がある部分が「7.必要な資金と調達方法」です。
2.「7.必要な資金と調達方法」の左側は “必要な資金” について
左側は”必要な資金”を記載します。

項目は(1)設備資金と(2)運転資金です。それぞれを詳しく見てみましょう。
(1)設備資金
事業を始めるにあたって必要となる設備の内訳と設備の購入にかかる金額を記載します。
会計処理上、資産に該当するものが対象です。

記載した内容と金額の根拠を提示するために、それぞれの見積書を添付するようにしましょう。PCや車など販売店のwebページから金額が記載されているものを添付するという形でも問題はありません。
もし、既に購入している物がある場合には、領収書なども準備しておくと、自己資金から先に必要なものを購入したという証明になります。
(2)運転資金
運転資金は、人件費や賃料、水道光熱費、広告宣伝費、仕入など、事業を行うために必要な経費を記載します。
運転資金はそれぞれ、3ヶ月分程度を記載するようにしましょう。賃料や広告宣伝費、仕入れなどに関しては、見積などを添付して根拠を示すことが出来ますが、人件費等はしっかりと計算して計上するようにしましょう。

適当な数字を記載すると「この人、ちゃんと考えていないな」と思われてしまうこともあります。どういった根拠でこの数字になったという補足資料を準備しておくようにしましょう。
3.「7.必要な資金と調達方法」の右側は資金の ” 調達方法 ” について
右側は“調達方法”を記載します。

左側で記載した必要な資金をどのように調達するかを明確にするためです。
一つずつ確認して行きましょう。
(1)自己資金
自己資金はご自身が貯められた金額を記載します。事業用の資金として準備してきた金額を記入すれば良いので、貯金額をすべて記入しなければならないという訳ではありません。
【資本金は自己資金として見てもらえる??】
ご自身でしっかりと貯蓄されてきたお金を資本金に充ててしまったので、貯蓄が少なくなってしまったという方がいらっしゃいますが、ご自身でしっかりと貯蓄されたお金を資本金に充てている場合には、資本金も自己資金として判断してもらうことが出来ます。
-新創業融資制度を利用する場合―
新創業融資制度を利用される場合、自己資金要件があります。
3.自己資金要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方
日本政策金融公庫「新創業融資制度」要件より引用
左側の必要な資金に対し、1/10以上の金額は必要となりますので注意してくださいね。
(2)親・兄弟・知人・友人等からの借入
内訳(誰から借りた)と金額以外に、返済期間に関しても記載しておきます。自己資金が少ないので、ご両親から支援してもらったという場合には、こちらに記載します。
身内間での貸し借りとなると口約束などで済ませてしまいがちですが、借入契約書などを作っておくと、添付資料として提出することができるので面倒ではありますが、作成しておくようにしましょう。
(3)日本政策金融公庫 国民生活事業からの借入
融資希望額を記入します。
借りれるなら借りれるだけ借りたい!と高額な希望額を記載される方がいらっしゃいますが、初回の融資で5.6千万円もの高額な融資を受けることは難しいです。
必要な費用については創業計画書の左側で算出しています。ここで算出した必要な資金に対して、「いくら足りない」から「いくら貸してもらいたい」という説明を金融機関にする必要があります。ここの数字の根拠が甘いと面談もうまくいきませんので、すべての数字をしっかりと洗い出し、いくら融資を受ける必要があるのか記載するようにしましょう。
ちなみに、創業時に自分ですべて手続きをする場合は新創業融資制度を利用することになり、融資希望額の上限は3,000万円以内(参照:https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/04_shinsogyo_m.html)、当サイト運営会社(株式会社SoLabo)のような認定支援機関を通した場合は「中小企業経営力強化資金」という制度が利用できるため上限がアップして7,200万円以内(参照:https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/64.html)となります。
Solaboの場合、当社を通して創業融資に申し込まれた方が融資額はアップしています。是非ご検討ください。
(4)他の金融機関からの借入
こちらは、協調融資を利用する場合に記載が必要となります。
―協調融資とはー
協調融資とは、2つ以上の金融機関から融資を受けることを言います。
日本政策金融公庫と他の金融機関での協調融資を利用する場合には、他の金融機関の融資を先に進める必要があるため、この欄に協調融資による借入先を記載します。
協調融資に関する詳細は下記をご確認下さい。
4.左右の合計金額は必ず一致させること!!
一番下に、それぞれの合計を記載します。この時、左側「必要な資金」の合計と右側「調達の方法」の合計が同じ金額になるようにしてくださいね。

まとめ
創業計画書は日本政策金融公庫から創業時の融資を受ける際に、融資の成功を左右する重要な資料です。
書き方の例など、日本政策金融公庫のHPに記載されていますが、そのまま書き写すということは避けるようにして下さいね。同じ業種であっても、創業される方の想いはそれぞれ異なるはずです。ご自身の想いをしっかりと記載したご自身だけのオリジナルの創業計画書を作成して下さい。
もし、1人で資料作成をすることが難しいという場合には、認定支援機関など融資の専門家に相談することもひとつの方法です。融資を成功させるために一番良い方法を選んでくださいね。
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