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飲食店を運営する際に必要な運転資金とは?目安と調達方法を解説

飲食店を運営している人やこれから開業を予定している人のなかには、運転資金がどの程度必要か知りたい人もいるでしょう。事業を日々続けていくために必要な運転資金が不足する前に調達しておきたい人もいますよね。

当記事では、飲食店を運営する際に必要な運転資金の目安を解説します。運転資金を調達する方法も紹介するので、飲食店を運営している人や開業を予定している人は参考にしてみてください。

飲食店を開業する際に必要な運転資金の平均値は200万円程度

飲食店を開業した人が用意した運転資金の平均値は200万円程度です。開業資金の総額が1,000万円とするならば、開業費用のおよそ2割を運転資金が占めていることになります。

【飲食店開設費用の内訳】

費用項目 平均金額(総額に占める割合)
内外装工事 500万円(50%)
機械・什器・備品 180万円(18%)
運転資金 200万円(20%)
テナント賃借費用 100万円(10%)
営業保証金・FC加盟店 20万円(2%)
(合計) 1,000万円

開業する飲食店の規模や業態、開業する場所の地価や商品の単価によっても必要な運転資金の金額は異なりますが、飲食店の開業を検討している人は参考値としておさえておくとよいでしょう。

用意する運転資金の目安は3か月分程度

飲食店を開業する場合に用意する運転資金は3か月分程度の金額を目安と考えておきましょう。開業初期は事業が軌道にのるまでに最低で3か月程度かかる傾向があるためです。事業が軌道にのるまでの間は売上から運転資金を出せないため、売上が安定するまでの期間分は運転資金を用意しておく必要があります。

たとえば、賃料や光熱費、仕入れ費用などの運転資金が1か月に50万円程度必要であれば、その3か月分の150万円程度を目安として用意しておきます。

ただし、運転資金の「3か月分」はあくまで目安の期間です。事業計画や返済計画、自己資金などの状況によって計算する期間は異なるため、飲食店を開業する人は自分の状況に適した分の運転資金を把握するようにしましょう。

運転資金の計算方法が知りたい人は「運転資金とは?種類と計算方法をわかりやすく解説」も参考にしてみてください。

運転資金を外部から調達する方法

飲食店を開業する予定の人や運営している人は運転資金を外部から調達する方法を把握しておきましょう。急な支払いの対応や市況の変化があった場合でも、運転資金を調達する方法を知っておけば迅速な対応ができるためです。

【運転資金を調達する方法】

調達する方法 概要 申し込みから調達までにかかる時間の目安
民間金融機関から融資を受ける 都市銀行や地方銀行、信用金庫などから運転資金を借りる方法。元金の返済と利子の支払いが負担になる可能性がある 1週間から2か月
政府系金融機関から融資を受ける 日本政策金融公庫などから運転資金を借りる方法。創業者向け制度では無担保無保証で借りられることもある。元金の返済と利子の支払いが発生する 3週間から2か月
ノンバンクや金融機関のビジネスローンを利用する クレジットカード会社や信販会社、銀行などから借りる方法。元金の返済と利子の支払いが発生する 即日から1週間
ファクタリングを利用する 売掛債権をファクタリング業者に買い取ってもらい、手数料を除いた金額分を受け取る方法。返済は不要だが、売掛債権に対して1%~20%の手数料が発生する 即日から5日間
クラウドファンディングを利用する インターネット上で資金を提供してくれる支援者を募り資金調達するサービスを利用する。広報活動や返礼品などのリターンの準備に時間を要するため急な資金繰りには適さない プロジェクト実施機関によって異なるが、2か月~半年程度

※上記の時間はあくまで目安のため、実際に利用する際は変動する可能性があります

運転資金を外部から調達する場合には、資金が入金されるタイミングも考慮します。運転資金が必要なタイミングで入金されなければ、資金ショートのおそれがあるためです。

たとえば、ビジネスローンを利用する場合は申し込みから資金を調達するまでが即日から1週間程度と他の資金調達方法に比べて短いです。一方で、金融機関から融資を受ける場合は最長で2か月程度の時間がかかるため、運転資金が必要なタイミングに入金が間に合うかどうか確認する必要があります。

ただし、ビジネスローンの金利(実質年率)は15.0%前後で設定されているため、金融機関から融資を受けるよりも利息の負担が大きくなる傾向があります。運転資金の調達を検討している人は資金が入金されるタイミングに加えて、返済の負担も考慮した上で適切な資金調達方法を選ぶようにしましょう。

金融機関から運転資金の融資を受けたい人は「運転資金の融資を受けられる金融機関は?借入金額の目安と考え方」も参考にしてみてください。

資金ショートを回避するためには資金繰り表を作成する

運転資金の不足による資金ショートを回避するためには資金繰り表を作成しましょう。資金繰り表を作ることで、手元資金の入金や出金状況が確認でき、今後いつどのくらいの資金が必要になるかを把握できるためです。

資金繰り表には過去の実績を元に作成する「資金繰り実績表」と、これからの資金繰りを予想する「資金繰り予定表」の2種類があります。現在手元にある資金を確認するために作るのが「資金繰り実績表」、今後必要になる資金を予測するために作るのが「資金繰り予定表」です。

今後の予測を立てるために「資金繰り予定表」を作った後は、売上高の予想金額が過大になっていないかと経費を過少に見積もっていないかどうかの2点に注意します。金額が大幅にずれると資金ショートにつながる可能性があるため収支は手堅く予測しておきましょう。

なお、飲食店を開業した直後は忙しくなりまとまった時間を確保しにくいため、資金繰り表の作成は年度の始まる1か月前や、創業前のタイミングでおこない、1か月ごとに数字を見直すのがよいでしょう。資金繰り表の作成方法を知りたい人は「資金繰り表とは?経営者のための資金繰り表の活用法と作り方」も参考にしてみてください。

原価率と人件費率の目安も確認しておく

資金繰り表を作成した後は、飲食店を開業する人や運営している人は原価率と人件費率の目安を確認しておきましょう。飲食店は業種によっても原価率や人件費率などのコストの配分が異なり、収支計画を立てるうえで開業する業種の平均的な原価率と人件費率が参考になるためです。

【業種別の原価率・人件費率の目安】

業種 目安の原価率 目安の人件費率
すし店 44% 30%
一般食堂 36% 35%
日本料理店 37% 34%
酒場・ビヤホール 31% 35%
西洋料理店 32% 34%
中華料理店 32% 37%
料亭 37% 32%
そば・うどん店 32% 37%
喫茶店 32% 35%
バー・キャバレー 18% 41%
スナック 14% 45%

 

たとえば、食材や料理そのものにコストをかけるすし店や日本料理店、料亭などは原価率が高くなる傾向があります。一方、バーやキャバレー、スナックなどのサービスにコストをかける業態ではスタッフの人件費が一定かかるため、人件費率が高くなりやすいです。

資金繰りが苦しい時には人件費率や原価率に着目し、業界の平均を超えていないか確認してみてください。

なお、本来は人件費と原価にかけすぎているのに、立地を重視して出店したために家賃など他の支払いの占める割合が増えたせいで原価率や人件費率が低く見えるケースもあり得ます。

そのため、すでに飲食店を運営している人は当初予定していた原価率や人件費率が上昇していないかどうかを確認し、コストを見直す余地があるかどうかも確認してみるのがよいでしょう。

まとめ

飲食店を開業する場合に用意する運転資金は3か月分程度の金額が目安になりますが、売上が黒字化するまでには3か月以上かかるケースもあるので、できる限り余裕を持った運転資金を用意しておくのがよいでしょう。

これから飲食店を開業する予定の人は、現在の勤務先の飲食店で収支の動きや売上高の傾向などを把握し、将来の開業に生かすのもノウハウを得る手段のひとつです。

設備資金や運転資金などの開業資金がゼロの状態から飲食店の開業を検討したい人は「開業資金ゼロでも飲食店を開けるのか?」も参考にしてみてください。

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