シニアの起業が、これまでないほど注目されています。日本人の高齢化が進む中、平均寿命が延びているのが背景の一つです。
いま、日本人の平均寿命は男女平均で84歳。定年退職したあとに「まだ何かできるかも」。こんな風に考え、起業に踏み出す人も少なくないのです。起業でイキイキしたシニアの方はとても魅力的ですよね。
しかし、起業は気軽にすべきことではありません。きちんとした計画と準備が大切です。今回は、シニアで起業したい方が低金利の融資を受けられるシニア起業家支援資金についてご紹介致します。
目次
1.いきなりですが、「シニア起業家支援資金」という名の融資はないんです
①日本政策金融公庫の女性、若者/シニア起業家支援資金は融資
ネット検索すると出てくるこの「シニア起業家支援資金」という言葉は、細かいことを言うと「女性、若者/シニア起業家支援資金」という日本政策金融公庫の融資制度の略称です。その名の通り、女性・若者、そしてシニアの方で事業を営む方が使える事業用の融資です。
※上記URLをクリックすると、シニア起業家支援資金の概要を見られる外部サイトへリンクします
上記のリンクを参照するとおわかり頂けますが、シニアの定義が55歳以上となっています。55歳以上ってもうシニアなんですね、、。こちらの資金については、当サイトの以下既存記事でも詳しくご紹介しています。是非あわせてご覧ください。
女性・若者・シニア・主婦の起業を支援!日本政策金融公庫(国金)の支援金とは?
②自治体のシニア起業家支援事業も注目しよう
もう一つシニア向けの起業で使える資金(融資や助成・補助金)は、各自治体独自のシニア起業家支援事業があります。こちらは実施している地域とそうでない地域があります。例えば兵庫県では公益財団法人産業活性化センターが最大200万円の助成金を支給しています。
起業に関する資金ではないですが、埼玉県東松山市では過去にシニア向け起業合同就職説明会を実施しました。起業で使える資金をお探しの方は、自治体のホームページなども是非チェックしてみましょう。
③厚生労働省の生涯現役起業支援助成金もある
起業時に40歳~59歳、または60歳以上の場合で以下の条件を満たせば、最大200万円の助成金を受け取れます。厚生労働省は先日、勤労統計の資料を廃棄してしまったというニュースで記憶に新しいですよね。助成金の資料はしっかり保管してほしいものです。
ご利用いただける方 | 以下の条件すべてに当てはまる方
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資金の使い道 | 従業員の募集・採用や教育訓練の実施 |
支給額と助成率 |
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助成金はタダでもらえるお金なのでとても魅力的なのですが、上記のようにハードルが非常に高いです。こちらの助成金では特に、④番目にある他の金融機関から融資を受けていること、という部分がポイントです。他の銀行などの審査を通過した人であれば、返済もできるだろうという意図が見えますね。
他にも、ネット検索するとシニア向けのいろいろな資金は表示されます。よく見るとそれはシニア限定ではなく万人向けのもの(創業補助金)であったり、起業したい方向けのものではなくシニア世代を雇用する事業主がもらえる助成金だったりと検討違いのものもあるので要注意です。
2.女性、若者/シニア起業支援資金はどんな内容?
助成金・補助金は最初に起業するシニアがお金を払い、あとからお金がキャッシュバックされるものです。でも、その元々のお金がないシニアはどうすればいいのでしょうか。助成金をもらうにも、金融機関から融資を受けていないともらえない助成金もありますよね。
そこで、今回は起業時に必要なお金を調達することができる女性、若者/シニア起業支援資金の方をご紹介しましょう。
①利用条件と気になる点
シニア起業支援資金の利用条件は以下の通りです。(女性、若者の部分は省略しています)
ご利用いただける方 | 55歳以上の方で新たに事業を始める方 または 事業開始後おおむね7年以内の方 |
資金の使い道 | 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする資金 |
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
利率(年) ※H31・1・17現在 |
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ご返済期間 |
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担保・保証人 | お客様のご希望を伺いながらご相談させていただきます |
55歳以上の方であれば年利1~2%台と有利な条件で最大7,200万円も借りられる!これはなんてオイシイ融資なんだ。こんな風に考え、この融資に飛びつく方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、そんなオイシイ話は実際ないのです。この融資では担保・保証人は「~ご相談させていただきます」とありますが、最大7,200万円もの高額融資を希望するのであれば、相応の物件などの担保を提供できないともっと融資額は低くなります。
また、融資申込み時点の年齢により、返済期間は短くなります。75歳で申し込みをすれば、返済期間20年よりもっと短くなる、または指定した後継者が残金を払うという契約が必要になるかもしれません。
②きちんとした計画と準備とは?
国としては経験やノウハウの豊富なシニアの方に活躍していただき、日本経済の活性化につなげたいという思いがもちろんあると思います。
しかし、同時にいきあたりばったり感の強い事業計画には大金を貸すことはできないというのが大前提です。この資金の年齢制限は55歳以上とありますが、55歳から事業を始めたいのであればその前の50~52歳ぐらいから計画をしていきましょう。
【シニア起業に向けたきちんとした計画と準備のポイント】
【お金のこと】
- ①自己資金として最低100万円は貯めよう
- ②家族の同意は得ているか?家族の預貯金も自己資金として申告は可能
- ③持ち家の場合はローン完済したか
【信用情報のこと】
- ①クレジットカードの未払いはある?未払いなどの事故歴から5年以上経過しているか
- ②税金や携帯代の滞納はしていないか
【事業のこと】
- ①これから始める事業の経験は充分(正社員で6年以上)あるのか
- ②これから始める事業の物件は既に抑えられているのか※仮押さえでも可
- ③仕入れ先や従業員などは抑えられているのか
日本政策金融公庫の融資を受けるには、上記の点が審査でのポイントとなります。それ以前に、新規で開業する場合は創業計画書という書類を提出しなければいけません。
まとめ
経験やノウハウを豊富に持つ、最近の若いシニアには行政も注目しています。しかし、年齢だけで審査が甘くなることもありません。
この記事でご紹介したポイントを意識しながら、起業したい年齢の2年以上前からきちんと計画・準備をすることが大切です。創業計画書の作成・アドバイスなどのお手伝いは、是非当サイトの運営会社へご用命ください。