親の勤め先が破綻し、生活保護を受ける事になった。こんな場合、これから進学する子供はとても不安になりますよね。また、親が高齢となり年金生活に突入する場合も同じです。
親がまとまった教育費を残し、老後の生活資金も貯めているのであれば問題はありません。
しかし、親が生活保護を受けていて子供の教育費を支払えない場合、親は国の教育ローンでお金を借りることはできるのでしょうか?
まずは国の教育ローン(日本政策金融公庫)の申込み条件を確認しよう
学校に払うお金がないのであれば、お金を借りるという発想に至ることでしょう。一般的に言われる「教育ローン」は、正式には日本政策金融公庫の教育ローンのことを指しています。
①申込条件~子供自らに収入があれば本人申込も可能
日本政策金融公庫の教育ローンに申し込むための基本条件は、以下となります。
【教育ローンに申し込むための大前提】
- 1.融資対象の学校に入学・在学する学生の保護者である
- 2.子どもの人数に合わせた所定の所得制限の条件を満たしている
まず、申込者はこれから学生となる方ではなく保護者です。しかし、親が他界してしまったという状況も考えられます。その場合は、以下のような例外が規定されています。
・6親等内の血族、配偶者および3親等内の姻族でも申込者になれる場合がある
ちなみに姻族とは「いんぞく」と読み、婚姻によって出来た親戚を指します。例えば、妻からみて夫の母や兄弟は姻族です。
また、学生本人が一度社会人として安定した収入がある場合は、親や血族ではなく本人が教育ローンに申し込むことができます。
②生活保護費は収入にならない
国の教育ローンに申込むための2つ目の大前提として、所定の所得制限の条件を満たしている必要があります。生活保護を受けている場合、生活保護費を給与のような収入として申し込むことはできません。
審査対象はあくまで会社や事業から得た給与や収入です。
③「生活保護の方は申込みできない」とは明記されてない
国の教育ローンの規約では、特に「生活保護の方は申込みいただけません」と記載されていません。しかし、それは他のカードローンなどの規約でも同様です。
親が生活保護を受けている場合の大学進学
親が生活保護で仮に教育ローンの審査をパスした場合、「生活に困っていない」とみなされ生活保護費の支給が打ち切られることもあるようです。そのような状況を回避するために、ここでは教育ローンを受けずに進学する方法をご紹介していきます。
①まずは働いてお金を貯めてから進学する
高校卒業後、そのまま大学に入学できればすればベストですが、世の中全ての方がそうしている訳ではありません。
お金がない状態でさらに借金を増やすのはリスクも伴います。どうしても進学したいのであれば、まずは自分自身がアルバイトでもいいので働いて、お金が貯まってから進学するという方向で考えていきましょう。
②親戚に打診する/二部制の大学に通う
あなたの親が生活保護を認定されているのであれば、おそらく審査の際に周りの親族の所得も調べられています。そのため、親戚に打診しても大学費用を出してくれる可能性は低いことでしょう。
しかし、大学の一部(全日)ではなく二部(夜間)ではどうでしょうか?学費は一部の2/3で済みます。働きながら通うことも可能です。
③通信制大学に通う
多くの大学は通信制でも授業を提供しています。私大で通学制の場合、1年間で約100万円の学費がかかりますが、通信制であれば1/4(約25万円)の費用で済むのです。
通信制ではスクーリングと言って実際に通う授業も含まれているので、同じ科目を専攻する友人も作る事ができます。通信制では社会人も多く利用しているので、同い年の友達だけではなく、幅広い年齢の友達をつくれるでしょう。
④返済不要の奨学金を狙う
奨学金には2種類あり、教育ローンのように返済しなくてはいけないものと、そうではなく返済不要のものがあります。返済不要の奨学金は「給付型」と言われます。
給付型の奨学金は民間、公的機関、そして大学が提供しており、条件や支給額もさまざまです。日本では世界に比べて給付型奨学金が遅れていて、それが長年問題となっていました。
2020年4月からは、経済的理由で大学や専門学校をあきらめないための、新制度がスタートしています。興味がある方は、日本学生支援機構の奨学金制度に関するページをご覧ください。
まとめ
仮に教育ローンの審査をパスしても、借金が増えたり生活保護費の打ち切りといったデメリットがあります。進学を諦めるのではなく、アルバイトをして二部や通信制などにシフトするのも選択肢のひとつです。