独立開業を目指す人や起業を考えている人の中には、創業融資を検討している人もいるでしょう。その際、地方自治体の制度を活用して創業融資が受けられるのかどうか気になる人もいるかもしれません。
当記事では、自治体の制度を活用して創業融資は受けられるのかどうかを解説します。自治体の創業支援に関する取り組みも紹介するため、創業融資を検討している人は参考にしてみてください。
自治体の制度を活用して創業融資は受けられる
自治体の制度を活用して創業融資は受けられます。自治体は地域の活性化や課題解決を目的とした融資制度を用意しているため、事業者は自治体の制度を活用して創業融資を受けられる可能性があります。
【自治体の制度の例】
制度名 | 概要 |
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東京都「創業」 | ≪主な対象者≫ 都内に事業所(個人事業主の場合は事業所または住所)があり、創業前もしくは創業後5年未満の人 ≪融資限度額≫ 3,500万円 ≪信用保証料≫ 東京都が信用保証料の3分の2を補助する |
神奈川県「創業支援融資」 | ≪主な対象者≫ 神奈川県内で創業予定もしくは創業後5年未満の人 ≪融資限度額≫ 3,500万円 ≪信用保証料率≫ 0.00%~0.60% ※神奈川県の補助及び神奈川県信用保証協会の割引後の料率 |
千葉県「創業資金」 | ≪主な対象者≫ 千葉県内に事業所があり、創業予定もしくは創業後5年未満の人 ≪融資限度額≫ 設備資金:3,500万円 運転資金:2,500万円 ≪信用保証料≫ 千葉県が信用保証料率の0.40%を補助する |
自治体の制度のひとつとして、創業者向けの融資制度が用意されています。都道府県ごとに制度の名称や融資条件は異なりますが、「創業支援融資」「創業資金」などの制度が整えられており、創業前と創業後の事業者が利用できる可能性があります。
自治体の制度を活用するためには、原則として都道府県内に事業所があることが条件となります。個人事業主の場合は、都道府県内に住所があれば利用できる可能性もありますが、原則として開業場所を管轄する都道府県の制度を利用することになります。
なお、自治体が取り扱う融資のことは「制度融資」と称されます。創業融資以外にも自治体が取り扱う融資制度があるため、制度融資に関して知りたい人は「制度融資とは?仕組みと申込方法を解説」の記事も参考にしてみてください。
市区町村が創業融資の制度を用意している場合もある
都道府県だけでなく、市区町村においても融資制度を用意している場合もあります。市区町村内で創業する事業者に対し、市区町村が独自で融資制度を用意している場合があるため、自治体の制度を活用したい人は市区町村の融資制度も確認してみましょう。
【市区町村が実施する融資制度の例】
制度名 | 項目 |
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東京都墨田区「チャレンジ支援資金」 | ≪主な対象者≫ 区内で開業する人 開業して5年未満の区内事業者 ≪融資限度額≫ 1,750万円 ≪利率≫ 2.0%(年利) ≪利子補給≫ 1.8% ≪信用保証料≫ 全額補助 |
東京都江戸川区「創業支援資金融資」 | ≪主な対象者≫ 区内で開業する人 開業して3年未満の事業者 ≪融資限度額≫ 2,000万円 (創業予定の個人は、必要資金の3分の2以内) ≪金利≫ 2%以内(年利) ≪利子補給≫ 1.5%以内 ≪信用保証料≫ 全額補助 |
たとえば、東京都墨田区の「チャレンジ支援資金」制度では、開業前もしくは開業後5年未満の事業者に対し融資制度を用意しています。2.0%の金利に対し、利子補給率が1.8%あるため、自己負担する金利は0.2%となります。
また、東京都江戸川区の「創業支援資金融資」制度では、開業前もしくは開業後3年未満の事業者に対し融資制度を用意しています。信用保証料が全額補助になるため、信用保証協会への支払い負担がありません。
なお、市区町村の創業融資制度の対象者は、原則として税金を滞納していないことが要件となります。「所得税」「都民税」など、税金を滞納している場合は市区町村の融資制度の対象外となる点を留意しておきましょう。
自治体の創業融資に申し込みたい人は相談窓口を活用してみる
自治体の創業融資に申し込みたい人は、相談窓口を活用してみてください。自治体では、地域での開業を支援する目的から、創業融資に関する相談をできる窓口がいくつか用意されているため、創業融資に申し込みたい人は窓口へ相談に行くことも検討してみましょう。
【自治体の創業融資における相談窓口の例】
項目 | 概要 |
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商工会議所や商工会 | 地域の事業者を支援するための公的団体。「創業セミナー」「経営相談」「事業計画書の作成支援」などを行っている。市区町村ごとに商工会議所か商工会のどちらかが設置されている。 |
信用保証協会の創業支援窓口 | 創業融資を受けるときに事業者の保証を行う公的機関。審査業務がメインではあるが、創業相談窓口を設置している信用保証協会がある。 |
自治体の担当課 | 自治体の制度融資に関する業務を行っている課。「申請条件」「制度内容」などの詳細を把握している。創業融資の申請受付も行っている場合がある。 |
相談窓口のひとつは「商工会議所や商工会」です。地域の事業者を支援する公的団体として「創業セミナー」「事業計画書の作成支援」などを実施しているため、創業に関する疑問や不安を相談できる可能性があります。
相談窓口のひとつは「信用保証協会」です。自治体の創業融資を受けるときに保証審査を行う機関であるため、「審査に関するポイント」「審査に必要な書類」などの疑問や不安を相談できる可能性があります。
なお、自治体の創業融資に申し込む方法は自治体によって異なります。「自治体が受付窓口」「金融機関が受付窓口」など、自治体によって案内が異なるため、申請フローや制度内容の詳細が知りたい人は自治体の担当課に相談することも検討してみましょう。
当サイトを運営する株式会社SoLabo(ソラボ)では、事業資金に関する融資サポートを実施しています。8,000件以上の融資サポートの実績から回答するため、保証協会付き融資に関して気になる点や知りたい点がある人は株式会社SoLabo(ソラボ)に相談することも検討してみてください。
自治体によっては創業融資以外の創業支援も行っている
自治体によっては、創業融資以外の創業支援も行っている場合があります。さまざまな機関と自治体が連携を取り、地域の開業者をサポートする体制を整えている場合があるため、創業融資を検討している人は融資以外の創業支援も確認してみてください。
【創業支援の例】
項目 | 概要 |
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創業セミナーや起業塾 | 創業に関する基礎知識や事業計画の立て方などを学べる。特定創業支援等事業に認定されている講座も多い。 |
専門家による個別相談会 | 「税理士」「行政書士」「中小企業診断士」などの専門家と個別で相談できるため、専門性の高い相談ができる。 |
創業支援施設(インキュベーション施設)への入居 | 創業期の事業者に対しオフィスや研究施設などを提供する。通常よりも安価な家賃で入居できるほか、支援スタッフが常駐している施設がある。 |
販路支援やマッチング事業 | 製造業や食品業など、地域の事業者同士をつなぐマッチング会やバイヤーとの商談会を開催する。 |
創業支援の例として「創業セミナーや起業塾」が挙げられます。創業に関する基礎知識や事業計画の立て方など、創業するためのステップを学べる講座を自治体が提供している場合があるため、地域内での開業を検討している人は利用できます。
創業支援の例として「販路支援やマッチング事業」が挙げられます。地域の事業者同士をつなぐマッチング会やバイヤーとの商談会などを自治体が主催する場合があるため、地域内で開業した事業者は参加することができます。
なお、自治体ごとの創業支援を知りたい場合は「創業支援等事業計画」を調べる方法があります。創業支援を行っている自治体の多くは、国から認定を受けた創業支援等事業計画をもとに創業支援を進めているため、自身が開業する地域の自治体がどのような創業支援等事業計画を実行しているか調べることも検討してみてください。
まとめ
自治体の制度を活用して創業融資は受けられます。自治体は地域の活性化や課題解決を目的とした融資制度を用意しているため、事業者は自治体の制度を活用して創業融資を受けられる可能性があります。
都道府県だけではなく、市区町村においても融資制度を用意している場合があります。市区町村内で創業する事業者に対し、市区町村が独自で融資制度を用意している場合があるため、自治体の制度を活用したい人は市区町村の融資制度も確認してみましょう。
自治体の創業融資に申し込みたい人は、相談窓口を活用してみてください。自治体では、地域での開業を支援する目的から、創業融資に関する相談をできる窓口がいくつか用意されているため、創業融資に申し込みたい人は窓口へ相談に行くことも検討してみましょう。