飲食店や美容室など、独立開業を予定している人の中には、金融機関から創業融資を受けることを検討している人もいますよね。その際、創業融資の返済に不安があることにより、返済不要の融資制度があるのかどうかを知りたい人もいるでしょう。
当記事では、創業融資の観点から返済不要の融資制度はあるのかどうかを解説します。創業者向けの融資制度や返済の負担軽減策も紹介するため、返済不要の融資制度に関する情報を知りたい人は参考にしてみてください。
返済不要の融資制度はない
融資は金融機関から資金を借り入れる仕組みとなる関係上、返済不要の融資制度はありません。創業融資に限らず、融資を受ける場合は必ず返済することになるため、返済不要の融資制度に関する情報を調べている人はその前提を踏まえておきましょう。
融資とは、金融機関が個人や法人に対して資金を貸し出す行為のことです。融資を受けるときは元金返済を前提として、金融機関と事業者の間において金銭消費貸借契約を結ぶことになるため、融資を受けた人は元金返済と利息支払いの義務を負うことになります。
創業融資を受ける場合も他の融資と同様、元金返済と利息支払いが求められます。創業融資は金融機関が創業者を対象として融資する制度となるため、創業融資制度を利用する場合は元金返済と利息支払いの義務を負うことになります。
なお、インターネット上に返済不要の融資制度をうたう投稿がありますが、これらは詐欺のおそれがあります。融資の仕組み上、返済不要の融資制度は存在しないため、返済不要の融資制度に関する情報を調べている人は詐欺のおそれがある投稿に注意しましょう。
創業するときは創業融資制度を活用できる
創業前後の時期に融資を受ける場合、創業者向けの融資制度を活用できる可能性があります。創業支援を目的として、創業者向けの融資制度を展開している金融機関があるため、創業融資を受けることを検討している人は創業融資制度を確認してみましょう。
【創業融資制度の具体例】
| 創業融資制度 | 概要 |
|---|---|
| 日本政策金融公庫 「新規開業・スタートアップ支援資金」 |
<対象者> 新たに事業を始める人または事業開始後おおむね7年以内の人 <融資限度額> 7,200万円 <返済期間> 設備資金:20年以内(うち据置期間5年以内) 運転資金:10年以内(うち据置期間5年以内) |
| 東京都中小企業制度融資 「創業」 |
<対象者> 都内に事業所があり、東京信用保証協会の保証対象業種を営む中小企業者かつ以下のいずれかの条件を満たす人 ・現在事業を営んでいない個人かつ創業しようとする具体的な計画を有している人 ・創業した日から5年未満となる中小企業者 ・分社化しようとする会社または分社化により設立された日から5年未満の会社 <融資限度額> 3,500万円 <返済期間> 設備資金:10年以内(うち据置期間1年以内) 運転資金:7年以内(うち据置期間1年以内) |
| 横浜信用金庫 「知産」 |
<対象者> 営業区域内において事業を営む創業1年以上5年未満の法人および個人事業主 <融資限度額> 500万円以内 <返済期間> 設備資金:5年以内(うち据置期間1年以内) 運転資金:3年以内(うち据置期間1年以内) |
創業融資制度のひとつは日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。新たに事業を始める人または事業開始後おおむね7年以内の人が対象となるため、創業融資を受けたい人は新規開業・スタートアップ支援資金を検討する余地があります。
また、創業融資制度のひとつは横浜信用金庫の「知産」です。横浜信用金庫の営業区域内において事業を営む創業1年以上5年未満の法人および個人事業主が対象となるため、該当地域において創業融資を受けたい人は知産を検討する余地があります。
なお、いずれの創業融資制度も返済期間の上限が定められています。適用される返済期間は各金融機関における担当者の判断次第ですが、最長でも返済期間の上限までに返済を完了することになるため、創業融資制度を利用したい人は覚えておきましょう。
創業融資の返済が不安な人は負担軽減策を考える
創業融資の返済に不安がある場合、負担軽減策を検討する余地があります。負担軽減策を講じることにより、創業融資を受けるときに必要となる費用を抑えられる可能性があるため、創業融資の返済が不安な人は負担軽減策を確認してみましょう。
【負担軽減策の具体例】
| 項目 | 具体例 |
|---|---|
| 担保を提供する | 担保を提供することにより、金融機関側の貸し倒れリスクを軽減できるため、適用金利が下がる可能性がある。 |
| 据置期間を設定する | 据置期間を設定することにより、元金返済を先送りできるため、融資直後の返済負担を軽減できる可能性がある。 |
| 利子補給制度を利用する | 自治体の利子補給制度を利用することにより、創業融資における利息負担を軽減できる可能性がある。 |
| 信用保証料補助を受ける | 自治体の信用保証料補助を受けることにより、創業融資における信用保証料の負担を軽減できる可能性がある。 |
| 元金均等返済を選択する | 元金均等返済を選択することにより、元利均等返済よりも総返済額を抑えられる可能性がある。 |
創業融資における返済の負担軽減策として挙げられるのは、担保を提供することです。金融機関に担保を提供することにより、金融機関側の貸し倒れリスクが軽減できるため、無担保よりも有担保のほうが低い金利が適用される可能性があります。
また、創業融資における返済の負担軽減策として挙げられるのは、利子補給制度を利用することです。自治体の利子補給制度を利用することにより、創業融資における利息の全額または一部の補助を受けられるため、利息負担を軽減できる可能性があります。
なお、利用できる負担軽減策は事業者の状況次第です。「自治体による支援制度の有無」「返済方法における選択肢の有無」など、事業者の状況により利用できる負担軽減策が異なるため、創業融資の返済負担を軽減したい人は念頭に置いておきましょう。
適用金利はさまざまな要素をもとに判断される
創業融資を受ける場合、融資制度ごとに適用金利の範囲が定められています。適用金利はその範囲の中から設定されますが、さまざまな要素の影響を受けることになるため、創業融資における返済負担が不安な人はその前提を踏まえておきましょう。
【創業融資における適用金利の範囲】
| 創業融資制度 | 範囲(2026年3月11日時点) |
|---|---|
| 日本政策金融公庫 「新規開業・スタートアップ支援資金」 |
1.0%台~4.0%台 |
| 東京都中小企業制度融資 「創業」 |
1.0%台~2.0%台 |
創業融資における適用金利の範囲はさまざまな要素から判断されています。「社会情勢」「景気動向」「金融政策」など、国内外のさまざまな要素をもとに判断されるため、それらの変化に伴い、適用金利の範囲は定期的に見直される可能性があります。
また、実際に適用される金利は金融機関の審査により、判断されることになります。「担保の有無」「返済期間の長さ」「自己資金の額」「他社借入の額」など、融資の条件や事業者の状況をもとに適用金利が決定することになります。
創業融資を受ける場合、事業者が適用金利を選択できるわけではありません。適用金利は融資元の金融機関における判断次第となる関係上、負担軽減策により利息負担を軽減できるとは言い切れないため、創業融資の返済負担が不安な人は念頭に置いておきましょう。
創業後の資金繰りに懸念がある場合は返済不要の資金調達方法も検討する
創業後の資金繰りに懸念がある場合、返済不要の資金調達方法を検討する余地があります。返済以外の費用が必要となる可能性はありますが、融資以外の手段がいくつか考えられるため、創業後の資金繰りに懸念がある人は返済不要の資金調達方法を確認してみましょう。
【返済不要の資金調達方法】
| 資金調達方法 | 概要 |
|---|---|
| 補助金/助成金 | 制度の趣旨と合致する事業に対して、国や自治体が資金を交付する方法となるため、返済義務を負わない。創業者の場合は創業支援を目的とした制度を活用できる可能性がある。 |
| 資産売却 | 保有している資産を売却することにより、売却代金を得る方法となるため、返済義務を負わない。価値のある資産を保有している場合は短期間のうちに資金調達できる可能性がある。 |
| 株式発行 | 株式を発行することにより、投資家から出資を受ける方法となるため、返済義務を負わない。経営権の一部を提供することになるが、株式会社を設立する場合は出資を受けられる可能性がある。 |
返済不要の資金調達方法として挙げられるのは「補助金や助成金」です。制度の趣旨と合致する事業に対して、国や自治体が資金を交付する方法となるため、創業する場合は創業支援を目的とした補助金制度や助成金制度を活用できる可能性があります。
また、返済不要の資金調達方法として挙げられるのは「株式発行」です。株式を発行することにより、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルといった投資家から出資を受ける方法となるため、株式会社を設立する場合は出資を受けられる可能性があります。
なお、返済不要の資金調達方法を利用する場合、費用に注意が必要です。「資産の売却手数料」や「株主への配当金」など、返済以外の費用が発生する可能性があるため、気になる資金調達方法がある人は必要となる費用を確認してみましょう。
創業融資と組み合わせることもできる
返済不要の資金調達方法を利用する場合、創業融資を組み合わせることも可能です。ひとつの資金調達方法のみに限定せず、複数の資金調達方法を併用することができるため、創業後の資金繰りに懸念がある人はその前提を踏まえておきましょう。
たとえば、創業融資と補助金を併用する方法があります。開業資金の一部に補助金を利用することにより、融資希望額を抑えられる可能性があるため、創業後の資金繰りに懸念がある人は創業融資と補助金の併用を検討する余地があります。
また、創業融資と株式発行を併用する方法があります。開業資金の一部に株式発行による出資金を利用することにより、融資希望額を抑えられる可能性があるため、創業後の資金繰りに懸念がある人は創業融資と株式発行の併用を検討する余地があります。
資金調達方法を併用することにより、資金不足のリスクを軽減できる可能性があります。ひとつの資金調達方法では、審査や交渉がうまくいかなかった場合に資金不足となるおそれがあるため、創業時に資金調達を予定している人は併用することも検討してみましょう。
まとめ
融資は金融機関から資金を借り入れる仕組みとなる関係上、返済不要の融資制度はありません。創業融資に限らず、融資を受ける場合は必ず返済することになるため、返済不要の融資制度に関する情報を調べている人はその前提を踏まえておきましょう。
創業融資の返済に不安がある場合、負担軽減策を検討する余地があります。負担軽減策を講じることにより、創業融資を受けるときに必要となる費用を抑えられる可能性があるため、創業融資の返済が不安な人は負担軽減策を確認してみましょう。
創業後の資金繰りに懸念がある場合、返済不要の資金調達方法を検討する余地があります。返済以外の費用が必要となる可能性はありますが、融資以外の手段がいくつか考えられるため、創業後の資金繰りに懸念がある人は返済不要の資金調達方法を確認してみましょう。