ベンチャーを起業する際の資金調達の選択肢  融資と出資どちらを選ぶべきか解説

ベンチャーを起業する際の資金調達の選択肢  融資と出資どちらを選ぶべきか解説
株式会社SoLabo 代表取締役 田原広一
この記事の監修
株式会社SoLabo 代表取締役 / 税理士有資格者
資格の学校TACで財務諸表論の講師を5年行う。税理士事務所勤務を経て、平成23年より個人で融資サポート業務をスタート。
平成27年12月、株式会社SoLabo立ち上げ。
融資支援業務に力を注ぎ、現在では400件以上の融資支援を行っている。

ベンチャー起業時の資金調達といえば、ベンチャーキャピタル(VC)などの投資家から出資を受ける方法が一番に挙げられることが多いですが、実はそれ以外にもさまざまな資金調達の選択肢があります。

昨今「ベンチャー企業が〇億円を調達」というニュースをよく目にするようになりましたが、

投資家から大規模な資金を調達し、その出資金だけで起業・事業運営することができるベンチャー企業はごく一部であり、通常はほかの資金調達方法(融資)を利用することがほとんどです

特に起業時の融資で選ぶことが多いのが、日本政策金融公庫という政府系金融機関です。

本記事では、VCなどから出資を受ける以外に、融資も含んだベンチャー起業時の資金調達の選択肢を解説します。

1.ベンチャー起業時の資金調達方法は2パターン

ベンチャーの起業時に使える資金調達には大きく分けて、2パターンあります。

1つめは銀行などの金融機関から融資を受ける方法、2つめはベンチャーキャピタル(VC)などの投資家から出資を受ける方法です。

金銭面における両者の大きな違いは、資金返済の要否です。融資を受ける場合、借入額に金利を上乗せした金額を返済しなくてはなりませんが、出資を受ける場合は返済する必要がありません。

(1)融資を受ける(デットファイナンス)

資金調達方法として1つめのパターンは、外部から借入を行う方法です。デットファイナンスとも呼ばれます。

起業時に融資相談できるのは民間の金融機関だけでなく、日本政策金融公庫や地方自治体などの公的機関もあります。

通常、融資を受けた場合は利息が発生するため、借入額よりも高い金額を返済しなくてはならないというデメリットはありますが、融資元の金融機関が経営に介入してくることはなく、経営の自由度は維持することができます。

融資はベンチャー企業に限った資金調達方法ではなく、企業規模・企業の成長ステージに関係なく利用できるスタンダードな資金調達方法です。

(2)出資を受ける(エクイティファイナンス)

資金調達方法として2つめのパターンは、VC・エンジェル投資家などの投資家から出資を受ける方法です。エクイティファイナンスとも呼ばれます。

出資によって得た資金は返済不要というメリットがありますが、経営の自由度が低くなるというデメリットがあります。なぜなら、出資を受けた場合、経営者はその見返りとして、出資額相当の株式を出資者に譲渡しなくてはならないためです。

投資家の出資目的は、出資先企業を早期に上場させることであり、最終的には上場後に株式を売却することでその差益を得ることです。投資家からは、自社の早期上場を実現するための助言・指導などを受けることができますが、時には短期上場を重視する投資家と会社の長期成長を重視する経営者間で利害相反が生じる可能性もあります。

なお、出資を受けられるのは投資家に事業の有望性を認められた一握りの起業者だけであり、だれでも利用できるわけではありません。

投資家の出資目的として、上記で説明したようなIPO目的もありますが、提携目的や、配当目的、バイアウト目的など様々なケースがあります。

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2.融資による資金調達

ベンチャーの起業時に利用しやすい融資制度は、日本政策金融公庫の創業融資と地方自治体が主導する制度融資の2つです(今回はあくまで低金利の融資制度を前提にご説明させて頂きます)。

いずれも営利を目的としない公的組織であるため、創業前後で信用力の低い資金需要者にも融資を行っており、金利も低めに設定されていることが特徴です。

なおベンチャーに限らず、基本的に創業前は民間金融機関から直接融資を受けることはできません。民間金融機関の融資可否は、融資先企業の業績と返済能力をもとに判断されますが、創業前はまだ会社としての実績がなく返済リスクが高いと考えられるためです。

(1)日本政策金融公庫の創業融資

創業時の資金調達として多く利用されるのが、日本政策金融公庫の創業融資です。

日本政策金融公庫とは、国が100%出資する貸付専門の政府系金融機関で日本経済の発展・地域活性化を経営方針に掲げ、民間金融機関から融資を受けられない起業者・中小規模事業者を対象に融資を行っています。

融資条件は事業者負担に配慮されたものになっており、年利は最大でも2%台、くわえて無担保・無保証となっています。

ただし融資判断には自己資金の有無と経験が重視されており、借入可能額は最大でも自己資金の9倍までとなっています。

借入の申込みから着金までは3週間~1か月半程度かかりますが、民間金融機関から融資を受ける場合よりは早く審査が完了します。

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(2)地方自治体の制度融資

都道府県および市区町村は経済政策・起業支援の一環として、制度融資とよばれる融資制度を設けています。

日本政策金融公庫と同様に、民間金融機関の融資を受けられない起業家・小規模事業者でも利用可能な融資制度です。

簡単に仕組みを説明すると、通常、創業前の起業家は民間金融機関の融資を受けることはできませんが、地方自治体・信用保証協会と呼ばれる公的機関が金融機関と連携し、起業家の信用を補填してくれることで、創業前でも民間金融機関の融資を受けられるようになります。

自治体ごとに融資要件は異なりますが、金利は1.0%~3.0%程度で、利子補給や保証料補助によって金銭負担が抑えられることがメリットです。

ただし、

  • 連帯保証人が必要な場合がある
  • 日本政策金融公庫や民間の金融機関よりも借入申込みから着金までに時間がかかる(2~3か月程度)

などのデメリットもあります。

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3.出資による資金調達

ベンチャーの起業時に出資をしてくれるのは、ベンチャーキャピタル(VC)とエンジェル投資家の2つです。

VCとエンジェル投資家は、出資先を上場させて株式売却益を得ること等を目的としている点は共通していますが、投資家としての属性が異なります。

VCは会社、エンジェル投資家は個人です。VCは会社として投資しているため出資額は大きいですが、出資審査には厳しく論理性が求められ、出資後も上場に向けて経営状態や事業状況に問題がないか細かくモニタリングされるケースが多いです。

一方、エンジェル投資家は個人なので投資額は比較的小さくなりますが、出資判断は個人的な意思決定レベルで済みます。経営状態のモニタリングについてもVCほど細かくないケースが多いです。

(1)ベンチャーキャピタル(VC

億単位の出資を受けたい場合に相談できるのが、ベンチャーキャピタル(VC)とよばれる投資会社です。

出資されたお金に返済義務はありません。

VCから出資を受けるためには「この会社は上場できる」と思われる有望性が必須であり出資審査の難易度も高いですが、出資確定後は上場に向けて会社を大きくするための助言や指導を受けることができます。

具体的には、VCからオブザーバーが派遣され社外取締役などに就任し、経営に関与されることになります。

ただVCの目的は、出資先の継続安定的な成長ではなく、あくまで上場させた後に株式売却益を得ることであるため、時には自社とVC間で利益相反が生じることもあります。

また、VCとの出資契約において、VCに株式買取請求権(自社とVC間であらかじめ定めた期日までに自社が上場できなかった場合、VCが取得した株式を強制的に自社に買戻しさせる権利)が認められていれば、自社に成長性がないと判断された時点で資本回収されるリスクもあります。

このように、VCという外部機関が経営に口を挟んでくるため、ベンチャーキャピタルから出資を受けた場合は自由な経営がしにくくなるデメリットがあります。

(2)エンジェル投資家

100万~1000万円規模の出資を受けたい場合に相談できるのが、エンジェル投資家とよばれる個人投資家です。

出資されたお金に返済義務がない点はVCと同様ですが、出資目的は必ずしも出資先を上場させて株式売却益を得ることであるとはかぎりません。

起業家のビジネスに共感した・純粋に起業家を応援したいという目的で出資してくれるケースもあります。エンジェル投資家は企業ではなくあくまで個人であり、利益追求を責務として負っていないためです。

よって、自社の経営にどの程度干渉してくるのか、上場のために何をしてくれるのかも人それぞれです。エンジェル投資家の出資を受けるためには、メール・SNS・セミナー・マッチングサイト等でコンタクトを取り、起業家プロフィールおよび立ち上げる事業内容のプレゼンテーションを行い、有望性を認められる必要があります。

自分に合うエンジェル投資家を探し出し、出資の合意を得るまでには多大な労力と時間がかかることへの覚悟が必要です。

4.その他に使える資金調達

融資・出資以外にも資金を調達する方法はあります。ただ制約やリスクが多いため、ベンチャー起業時の主たる資金調達方法となる可能性は低いでしょう。

(1)補助金・助成金

政府や地方自治体は起業支援策として補助金・助成金制度を設けています。出資と同様に返済義務がないことが大きなメリットです。

一方、支給額が数十万~数百万円強と少額であること・申請から給付までに半年~1年、場合によってはそれ以上かかること・公募期間が限定的であること・申請倍率が高く採択率が低いこと・申請書類が多く煩雑であることなどのデメリットもあります。

基本的には、起業に必要な資金の調達は融資・出資で行い、起業後の事業負担を少しでも軽くするための補助手段として補助金・助成金の活用を考えるのがよいでしょう。

補助金・助成金については、支出が先で、入金が後になるものがほとんどです。

そのため、お金を調達してからチャレンジしたい!という場合には、融資や出資を利用するのが一般的です。

(2)クラウドファンディング

インターネットを通じて不特定多数の人から資金を募る方法です。どのような事業を行うのか・どのような用途で資金を使うのかをインターネット上に公開し、趣旨に賛同した人から資金を集めます。

クラウドファンディングにはさまざまな種類がありますが、共通するメリットは、多額の資金を調達できる可能性があること・マーケティングとして活用できることです。

たとえば、商品開発を目的にクラウドファンディングを利用する場合、商品公開を通じて消費者の認知を得ることができます。

デメリットは、資金調達後の事業計画が立てづらいことと、自身のアイデアを盗まれる可能性があることです。

ではどの程度の資金を調達できるのか(そもそも調達自体できるのか)、その調達にはどの程度の時間が掛かるのかが全く読めません。

また、公開した自身のアイデアはずっとWebに残ることになるため、他者にアイデアを盗用されるリスクもあります。

クラウドファンディングは資金調達の成否・資金調達の規模いずれも非常に不安定なので、まずは融資・出資による資金調達を検討するのがよいでしょう。

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5.融資か出資どちらで資金調達すべきか

結論として、まず融資による資金調達を検討するのがおすすめです。

出資は返済の必要がないので、一見すると融資より魅力的で、ハードルが低く感じるでしょう。

しかし、出資を受けるためには出資をしてくれる投資家探しにはじまり、事業計画のプレゼンテーション準備や投資家との面談など、実際に出資を受けるまでに膨大な時間がかかる場合がほとんどです。およそ半年~1年間は時間を要します。

さらに、晴れて出資を受けられたとしても、その後にVCや投資家が経営に口を挟んでくることで経営の自由度が下がるリスクもありますので、出資は慎重に検討すべきです。

融資の場合、確かに月々の返済義務は発生しますが、資金繰りを圧迫しない適切な融資を選択すれば、必要な事業資金を確実に確保できるメリットがあります。

実績の乏しいベンチャーに特におすすめの制度が日本政策金融公庫の「新創業融資制度」です。

この制度は無担保・無保証で利用でき、金利も2%台と低金利なため、利息返済の負担が軽減できます。

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まとめ

ベンチャーの資金調達は融資を受けるか、出資を受けるかの2パターンあります。自由な経営を継続したい場合は、投資家やVCからの出資は慎重に検討し、融資による資金調達をうまく活用していきましょう。

もし借入に悪いイメージがあり、金融機関から融資を受けることに不安や疑問をお持ちなら、当社株式会社SoLaboまでお気軽にご相談ください。

当社はこれから創業を考えている方や創業したばかりの事業者様が抱える、資金計画やマーケティングなどさまざまな経営課題をともに解決し、サポートしています。

日本政策金融公庫の融資をこれまでに2,400件以上サポートしてきた実績がありますので、資料作成や面談対策などさまざまな角度から融資に通過するためのアドバイスが可能です。

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